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宝くじで『10億円』を当てた日に、車にも当たりました。一度は地獄に落とされたけど、女神の力で幸運MAX『999』で異世界再スタート!
第1話・天国から地獄に
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【あらすじ】
ステータス、幸運MAX『999』。つまりはもの凄く運が良いという事です。
宝くじで『10億円』を当てた日に、車に当たった男は、異世界転移して再スタートする。
けれども、本当に幸運が高ければ、幸せになれるのでしょうか?
♦︎
「YES! YES! YES!」
私は夜空に向かって、外国人顔負けのガッツポーズを繰り返していた。通行人に頭のおかしいな奴だと思われたって構わない。だって、私は『ロト7』に当選したのだから。
信じれば夢は叶う。買い続ければいつかは当たる。今日から私は億万長者の仲間入りです。貧乏人の皆様、同僚の皆様、どうもすみません。お先に会社を退職させてもらいます。
ロト7とは、1~37の数字から、7つの数字を選んで当てる宝くじである。
『9・14』『3・24』『6・11』。そして、ロト7とラッキー7の『7』。この魔法の番号の組み合わせで、私は今日、人生の勝利者となった。
「そう、その通り!!」
上戸彩、綾瀬はるか、新垣結衣の誕生日である。これ以上の最強の組み合わせは存在しない。いや、存在を許される訳がない。
(ランランラ~~♬ ランランラ~~♬ 銀行に行こう~♬ ランランラ~~♬ ランランラ~~♬ 銀行で貰おう~♬)
心の中で歌いながら、スキップして銀行に向かう。今日はロト7の優勝パレードだ。
「やあ、そこのお嬢さん。可愛いね。私の愛人にならないかい? やあ、そこお嬢さんも可愛いね。私の2番目の愛人にならないかい?」
手当たり次第に20代の若くて可愛い女の子達に声をかける。今なら10代の女の子でも余裕で私について来るだろう。いや、結婚して欲しいと懇願するだろう。そう、私は億万長者。億万長者なのだ。
さあ、6等の1000円じゃないよ。1等だよ。その辺の宝くじ売り場の窓口じゃ貰えない額だよ。フッフフフ、これが頂点に立つと見える景色か? 何もかもが輝いて見える。
キイィィィ!!! ドォガァーン!!!
「ぐぇ⁉︎」
突然、けたたましい車のブレーキ音と、何かに激しく打つかった衝突音が辺りに響き渡りました。
「きゃあああぁぁ!!!!」
「おい! 頭のおかしいな男が道路に飛び出して、車に轢かれたぞ!」
「救急車! 早く救急車呼んで!」
「違う⁉︎ あの馬鹿が赤信号で飛び出して来たんだよ! 俺じゃない! 俺が悪いんじゃない!」
ビクビク、ビクビク、ビクビクと、道路の真ん中で血だらけの男が痙攣しています。右手にしっかりと紙切れを握り締めて、笑っています。
現場は大混乱です。男の手足は有り得ない方向に曲がっています。どう見ても助かりそうにありません。
(あれ? あれあれ? 何だか幸せ過ぎて眠くなって来たぞ? あっ! パトラッシュ。僕、凄く眠いんだ。もう、寝てもいいよね?)
カランコロン~♬ カランコロン~♬ カランコロン~♬ と荘厳な鐘の音が男の精神にだけ聞こえて来ました。
どうやら、お迎えが来たようです。来ないよりは来た方がやっぱり良いですよね。天使達に連れられて男は天国へと向かうようです。いいですか? どんなに良い事が起きても、赤信号で道路に飛び出したら駄目ですよ。
♦︎
「うっ…ううっ……まさか、当たったのは夢なのか?」
「いいえ、夢ではありませんよ。確かに盛大に当たりました。大当たりです。おめでとうございます」
(ああ、そうか。ここは病院か。車に轢かれた後に救急車で運ばれたんだな。この声は看護婦さんかな?)
男はベッドの上でゴロリと寝返りを打つと、声のした方向を見ました。看護婦さんではなく、そこに居たのは白い髪と白い制服を着た可愛い女子高生でした。
「えっーと? 研修中の学生さん?」
(高校1年生? いや、2年生ぐらいか。どういう事だ?)
男の隣にはどう見ても高校生ぐらいの可愛い女の子が立っていました。ちょっと不思議な光景に男は戸惑っています。決して、若い女の子が苦手という訳ではありません。
「アルビジアさんが混乱するのはよく分かります。ここは病院ではありません。そうですね。あなたの国で言えば私は閻魔様のようなものでしょうか? ここは魂の裁判所です。ここで天国に行くか、地獄に行くか、または、それ以外の場所に行くかを決める事になります。ご理解いただけましたか?」
「はい、夢の中だという事が十分に分かりました。おかしいと思ったんだよなぁ~。簡単にロト7が当たる訳がないんだよ」
「………」
どうやら、アルビジアはまだまだ混乱しているようです。現実を理解するのに、もうしばらく時間がかかるようです。
(ロト7の抽選日は金曜日だから……だとしたら、起きたら土曜日か。ああ~、週末の仕事は怠いんだよなぁ~)
「どっこいしょ、お世話になりました」
アルビジアはベッドから起き上がると、ペコリ、と女子高生に頭を下げて、帰ろうとします。
(さて、出口は何処かな?)
「ちょっと、何処に行くつもりですか? ここから外に出る事は出来ませんよ。あなたは死んだんです! 死んだんですよ!」
「僕は死にません~~!! 僕は絶対に死んだりしません~~!! だって、あなたの事が好きだから!」
「………」
「………」
勢いで武田鉄矢の真似で告白したら、気まずい沈黙が流れた。最近の女子高生の考えている事は分からん。夢の中なら、女子高生と付き合えると思ったが、駄目なものは駄目らしい。
(さてと、やる事やったから帰るか。それにしても見渡す限りの白だな。雲の上にある病院か?)
目に見えるのは真っ白な石床と雲だけです。どう考えても標高8000メートルの山の上でも、高度1万メートルの飛行機の中でもありません。
(もしかして、ロト7に当たったのは夢じゃなくて、億万長者になったから病院の対応がVIP待遇とか? なら、この女の子はそういうサービスで、ご自由にお使いください的な何かかも♡)
アルビジアの頭の中では制服の女子高生と如何わしい事が起こりそうになっていますが、もう一度説明します。病院ではありません。ここはあの世の裁判所で、この女子高生は女神様です。
「最終警告です。巫山戯るのをやめてください。次に巫山戯たら、ゲイの外国人しかいない地獄に落とします。分かりましたか?」
「はい、分かりました。ご説明をよろしくお願いします」
アルビジアは白い石床に素早く正座すると、額を床に擦りつけて謝罪します。これで女神が、『許しません』と言ったら、靴も舐めそうな勢いですが、それをやったら確実に地獄に落とされます。やめましょう。
「最初からそうしてください。では、質問します。よく思い出して答えてくださいね。あなたが行った良い事を3つ教えてください」
(ゴクリ! ヤバい。いきなり聞かれても全然思い出せない。いや、確かに良い事はしたはずだ。そうだ! あれだ!)
「そうですね。スーパーのレジ付近で前の人がお金を落としたので、一緒に拾いました」
「………」
(どういう事ですか! 良い事じゃないんですか! 何で黙っているんですか! おかしいじゃないですか!)
確かに良い事ですが、それは人として当たり前の事です。もっと誰もが、『それは良い事だ』と思える凄い事だけ話してください。
「えっーと、確か野良猫が海に流されていたので、海に飛び込んで助けました」
「ああ、夏の海水浴場で水着の女の子をいっぱい見て、撮影した帰りのアレですか」
「………」
(どういう事ですか! 知っているなら、どうして聞くんですか! 本当ですよ! 海に野良猫が流されていたんです! 水道の水で濡らしてませんよ! 海水を水道の水で洗い落としたんですよ! 信じてくださいよ! お巡りさん!)
今度はアルビジアが沈黙します。どうやら、もう色々と調べられた後のようです。知っているのなら、わざわざ話しをさせる必要はないと思います。
「えっーと、えっーと」
(どういう事だ? まったく思い出せない。いや、考えるな。そうだ! 作り出せばいい! 他人の美談を話せばいいんだ!)
「橋の上から自殺しよう……」
「もう結構です。次はあなたが行った悪い事を3つ話してください」
残念ながら嘘や作り話を聞くほど、女神様は暇ではありません。今度は悪い事を3つ話さなくてはいけません。でも、もう1つ話したようなものです。あと2つでいいですよ。
「ありません」
「はい?」
「ありません」
「………分かりました。残念ですが、地獄に落とします。お気をつけて」
「ああっ~~~、思い出しました! ××××で×××に××をしました」
「はい、分かりました。地獄に落としますね」
(クッソ! 騙したな! 正直に話したのに、何て女だ。今すぐにベッドに押し倒して、俺の悪い事にお前を加えてやろうか!)
ポチ、ドォン!
「えっ⁉︎ ああぁぁぁぁ~~」
女神様が何かのボタンを押すと、白い石床に突然大穴が空きました。女神様をベッドに押し倒す前に、アルビジアは穴から真っ逆さまに地獄に落ちて行きました。自業自得です。
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ステータス、幸運MAX『999』。つまりはもの凄く運が良いという事です。
宝くじで『10億円』を当てた日に、車に当たった男は、異世界転移して再スタートする。
けれども、本当に幸運が高ければ、幸せになれるのでしょうか?
♦︎
「YES! YES! YES!」
私は夜空に向かって、外国人顔負けのガッツポーズを繰り返していた。通行人に頭のおかしいな奴だと思われたって構わない。だって、私は『ロト7』に当選したのだから。
信じれば夢は叶う。買い続ければいつかは当たる。今日から私は億万長者の仲間入りです。貧乏人の皆様、同僚の皆様、どうもすみません。お先に会社を退職させてもらいます。
ロト7とは、1~37の数字から、7つの数字を選んで当てる宝くじである。
『9・14』『3・24』『6・11』。そして、ロト7とラッキー7の『7』。この魔法の番号の組み合わせで、私は今日、人生の勝利者となった。
「そう、その通り!!」
上戸彩、綾瀬はるか、新垣結衣の誕生日である。これ以上の最強の組み合わせは存在しない。いや、存在を許される訳がない。
(ランランラ~~♬ ランランラ~~♬ 銀行に行こう~♬ ランランラ~~♬ ランランラ~~♬ 銀行で貰おう~♬)
心の中で歌いながら、スキップして銀行に向かう。今日はロト7の優勝パレードだ。
「やあ、そこのお嬢さん。可愛いね。私の愛人にならないかい? やあ、そこお嬢さんも可愛いね。私の2番目の愛人にならないかい?」
手当たり次第に20代の若くて可愛い女の子達に声をかける。今なら10代の女の子でも余裕で私について来るだろう。いや、結婚して欲しいと懇願するだろう。そう、私は億万長者。億万長者なのだ。
さあ、6等の1000円じゃないよ。1等だよ。その辺の宝くじ売り場の窓口じゃ貰えない額だよ。フッフフフ、これが頂点に立つと見える景色か? 何もかもが輝いて見える。
キイィィィ!!! ドォガァーン!!!
「ぐぇ⁉︎」
突然、けたたましい車のブレーキ音と、何かに激しく打つかった衝突音が辺りに響き渡りました。
「きゃあああぁぁ!!!!」
「おい! 頭のおかしいな男が道路に飛び出して、車に轢かれたぞ!」
「救急車! 早く救急車呼んで!」
「違う⁉︎ あの馬鹿が赤信号で飛び出して来たんだよ! 俺じゃない! 俺が悪いんじゃない!」
ビクビク、ビクビク、ビクビクと、道路の真ん中で血だらけの男が痙攣しています。右手にしっかりと紙切れを握り締めて、笑っています。
現場は大混乱です。男の手足は有り得ない方向に曲がっています。どう見ても助かりそうにありません。
(あれ? あれあれ? 何だか幸せ過ぎて眠くなって来たぞ? あっ! パトラッシュ。僕、凄く眠いんだ。もう、寝てもいいよね?)
カランコロン~♬ カランコロン~♬ カランコロン~♬ と荘厳な鐘の音が男の精神にだけ聞こえて来ました。
どうやら、お迎えが来たようです。来ないよりは来た方がやっぱり良いですよね。天使達に連れられて男は天国へと向かうようです。いいですか? どんなに良い事が起きても、赤信号で道路に飛び出したら駄目ですよ。
♦︎
「うっ…ううっ……まさか、当たったのは夢なのか?」
「いいえ、夢ではありませんよ。確かに盛大に当たりました。大当たりです。おめでとうございます」
(ああ、そうか。ここは病院か。車に轢かれた後に救急車で運ばれたんだな。この声は看護婦さんかな?)
男はベッドの上でゴロリと寝返りを打つと、声のした方向を見ました。看護婦さんではなく、そこに居たのは白い髪と白い制服を着た可愛い女子高生でした。
「えっーと? 研修中の学生さん?」
(高校1年生? いや、2年生ぐらいか。どういう事だ?)
男の隣にはどう見ても高校生ぐらいの可愛い女の子が立っていました。ちょっと不思議な光景に男は戸惑っています。決して、若い女の子が苦手という訳ではありません。
「アルビジアさんが混乱するのはよく分かります。ここは病院ではありません。そうですね。あなたの国で言えば私は閻魔様のようなものでしょうか? ここは魂の裁判所です。ここで天国に行くか、地獄に行くか、または、それ以外の場所に行くかを決める事になります。ご理解いただけましたか?」
「はい、夢の中だという事が十分に分かりました。おかしいと思ったんだよなぁ~。簡単にロト7が当たる訳がないんだよ」
「………」
どうやら、アルビジアはまだまだ混乱しているようです。現実を理解するのに、もうしばらく時間がかかるようです。
(ロト7の抽選日は金曜日だから……だとしたら、起きたら土曜日か。ああ~、週末の仕事は怠いんだよなぁ~)
「どっこいしょ、お世話になりました」
アルビジアはベッドから起き上がると、ペコリ、と女子高生に頭を下げて、帰ろうとします。
(さて、出口は何処かな?)
「ちょっと、何処に行くつもりですか? ここから外に出る事は出来ませんよ。あなたは死んだんです! 死んだんですよ!」
「僕は死にません~~!! 僕は絶対に死んだりしません~~!! だって、あなたの事が好きだから!」
「………」
「………」
勢いで武田鉄矢の真似で告白したら、気まずい沈黙が流れた。最近の女子高生の考えている事は分からん。夢の中なら、女子高生と付き合えると思ったが、駄目なものは駄目らしい。
(さてと、やる事やったから帰るか。それにしても見渡す限りの白だな。雲の上にある病院か?)
目に見えるのは真っ白な石床と雲だけです。どう考えても標高8000メートルの山の上でも、高度1万メートルの飛行機の中でもありません。
(もしかして、ロト7に当たったのは夢じゃなくて、億万長者になったから病院の対応がVIP待遇とか? なら、この女の子はそういうサービスで、ご自由にお使いください的な何かかも♡)
アルビジアの頭の中では制服の女子高生と如何わしい事が起こりそうになっていますが、もう一度説明します。病院ではありません。ここはあの世の裁判所で、この女子高生は女神様です。
「最終警告です。巫山戯るのをやめてください。次に巫山戯たら、ゲイの外国人しかいない地獄に落とします。分かりましたか?」
「はい、分かりました。ご説明をよろしくお願いします」
アルビジアは白い石床に素早く正座すると、額を床に擦りつけて謝罪します。これで女神が、『許しません』と言ったら、靴も舐めそうな勢いですが、それをやったら確実に地獄に落とされます。やめましょう。
「最初からそうしてください。では、質問します。よく思い出して答えてくださいね。あなたが行った良い事を3つ教えてください」
(ゴクリ! ヤバい。いきなり聞かれても全然思い出せない。いや、確かに良い事はしたはずだ。そうだ! あれだ!)
「そうですね。スーパーのレジ付近で前の人がお金を落としたので、一緒に拾いました」
「………」
(どういう事ですか! 良い事じゃないんですか! 何で黙っているんですか! おかしいじゃないですか!)
確かに良い事ですが、それは人として当たり前の事です。もっと誰もが、『それは良い事だ』と思える凄い事だけ話してください。
「えっーと、確か野良猫が海に流されていたので、海に飛び込んで助けました」
「ああ、夏の海水浴場で水着の女の子をいっぱい見て、撮影した帰りのアレですか」
「………」
(どういう事ですか! 知っているなら、どうして聞くんですか! 本当ですよ! 海に野良猫が流されていたんです! 水道の水で濡らしてませんよ! 海水を水道の水で洗い落としたんですよ! 信じてくださいよ! お巡りさん!)
今度はアルビジアが沈黙します。どうやら、もう色々と調べられた後のようです。知っているのなら、わざわざ話しをさせる必要はないと思います。
「えっーと、えっーと」
(どういう事だ? まったく思い出せない。いや、考えるな。そうだ! 作り出せばいい! 他人の美談を話せばいいんだ!)
「橋の上から自殺しよう……」
「もう結構です。次はあなたが行った悪い事を3つ話してください」
残念ながら嘘や作り話を聞くほど、女神様は暇ではありません。今度は悪い事を3つ話さなくてはいけません。でも、もう1つ話したようなものです。あと2つでいいですよ。
「ありません」
「はい?」
「ありません」
「………分かりました。残念ですが、地獄に落とします。お気をつけて」
「ああっ~~~、思い出しました! ××××で×××に××をしました」
「はい、分かりました。地獄に落としますね」
(クッソ! 騙したな! 正直に話したのに、何て女だ。今すぐにベッドに押し倒して、俺の悪い事にお前を加えてやろうか!)
ポチ、ドォン!
「えっ⁉︎ ああぁぁぁぁ~~」
女神様が何かのボタンを押すと、白い石床に突然大穴が空きました。女神様をベッドに押し倒す前に、アルビジアは穴から真っ逆さまに地獄に落ちて行きました。自業自得です。
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