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25日目
廃都奪還・火竜決闘
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「ぐほぉ、ぐぼぉ……ぐぼぼぼっ!」
「回復薬です。男は敗北を重ねて、強くなるそうです」
恋する男同士の決闘はウェインが勝利した。歳もレベルも下の子供にやることじゃない。
カノンは父親の格言を教えると、敗者の口に回復薬の小瓶を乱暴に突っ込んだ。
可愛い子ならここにいる。
「ウェインさん、ルリはフローラ姉様の使用人です。貰えるのは七色の髪を持つベアトリスです」
「がぁーん‼︎ うそぉ……それってルセフにやられて、腰抜かしてた子じゃん!」
「はい、大工仕事が得意です。新居を建ててもらえますよ」
回復薬を飲ませ終わると、傷だらけの勝者に悲しい報告をしてあげた。
ショックを受けているけど、告白してもフラれるだけだ。傷は浅い方が治りは早い。
二人を放置するとカノンは魔物図鑑を開いて、ルセフ達の元に向かった。
二人が戦っていたヘルハウンドは、喧嘩中に倒されている。
「この際だから全滅させてみませんか? 魔物から廃都を取り戻せれば、お金になると思いますよ?」
凶悪な火竜は二匹倒した。ヘルハウンドを倒せば廃都を取り戻せる。
そしたら、魔物とお金稼ぎ勝負の両方で、ミランダに勝てる可能性がある。
もちろん新たな火竜が現れたら、倒す必要はある。
「うーん、カノンお嬢様にしては、悪くない考えだと思いますが……」
話を聞いたナンシーは困っている。ルセフが勝つ為なら悪い話じゃない。
だけど、使用人が屋敷のお嬢様を裏切れるわけがない。
それに勝負の邪魔をすることも出来ない。自分にはどうすることも出来ない。
「無理だな。街の復興には莫大な金がかかる。すぐに買い手が見つかるとは思えない。それに街を管理していた貴族や、街に住んでいた子孫もいるはずだ。他人の物は売れない。ついでに頼まれたわけじゃないから、お礼も期待できない」
「なるほど。そうかもしれません。とりあえずお母様にお願いして調べてもらいます」
ナンシーは困っていたが、ルセフが金にならないと否定した。
廃都には誰もいないけど、誰かの物だ。落ちている財布は、拾った人の物ではない。
持ち主に盗んだのがバレたら怒られる。
♢
「では、お楽しみのドラゴンとの決闘ですが……まだ最高の状態に仕上がってないです。野良犬を全滅させて来るので、その後にしましょう」
廃都を取り戻す話が終わって、残りは火竜との決闘だけになった。
カノンは最強火竜との決闘をさせたいから、野良犬はレベル上げの為に駆除される。
進化させて、伝説の実を食べさせれば、最強火竜が誕生する。
「駄目だ。今すぐに決闘させろ。俺を殺すつもりか」
だが、そんな化け物みたいな火竜とは誰も戦いたくない。
ルセフは倒せる火竜と戦いたい。
「えー、自分だけレベル上げて、武器強くなったのにズルいです。この子が可哀想じゃないんですか?」
「グガァァ!」
臆病者のルセフに、カノンは鳥籠を見せた。可哀想な小さな火竜が捕まっている。
可哀想だと思うなら、決闘させずに逃すのが優しさだ。
「思わねえよ。さっさと決闘させろ。こっちは不戦勝でもいいんだぞ」
「むー! 極悪非道です。仕方ありません。雄は敗北を重ねて、強くなります。頑張ってください!」
だが、決闘相手も血も涙もない極悪人だった。
カノンは諦めると、鳥籠を開けて、火竜の縮小化を解除した。
海上で斬り落とされた翼と尻尾は修復されている。
「グ、グガァァ~」
問題があるとしたら、精神的なショックが、かなり残っていることだ。
ルセフの赤い竜鱗の剣を見て、かなり怖がっている。
サメに斬り刻まれて、刃物恐怖症になっている。
「死んでも逃げたら駄目ですよぉー。逃げたら訓練所行きですよぉー」
「グ、グ、グガァァ!」
飼い主の恐ろしい声援が聞こえてきた。
訓練所が何なのか分からないが、逃げられないのは分かっている。
逃げたら戦う相手が、人からサメに変わる。あれはドラゴンが敵う相手じゃない。
火竜は勇気を出して吠えると、ルセフに突撃した。
「飛ばないとは舐められたもんだ!」
逃げると思われたくないから、飛ばないだけだ。
四本足で地上を走る火竜に向かって、ルセフも走った。
「オラッッ!」
「ぐごおおお!」
ドラゴンキラーでも剣は剣だ。相手に攻撃を当てないと効き目はない。
危険察知で攻撃を躱して、前足を竜殺しの剣で斬り裂いた。
更に体勢を崩した火竜の腹に剣を突き刺し、真横に斬り裂いていく。
カノンが時の杖を出して待機している。
助ける準備万端だが、今は助けてくれないらしい。
火竜の身体が次々に斬り刻まれていく。
「ぐ、ぐがあぁぁ……」
「フンッ。動きの鈍い火竜だ」
血を撒き散らしながら奮闘したが、火竜が地面に力尽きた。
胴体を一周回るように斬り裂かれて、尻尾の半分が斬り落とされた。
首を斬り落とさなくても、決着はついている。
「くっ、やっぱり負けました。弱いドラゴンは訓練所行きです!」
勝者が賞品を貰いに来る前に、カノンは時の杖で過去に逃げた。
本当の決闘はこれからだ。
「回復薬です。男は敗北を重ねて、強くなるそうです」
恋する男同士の決闘はウェインが勝利した。歳もレベルも下の子供にやることじゃない。
カノンは父親の格言を教えると、敗者の口に回復薬の小瓶を乱暴に突っ込んだ。
可愛い子ならここにいる。
「ウェインさん、ルリはフローラ姉様の使用人です。貰えるのは七色の髪を持つベアトリスです」
「がぁーん‼︎ うそぉ……それってルセフにやられて、腰抜かしてた子じゃん!」
「はい、大工仕事が得意です。新居を建ててもらえますよ」
回復薬を飲ませ終わると、傷だらけの勝者に悲しい報告をしてあげた。
ショックを受けているけど、告白してもフラれるだけだ。傷は浅い方が治りは早い。
二人を放置するとカノンは魔物図鑑を開いて、ルセフ達の元に向かった。
二人が戦っていたヘルハウンドは、喧嘩中に倒されている。
「この際だから全滅させてみませんか? 魔物から廃都を取り戻せれば、お金になると思いますよ?」
凶悪な火竜は二匹倒した。ヘルハウンドを倒せば廃都を取り戻せる。
そしたら、魔物とお金稼ぎ勝負の両方で、ミランダに勝てる可能性がある。
もちろん新たな火竜が現れたら、倒す必要はある。
「うーん、カノンお嬢様にしては、悪くない考えだと思いますが……」
話を聞いたナンシーは困っている。ルセフが勝つ為なら悪い話じゃない。
だけど、使用人が屋敷のお嬢様を裏切れるわけがない。
それに勝負の邪魔をすることも出来ない。自分にはどうすることも出来ない。
「無理だな。街の復興には莫大な金がかかる。すぐに買い手が見つかるとは思えない。それに街を管理していた貴族や、街に住んでいた子孫もいるはずだ。他人の物は売れない。ついでに頼まれたわけじゃないから、お礼も期待できない」
「なるほど。そうかもしれません。とりあえずお母様にお願いして調べてもらいます」
ナンシーは困っていたが、ルセフが金にならないと否定した。
廃都には誰もいないけど、誰かの物だ。落ちている財布は、拾った人の物ではない。
持ち主に盗んだのがバレたら怒られる。
♢
「では、お楽しみのドラゴンとの決闘ですが……まだ最高の状態に仕上がってないです。野良犬を全滅させて来るので、その後にしましょう」
廃都を取り戻す話が終わって、残りは火竜との決闘だけになった。
カノンは最強火竜との決闘をさせたいから、野良犬はレベル上げの為に駆除される。
進化させて、伝説の実を食べさせれば、最強火竜が誕生する。
「駄目だ。今すぐに決闘させろ。俺を殺すつもりか」
だが、そんな化け物みたいな火竜とは誰も戦いたくない。
ルセフは倒せる火竜と戦いたい。
「えー、自分だけレベル上げて、武器強くなったのにズルいです。この子が可哀想じゃないんですか?」
「グガァァ!」
臆病者のルセフに、カノンは鳥籠を見せた。可哀想な小さな火竜が捕まっている。
可哀想だと思うなら、決闘させずに逃すのが優しさだ。
「思わねえよ。さっさと決闘させろ。こっちは不戦勝でもいいんだぞ」
「むー! 極悪非道です。仕方ありません。雄は敗北を重ねて、強くなります。頑張ってください!」
だが、決闘相手も血も涙もない極悪人だった。
カノンは諦めると、鳥籠を開けて、火竜の縮小化を解除した。
海上で斬り落とされた翼と尻尾は修復されている。
「グ、グガァァ~」
問題があるとしたら、精神的なショックが、かなり残っていることだ。
ルセフの赤い竜鱗の剣を見て、かなり怖がっている。
サメに斬り刻まれて、刃物恐怖症になっている。
「死んでも逃げたら駄目ですよぉー。逃げたら訓練所行きですよぉー」
「グ、グ、グガァァ!」
飼い主の恐ろしい声援が聞こえてきた。
訓練所が何なのか分からないが、逃げられないのは分かっている。
逃げたら戦う相手が、人からサメに変わる。あれはドラゴンが敵う相手じゃない。
火竜は勇気を出して吠えると、ルセフに突撃した。
「飛ばないとは舐められたもんだ!」
逃げると思われたくないから、飛ばないだけだ。
四本足で地上を走る火竜に向かって、ルセフも走った。
「オラッッ!」
「ぐごおおお!」
ドラゴンキラーでも剣は剣だ。相手に攻撃を当てないと効き目はない。
危険察知で攻撃を躱して、前足を竜殺しの剣で斬り裂いた。
更に体勢を崩した火竜の腹に剣を突き刺し、真横に斬り裂いていく。
カノンが時の杖を出して待機している。
助ける準備万端だが、今は助けてくれないらしい。
火竜の身体が次々に斬り刻まれていく。
「ぐ、ぐがあぁぁ……」
「フンッ。動きの鈍い火竜だ」
血を撒き散らしながら奮闘したが、火竜が地面に力尽きた。
胴体を一周回るように斬り裂かれて、尻尾の半分が斬り落とされた。
首を斬り落とさなくても、決着はついている。
「くっ、やっぱり負けました。弱いドラゴンは訓練所行きです!」
勝者が賞品を貰いに来る前に、カノンは時の杖で過去に逃げた。
本当の決闘はこれからだ。
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