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第1章
第11話⑤ピンチポイント①
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「頭を上げてください。もちろんお引き受けします。カイルとシズクも構わないよな?」
「わざわざ聞くなよ。恥ずかしいな。当たり前だろ。出口まででいいんですか? 近くの町まで送りますよ」
なんて良い奴らなんだ。
頭下げるだけで命助けてくれるなら、何度だって下げられる。
「いや、ダンジョンの外まででいいんだ。そこまで行けば、あとは何とかなるから」
青髪の親切カイルの提案は断った。
隠した馬車の中でゆっくり妹を楽しみたいからだ。
その代わりに、「お礼と言ってはなんだが、ボス戦の協力をさせてくれないか」と三人に提案した。
お礼とは言ったものの、コイツらがボスにやられてしまったら俺が帰れなくなる。
出来ればボス戦なしで帰ってもらいたいが、流石にそれは難しい提案だ。
「本当ですか⁉︎ それは助かります! 俺は【騎士LV45】で、こっちのナイジェルは【魔法剣士LV44】です。そこのシズクは【魔法使いLV47】です」
俺の提案にヤンチャな黒髪カイルが大喜びしている。
一般的なA級ダンジョンの推奨攻略LVは50だ。
三人ともちょっと足りないが、この程度ならほぼ確実に攻略できる。
これならボスさえ倒せば、安心して帰られる。
「ほぉー、それは凄いな。俺は【僧侶LV23】だ」
「ハッハハ! そんなわけないでしょ! 本当は何なんですか? 重戦士LV88ですか?」
「……」
本当の事を言ったのに、もう一度言ってくれと爆笑しながら頼まれた。
だったら何度だって言ってやる。
「LV23の僧侶だ。それ以上でもそれ以下でもない。さあ、休憩はもういいだろ? さっさとボス倒そうぜ」
「はい! よし、燃えてきたぜ!」
今度はカッコつけて言ってみた。キメ顔で扉を親指で指した。
もうこれ絶対にLV23の奴の台詞と態度じゃない。大僧侶LV70ぐらいだ。
ボス部屋の扉を一旦閉めると、再び開いて中に入った。
すると、部屋の中央に魔法陣が出現した。ボス登場だ。
ボスは一度倒すと、再出現するまで一日待たないといけない。
ちなみにボス部屋の中に一日いるだけで現れるわけではない。
もしも現れるなら、俺はボスと何度も戦っている。
ボス出現のもう一つの条件は、部屋の外に出て扉を閉める事だ。
『シャッアアア!』
魔法陣から現れたのは、赤い大トカゲ【ヘビーリザード】だった。
その辺の道にいる小さなトカゲを百倍にした感じのデカイだけのトカゲだ。
「ヘビーリザードだ! 俺が引き受けるから、二人は魔法を頼む!」
「ああ、分かった! ”アイスニードル”!」
「足止めは任せて! ”サンダーランス”」
『シャギアアア……‼︎』
やあ、久し振り。久し振りの一人語りだ。
丸々太った赤い大トカゲとの戦闘が始まった。
氷の雨が降り、極大の雷が落ちている。凄い異常気象だ。
だけど、僧侶の出番は負傷者が出た時だけだ。
その時までは暇なので、こうやってのんびり見学出来る。
もちろん、ただボッーと見ているだけでは怒られる。
当然、何かやっている風に見えるように動かないといけない。
杖先をボスに向けたり、ボスが動いたら、俺も一緒に動く。
これで俺も戦っている仲間だ。
『シャアアア!』
「くそぉ!」
おっと、あれは当たるな。ヘビーリザードの尻尾突きだ。
正面を向いたままで、尻尾だけを器用に曲げて前に突き出してきた。
騎士のカイルは剣と盾で武装しているが、真っ直ぐ飛んでくる尻尾に盾を構えた。
反応は出来たが避けれない証拠だ。杖先をカイルに向けると唱えた。
「”ジャスティス”」
ただのジャストヒールをカッコつけて発動してみた。
緑色の光がカイルを包み込むと、ちょうど尻尾の先端が盾に直撃した。
「ぐふっ! ……えっ? 痛くない?」
足腰の強い脳筋妹と違い、ちょっと吹き飛ばされている。
だけど、ノーダメージ成功みたいだ。
「カイル、盾は必要ない。ボスの攻撃は全て俺が回復する。何も考えずに攻撃に集中するんだ」
「は、はい! 助かります!」
そんな【ドラゴン】の成り損ないみたいなボスに、時間なんてかけてる場合じゃない。
俺にはやる事がある。早くダンジョンから出て、妹とやりたい。
カイルに早く倒してくれとお願いした。
「”エアカッター”!」
「”ロックナックル”!」
『ギャアアアアス……‼︎』
よし、あっちは順調だ。
魔法剣士のナイジェルの魔法は乱れ撃ち型、魔法使いのシズクの魔法は強力な単発型だ。
雨と落雷みたいな連携攻撃で、ヘビーリザードを容赦なく痛め続けている。
『グォオオオン!』
「おい! そっち行ったぞ!」
もちろん、そんな強力な攻撃役二人を見逃すボスはいない。
カイルを無視して、ヘビーリザードが二人に突撃した。
当然、俺がそれを黙って見ているわけない。
こっちは普段から妹とその仲間二人を合わせた三人を回復している。
二人ぐらいなら同時に回復させられる。
「”ダブルジャスティス”」
杖を水平に構えて、二人に向かって唱えた。
吹き飛ばされる寸前の二人の身体が、緑色の光りに包まれた。
「きゃあ!」
「ぐっ!」
やっぱり足腰が弱い連中だ。
ヘビーリザードの体当たりに数メートル飛ばされて転んでいる。
「あれ? 痛くない」
「俺もだ。あの人、絶対にLV23の僧侶じゃない。重聖騎士LV75ぐらいだ」
飛ばされた二人が驚きつつも平気そうに立ち上がった。
残念ながら俺のLVは23だ。ヒールの使い過ぎで熟練度が高いだけだ。
驚く暇があるなら、早く倒そうぜ。妹ダンジョンが俺の帰りを待っているんだ。
「わざわざ聞くなよ。恥ずかしいな。当たり前だろ。出口まででいいんですか? 近くの町まで送りますよ」
なんて良い奴らなんだ。
頭下げるだけで命助けてくれるなら、何度だって下げられる。
「いや、ダンジョンの外まででいいんだ。そこまで行けば、あとは何とかなるから」
青髪の親切カイルの提案は断った。
隠した馬車の中でゆっくり妹を楽しみたいからだ。
その代わりに、「お礼と言ってはなんだが、ボス戦の協力をさせてくれないか」と三人に提案した。
お礼とは言ったものの、コイツらがボスにやられてしまったら俺が帰れなくなる。
出来ればボス戦なしで帰ってもらいたいが、流石にそれは難しい提案だ。
「本当ですか⁉︎ それは助かります! 俺は【騎士LV45】で、こっちのナイジェルは【魔法剣士LV44】です。そこのシズクは【魔法使いLV47】です」
俺の提案にヤンチャな黒髪カイルが大喜びしている。
一般的なA級ダンジョンの推奨攻略LVは50だ。
三人ともちょっと足りないが、この程度ならほぼ確実に攻略できる。
これならボスさえ倒せば、安心して帰られる。
「ほぉー、それは凄いな。俺は【僧侶LV23】だ」
「ハッハハ! そんなわけないでしょ! 本当は何なんですか? 重戦士LV88ですか?」
「……」
本当の事を言ったのに、もう一度言ってくれと爆笑しながら頼まれた。
だったら何度だって言ってやる。
「LV23の僧侶だ。それ以上でもそれ以下でもない。さあ、休憩はもういいだろ? さっさとボス倒そうぜ」
「はい! よし、燃えてきたぜ!」
今度はカッコつけて言ってみた。キメ顔で扉を親指で指した。
もうこれ絶対にLV23の奴の台詞と態度じゃない。大僧侶LV70ぐらいだ。
ボス部屋の扉を一旦閉めると、再び開いて中に入った。
すると、部屋の中央に魔法陣が出現した。ボス登場だ。
ボスは一度倒すと、再出現するまで一日待たないといけない。
ちなみにボス部屋の中に一日いるだけで現れるわけではない。
もしも現れるなら、俺はボスと何度も戦っている。
ボス出現のもう一つの条件は、部屋の外に出て扉を閉める事だ。
『シャッアアア!』
魔法陣から現れたのは、赤い大トカゲ【ヘビーリザード】だった。
その辺の道にいる小さなトカゲを百倍にした感じのデカイだけのトカゲだ。
「ヘビーリザードだ! 俺が引き受けるから、二人は魔法を頼む!」
「ああ、分かった! ”アイスニードル”!」
「足止めは任せて! ”サンダーランス”」
『シャギアアア……‼︎』
やあ、久し振り。久し振りの一人語りだ。
丸々太った赤い大トカゲとの戦闘が始まった。
氷の雨が降り、極大の雷が落ちている。凄い異常気象だ。
だけど、僧侶の出番は負傷者が出た時だけだ。
その時までは暇なので、こうやってのんびり見学出来る。
もちろん、ただボッーと見ているだけでは怒られる。
当然、何かやっている風に見えるように動かないといけない。
杖先をボスに向けたり、ボスが動いたら、俺も一緒に動く。
これで俺も戦っている仲間だ。
『シャアアア!』
「くそぉ!」
おっと、あれは当たるな。ヘビーリザードの尻尾突きだ。
正面を向いたままで、尻尾だけを器用に曲げて前に突き出してきた。
騎士のカイルは剣と盾で武装しているが、真っ直ぐ飛んでくる尻尾に盾を構えた。
反応は出来たが避けれない証拠だ。杖先をカイルに向けると唱えた。
「”ジャスティス”」
ただのジャストヒールをカッコつけて発動してみた。
緑色の光がカイルを包み込むと、ちょうど尻尾の先端が盾に直撃した。
「ぐふっ! ……えっ? 痛くない?」
足腰の強い脳筋妹と違い、ちょっと吹き飛ばされている。
だけど、ノーダメージ成功みたいだ。
「カイル、盾は必要ない。ボスの攻撃は全て俺が回復する。何も考えずに攻撃に集中するんだ」
「は、はい! 助かります!」
そんな【ドラゴン】の成り損ないみたいなボスに、時間なんてかけてる場合じゃない。
俺にはやる事がある。早くダンジョンから出て、妹とやりたい。
カイルに早く倒してくれとお願いした。
「”エアカッター”!」
「”ロックナックル”!」
『ギャアアアアス……‼︎』
よし、あっちは順調だ。
魔法剣士のナイジェルの魔法は乱れ撃ち型、魔法使いのシズクの魔法は強力な単発型だ。
雨と落雷みたいな連携攻撃で、ヘビーリザードを容赦なく痛め続けている。
『グォオオオン!』
「おい! そっち行ったぞ!」
もちろん、そんな強力な攻撃役二人を見逃すボスはいない。
カイルを無視して、ヘビーリザードが二人に突撃した。
当然、俺がそれを黙って見ているわけない。
こっちは普段から妹とその仲間二人を合わせた三人を回復している。
二人ぐらいなら同時に回復させられる。
「”ダブルジャスティス”」
杖を水平に構えて、二人に向かって唱えた。
吹き飛ばされる寸前の二人の身体が、緑色の光りに包まれた。
「きゃあ!」
「ぐっ!」
やっぱり足腰が弱い連中だ。
ヘビーリザードの体当たりに数メートル飛ばされて転んでいる。
「あれ? 痛くない」
「俺もだ。あの人、絶対にLV23の僧侶じゃない。重聖騎士LV75ぐらいだ」
飛ばされた二人が驚きつつも平気そうに立ち上がった。
残念ながら俺のLVは23だ。ヒールの使い過ぎで熟練度が高いだけだ。
驚く暇があるなら、早く倒そうぜ。妹ダンジョンが俺の帰りを待っているんだ。
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