異世界最後のダークエルフとして転生した僕は、神スマートフォンと魔物使いの能力を駆使して生き延びる。

もう書かないって言ったよね?

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第1話

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「んっ、んんんっ……あ、あれ? ここはどこなんだろう?」

 頭がクラクラして、意識がぼんやりとしている。
 目が覚めたら僕は真っ白い空間に仰向けに寝転んでいた。

『おや、気がつきましたか。ここは天界ですよ』
「えっ、えっ⁉︎ 誰ですか⁉︎」
『こちらです。あなたの後ろですよ』
「後ろ……あっ、白……」

 寝っ転がった状態のままで、慌てて愛らしい女性の声が聞こえた方向を振り返って見た。
 そこには白い純白のパンティーがあった。
 いや、白い純白のパンティーを履いた天使のような少女が立っていた。

 十六歳ぐらいの天使の少女は、アメリカの結婚式で若い女性の参列者が着ているフワフワしたドレスに、革のサンダルのような靴を履いている。
 金色のフワフワした巻き髪は鎖骨まで届き、真っ白な肌は透き通っていて、清らかな清流に太陽の光が反射するようにキラキラと輝いている。
 あの清らかな太ももの川に挟まれて沈められるなら、溺れ死んでもいいかもしれない。

「でぇへへへへへ♡」
『きゃあああああっ⁉︎ もうぉ~~~‼︎ どこ見てるんですか!』
「ハッ!」

 一ヶ所に集中する僕の熱いエロ視線に気づいたのか、天使の少女は悲鳴を上げながら、白いスカートの裾を両手で慌てて押さえつけた。
 そして、恥ずかしそうにパンティーが見えないように少し後退りすると、僕の方を赤くなった顔で睨みつけた。
 これはヤバイ。僕は慌てて九十キロの巨体を反転させて、ガバッと起き上がると、素早く土下座姿勢で天使の少女の前に触れ伏した。
 
「す、すみません‼︎ 見るつもりはなかったんです! 本当です! わざとじゃないんです! 警察には通報しないでください!」

 優しい女性ならば、土下座で何とか許してくれる。
 ちょっと優しい女性ならば、お金で許してくれる。
 優しくない女性は警察に通報して、絶対に許してくれない。

『あっはははは。そんな所に電話しても、ここまで来てくれませんよ。頭を打って少し記憶が混乱しているようですね。ちょっと立ってください』
「は、はぁ……?」

 ちょっと何を言っているのか分からない。天然系少女なのかもしれない。
 それにしても、僕のようなキモキモおデブ高校生に純白パンティーを見られても、笑って許してくれるなんて本当に天使のような少女だ。

『そうそう、そのままですよ……』

 言われるままに立ち上がると、リラックスした状態で待つように言われた。
 何がしたいのか分からないけど、同年代の美少女に頼まれたら断れない。
 もしかすると、目を閉じてチューもありえるかもしれない。
 まあ、それはちょっと期待のし過ぎかな。

『スゥ~ハァー、スゥ~ハァー……』
「んっ? これって……」

 天使の少女は指揮者のように両手を左右に振りながら、スゥーハァーと深呼吸を繰り返して集中力を高めているようだ。
 何をするのか天使の少女に聞く前に、なんだか日常的に見覚えのある光景なのを思い出した。
 天使の両手を止めようと身体が反射的に動き出したけど、もう遅かった。

『ホォアタッア‼︎』
「おえぺっ⁉︎ な、なにをするでござる⁉︎」

 ドォスン‼︎ 天使の少女の凄まじい速さの右拳による正拳突きが、僕のプヨプヨ腹に沈み込んだ。
 両膝が悲鳴を上げて、ガクッと下がる。けれども、倒れる時間は与えられなかった。

『アッタタタタタッ~~♪』
「ごぶっ、やめ、痛い、やめ、助け、のおぉぉぉ~~⁉︎」

 ボフッ! ゴォスゴォス! ドスドス! ボキィ! ドボォ!
 次々に胸と腹に少女の拳の連撃ラッシュが突き刺さり沈み込んでいく。
 その強烈な痛みとともに激しく脳が揺さぶられていく。

 そして、全てを思い出した。
 これは高校の同級生のいじめっ子達が、僕に毎日のようにやっている北斗の拳式サンドバッグだ。
 でも、こんな風に全力パンチじゃない! 指でチョンチョンしているだけだ!

『オアッタ‼︎ ハァ、ハァ、ハァ、お前はもう死んでいる』
「ひでぶぅぅぅぅぅぅぅっ⁉︎」

 ズゥドン‼︎ 少女の渾身のトドメの一撃に、いつもと違って、リアルに両膝をついて倒れてしまった。

「うえっぺぅ! おえっぺぅ!」

 キラキラしたものが口から床に吐き出されて、真っ白な床を汚してしまった。

 いつものいじめっ子達は、僕の「ひでぶぅ‼︎」と同時に、左右からスクールシャツを引っ張って、ボタンをパァンパァンパァン‼︎ と弾き飛ばして、上半身裸の僕を笑い者にするだけだ。
 肉体的苦痛は伴わない。精神的苦痛だけのイジメだ。

 ちなみに「ひでぶぅ」とは、酷えデブという意味らしい。

『うわぁー、なんで吐くんですか? 気持ち悪いなぁー』

 床のキラキラを見て、天使の少女は鼻を覆って凄く嫌な顔をしている。
 さっきまでの笑顔が嘘のようだ。

「うぇっ、うぐっ、なんでこんな事するんですか? 僕が何したんですか?」

 僕は涙を拭いて、天使の少女に殴った理由を聞いてみた。
 純白パンティーを見ただけで、初対面の少女にボコボコに殴られる理由なんて僕にはない。
 そもそも僕はスポーツウェアを着て、二度とデブだと馬鹿にされないように、頑張って夜のジョギングを始めていた。
 そんな僕がなんでこんな所にいて、なんでこんな酷い目に遭わないといけないんだ。

『これだけ殴ったのに、まだ完全に思い出せていないようですね。あなたは神社の階段を何往復もしている時に靴紐を踏んでしまって、階段から転げ落ちて死んだんですよ』
「神社、階段、うっ⁉︎ そうだ、僕は階段から落ちて、それで……」

 ズキズキと何かを思い出そうとすると、頭が痛みを訴えてくる。
 それでも頑張って思い出してみた。

 確かに言われてみれば、階段からジェットコースターのように転落していく感覚が蘇っていく。
 神社の階段は古くて、段差が不揃いだった。
 僕はゴロゴロと階段を転げ落ちながら、最後に硬い階段の角に頭を打つけた。それで確か……。

『あなたは階段から転げ落ちて、首の骨を折って死にました。でも、不幸中の幸いです。神社の敷地内で死んだ可哀想なあなたを、異世界で転生させる事が決まりました』
「転生? 僕が異世界に本当に?」

 僕がなかなか思い出せないので、天使の少女が、頭を打った後の状況を補足してくれた。
 でも、それよりも信じられない事がある。
 転生と言えば、凄い力を与えられて異世界で成功が約束されたようなものだ。
 ただ神社の階段でけて死んだだけの僕が貰ってもいいんだろうか。

『本当ですよ。異世界に行けます。チートと呼ばれる凄い力を与える事は出来ませんけど、容姿に対しての希望はある程度は聞けますよ。それとも、このままの容姿で行きますか?』
「全身変更でお願いします!」

 おデブ転生だけは絶対に阻止だ。僕は首を左右にブルンブルンと振って、断固辞退した。

『分かりました。転生と言っても十五歳スタートですけどね。下手に子供に転生させると、女湯に入るスケベな子供大人がたまにいるんですよ。だから、あなたは実年齢スタートになります』

 なんで? と聞く必要はなかった。
 少女の純白のパンティーを見てニヤけているおデブ高校生を赤ん坊に転生させるなんて正気の判断じゃない。
 でも、容姿は選べるんだ。
 チートが無くても、めちゃくちゃカッコいい容姿になれば、モテモテ人生が約束されたようなものじゃないか!

「エルフとかになれますか?」
『エルフですか? もちろんなれますよ。エルフでいいんですね?』
「はい、エルフでお願いします!」
『分かりました。では、エルフとして街の中に転生しますね。第二の人生を楽しんでくださいね』
「はい!」

 やったぁ! エルフになれるぞ! エルフと言えば、美男美女で長寿で魔法の才能がある種族だ。
 美少女エルフとイチャイチャ、美少女人間ともイチャイチャの最高の人生じゃないか!
 チート能力なんて無くても、魔法が使えれば問題ない!

『いってらっしゃい。頑張ってくださいね』
「頑張ります! ありがとうございました!」
『いえいえ、気にしなくていいですよ』

 天使の少女が別れを告げると、僕の身体が光に包まれ始めた。
 新しい世界では僕はもういじめられっ子じゃない。おデブでもない。
 ゆっくりと僕は意識を失っていく。次に目覚めたら、そこはきっと異世界の街の中だ。
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