【R18】暴力戦士妹LV68がダンジョンボスの死に際の攻撃で永遠に目覚めない呪いをかけられた。僧侶兄LV23はこのチャンスに♡♡♡する

もう書かないって言ったよね?

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第3章

第84話⑥ミッドポイント

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「”シンセシス〟!」

 やっぱりトン爺さんが早すぎる。余程手柄を上げたいらしい。
 誰よりも早く合成の呪文を唱えた。けれども……

「おい、何も起きねえぞ」
「当たり前だろ、トン爺さんだぞ」
「あー、やっと終わった。これで帰れる」
「ど、どういう事なんじゃ……⁉︎」

 結果はご覧通りだ。何も起きない。
 予想通りだったという顔で、冒険者達が撤収準備を始め出した。
 もしも俺が先に唱えていたら、【トン回復薬】と呼ばれるようになっていた。
 ありがとう。トン爺さんのお陰で助かった。

「呪文が違うんですよ。”プレイル遊びましょう〟」

 石像と一緒に固まっているトン爺さんは気にせずに、エルシア様が石像の円陣に近づくと唱えた。
 呪文というよりはゲーム開始の合図だ。そして、開始の合図と共にゲームが始まった。

「おい! 何か魔法陣が現れたぞ!」
「戦闘準備だ! 急いで戦闘準備しろ!」
「テメェーら雑魚はさっさと逃げろ!」
「きゃああああ!」

 亜人達の石像の真ん中に直径1メートルほどの魔法陣が現れた。
 予想外のボス戦開始に冒険者達が慌てて行動している。
 飲み物の入ったコップを投げ捨て、アイテム鞄から武器を取り出す者。
 研究所の制服達を避難させる者。悲鳴を上げて、一目散に逃げ出す者などなど。
 とにかく大混乱だ。その中でも一番混乱しているのはトン爺さんだ。
 危険な魔法陣のすぐ側で何が現れるかと待ち構えている。
 
「た、助けてくれ! う、動けない!」

 いや、違った。動きたくても動けないだけみたいだ。
 震える声で助けを求めてきた。何とも情けない姿だ。
 恐怖で動けないらしい。

『……誰が逃げていいと言った? ”バインド拘束〟』
「ぐぅっ! う、動けない‼︎」
「な、何なのこれ⁉︎ 何で⁉︎」

 そう思っていたのに、動けないのはトン爺さんだけじゃなかった。
 逃げようとした冒険者と制服職員達が走っている体勢のまま固まってしまった。
 魔法陣から灰色に近い茶色い髪で右目を隠した男が現れて、呪文を唱えたからだ。

『まったく人間というものは愚かで仕方ない。私を呼び起こすとは……』

 現れた若い男は細身の長身で、病気かと思えるぐらいに肌が白い。
 服装は赤色と黒色が混じった裾がボロボロのロングコート、黒革の長ズボン、黒革靴、真っ白な手袋をしている。
 歴戦の冒険者か兵士かという雰囲気だけでも、相当の強さとヤバさが伝わってくる。

「ま、ま、まさか⁉︎ 【魔人】か⁉︎」

 男の正体に気づいたのか、トン爺さんが【マジン】と呼んだ。
 聞いた事がない言葉だ。そんなに凄い人物なのだろうか。

『その驚きよう。知ってて呼び出したわけではないのか。だとしたら、尚更愚かとしか言えないな』
「くっ、儂はなんて愚かな事をしてしまったんじゃ‼︎ 動ける者は早く逃げてくれ‼︎ 誰も魔人は倒せぬ‼︎ 一刻も早くこの危機を世界に知らせるんじゃ‼︎」
「くっそ‼︎ こんなヤバイ仕事だったなんて聞いてねえぞ‼︎ 俺は逃げるからな‼︎」
「俺もだ‼︎ 魔人なんて伝説の化け物じゃねえか‼︎」

 ヤバイ。俺だけ知らないみたいだ。そんなにマジンとはヤバイのだろうか。
 俺以外の全員が逃げ出している。

『愚かな。私の職業は【軍師】——敵前逃亡する臆病者には【死刑】と決まっている。”バインド〟』
「ぐああああ! 駄目だ、身体が動かねえ!」

 なるほど、ゲームと同じでルールがあるみたいだ。
 逃げると身体が動かなくなるらしい。
 だったら逃げずに戦うしかない。俺以外の全員が動けないなら、戦えるのは俺だけだ。
 全員の命が俺にかかっている。責任重大だ。

『”ロックハンマー石槌〟まずはお前からだ。虫ケラ、潰れろ」
「いやぁああああ‼︎」

 トン爺さんの頭上高くに太い岩の柱が現れた。
 軍師が右手を下に向かって振ると、石柱が凄い勢いで落下してきた。
 数秒後にはペシャンコになるトン爺さんが断末魔の悲鳴を上げている。

「”ウルトラソウル〟——」

 もちろん、そんな未来はやって来ない。
 地面を踏み砕き、トン爺さんの元に急ぐと、落下してくる石柱に三重の暗黒拳を振り上げた。

「”天地の極三〟‼︎」

 右拳が平たい石柱の底に激突した。
 下から上に向かって、石柱にヒビが走り、そのままバラバラに砕け散った。

「ちょ、超戦士様……」

 トン爺さんが恋する乙女のような瞳で俺を見ているけど、サッと目を逸らした。
 爺と男は見捨てて、女の子がやられそうな時に助ければ良かった。

『ほぉー、少しはマシな人間もいるようだ』
「悪いが子供のゲームに付き合うほど暇じゃない。ササッと終わらさせてもらう」

 遊び好きな軍師に褒められても嬉しくない。
 両拳をボキボキ鳴らして、ゲーム終了を教えてあげた。
 
『それは無理な話だ。”ストロングバインド強固な拘束〟』
「ぐっ‼︎」

 それなのに拳を鳴らしている体勢で身体が急に動かなくなった。
 逃げなくても動けなく出来るなんて、ルール違反だ。

『どんな強者も動けなければ石像と同じだ。力も速さも私の前では意味をなさない。”石操術〟』
『ガガガガッッ……』
「おいおい、嘘だろ⁉︎」

 俺が動けなくなったのに、24体の魔法石を壊されたはずの石像が動き始めた。
 俺に向かって、ゆっくり進んでくる。

『そんなに死にたいなら、まずはお前からだ。このままなぶり殺してやる』
「もう終わりじゃ、儂ら全員殺されるんじゃ……」

 余裕で倒せると思っていたのに、まさかのピンチだ。
 トン爺さんなんかは人生終わりだと諦めている。
 だけど、俺はまだ本気を出していない。

「それは無理な話だ。”影分身・影纏い〟」
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