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第一章・不死鳥契約編
第1話 滅亡寸前の草だけ村
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むか~し、むか~し、ある所に『草だけ村』という名前の、恐ろしくド貧乏で家も服も食事も草だけという、家畜のような見窄らしい人間達が暮らす、いや、放牧されている村があった。
人口三百人、いや、三百匹程のその家畜村は、今滅亡の危機に瀕している。
疫病が発生してしまったのだ。
当然、薬もなく、金も無い、そんな家畜達には明日を夢見る事は出来ない。
隣村に助けを求めに行こうとしても無駄だ。
隣村も疫病にかかっている。
そして、隣村までの道には魔物と呼ばれる凶暴な生物が多数生息している。
通行料は家畜達のちっぽけな命だ。
「助けてくれぇ~! 助けてくれぇ~!」
家畜達は病で苦しみながらも、残された日々を山から流れて来る雪解け水と、家の壁から毟り取った細長い茶色い草を食べて暮らしていた。
そんな絶望的な状況の中でも、工事現場の三角形コーンのような形の草の家の中では、助かる方法を生き残り達が無い知恵で必死に考えていた。
三人の五十代の男達が薄い岩皿の上に乗せられた草を食べながら、真剣に生き残る方法を話し合っている。
「グラハム、村長として決断しろ。このまま村に残って全員死ぬか、動ける者だけで村を捨てるか」
短い黒髪黒髭の半袖半ズボンの草の服を着た男が、短い茶髪茶髭の男に怒っている。
「……二日だけ待ってくれないか。私が戻らなかったら、オマリ……お前に新しい村長を頼みたい」
その男に対して、怒られている男は重苦しい表情と鎮痛な声で答えた。
怒られている男は草だけ村の村長でグラハムという。
このオマリとは、同じに村に生まれて五十年以上の長い付き合いになる。
「二日だと? 隣村まで何日かかると思っているんだ。片道だけでも三日はかかるんだぞ!」
「待て待て、怒るだけ腹が空く。グラハムには何か考えがあるんだ。そうなんだろ?」
伸ばしっぱなしの長い黒髪に黒髭モジャモジャの男が二人の仲裁をした。
二人の長年の友人であるパウルだ。
「あぁ、そうだ。これから神山に登る。助かるには『神鳥フェニックス』様に頼るしかない」
「「何だって⁉︎」」とグラハムの言葉に、オマリとパウルは同時に驚いた。
神山とは村に雪解け水を供給してくれる標高17698メートルのとんでもなく高い山のことだ。
神山の名前は『パンドラ』と呼ばれ、たった2日、しかも、草の服を着て登れる山ではない。
山には凶暴な魔物の中でも、さらに凶暴な魔物が多数生息していて、山の上の方は一年中吹雪が吹き荒れる過酷な環境だ。
家畜どころか、魔物さえもその頂上に辿り着くことは不可能だ。
そんな場所に村長グラハムは登ろうと言っている。
死にかけた身体と頭で必死に考えた答えが、ただの希望的な自殺だった。
「馬鹿か! それなら、隣村の隣村の隣村の隣村の隣村の隣町を目指した方がまだマシだ!」
馬鹿げた考えにオマリは激怒した。
そして、草だけ村は辺境の中の辺境の村なので、町までの道がかなり遠い。
「もう決めたんだ。俺が帰らなかったら、村を頼むぞ」
村長グラハムの決意は変わらないようだ。
草の服の上に草の服を六枚も重ね着すると村から出発した。
人口三百人、いや、三百匹程のその家畜村は、今滅亡の危機に瀕している。
疫病が発生してしまったのだ。
当然、薬もなく、金も無い、そんな家畜達には明日を夢見る事は出来ない。
隣村に助けを求めに行こうとしても無駄だ。
隣村も疫病にかかっている。
そして、隣村までの道には魔物と呼ばれる凶暴な生物が多数生息している。
通行料は家畜達のちっぽけな命だ。
「助けてくれぇ~! 助けてくれぇ~!」
家畜達は病で苦しみながらも、残された日々を山から流れて来る雪解け水と、家の壁から毟り取った細長い茶色い草を食べて暮らしていた。
そんな絶望的な状況の中でも、工事現場の三角形コーンのような形の草の家の中では、助かる方法を生き残り達が無い知恵で必死に考えていた。
三人の五十代の男達が薄い岩皿の上に乗せられた草を食べながら、真剣に生き残る方法を話し合っている。
「グラハム、村長として決断しろ。このまま村に残って全員死ぬか、動ける者だけで村を捨てるか」
短い黒髪黒髭の半袖半ズボンの草の服を着た男が、短い茶髪茶髭の男に怒っている。
「……二日だけ待ってくれないか。私が戻らなかったら、オマリ……お前に新しい村長を頼みたい」
その男に対して、怒られている男は重苦しい表情と鎮痛な声で答えた。
怒られている男は草だけ村の村長でグラハムという。
このオマリとは、同じに村に生まれて五十年以上の長い付き合いになる。
「二日だと? 隣村まで何日かかると思っているんだ。片道だけでも三日はかかるんだぞ!」
「待て待て、怒るだけ腹が空く。グラハムには何か考えがあるんだ。そうなんだろ?」
伸ばしっぱなしの長い黒髪に黒髭モジャモジャの男が二人の仲裁をした。
二人の長年の友人であるパウルだ。
「あぁ、そうだ。これから神山に登る。助かるには『神鳥フェニックス』様に頼るしかない」
「「何だって⁉︎」」とグラハムの言葉に、オマリとパウルは同時に驚いた。
神山とは村に雪解け水を供給してくれる標高17698メートルのとんでもなく高い山のことだ。
神山の名前は『パンドラ』と呼ばれ、たった2日、しかも、草の服を着て登れる山ではない。
山には凶暴な魔物の中でも、さらに凶暴な魔物が多数生息していて、山の上の方は一年中吹雪が吹き荒れる過酷な環境だ。
家畜どころか、魔物さえもその頂上に辿り着くことは不可能だ。
そんな場所に村長グラハムは登ろうと言っている。
死にかけた身体と頭で必死に考えた答えが、ただの希望的な自殺だった。
「馬鹿か! それなら、隣村の隣村の隣村の隣村の隣村の隣町を目指した方がまだマシだ!」
馬鹿げた考えにオマリは激怒した。
そして、草だけ村は辺境の中の辺境の村なので、町までの道がかなり遠い。
「もう決めたんだ。俺が帰らなかったら、村を頼むぞ」
村長グラハムの決意は変わらないようだ。
草の服の上に草の服を六枚も重ね着すると村から出発した。
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