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第34話
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「剣でも魔法でも好きに使え。この場所では怪我する事も死ぬ事もない。ただ痛いだけだ」
「へぇー、そうなんですか。だったら、安心かな」
痛いのは嫌だけど、死なないのは良い。
戦闘訓練だと思って我慢するしかない。
赤髪ロングのレクシーは、剣を片手で振って、ヒュンヒュンという風切り音を鳴らしている。
どこかの達人と呼ばれる剣術家の爺さんが、「剣を振って音が出るようでは、まだまだ未熟です」とテレビで言っていたけど、僕レベルでは、未熟な部分が分かりません。
正直、戦わなくても結果は分かっている。
レクシーの身長は百七十五センチはある、スラッと伸びた長身のモデル体型だ。
僕と同じぐらいの身長がある。
レクシーが元冒険者なのは分かっているけど、怪我で冒険者を続けられなくなった、という設定や情報は一切無い。
見た感じ、どこも怪我していないので、現役バリバリの冒険者と思っていい。
つまりは元冒険者ではなく、休暇中の冒険者だ。
「よし、準備運動はこの辺でいいな。この町には戦える人間がいないから、暇で暇で仕方がなかった。トオルが引っ越して来てくれて助かったぞ」
「いえいえ、僕なんて雑魚中の雑魚ですよ。それに剣を手に持ったのも数日前なんですよ。絶対に相手になりませんよ」
僕として学校の女番長に、「ちょっと暇だからサンドバッグになってくれよ」と捕まってしまった気分だ。
体育館裏に連れて行かれた後に、ボコボコに殴られて、「あっ~~~あ、スッキリした♪ 明日もよろしくな!」とそれが毎日続くんだ。
こっちはちぃっともスッキリしない。ストレスも含めて、色々と溜まる一方だ。
「んっ、そうなのか? まあ、トオルはダークエルフだから、魔法が得意なんだろうな。この町にもエルフが一人いるけど、変な能力が付与された装飾品ばかり作っているぞ。私の家の隣だから、あとで挨拶してみるといい」
「えっ、エルフは絶滅したんじゃないんですか⁉︎」
女神様からは、エルフとダークエルフは絶滅したと聞かされている。
本当にこの町にエルフがいたら、許されない行為だ。
「んっ? 絶滅はしていないと思うぞ。嘘だと思うならば、見に行けばいい。名前はアルゼアだ」
「ちょっと待ってくださいね。すぐに見て来ます!」
あの尼ぁ~~~‼︎
魔法の習得には最低一年かかるとか、エルフは絶滅したとか嘘ばっか吐きやがって!
今度、町にやって来たら、土下座するフリして、神フォンでワンピースの中を盗撮しまくってやる!
「フゥ、フゥ、フゥ♡」
僕はゲームの発売日に玩具屋さんに走って行く、純心な子供のようなワクワクした気持ちで、エルフが営むアクセサリー屋に急いだ。
とりあえず、女神様への怒りはこの際どうでもいい。
ヤバイ、生エルフだ! これは興奮せずにはいられない。
だって、エルフは魔物扱いだ。
僕のスキルによって、お友達になってもらえば、何をしようがセクハラにはならない。
筋肉質の剣士と戦っている場合ではない。
エルフが減ったならば、僕が頑張って、増やさないといけない。
いや、頑張るのは女の子の方か! あっはははは。
「すみません。アルゼアさん、ちょっといいですか!」
お店のカウンター越しに、店の奥のテーブルに座って、銀色の指輪を磨いている、水色髪の美少女に声をかけた。
エルフの美少女の服装は、白のスクールシャツの上に、クリーム色のカーディガンを重ね着している。
紺色と白のチェック柄のハーフパンツを履いている。
胸元にはスカートと同じ柄の、大きなリボンがつけられている。
まるで制服を着た同級生の美少女だ。ヤッホーイ♪
「はい? えっーと、どちら様でしょうか?」
「僕です! ダークエルフのトオルです!」
「はぁー、そうですか?」
何だろう? テンションに差が有り過ぎる。
絶滅していたエルフの同族に会えたのに、全然嬉しそうじゃない。
むしろ、『誰でしたっけ?』と道端で会った人に、気さくに話しかけられた時のような、困った顔をしている。
「作業を邪魔してしまって、すみません。僕の国ではエルフとダークエルフが絶滅していたので、エルフに会えたのが嬉しくて……ああっ、今日、町に引っ越して来ました。よろしくお願いします」
「まあ、そうだったんですね。大丈夫ですよ。エルフもダークエルフも絶滅していませんから」
ほっ。やっと話を聞いてくれるみたいだ。
美少女エルフは椅子からゆっくりと立ち上がると、カウンターに向かって歩いて来る。
ゲームの中ではドジっ子だったのに、落ち着いていて、全然印象が違うよ。
「初めまして、トオルさん。エルフのアルゼアです。アルゼアは呼びにくいので、アルアと呼んでもらってもいいですよ」
森の中を流れている清らかな小川を思わせるような声だ。
きっと息はミントの香りがすると思う。
多分、その所為かもしれないけど、全然アルアのステータスが見えない。
魔物じゃなくて、もしかして人間さんなのかな?
「アルアさんですね。良い名前だと思います。僕、冒険者をやっているので、これから装備の事で色々とお世話になると思います。よろしくお願いします」
「えっ、冒険者さんなんですか⁉︎」
「ええっ、一応は冒険者です」
「だったら、こちらこそよろしくお願いします! 魔物の素材がないと、アクセサリーは作れませんから。どんどん魔物を倒して、素材を持って来てくださいね♪」
「えっへへへへ、頑張りますぅ~~♪」
ギューっと僕の右手を両手で優しく握ってきた。
この町では、どうやら冒険者は頼りにされている存在のようだ。
それもそうだ。ゲームでも、店にお金と魔物素材を貢ぎまくっているのが冒険者だ。
他の店にお金と素材を貢がせないように、それなりのサービスがあっても不思議はない。
「こほん! トオル、挨拶はその辺でいいだろう。そろそろ始めるぞ」
「あっ、はい……」
後ろを振り返ると、不機嫌そうな顔のレクシーが剣を持って立っていた。
それもそうだ。自分の金蔓サンドバッグが、他所の女にデレデレして、寝取られそうになっていたら、怒るのは当然だ。
僕としては、痛い思いはしたくないので、このままアルアと話をしたいけど、レクシーの目が、『さっさと来い』と訴えている。
小さな町の中を逃げ回る自信はないし、引っ越し初日に、ギクシャクした関係にはなりたくない。
町で暮らす為の洗礼だと思って、やるしかないんだろうな。
「トオルさん、頑張ってくださいね!」
「はぁ~い♪」
振り返って、アクアの澄んだ声援に手を振って答えた。
もしかすると、レクシーに勝てば、僕の好感度はダブルアップするんじゃないのか?
「こんなに強い男は初めてだ。抱いてくれ!」「凄いです。抱いてください!」と二人の女性に、同時に求められる事になるんじゃないのか?
「よろしくお願いします。僕の全力を見せます」
「ほぉー、凄い自信だな。では、私も全力で相手をしないとな」
村人戦士から奪った剣を正面のレクシーに構えた。
この勝負はエルフの復興の為にも、勝たなければならない。
勝機はある。影の中には牝鹿の魔物ディア二匹が待機している。
しかも、僕は水魔法が使える。
この町の中では誰も死なないなら、魔物も永遠に使い続けられる。
三対一。勝てない勝負じゃない。
「どうした? 来ないなら、私から行くぞ。私は待つのは嫌いなんだ」
「いつでもどうぞ……」
「フッ……では、参る!」
剣を構えたまま、しばらく見つめ合っているとレクシーが聞いてきた。
僕は奇襲で相手を倒すタイプなので、自分から攻める訳には行かない。
どちらかというと、攻めてもらわないと困る。
レクシーは僕の言葉に、僅かな微笑みを浮かべると、すぐに剣先を右水平方向に構えて、地面を滑るように向かって来た。
「⁉︎」
移動速度は僕よりもかなり速い。でも、この程度は予想の範囲内だ。
まずは水の咆哮で、レクシーの攻撃の間合いに入る少し前に攻撃する。
水の咆哮が回避された場合は、影から牝鹿一匹を突撃させる。
それも回避されたら、水の咆哮と二匹目の牝鹿で、さらに連続攻撃する。
それさえ回避されたら、あとは三対一で戦うしかない。
「〝叫べ、水の咆哮〟」
レクシーとの距離は六メートル。
撃つには少し早いかもしれないけど、もう怖いので、左手をレクシーに真っ直ぐに向けて発射した。
「フッ……」
バシャーン‼︎ 真横に楽々回避されると、レクシーに笑われてしまった。
多分、馬鹿にされた訳ではない。
『なかなかやるじゃないか』という意味の微笑みだと、ポジティブ変換しよう。
「ディア! 突進しろ!」
『『ピィー!』』
「んっ⁉︎」
違う違う‼︎ 影の中から二匹同時に飛び出した。でも、もう遅かった。
「ハァッ‼︎」
『『ピィーーーー⁉︎』』
「なっ⁉︎」
バキィン‼︎ 剣が水平に振られると、刀身に当たった牝鹿二匹が、十八メートルほど吹き飛んでいった。
レクシーが見かけ通りのパワータイプなのは、よ~~~く分かった。
僕は絶対に喰らわないようにしよう。
「召喚魔法も使えるとは優秀だな」
「くっ……」
いえ、友達魔法です、と心の中で冷静に突っ込んだ。
距離三メートル。もうレクシーは目の前だ。
素早く剣先を左水平方向に構えて、ガードの構えを見せる。
そして、左手をレクシーの胴体に向けた。でも、左手は囮だ。
実際はガードに見せかけた右手から剣を離して、水の咆哮を顔目掛けて、顔射する。
多少は意表が突けるはずだ。ついでに当たればエロい。
「〝叫べ、水の咆哮〟」
「⁉︎」
相討ち覚悟でレクシーの顔目掛けて、右手から水の咆哮を発射した。
けれども、素早く長身を屈められて回避された。
そして、下から上に向かって、剣の柄頭が強烈に振り上げられた。
「リャッ‼︎」
「ごぉひゅっ⁉︎」
バキバキ‼︎ 柄頭による強烈なスカイアッパーが顎下に炸裂させられた。
僕の意識は一瞬で奪われ、宙高く七メートル飛ばされた後に地面に墜落した。
「へぇー、そうなんですか。だったら、安心かな」
痛いのは嫌だけど、死なないのは良い。
戦闘訓練だと思って我慢するしかない。
赤髪ロングのレクシーは、剣を片手で振って、ヒュンヒュンという風切り音を鳴らしている。
どこかの達人と呼ばれる剣術家の爺さんが、「剣を振って音が出るようでは、まだまだ未熟です」とテレビで言っていたけど、僕レベルでは、未熟な部分が分かりません。
正直、戦わなくても結果は分かっている。
レクシーの身長は百七十五センチはある、スラッと伸びた長身のモデル体型だ。
僕と同じぐらいの身長がある。
レクシーが元冒険者なのは分かっているけど、怪我で冒険者を続けられなくなった、という設定や情報は一切無い。
見た感じ、どこも怪我していないので、現役バリバリの冒険者と思っていい。
つまりは元冒険者ではなく、休暇中の冒険者だ。
「よし、準備運動はこの辺でいいな。この町には戦える人間がいないから、暇で暇で仕方がなかった。トオルが引っ越して来てくれて助かったぞ」
「いえいえ、僕なんて雑魚中の雑魚ですよ。それに剣を手に持ったのも数日前なんですよ。絶対に相手になりませんよ」
僕として学校の女番長に、「ちょっと暇だからサンドバッグになってくれよ」と捕まってしまった気分だ。
体育館裏に連れて行かれた後に、ボコボコに殴られて、「あっ~~~あ、スッキリした♪ 明日もよろしくな!」とそれが毎日続くんだ。
こっちはちぃっともスッキリしない。ストレスも含めて、色々と溜まる一方だ。
「んっ、そうなのか? まあ、トオルはダークエルフだから、魔法が得意なんだろうな。この町にもエルフが一人いるけど、変な能力が付与された装飾品ばかり作っているぞ。私の家の隣だから、あとで挨拶してみるといい」
「えっ、エルフは絶滅したんじゃないんですか⁉︎」
女神様からは、エルフとダークエルフは絶滅したと聞かされている。
本当にこの町にエルフがいたら、許されない行為だ。
「んっ? 絶滅はしていないと思うぞ。嘘だと思うならば、見に行けばいい。名前はアルゼアだ」
「ちょっと待ってくださいね。すぐに見て来ます!」
あの尼ぁ~~~‼︎
魔法の習得には最低一年かかるとか、エルフは絶滅したとか嘘ばっか吐きやがって!
今度、町にやって来たら、土下座するフリして、神フォンでワンピースの中を盗撮しまくってやる!
「フゥ、フゥ、フゥ♡」
僕はゲームの発売日に玩具屋さんに走って行く、純心な子供のようなワクワクした気持ちで、エルフが営むアクセサリー屋に急いだ。
とりあえず、女神様への怒りはこの際どうでもいい。
ヤバイ、生エルフだ! これは興奮せずにはいられない。
だって、エルフは魔物扱いだ。
僕のスキルによって、お友達になってもらえば、何をしようがセクハラにはならない。
筋肉質の剣士と戦っている場合ではない。
エルフが減ったならば、僕が頑張って、増やさないといけない。
いや、頑張るのは女の子の方か! あっはははは。
「すみません。アルゼアさん、ちょっといいですか!」
お店のカウンター越しに、店の奥のテーブルに座って、銀色の指輪を磨いている、水色髪の美少女に声をかけた。
エルフの美少女の服装は、白のスクールシャツの上に、クリーム色のカーディガンを重ね着している。
紺色と白のチェック柄のハーフパンツを履いている。
胸元にはスカートと同じ柄の、大きなリボンがつけられている。
まるで制服を着た同級生の美少女だ。ヤッホーイ♪
「はい? えっーと、どちら様でしょうか?」
「僕です! ダークエルフのトオルです!」
「はぁー、そうですか?」
何だろう? テンションに差が有り過ぎる。
絶滅していたエルフの同族に会えたのに、全然嬉しそうじゃない。
むしろ、『誰でしたっけ?』と道端で会った人に、気さくに話しかけられた時のような、困った顔をしている。
「作業を邪魔してしまって、すみません。僕の国ではエルフとダークエルフが絶滅していたので、エルフに会えたのが嬉しくて……ああっ、今日、町に引っ越して来ました。よろしくお願いします」
「まあ、そうだったんですね。大丈夫ですよ。エルフもダークエルフも絶滅していませんから」
ほっ。やっと話を聞いてくれるみたいだ。
美少女エルフは椅子からゆっくりと立ち上がると、カウンターに向かって歩いて来る。
ゲームの中ではドジっ子だったのに、落ち着いていて、全然印象が違うよ。
「初めまして、トオルさん。エルフのアルゼアです。アルゼアは呼びにくいので、アルアと呼んでもらってもいいですよ」
森の中を流れている清らかな小川を思わせるような声だ。
きっと息はミントの香りがすると思う。
多分、その所為かもしれないけど、全然アルアのステータスが見えない。
魔物じゃなくて、もしかして人間さんなのかな?
「アルアさんですね。良い名前だと思います。僕、冒険者をやっているので、これから装備の事で色々とお世話になると思います。よろしくお願いします」
「えっ、冒険者さんなんですか⁉︎」
「ええっ、一応は冒険者です」
「だったら、こちらこそよろしくお願いします! 魔物の素材がないと、アクセサリーは作れませんから。どんどん魔物を倒して、素材を持って来てくださいね♪」
「えっへへへへ、頑張りますぅ~~♪」
ギューっと僕の右手を両手で優しく握ってきた。
この町では、どうやら冒険者は頼りにされている存在のようだ。
それもそうだ。ゲームでも、店にお金と魔物素材を貢ぎまくっているのが冒険者だ。
他の店にお金と素材を貢がせないように、それなりのサービスがあっても不思議はない。
「こほん! トオル、挨拶はその辺でいいだろう。そろそろ始めるぞ」
「あっ、はい……」
後ろを振り返ると、不機嫌そうな顔のレクシーが剣を持って立っていた。
それもそうだ。自分の金蔓サンドバッグが、他所の女にデレデレして、寝取られそうになっていたら、怒るのは当然だ。
僕としては、痛い思いはしたくないので、このままアルアと話をしたいけど、レクシーの目が、『さっさと来い』と訴えている。
小さな町の中を逃げ回る自信はないし、引っ越し初日に、ギクシャクした関係にはなりたくない。
町で暮らす為の洗礼だと思って、やるしかないんだろうな。
「トオルさん、頑張ってくださいね!」
「はぁ~い♪」
振り返って、アクアの澄んだ声援に手を振って答えた。
もしかすると、レクシーに勝てば、僕の好感度はダブルアップするんじゃないのか?
「こんなに強い男は初めてだ。抱いてくれ!」「凄いです。抱いてください!」と二人の女性に、同時に求められる事になるんじゃないのか?
「よろしくお願いします。僕の全力を見せます」
「ほぉー、凄い自信だな。では、私も全力で相手をしないとな」
村人戦士から奪った剣を正面のレクシーに構えた。
この勝負はエルフの復興の為にも、勝たなければならない。
勝機はある。影の中には牝鹿の魔物ディア二匹が待機している。
しかも、僕は水魔法が使える。
この町の中では誰も死なないなら、魔物も永遠に使い続けられる。
三対一。勝てない勝負じゃない。
「どうした? 来ないなら、私から行くぞ。私は待つのは嫌いなんだ」
「いつでもどうぞ……」
「フッ……では、参る!」
剣を構えたまま、しばらく見つめ合っているとレクシーが聞いてきた。
僕は奇襲で相手を倒すタイプなので、自分から攻める訳には行かない。
どちらかというと、攻めてもらわないと困る。
レクシーは僕の言葉に、僅かな微笑みを浮かべると、すぐに剣先を右水平方向に構えて、地面を滑るように向かって来た。
「⁉︎」
移動速度は僕よりもかなり速い。でも、この程度は予想の範囲内だ。
まずは水の咆哮で、レクシーの攻撃の間合いに入る少し前に攻撃する。
水の咆哮が回避された場合は、影から牝鹿一匹を突撃させる。
それも回避されたら、水の咆哮と二匹目の牝鹿で、さらに連続攻撃する。
それさえ回避されたら、あとは三対一で戦うしかない。
「〝叫べ、水の咆哮〟」
レクシーとの距離は六メートル。
撃つには少し早いかもしれないけど、もう怖いので、左手をレクシーに真っ直ぐに向けて発射した。
「フッ……」
バシャーン‼︎ 真横に楽々回避されると、レクシーに笑われてしまった。
多分、馬鹿にされた訳ではない。
『なかなかやるじゃないか』という意味の微笑みだと、ポジティブ変換しよう。
「ディア! 突進しろ!」
『『ピィー!』』
「んっ⁉︎」
違う違う‼︎ 影の中から二匹同時に飛び出した。でも、もう遅かった。
「ハァッ‼︎」
『『ピィーーーー⁉︎』』
「なっ⁉︎」
バキィン‼︎ 剣が水平に振られると、刀身に当たった牝鹿二匹が、十八メートルほど吹き飛んでいった。
レクシーが見かけ通りのパワータイプなのは、よ~~~く分かった。
僕は絶対に喰らわないようにしよう。
「召喚魔法も使えるとは優秀だな」
「くっ……」
いえ、友達魔法です、と心の中で冷静に突っ込んだ。
距離三メートル。もうレクシーは目の前だ。
素早く剣先を左水平方向に構えて、ガードの構えを見せる。
そして、左手をレクシーの胴体に向けた。でも、左手は囮だ。
実際はガードに見せかけた右手から剣を離して、水の咆哮を顔目掛けて、顔射する。
多少は意表が突けるはずだ。ついでに当たればエロい。
「〝叫べ、水の咆哮〟」
「⁉︎」
相討ち覚悟でレクシーの顔目掛けて、右手から水の咆哮を発射した。
けれども、素早く長身を屈められて回避された。
そして、下から上に向かって、剣の柄頭が強烈に振り上げられた。
「リャッ‼︎」
「ごぉひゅっ⁉︎」
バキバキ‼︎ 柄頭による強烈なスカイアッパーが顎下に炸裂させられた。
僕の意識は一瞬で奪われ、宙高く七メートル飛ばされた後に地面に墜落した。
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