【R18】暴力戦士妹LV68がダンジョンボスの死に際の攻撃で永遠に目覚めない呪いをかけられた。僧侶兄LV23はこのチャンスに♡♡♡する

もう書かないって言ったよね?

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第1章

第4話③キー・イベント

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『グゥハハハハハ!』

 ロードの笑い声が聞こえてきた。
 妹が倒れるのを見届けて満足したのか、その身体が塵になって消えていく。
 そして、その身体が全て消え去るまで笑い声は止まらなかった。

「くそぉ、最後にミスった! ブッ殺される!」

 ヤバイ、ヤバ過ぎる。こっちは全然笑えない。睡眠解除で起きた妹にブン殴られる。
 LV68の腕力で殴られたら、余裕で顎が砕かれる。でも、起こさないと帰れない。
 最悪の展開だ。

 仕方ない。殴られる瞬間にジャストヒールだ。それで多少はダメージを減らせる。
 流石に俺を殺したら、妹もダンジョンから帰れなくなる。
 脳筋だが、そこまで馬鹿じゃないと信じよう。

「”アンチスリープ〟」

 妹の近くまで移動すると、睡眠解除の魔法を唱えた。
 すると、水色の光に妹の身体が包まれた。だけど、それだけだった。
 水色の光が透明にならずに、水色のままで弾け飛んだ。

「なっ! 【レジスト抵抗】された⁉︎」

 俺の睡眠解除魔法が効かずに消えてしまった。レジストだ。
 自分よりも格上がかけた強力な状態異常魔法を解除しようとすると、一回では解除できない場合がある。
 それがレジストだ。その場合は解除できるまで何度も解除魔法を唱える必要がある。

「くぅぅぅ! さっきまでは通用していたのに!」

 死に際の魔法だから強力なのかもしれない。
 悔しいが最後の最後に同位ではなく、上位の魔法を撃つ事に成功したようだ。
 それならジャストで解除しても、どうやっても眠らされていた。
 つまり俺の所為じゃない。

 だけど、「低レベル雑魚のあんたの所為よ!」と間違いなく妹には言われる。
 まあ、その通りと言えばその通りだ。

「”アンチスリープ〟」

 怒られるのは怖いが、とにかく妹を起こすしかない。
 地面に落ちているひび割れたダイヤを見れば、怒りも多少は落ち着くはずだ。
 未発見レアボスのドロップアイテムなら、【研究所】が高く買取ってくれる。

「”アンチスリープ〟……おかしいなぁ? 何で起きないんだ?」

 10回で起きなかったから、20回も睡眠解除の魔法を唱えた。
 それなのに解除魔法がことごとくレジストされている。
 いくら上位のスリープだとしても、基本職の解除魔法だとしても、ここまでやって起きないのは変だ。
 何度も唱えれば、レジストされようが少しずつ魔法の効力を削れる。

「死んでるとか?」

 流石にそれはないと思いつつも、もしかすると倒れた時に頭の打ちどころが悪かったのかもしれない。
 うつ伏せに倒れている妹を仰向けに起こそうと、
「ぐぐぐっ! クソ重えええ!」
 両手でひっくり返そうと奮闘するが、これは地面だ。
 俺は地面をひっくり返そうとしている。

「よっと!」

 もちろん冗談だ。鎧の重さを加えても100キロ程度ならひっくり返せる。
 日頃の恨みの細やかなお返しだ。起きている時にやったら殺される。

「どれどれ……」

 内側の髪を引っ掛けないように、慎重に慎重に頭から兜を外していく。
 兜が頭を完全に覆い隠しているから、目も鼻も口も見えない。

「すぅ……すぅ……」

 兜を外すと妹の顔に耳を近づけた。寝息が聞こえる。
 間違いない。完全に寝ている。起きてたら殴られる近さだ。
「おら、さっさと起きろよ!」と殴り起こせるならやりたいが、まだ死にたくない。
 それは最終手段だ。こんな時はアイテムを使って状態確認するのが賢明な判断だ。

 アイテム鞄に手を入れると、あるアイテムを探した。
 すぐに手に何がか触れた感触が伝わってきた。それを握ると鞄から取り出した。

「あったあった! これこれ!」

 鞄から細く切られた白い紙束を取り出した。【状態異常試験紙】だ。
 これを身体に貼ると、変化した色でかかっている状態異常を知る事が出来る。
 妹の額に一枚貼ると、色が変化するのを待った。20秒程で白い紙の色が変化を始めた。
 紙の右端と左端が黒色と青色に変わり始めた。どちらの色も紙の真ん中の方に進んでいく。

「えっと……」

 黒色と青色だ。試験紙の説明書を鞄から取り出して、確認してみた。
 黒色は【カース呪い】で、青色は【スリープ睡眠】みたいだ。
 呪いは上位職の僧侶なら解除できるが、俺にはとても出来ない。
 つまり妹を街まで連れて行くか、上位職の僧侶を連れて来るしかない。

「……やべぇ、終わった」

 考える必要もなかった。どちらも俺には不可能だ。
 大剣を突き刺しても、今の妹は起きないだろう。呪いはそれだけ強力な魔法だ。
 だからこそ何かしらの犠牲を払わないと呪いは使えない。
 杖を犠牲にしたのか、自分の命を犠牲にしたのか……
 どっちか分からないが、分かる事が一つだけある。
 俺と妹の人生はここで終わりだ。

「く、くそおおおお! コイツの所為で死ぬのかよ! マジ最悪だよ!」

 まだ20歳だ。まだまだやりたい事がたくさんあったのに、妹の所為で全て終わりだ。
 俺の人生が奪われた。奪われてしまった。
 これからの人生も今までの人生も全部全部だ。全部、妹の所為だ。

「すぅ……すぅ……」
「暢気に寝やがって!」

 こっちは最悪の気分なのに、最後の瞬間まで幸せそうに寝てやがる。

「すぅ……すぅ……」
「ご、ごくり……!」

 やっぱり可愛い。乱暴でムカツク妹だが、女としてはかなり可愛い。
 もう助からないなら、俺も最後は幸せな気分で終わりたい。

 今まで俺が守ってきた身体なんだ。
 人生卒業する前に妹で童貞卒業する権利ぐらいはある。
 よし、やってやる。やってやるぞ。男になるんだ。

「おーい、起きろー」

 念の為、念の為だ。
 途中で起きたら死んだ方がマシだったと思うぐらいの酷い目に確実に遭う。
 妹の頬を軽く手の平で四回叩いて確認した。

「すぅ……すぅ……」
「よし、大丈夫だ」

 恐怖と興奮で全力疾走中の心臓を鋼の理性で何とか抑え込み、60秒数えた。
 妹は静かな寝息を立て続けるだけで、何の変化も見えない。
 間違いなく寝ている。これなら何をやっても気付かれない。
 気付かれないなら何をやっても許される。
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