没落令嬢カノンの冒険者生活〜ジョブ『道具師』のスキルで道具を修復・レベルアップ・進化できるようになりました〜

もう書かないって言ったよね?

文字の大きさ
103 / 121
24日目

三本勝負・使用人交換

しおりを挟む
「えーっと、量より、いえ、姉様、どんまいです!」

 量より質だと言えない悲惨な状況に、カノンは困っている。
 とりあえず励ましてみたが、その必要はなかった。

「ん? 何がどんまいなの? めちゃくちゃ凄いの貰えたじゃない」

 ミランダは平然としている。

「そ、そうですね……めちゃくちゃ凄いです!」

 凄いのは姉の頭だと思いながらも、カノンは賛成した。

「ふふふっ。外で待ってあげるから、さっさと土下座して来るのよ」

 土下座はしないが姉二人が祈りの間から出た。
 ポケットから手乗りパトラッシュを取り出すと、カノンは神様に祈らせた。
 未来と同じ見習い芸犬のジョブを貰えた。

「ふふ。やっと来たわね。これ、何に見える?」
「はい?」

 カノンが祈りの間から出て、教会の外に出ると、使用人達に囲まれていたミランダが近づいて来た。
 ミランダがハンカチを広げると、親指大の光る宝石が何個も現れた。

「うーん、ガラスですよね?」

 こんなデカイ宝石はない。カノンは消去法で考えて答えてみた。

「違うわ。落ちていた石を拾って磨いたの。叩きつけて割ってみたんだけど、中までは変わらないみたいね」

 半分ずつに割れた石をミランダは見せた。石の強度は変わらないみたいだ。

「そうなんですね。一瞬宝石だと思ってしまいました」
「ふふん♪ それだけじゃないわよ。こうやると~……」

 ミランダは新しいスキルを試すのに夢中のようだ。
 使用人ベアトリスの髪の毛をブラシで磨いている。
 ベアトリスの茶髪が部分的にキラキラ輝く金髪、銀髪、赤髪、青髪、緑髪に変化していく。

「わぁ~♪ 綺麗です!」
「ふぅー、勝ったわね。アイツの家に行くわよ!」
「……」

 ベアトリスは元に戻して欲しそうに、ミランダを見ている。
 ミランダにそのつもりはない。ルセフの家に行くように言った。

「ミランダ姉様、どうしてルセフさんの家に行くんですか?」
「決まっているでしょ。宣戦布告よ。この力でアイツよりも稼いでやるわ!」
「まあ、稼げそうですけど……」

 馬車に揺られながら、目的地に向かっていく。
 ルセフの家に行く理由を聞くと、勝負に勝つ為だった。
 姉の一人勝負みたいなものだが、魔物の色を変えても倒せない。
 髪の色を綺麗にするなら稼げそうだ。

 ルセフの家に到着すると、裏庭に移動した。大量のケットシーの解体に忙しそうだ。
 護衛料と一緒に要らないと言って、ミランダが全部渡した。

「頑張っているみたいね」
「……家まで何の用で来た。見ての通り忙しいから、護衛なら引き受けない」
「わぁー! 修羅場だ、修羅場だ! これって修羅場だよね!」
「七人も手を出すなんて、兄ちゃんもやるなぁ~♪」
「いや、ただの仕事の依頼人だから」

 面白い女ではなく、迷惑な女だ。
 兄妹とウェインと作業中のルセフが手を止めて、呆れた目でたくさんのお客様を見た。
 狭い庭にゾロゾロと七人も入って来られたら迷惑だ。
 庭の外には二頭引きの馬車が二台も止まっている。
 こっちは近所迷惑だ。

「護衛~? そんなの必要ないわ。レベル30程度なら私一人で十分よ。というか、もうなっているし」
「だったら何しに来たんだよ。貴族の暇潰しなら他の奴を探せ」
「暇潰しならこんな所には来ないわ。私と勝負しなさい! 三日間でより多く稼いだ方が勝ちよ。もちろん一対一、使用人も誰の手も一切借りないわ」

 暇潰しではなく、名誉の戦いだ。
 ルセフをビシッと指差して、勝負の方法を一方的にミランダは話していく。
 もちろん敵が簡単に勝負しないのも分かっている。

「あんたのことだからどうせ断るつもりでしょ。だから、負けた方は相手の言うことを何でも聞くのよ。あんたが勝った場合は二度と近づくなと言えばいいわ。もちろん、それ以外でもいいわよ。悪くないでしょ? それとあれだけ言って、負けるのが怖いのかしら?」

 勝者の報酬を話して、ミランダは挑発した。
 もしも断った場合は、家族の前で腰抜け野朗と嘲笑うと決めている。
 ミランダは根に持つ女だ。

「報酬に文句はない。望み通りに勝負はしてやるよ。ただしより多く稼いだ方が勝ちは駄目だ。お前の知り合いは金持ちが多いからな。やるなら別の勝負だ」

 ミランダの挑発の効果か、ルセフは勝負を受けた。
 だけど、負ける勝負をするつもりはない。

「この私がズルするわけないでしょ。まあいいわ。それなら三本勝負よ。お互いが得意なもので一本ずつ勝負するの。それで決着がつかなかったら、三本目で決着をつける……それでどうかしら?」

 ミランダは余裕があるから、ルセフの提案を受け入れた。
 そして、ちゃっかり自分の都合の良いルールに変えた。金稼ぎ勝負は自信がある。
 ルセフの勝負に負けた時は、引き分けであんたもやるじゃないで、三本目は勝負しない。

「……ああ、それならいい。こっちは魔物狩りで大物を倒した方が勝ちだ」
「いいわよ。それとお互い不正しないように使用人を交換するわよ。ズルした時点で失格よ」

 勝負のルールは決まった。ミランダはシリカを指差して、使用人交換を提案した。
 使用人じゃなくて、妹だ。

「わぁーい! 金持ちの家で肉食い放題だぁー!」

 だけど、貴族の家に泊まれるので、シリカは喜んで使用人交換に同意した。
 懐柔されそうで怖いが、ウェインもジャンも男だから、ミランダの使用人にはなれない。
しおりを挟む
感想 3

あなたにおすすめの小説

異世界生活〜異世界に飛ばされても生活水準は変えません〜 番外編『旅日記』

アーエル
ファンタジー
カクヨムさん→小説家になろうさんで連載(完結済)していた 【 異世界生活〜異世界に飛ばされても生活水準は変えません〜 】の番外編です。 カクヨム版の 分割投稿となりますので 一話が長かったり短かったりしています。

転生したらスキル転生って・・・!?

ノトア
ファンタジー
世界に危機が訪れて転生することに・・・。 〜あれ?ここは何処?〜 転生した場所は森の中・・・右も左も分からない状態ですが、天然?な女神にサポートされながらも何とか生きて行きます。 ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー 初めて書くので、誤字脱字や違和感はご了承ください。

3歳で捨てられた件

玲羅
恋愛
前世の記憶を持つ者が1000人に1人は居る時代。 それゆえに変わった子供扱いをされ、疎まれて捨てられた少女、キャプシーヌ。拾ったのは宰相を務めるフェルナー侯爵。 キャプシーヌの運命が再度変わったのは貴族学院入学後だった。

異世界に来ちゃったよ!?

いがむり
ファンタジー
235番……それが彼女の名前。記憶喪失の17歳で沢山の子どもたちと共にファクトリーと呼ばれるところで楽しく暮らしていた。 しかし、現在森の中。 「とにきゃく、こころこぉ?」 から始まる異世界ストーリー 。 主人公は可愛いです! もふもふだってあります!! 語彙力は………………無いかもしれない…。 とにかく、異世界ファンタジー開幕です! ※不定期投稿です…本当に。 ※誤字・脱字があればお知らせ下さい (※印は鬱表現ありです)

神々の愛し子って何したらいいの?とりあえずのんびり過ごします

夜明シスカ
ファンタジー
アリュールという世界の中にある一国。 アール国で国の端っこの海に面した田舎領地に神々の寵愛を受けし者として生を受けた子。 いわゆる"神々の愛し子"というもの。 神々の寵愛を受けているというからには、大事にしましょうね。 そういうことだ。 そう、大事にしていれば国も繁栄するだけ。 簡単でしょう? えぇ、なんなら周りも巻き込んでみーんな幸せになりませんか?? −−−−−− 新連載始まりました。 私としては初の挑戦になる内容のため、至らぬところもあると思いますが、温めで見守って下さいませ。 会話の「」前に人物の名称入れてみることにしました。 余計読みにくいかなぁ?と思いつつ。 会話がわからない!となるよりは・・ 試みですね。 誤字・脱字・文章修正 随時行います。 短編タグが長編に変更になることがございます。 *タイトルの「神々の寵愛者」→「神々の愛し子」に変更しました。

安全第一異世界生活

ファンタジー
異世界に転移させられた 麻生 要(幼児になった3人の孫を持つ婆ちゃん) 新たな世界で新たな家族を得て、出会った優しい人・癖の強い人・腹黒と色々な人に気にかけられて婆ちゃん節を炸裂させながら安全重視の異世界冒険生活目指します!!

特に呼ばれた記憶は無いが、異世界に来てサーセン。

黄玉八重
ファンタジー
水無月宗八は意識を取り戻した。 そこは誰もいない大きい部屋で、どうやら異世界召喚に遭ったようだ。 しかし姫様が「ようこそ!」って出迎えてくれないわ、不審者扱いされるわ、勇者は1ヶ月前に旅立ってらしいし、じゃあ俺は何で召喚されたの? 優しい水の国アスペラルダの方々に触れながら、 冒険者家業で地力を付けながら、 訪れた異世界に潜む問題に自分で飛び込んでいく。 勇者ではありません。 召喚されたのかも迷い込んだのかもわかりません。 でも、優しい異世界への恩返しになれば・・・。

田舎娘、追放後に開いた小さな薬草店が国家レベルで大騒ぎになるほど大繁盛

タマ マコト
ファンタジー
【大好評につき21〜40話執筆決定!!】 田舎娘ミントは、王都の名門ローズ家で地味な使用人薬師として働いていたが、令嬢ローズマリーの嫉妬により濡れ衣を着せられ、理不尽に追放されてしまう。雨の中ひとり王都を去ったミントは、亡き祖母が残した田舎の小屋に戻り、そこで薬草店を開くことを決意。森で倒れていた謎の青年サフランを救ったことで、彼女の薬の“異常な効き目”が静かに広まりはじめ、村の小さな店《グリーンノート》へ、変化の風が吹き込み始める――。

処理中です...