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24日目
三本勝負・使用人交換
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「えーっと、量より、いえ、姉様、どんまいです!」
量より質だと言えない悲惨な状況に、カノンは困っている。
とりあえず励ましてみたが、その必要はなかった。
「ん? 何がどんまいなの? めちゃくちゃ凄いの貰えたじゃない」
ミランダは平然としている。
「そ、そうですね……めちゃくちゃ凄いです!」
凄いのは姉の頭だと思いながらも、カノンは賛成した。
「ふふふっ。外で待ってあげるから、さっさと土下座して来るのよ」
土下座はしないが姉二人が祈りの間から出た。
ポケットから手乗りパトラッシュを取り出すと、カノンは神様に祈らせた。
未来と同じ見習い芸犬のジョブを貰えた。
「ふふ。やっと来たわね。これ、何に見える?」
「はい?」
カノンが祈りの間から出て、教会の外に出ると、使用人達に囲まれていたミランダが近づいて来た。
ミランダがハンカチを広げると、親指大の光る宝石が何個も現れた。
「うーん、ガラスですよね?」
こんなデカイ宝石はない。カノンは消去法で考えて答えてみた。
「違うわ。落ちていた石を拾って磨いたの。叩きつけて割ってみたんだけど、中までは変わらないみたいね」
半分ずつに割れた石をミランダは見せた。石の強度は変わらないみたいだ。
「そうなんですね。一瞬宝石だと思ってしまいました」
「ふふん♪ それだけじゃないわよ。こうやると~……」
ミランダは新しいスキルを試すのに夢中のようだ。
使用人ベアトリスの髪の毛をブラシで磨いている。
ベアトリスの茶髪が部分的にキラキラ輝く金髪、銀髪、赤髪、青髪、緑髪に変化していく。
「わぁ~♪ 綺麗です!」
「ふぅー、勝ったわね。アイツの家に行くわよ!」
「……」
ベアトリスは元に戻して欲しそうに、ミランダを見ている。
ミランダにそのつもりはない。ルセフの家に行くように言った。
「ミランダ姉様、どうしてルセフさんの家に行くんですか?」
「決まっているでしょ。宣戦布告よ。この力でアイツよりも稼いでやるわ!」
「まあ、稼げそうですけど……」
馬車に揺られながら、目的地に向かっていく。
ルセフの家に行く理由を聞くと、勝負に勝つ為だった。
姉の一人勝負みたいなものだが、魔物の色を変えても倒せない。
髪の色を綺麗にするなら稼げそうだ。
ルセフの家に到着すると、裏庭に移動した。大量のケットシーの解体に忙しそうだ。
護衛料と一緒に要らないと言って、ミランダが全部渡した。
「頑張っているみたいね」
「……家まで何の用で来た。見ての通り忙しいから、護衛なら引き受けない」
「わぁー! 修羅場だ、修羅場だ! これって修羅場だよね!」
「七人も手を出すなんて、兄ちゃんもやるなぁ~♪」
「いや、ただの仕事の依頼人だから」
面白い女ではなく、迷惑な女だ。
兄妹とウェインと作業中のルセフが手を止めて、呆れた目でたくさんのお客様を見た。
狭い庭にゾロゾロと七人も入って来られたら迷惑だ。
庭の外には二頭引きの馬車が二台も止まっている。
こっちは近所迷惑だ。
「護衛~? そんなの必要ないわ。レベル30程度なら私一人で十分よ。というか、もうなっているし」
「だったら何しに来たんだよ。貴族の暇潰しなら他の奴を探せ」
「暇潰しならこんな所には来ないわ。私と勝負しなさい! 三日間でより多く稼いだ方が勝ちよ。もちろん一対一、使用人も誰の手も一切借りないわ」
暇潰しではなく、名誉の戦いだ。
ルセフをビシッと指差して、勝負の方法を一方的にミランダは話していく。
もちろん敵が簡単に勝負しないのも分かっている。
「あんたのことだからどうせ断るつもりでしょ。だから、負けた方は相手の言うことを何でも聞くのよ。あんたが勝った場合は二度と近づくなと言えばいいわ。もちろん、それ以外でもいいわよ。悪くないでしょ? それとあれだけ言って、負けるのが怖いのかしら?」
勝者の報酬を話して、ミランダは挑発した。
もしも断った場合は、家族の前で腰抜け野朗と嘲笑うと決めている。
ミランダは根に持つ女だ。
「報酬に文句はない。望み通りに勝負はしてやるよ。ただしより多く稼いだ方が勝ちは駄目だ。お前の知り合いは金持ちが多いからな。やるなら別の勝負だ」
ミランダの挑発の効果か、ルセフは勝負を受けた。
だけど、負ける勝負をするつもりはない。
「この私がズルするわけないでしょ。まあいいわ。それなら三本勝負よ。お互いが得意なもので一本ずつ勝負するの。それで決着がつかなかったら、三本目で決着をつける……それでどうかしら?」
ミランダは余裕があるから、ルセフの提案を受け入れた。
そして、ちゃっかり自分の都合の良いルールに変えた。金稼ぎ勝負は自信がある。
ルセフの勝負に負けた時は、引き分けであんたもやるじゃないで、三本目は勝負しない。
「……ああ、それならいい。こっちは魔物狩りで大物を倒した方が勝ちだ」
「いいわよ。それとお互い不正しないように使用人を交換するわよ。ズルした時点で失格よ」
勝負のルールは決まった。ミランダはシリカを指差して、使用人交換を提案した。
使用人じゃなくて、妹だ。
「わぁーい! 金持ちの家で肉食い放題だぁー!」
だけど、貴族の家に泊まれるので、シリカは喜んで使用人交換に同意した。
懐柔されそうで怖いが、ウェインもジャンも男だから、ミランダの使用人にはなれない。
量より質だと言えない悲惨な状況に、カノンは困っている。
とりあえず励ましてみたが、その必要はなかった。
「ん? 何がどんまいなの? めちゃくちゃ凄いの貰えたじゃない」
ミランダは平然としている。
「そ、そうですね……めちゃくちゃ凄いです!」
凄いのは姉の頭だと思いながらも、カノンは賛成した。
「ふふふっ。外で待ってあげるから、さっさと土下座して来るのよ」
土下座はしないが姉二人が祈りの間から出た。
ポケットから手乗りパトラッシュを取り出すと、カノンは神様に祈らせた。
未来と同じ見習い芸犬のジョブを貰えた。
「ふふ。やっと来たわね。これ、何に見える?」
「はい?」
カノンが祈りの間から出て、教会の外に出ると、使用人達に囲まれていたミランダが近づいて来た。
ミランダがハンカチを広げると、親指大の光る宝石が何個も現れた。
「うーん、ガラスですよね?」
こんなデカイ宝石はない。カノンは消去法で考えて答えてみた。
「違うわ。落ちていた石を拾って磨いたの。叩きつけて割ってみたんだけど、中までは変わらないみたいね」
半分ずつに割れた石をミランダは見せた。石の強度は変わらないみたいだ。
「そうなんですね。一瞬宝石だと思ってしまいました」
「ふふん♪ それだけじゃないわよ。こうやると~……」
ミランダは新しいスキルを試すのに夢中のようだ。
使用人ベアトリスの髪の毛をブラシで磨いている。
ベアトリスの茶髪が部分的にキラキラ輝く金髪、銀髪、赤髪、青髪、緑髪に変化していく。
「わぁ~♪ 綺麗です!」
「ふぅー、勝ったわね。アイツの家に行くわよ!」
「……」
ベアトリスは元に戻して欲しそうに、ミランダを見ている。
ミランダにそのつもりはない。ルセフの家に行くように言った。
「ミランダ姉様、どうしてルセフさんの家に行くんですか?」
「決まっているでしょ。宣戦布告よ。この力でアイツよりも稼いでやるわ!」
「まあ、稼げそうですけど……」
馬車に揺られながら、目的地に向かっていく。
ルセフの家に行く理由を聞くと、勝負に勝つ為だった。
姉の一人勝負みたいなものだが、魔物の色を変えても倒せない。
髪の色を綺麗にするなら稼げそうだ。
ルセフの家に到着すると、裏庭に移動した。大量のケットシーの解体に忙しそうだ。
護衛料と一緒に要らないと言って、ミランダが全部渡した。
「頑張っているみたいね」
「……家まで何の用で来た。見ての通り忙しいから、護衛なら引き受けない」
「わぁー! 修羅場だ、修羅場だ! これって修羅場だよね!」
「七人も手を出すなんて、兄ちゃんもやるなぁ~♪」
「いや、ただの仕事の依頼人だから」
面白い女ではなく、迷惑な女だ。
兄妹とウェインと作業中のルセフが手を止めて、呆れた目でたくさんのお客様を見た。
狭い庭にゾロゾロと七人も入って来られたら迷惑だ。
庭の外には二頭引きの馬車が二台も止まっている。
こっちは近所迷惑だ。
「護衛~? そんなの必要ないわ。レベル30程度なら私一人で十分よ。というか、もうなっているし」
「だったら何しに来たんだよ。貴族の暇潰しなら他の奴を探せ」
「暇潰しならこんな所には来ないわ。私と勝負しなさい! 三日間でより多く稼いだ方が勝ちよ。もちろん一対一、使用人も誰の手も一切借りないわ」
暇潰しではなく、名誉の戦いだ。
ルセフをビシッと指差して、勝負の方法を一方的にミランダは話していく。
もちろん敵が簡単に勝負しないのも分かっている。
「あんたのことだからどうせ断るつもりでしょ。だから、負けた方は相手の言うことを何でも聞くのよ。あんたが勝った場合は二度と近づくなと言えばいいわ。もちろん、それ以外でもいいわよ。悪くないでしょ? それとあれだけ言って、負けるのが怖いのかしら?」
勝者の報酬を話して、ミランダは挑発した。
もしも断った場合は、家族の前で腰抜け野朗と嘲笑うと決めている。
ミランダは根に持つ女だ。
「報酬に文句はない。望み通りに勝負はしてやるよ。ただしより多く稼いだ方が勝ちは駄目だ。お前の知り合いは金持ちが多いからな。やるなら別の勝負だ」
ミランダの挑発の効果か、ルセフは勝負を受けた。
だけど、負ける勝負をするつもりはない。
「この私がズルするわけないでしょ。まあいいわ。それなら三本勝負よ。お互いが得意なもので一本ずつ勝負するの。それで決着がつかなかったら、三本目で決着をつける……それでどうかしら?」
ミランダは余裕があるから、ルセフの提案を受け入れた。
そして、ちゃっかり自分の都合の良いルールに変えた。金稼ぎ勝負は自信がある。
ルセフの勝負に負けた時は、引き分けであんたもやるじゃないで、三本目は勝負しない。
「……ああ、それならいい。こっちは魔物狩りで大物を倒した方が勝ちだ」
「いいわよ。それとお互い不正しないように使用人を交換するわよ。ズルした時点で失格よ」
勝負のルールは決まった。ミランダはシリカを指差して、使用人交換を提案した。
使用人じゃなくて、妹だ。
「わぁーい! 金持ちの家で肉食い放題だぁー!」
だけど、貴族の家に泊まれるので、シリカは喜んで使用人交換に同意した。
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