【R18】暴力戦士妹LV68がダンジョンボスの死に際の攻撃で永遠に目覚めない呪いをかけられた。僧侶兄LV23はこのチャンスに♡♡♡する

もう書かないって言ったよね?

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第2章

第42話⑤ピンチポイント①

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「よお。生きて帰れるとはやるじゃねえか」
「……えっ、誰あれ?」

 馬車に帰ると御者席に黒色のフードを被った、灰色の長袖上着、黒色の長ズボンを着た男が座っていた。

『ヒィヒヒン!』
「ヒィヒヒヒ。よしよし、いい子だ」

 それともう一人。俺の愛馬にニンジンを食べさせている気味の悪い男がいる。
 緑色の汚れたとんがり帽子、ボサボサの女みたいな長い金髪、ニヤけた顔には大きなギラつく目がある。
 正直、どっちもあまり良い印象を持てない。
 何だが……

「あんた達、盗賊? だとしたら、襲う相手を間違えたわね」

 そう、それだ。いかにもな盗賊と小汚い格好の落ちぶれ魔法使いだ。
 俺が思うよりも先にリラが言ってくれた。

「おいおい、酷いじゃないか。悲しいねえ。人を見た目で判断するなんて」

 それに対して、魔法使いの男がニヤけた笑みで返した。

「だったら何? 道にでも迷ったの?」
「ああ、そうかもしれねえなぁ。ずっと迷いっぱなしの人生だ。ああすればよかった。こうすればよかった。迷わねえ日は一日もねえ。なんで、俺の人生はこうなっちまったんだろうなぁ」
「知らないわよ。用がないなら消えて。目障りだから」

 酷い。俺ならこんな事言われたら、猛ダッシュで泣いて逃げ出す。

「用ならあるさ。ある高貴な方からの依頼だ。娘を穢した男の始末と、その男を庇う嘘吐き女の始末だ。心当たりはあるだろう?」
「うっ!」

 やっぱりお父さん、気付いていた。
 御者席に座っていた盗賊の男がそう言って、地面に飛び降りた。
 小汚い緑色のローブを着た魔法使いは逃げもせず、ローブから短い杖を取り出した。
 間違いない。お父さんが俺を殺す為に【刺客】を送ってきた。

「待って! 約束が違う! 一ヵ月の約束ですよね!」

 そろそろ俺もなんか喋りたい。殺される前に喋った。
 殺すなら一ヵ月後にしてほしい。それまでは幼馴染と静かに過ごしたい。
 一ヵ月待ってくれれば、馬車の中で気持ち良く死ねる自信がある。

「ああ、その通りだ。ヒィヒヒヒ。だけど、あんなエロい姿を見せられて我慢できるわけねえだろ。高貴なお方はお前達が逃げ出したり、駄目そうなら、一ヵ月待つ必要なく始末していいとおっしゃった。ずっと見ていたが、昨日も今日も下半身のLVアップばかりじゃねえか。どう見ても始末しても問題ねえよな?」

 違う、とはハッキリ言えない。ニヤけた顔の魔法使いに言い返せなかった。
 確かに下半身のLVアップもしていた。もちろんモンスター倒して、LVアップもしていた。
 まだ上級職になれてないけど、一ヵ月あればなれる可能性はある。

「この変態! 今すぐ、記憶から抹消させてやるから覚悟しなさい!」

 俺とは違い。リラはハッキリ言ってくれる。魔法使いの発言に激怒している。
 男をボコボコに殴って、頭の中から恥ずかしい姿を消すつもりだ。
 だけど、記憶を抹消される前に魔法使いが動いた。

「おっと、動くな! この馬の首掻っ切るぞ!」
『ヒィン……』
「や、やめてくれ!」

 ローブから今度は短剣を取り出して、俺の愛馬の首にくっ付けた。
馬質うまじち】だ。慌てて魔法使いを止めた。

 愛馬とは寒い日は一緒に寝て、妹に辛く当たられた日は背中に乗って地平線まで一緒に駆けた。
 俺の大切な親友だ。性別と生物を超えた強い絆がある。

「知るか!」

 駄目だった。リラにとってはただの馬だった。
 魔法使いの脅しを無視して、一歩も止まらずに殴りかかった。

「ヒィヒ。″パワーダウン〟——ぐふっ!」

 リラの右拳が鼻に叩き込まれた。
 魔法使いが一歩下がると、すぐに笑い出した。

「ヒィヒヒヒ。あー、やっぱりちょっとは痛えな」

 有り得ない。リラは手加減なんてしない。
 魔法使いが痒そうに鼻を掻いている。
 普通は鼻血が噴き出して、地面をのたうち回る一撃だ。

「チッ。オラッ!」
「″パワーダウン〟——」

 魔法使いの挑発にリラが二発目を放った。
 男はまた避けずに、杖をリラに向けた。
 リラの身体が赤く僅かに光って消えた。

「ぐふっ。痛くも痒くもねえな。これが本気か?」

 今度は下がりもしなかった。間違いない。
 あれは……

「な、何で……⁉︎」
「今度はこっちの番だ。おらよ!」
「かふぅ……!」

 動揺しているリラの顔を魔法使いが思いっきり殴って、地面に殴り倒した。
 やっぱり間違いない。【付与術師】だ。それも能力を上げるタイプじゃない。
 下げるタイプの付与術師だ。

「脳筋は馬鹿でいいねえ。【力】を奪ってしまえば、ただの女ってね。今度は俺がたっぷり可愛がってやるよ」
「くっ、汚い手で触るな!」
「……だから、痛くねえって」

 リラの髪を掴んで、魔法使いがニヤけた顔で言うと、リラがその顔に拳を叩き込んだ。
 でも、風でも当たったように痛がる素振りもしなかった。

「……おい、俺の女に触ってんじゃねえよ」

 だけど、そんな事はどうでもいい。俺の女に汚い手で触っている。
 そこが重要で重大で許されざる行為だ。

「はぁっ? 状況分かってんのか? 近づくとこの女の首切り裂くぞ」
「くっ、卑怯者が……」
「ばぁか。勝てばいいんだよ! ″パワーダウン〟″パワーダウン〟″パワーダウン〟」

 殴ろうと近づこうとしたら、リラの首に左手の短剣をくっ付けた。
 俺が立ち止まると、すかさず右手の杖を向けて唱えた。
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