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第2章
第66話⑩解決
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「退け。お前みたいないい女は殴りたくねえ」
「あうっ! はぅぅぅ……」
ヨハネの両肩を掴むと脇に退かせた。
そのまま力が抜けたように地面に座り込んでいる。
「なるほどな。いいだろう。ほら、これを握ってみろ」
「んっ?」
ライオネルの前までやって来ると、アイテム鞄から手の平大の透明な水晶球を取り出して投げ渡してきた。
それを右手で受け取ると、水晶の中を覗いてみた。
「……【レベル玉】か。何のつもりだ?」
レベル玉は握っていると、現在のレベルが水晶の中に現れる魔法アイテムだ。
高価なわりに使い捨てなので、俺の場合は三ヶ月に一度程度ぐらいしか使わない。
妹なんかは多い時で二週間に一度は使っていた。
「お前のレベルが知りたいだけだ。もしも、ここにいる戦士の中で一番レベルが高ければ、俺の娘をくれてやる」
「くだらない。ヨハネは物じゃない、人間だぞ」
貰えるなら貰いたい。でも、その条件なら貰えない。
レベル玉に俺のレベルが現れている。
「その人間を物みたいに凌辱したお前にだけは言われたくないな」
「思わず抱きなくなる良い身体だったから抱いただけだ。後悔はしてない」
「ぶほぉぉ‼︎ な、な、何言ってるのかしら‼︎ あなたみたいな屑に抱かれた事なんてないわ‼︎ 騙されて、眠らされただけよ‼︎」
俺の言葉にヨハネが盛大に噴き出すと、慌てて否定している。
冷酷な無表情女なのに珍しく取り乱している。
どうやら、本人は俺に抱かれていないと否定しているみたいだ。
あれは悪夢で、完全に記憶から消したいらしい。だったら、協力するしかない。
「悪かったな。妄想で何度も抱かせてもらったんだ」
「そ、そう、それなら仕方ないわね」
少し赤くなっている顔で怒って言ってきた。
それも良くないだろうけど、妄想は許してくれるらしい。
「……もういいだろ。見せろ」
娘の表情の変化に関心はないらしい。ライオネルが早く見せろと言ってきた。
「ほらよ」と望み通りに投げ返してやった。
「【LV75】か……随分と頑張ったみたいだが、全然足りないな」
「なら、俺に用はないな。本人が何もなかったと言ってるんだ。親なら信じてやれよ」
レベルが50以上も上がったけど、所詮は一ヶ月だ。これが限界だ。
妹を酷い目に遭わせたのは許せないけど、俺も同じ事をヨハネにしている。
ここはお互いが我慢して、納得できなくても許し合うべきだと思う。
「それは無理だ。お前の事も信じてない。LV75がLV102のロイヤルを倒せるわけがない」
「世の中、レベルだけじゃないって事だろ。娘の結婚相手ぐらい自分で選ばせてやれよ」
レベルしか信じてない分からず屋の父親め。
俺の事は信じなくてもいいけど、娘は信じてやれよ。
「お前とは住んでいる世界が違う。娘にも戦士達にもチャンスは与えた。娘には気に入った男を見つけたら、16になるまでに俺のレベル以上に上げて連れて来いと言っておいた。その男がLV75のゴミなら、親として未練が残らないように処分するのが当然だろ」
えっ、気に入った男……それは初耳だ。
ライオネルから視線をヨハネにチラッと動かしてみた。
俺の視線に気づくと、真っ赤な顔で素早く目を逸らしている。
間違いない。俺、ダンジョンで【逆ナンパ】されたみたいだ。
そうだと教えてくれれば、喜んで付き合っていたのに。
「なるほど。だったら、ヨハネの目は確かだな。俺のレベルは低いけど、あんたより強い」
ヨハネには悪いけど、お前の気持ちには応えられない。
もう俺は結婚している。前と同じで空いているのは【愛人枠】だけだ。
それでもいいなら、連れて行ってやる。
「くだらん。挑発にもなってない。お前の強さの理由は分かっている。魔法を使うには精神力を必要とする。精神力は厳しい修行で苦痛を与え続ける事で増えていく。戦士も精神力を鍛える事で強くなれる。だが、鍛えて増える精神力には限界がある」
「そんな事は知ってる。俺は子供の頃から虐げられてきたから、精神力が異常に高いんだろうな」
俺の強さの理由に気づいたみたいだけど、それは的外れだ。
それなのに一般的な常識をライオネルが得意げに話している。
だけど、それをすぐに否定してきた。
「いいや、違う。言っただろ、魔法を使えば精神力を消費すると。お前の強さは【精神力の回復】だ。お前は【体力】だけじゃなく、【精神】も回復させる事が出来る特異体質だ。それが強力な魔法を使い続けられる理由だ」
……自分の事なのに全然気づかなかった。
言われてみれば確かにヒールを使うと、気分も落ち着いていた。
まさか無限に魔法が使えるとは。
「——だが、殺すか気絶させれば魔法は使えない。俺のレベルは【151】。お前との差は二倍だ。この差は才能では埋められない。お前の負けだ」
話は終わりらしい。レベル玉を地面に投げ捨てると、ライオネルがアイテム鞄から剣を取り出した。
俺ももう話す事はない。地面に転がっているレベル玉に新しい数字【88】が現れている。
俺のレベルは僧侶75、暗黒騎士88。二つ合わせると【163】だ。約束通り、娘は貰っていく。
「あうっ! はぅぅぅ……」
ヨハネの両肩を掴むと脇に退かせた。
そのまま力が抜けたように地面に座り込んでいる。
「なるほどな。いいだろう。ほら、これを握ってみろ」
「んっ?」
ライオネルの前までやって来ると、アイテム鞄から手の平大の透明な水晶球を取り出して投げ渡してきた。
それを右手で受け取ると、水晶の中を覗いてみた。
「……【レベル玉】か。何のつもりだ?」
レベル玉は握っていると、現在のレベルが水晶の中に現れる魔法アイテムだ。
高価なわりに使い捨てなので、俺の場合は三ヶ月に一度程度ぐらいしか使わない。
妹なんかは多い時で二週間に一度は使っていた。
「お前のレベルが知りたいだけだ。もしも、ここにいる戦士の中で一番レベルが高ければ、俺の娘をくれてやる」
「くだらない。ヨハネは物じゃない、人間だぞ」
貰えるなら貰いたい。でも、その条件なら貰えない。
レベル玉に俺のレベルが現れている。
「その人間を物みたいに凌辱したお前にだけは言われたくないな」
「思わず抱きなくなる良い身体だったから抱いただけだ。後悔はしてない」
「ぶほぉぉ‼︎ な、な、何言ってるのかしら‼︎ あなたみたいな屑に抱かれた事なんてないわ‼︎ 騙されて、眠らされただけよ‼︎」
俺の言葉にヨハネが盛大に噴き出すと、慌てて否定している。
冷酷な無表情女なのに珍しく取り乱している。
どうやら、本人は俺に抱かれていないと否定しているみたいだ。
あれは悪夢で、完全に記憶から消したいらしい。だったら、協力するしかない。
「悪かったな。妄想で何度も抱かせてもらったんだ」
「そ、そう、それなら仕方ないわね」
少し赤くなっている顔で怒って言ってきた。
それも良くないだろうけど、妄想は許してくれるらしい。
「……もういいだろ。見せろ」
娘の表情の変化に関心はないらしい。ライオネルが早く見せろと言ってきた。
「ほらよ」と望み通りに投げ返してやった。
「【LV75】か……随分と頑張ったみたいだが、全然足りないな」
「なら、俺に用はないな。本人が何もなかったと言ってるんだ。親なら信じてやれよ」
レベルが50以上も上がったけど、所詮は一ヶ月だ。これが限界だ。
妹を酷い目に遭わせたのは許せないけど、俺も同じ事をヨハネにしている。
ここはお互いが我慢して、納得できなくても許し合うべきだと思う。
「それは無理だ。お前の事も信じてない。LV75がLV102のロイヤルを倒せるわけがない」
「世の中、レベルだけじゃないって事だろ。娘の結婚相手ぐらい自分で選ばせてやれよ」
レベルしか信じてない分からず屋の父親め。
俺の事は信じなくてもいいけど、娘は信じてやれよ。
「お前とは住んでいる世界が違う。娘にも戦士達にもチャンスは与えた。娘には気に入った男を見つけたら、16になるまでに俺のレベル以上に上げて連れて来いと言っておいた。その男がLV75のゴミなら、親として未練が残らないように処分するのが当然だろ」
えっ、気に入った男……それは初耳だ。
ライオネルから視線をヨハネにチラッと動かしてみた。
俺の視線に気づくと、真っ赤な顔で素早く目を逸らしている。
間違いない。俺、ダンジョンで【逆ナンパ】されたみたいだ。
そうだと教えてくれれば、喜んで付き合っていたのに。
「なるほど。だったら、ヨハネの目は確かだな。俺のレベルは低いけど、あんたより強い」
ヨハネには悪いけど、お前の気持ちには応えられない。
もう俺は結婚している。前と同じで空いているのは【愛人枠】だけだ。
それでもいいなら、連れて行ってやる。
「くだらん。挑発にもなってない。お前の強さの理由は分かっている。魔法を使うには精神力を必要とする。精神力は厳しい修行で苦痛を与え続ける事で増えていく。戦士も精神力を鍛える事で強くなれる。だが、鍛えて増える精神力には限界がある」
「そんな事は知ってる。俺は子供の頃から虐げられてきたから、精神力が異常に高いんだろうな」
俺の強さの理由に気づいたみたいだけど、それは的外れだ。
それなのに一般的な常識をライオネルが得意げに話している。
だけど、それをすぐに否定してきた。
「いいや、違う。言っただろ、魔法を使えば精神力を消費すると。お前の強さは【精神力の回復】だ。お前は【体力】だけじゃなく、【精神】も回復させる事が出来る特異体質だ。それが強力な魔法を使い続けられる理由だ」
……自分の事なのに全然気づかなかった。
言われてみれば確かにヒールを使うと、気分も落ち着いていた。
まさか無限に魔法が使えるとは。
「——だが、殺すか気絶させれば魔法は使えない。俺のレベルは【151】。お前との差は二倍だ。この差は才能では埋められない。お前の負けだ」
話は終わりらしい。レベル玉を地面に投げ捨てると、ライオネルがアイテム鞄から剣を取り出した。
俺ももう話す事はない。地面に転がっているレベル玉に新しい数字【88】が現れている。
俺のレベルは僧侶75、暗黒騎士88。二つ合わせると【163】だ。約束通り、娘は貰っていく。
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