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第1章
第3話②インサイティング・イベント
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『”####〟』
「”アンチパラライ〟‼︎」
ロードが持つ杖の透明なダイヤが黄色に光った。状態異常【麻痺】だ。
妹との距離、発射される麻痺光線の速度を計算して、麻痺解除の魔法を唱えた。
「おりゃー!」
『グガアッ……!』
麻痺と麻痺解除、二つの魔法を受けた妹が大剣をオールドロードの腹に斜めに振り下ろした。
麻痺が相殺されて見事に直撃した。
だけど、大きく怯んだだけで真っ二つになってない。
ボスの体力はダンジョンに大量に現れる通常モンスターとは桁違いだ。
一撃、二撃で倒せる相手じゃない。
「死ねえ!」
それでも確実に妹がダメージを与え続けている。
今のところロードが使う状態異常は【睡眠】【毒】【麻痺】の三種類だ。
俺が使える魔法は【ヒール】と【睡眠・毒・麻痺】の状態異常解除の四種類だ。
幸か不幸かロードとの相性は良い。倒せる可能性はかなり高い。
でも、かなりヤバイ不安要素が一つだけある。
俺が状態異常魔法を受けると形勢が逆転する。
ロードの状態異常魔法は速射タイプの魔法だ。躱すのが難しい魔法だ。
ついでに睡眠や麻痺を受けると、一瞬意識が飛んでしまう。
睡眠の場合は解除魔法を使う前に倒れてしまう。
そうなると脳筋妹とロードの一騎討ちになる。
その先は言わなくても分かる。
睡眠状態に毒と麻痺を追加されて、寝ている間に体力が削られていき、そのまま死ぬ。
痛みを感じない安らかな死だ。けれども死は死だ。死ぬのは嫌だ。
だからこそ、俺はロードの攻撃を喰らってはいけない。
光線が当たらないように離れた位置で、存在感ゼロでいなくてはならない。
だが、ロードもその弱点に気付いたようだ。
杖を高く上げて、俺を狙って水色の睡眠光線を撃ってきた。
『”####〟』
「うわあああ!」
当たったら死だ。死に物狂いに左に跳んで回避した。
このまま全力で回避に専念したい。だが、
「何逃げてんのよ! 解除魔法、自分にかければいいでしょうが!」
妹の叱責が光線以上の速さで飛んできた。
言っている事は正しいが、ジャストに失敗したら寝てしまう。
避けられる光線は避けた方が安全だ。それは分かっている。
分かっているが……
世の中には絶対に逆らってはいけない人間がいる。
その一人が俺の妹だ。避け続けて後で殺されるか、避けずに失敗して死ぬか。
どちらを選んでも死は避けられない運命だ。ならば、やるしかない。
やるんだ、俺。
「ごくり……」
妹優先で自分自身にジャストを使うのは慣れてない。
杖を胸の高さに水平に構えて、オールドロードの攻撃に備えた。
俺とロードの距離は中距離だが、まるで至近距離でお互いの剣と剣を向け合っているみたいだ。
お互いが相手の動きに細心の注意を払っている。緊張感で神経が焼き切れそうだ。
『”####〟』
先に動いたのはロードだった。俺が受け身だから当然と言えば当然だ。
「”アンチスリープ〟‼︎」
水色の光線が当たる前の僅かな瞬間、剣の突きを剣で弾き返すイメージで魔法を唱えた。
身体が水色の光に包まれるとほぼ同時に、睡眠光線が身体に直撃した。
「うっ……!」
一瞬意識が飛びかけたが、瞬きほどの時間ですぐに元に戻った。
成功した。この程度なら全然問題ない。いくらでも撃ってこいだ。
全部解除で相殺してやる。
『”####〟』
「”アンチスリープ〟」
コツを掴めば、あとはジャストヒールのタイミングと同じだ。
俺を眠らせようと、ロードが睡眠光線を何度も撃ってくるが全て相殺していく。
「さっさとくたばれ!」
『グガアッ……!』
そして、その隙に妹の大剣がロードを容赦なく斬り刻んでいく。
いつもの必勝パターンだ。どうやら相性以前に俺はロードの天敵だったらしい。
まさか状態異常を無効化する、俺みたいな天才が現れるとは思ってなかったのだろう。
まあ、無理もない。俺もここまで活躍できるとは思ってなかった。
ありがとう、お前のお陰で生きて家に帰れそうだ。
今にも死にそうなボスにお礼を言うと、ロードが持つ杖のダイヤがひび割れた。
死にそうなじゃなくて、本当に死ぬようだ。
それでも最後の足掻きか、ダイヤが今まで以上の濃い水色の輝きを放っている。
この全身全霊の一撃を相殺すれば、妹のトドメの一撃が決まる。
長い戦いだったが、勝利は目前だ。
『”#######〟』
水色の光線が発射されると、ダイヤが砕け散った。光線の向かう先は妹だ。
今までのどの光線よりも速いが、それだけなら問題ない。
「”アンチスリープ〟‼︎」
光線が妹の頭部に直撃する前に解除魔法を唱えた。
タイミングはジャストだ。今まで通りなら相殺される。
「うっ……くぅ……ぁぁ……」
「えっ……?」
それなのに光線が妹を貫通していった。間違いなくジャストタイミングだった。
大剣を振り下ろす体勢で、妹が地面に向かって倒れていく。
そして、本当に地面に倒れてしまった。
「”アンチパラライ〟‼︎」
ロードが持つ杖の透明なダイヤが黄色に光った。状態異常【麻痺】だ。
妹との距離、発射される麻痺光線の速度を計算して、麻痺解除の魔法を唱えた。
「おりゃー!」
『グガアッ……!』
麻痺と麻痺解除、二つの魔法を受けた妹が大剣をオールドロードの腹に斜めに振り下ろした。
麻痺が相殺されて見事に直撃した。
だけど、大きく怯んだだけで真っ二つになってない。
ボスの体力はダンジョンに大量に現れる通常モンスターとは桁違いだ。
一撃、二撃で倒せる相手じゃない。
「死ねえ!」
それでも確実に妹がダメージを与え続けている。
今のところロードが使う状態異常は【睡眠】【毒】【麻痺】の三種類だ。
俺が使える魔法は【ヒール】と【睡眠・毒・麻痺】の状態異常解除の四種類だ。
幸か不幸かロードとの相性は良い。倒せる可能性はかなり高い。
でも、かなりヤバイ不安要素が一つだけある。
俺が状態異常魔法を受けると形勢が逆転する。
ロードの状態異常魔法は速射タイプの魔法だ。躱すのが難しい魔法だ。
ついでに睡眠や麻痺を受けると、一瞬意識が飛んでしまう。
睡眠の場合は解除魔法を使う前に倒れてしまう。
そうなると脳筋妹とロードの一騎討ちになる。
その先は言わなくても分かる。
睡眠状態に毒と麻痺を追加されて、寝ている間に体力が削られていき、そのまま死ぬ。
痛みを感じない安らかな死だ。けれども死は死だ。死ぬのは嫌だ。
だからこそ、俺はロードの攻撃を喰らってはいけない。
光線が当たらないように離れた位置で、存在感ゼロでいなくてはならない。
だが、ロードもその弱点に気付いたようだ。
杖を高く上げて、俺を狙って水色の睡眠光線を撃ってきた。
『”####〟』
「うわあああ!」
当たったら死だ。死に物狂いに左に跳んで回避した。
このまま全力で回避に専念したい。だが、
「何逃げてんのよ! 解除魔法、自分にかければいいでしょうが!」
妹の叱責が光線以上の速さで飛んできた。
言っている事は正しいが、ジャストに失敗したら寝てしまう。
避けられる光線は避けた方が安全だ。それは分かっている。
分かっているが……
世の中には絶対に逆らってはいけない人間がいる。
その一人が俺の妹だ。避け続けて後で殺されるか、避けずに失敗して死ぬか。
どちらを選んでも死は避けられない運命だ。ならば、やるしかない。
やるんだ、俺。
「ごくり……」
妹優先で自分自身にジャストを使うのは慣れてない。
杖を胸の高さに水平に構えて、オールドロードの攻撃に備えた。
俺とロードの距離は中距離だが、まるで至近距離でお互いの剣と剣を向け合っているみたいだ。
お互いが相手の動きに細心の注意を払っている。緊張感で神経が焼き切れそうだ。
『”####〟』
先に動いたのはロードだった。俺が受け身だから当然と言えば当然だ。
「”アンチスリープ〟‼︎」
水色の光線が当たる前の僅かな瞬間、剣の突きを剣で弾き返すイメージで魔法を唱えた。
身体が水色の光に包まれるとほぼ同時に、睡眠光線が身体に直撃した。
「うっ……!」
一瞬意識が飛びかけたが、瞬きほどの時間ですぐに元に戻った。
成功した。この程度なら全然問題ない。いくらでも撃ってこいだ。
全部解除で相殺してやる。
『”####〟』
「”アンチスリープ〟」
コツを掴めば、あとはジャストヒールのタイミングと同じだ。
俺を眠らせようと、ロードが睡眠光線を何度も撃ってくるが全て相殺していく。
「さっさとくたばれ!」
『グガアッ……!』
そして、その隙に妹の大剣がロードを容赦なく斬り刻んでいく。
いつもの必勝パターンだ。どうやら相性以前に俺はロードの天敵だったらしい。
まさか状態異常を無効化する、俺みたいな天才が現れるとは思ってなかったのだろう。
まあ、無理もない。俺もここまで活躍できるとは思ってなかった。
ありがとう、お前のお陰で生きて家に帰れそうだ。
今にも死にそうなボスにお礼を言うと、ロードが持つ杖のダイヤがひび割れた。
死にそうなじゃなくて、本当に死ぬようだ。
それでも最後の足掻きか、ダイヤが今まで以上の濃い水色の輝きを放っている。
この全身全霊の一撃を相殺すれば、妹のトドメの一撃が決まる。
長い戦いだったが、勝利は目前だ。
『”#######〟』
水色の光線が発射されると、ダイヤが砕け散った。光線の向かう先は妹だ。
今までのどの光線よりも速いが、それだけなら問題ない。
「”アンチスリープ〟‼︎」
光線が妹の頭部に直撃する前に解除魔法を唱えた。
タイミングはジャストだ。今まで通りなら相殺される。
「うっ……くぅ……ぁぁ……」
「えっ……?」
それなのに光線が妹を貫通していった。間違いなくジャストタイミングだった。
大剣を振り下ろす体勢で、妹が地面に向かって倒れていく。
そして、本当に地面に倒れてしまった。
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