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問題です。3時間に1回分裂するスライムを洞窟に閉じ込めて、18時間後に洞窟を訪れて、経験値とお金を荒稼ぎしようとした少年はどうなりますか?
第6話・夏休みの宿題をしなくて許されるのは義務教育の中学校まで。高校生になったら絶対に許されません。
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洞窟をやっと脱出出来ました。草薙の剣をアイテムポーチにしまうと、アイテムポーチから今度は自転車を取り出します。
現在の時刻は午前2時30分を少し過ぎた、暗い深夜です。自転車のライトを点灯すると、町に向かってペダルをゆっくりと漕ぎ出しました。
キュルキュルとペダルを漕いで、草原を抜けて、町に戻ります。急げば、町まで1時間の距離ですが、今は夜中です。ゆっくりと安全運転を心掛けます。
「フゥー、やっぱり娑婆の空気は美味いぜ」
まるで刑務所から出たような感想です。ゲームとマンガ本がある刑務所はないと思いますよ。
「あっ! スマホの確認しなきゃ。どれどれ?」
そういえば、もう洞窟の外です。もう圏外ではないので、電話もメールも送・受信できます。早速友達や家族からメールが来ていないかチェックです。
「おおっ! やっぱり持つべきものは友達だよ。200件以上もメールが来ているよ」
『大丈夫か?』『連絡してくれ!』『何かあったのか?』『警察に連絡するぞ』『心配です。連絡求む』と沢山の心配メールが送られていました。ほんのりと目から熱いもの流れてきます。生きてて良かったです。
「そうだ! これが本来あるべきメールというものだ! だが、何だコレは? これは………何だ!」
数件だけ、おかしなメールが入っていました。それはクロム少年の家族からのものです。
『冷蔵庫のケーキ食べたよ』『ちょっと家族で海外旅行に行ってきます。まだ帰らないでね』『お土産のチョコレート食べました』と妹と母からのメールは、どう読んでもクロム少年を心配している気配が微塵も感じられません。
「ねぇ? 食べ物の賞味期限の心配をするよりも、お兄たんの心配をしようよ。それと海外旅行は家族皆んなで行こうよ」
クロム少年は家の中で妹や母親と口を聞かないような尖った性格ではありません。逆にフレンドリーな性格です。ベタベタと可愛い妹や綺麗な母親に積極的に触れようとする男の子です。いわゆる、シスコン、マザコンと呼ばれる人種です。
キュルキュルと順調に自転車は町に向かって進みます。暗い洞窟で生活していたので、外灯もない暗い草原の道でも、ハッキリと見えます。
「フゥ~~、町の灯りが見えてきた。まだ、4時前か………この時間だと、朝帰りになるのかな?」
多分、家族全員が寝ている時間です。久し振りに家に帰ってきた、お兄たんを歓迎してくれる時間帯ではありません。どう考えても、連絡なしに家の中で物音がしたら、泥棒だと思われてしまいます。少し時間を潰す必要がありそうです。
コンビニで今週のシャンプでも立ち読みするべきか、24時間営業のファミリーレストランに1人で食事するべきか、大いに悩む問題です。
「やっぱり1か月も薬草だけしか食べてないから、美味しい料理が食べたいな」
公園で静かにコンビニ弁当を食べるのもいいですが、お財布携帯の中にはスライムを倒したお金が3万ゴールドほどあります。頑張ったので、ちょっとぐらいは贅沢しても許されるはずです。クロム少年はレストランに入ると、分厚いハンバーグセットを注文しました。
♦︎
「ヒャ~~~、もう食べられません。しばらく、まともな料理を食べてなかったから、もう胃がパンパンだよ」
2~3人分ぐらいの量を食べようと思いましたが、実際は1人分でも多いぐらいでした。それでも、久し振りの肉料理は美味しかったです。
(何だろう? 何故だか、女性店員さんがいつもよりも親切だ)
学校帰りに友達3~4人で来た時は『早く帰れ』オーラが凄いのに、今日は何だか、凄く対応がいいです。その理由はズバリ顔です。
薬草の大量摂取による美顔・美肌効果と、スライム風呂による脂肪吸引ダイエット効果と、クロム少年の顔も身体も整形したように綺麗になっています。若い女性店員もそりゃ~、メロメロです。
帰り際に電話番号やメールアドレスを書いたレシートを渡される可能性大です。
「またのお越しをお待ちしております♡」
でも、そんなにモテた事がないクロム少年は、女性店員の気持ちに気付く訳がありません。レシートはズボンのポケットの中に無造作に入れられてしまいました。きっと、洗濯機にそのまま入れられて、女性の気持ちと一緒にバラバラになってしまうでしょう。
「そろそろ、帰ってもいいよね」
時刻は午前5時を過ぎた辺りです。自宅のポストに、もう新聞も投函されています。お父さんが仕事に出かける為に起きてくる時間です。
「父さんなら、男同士だから話せば分かってくれるはず。さあ、帰ろう!」
やっぱり帰りづらいかったようです。38日間も何処で何をしていたか、きちんと説明するのは難しいです。特にスライムに洞窟に閉じ込められていて、今日、やっと脱出できたなんて本当の事を言っても、嘘だと思われるだけです。いい言い訳を考える必要があります。
♦︎
「父さん、俺………実は洞窟に閉じ込められていたんだ! それでスライムを倒しながら、レベルを上げて、やっと今日、キングスライムを倒して脱出したんだ! 心配かけてゴメンなさい!」
トイレから出てきた、お父さんに向かって、クロム少年は事情を説明します。少年と同じ黒髪美形のお父さんです。洞窟に閉じ込められる前の、中の下の少年の顔と比べたら、親子かどうか疑ってしまう程、似てませんでしたが、今は親子と言っても信じてもらえるでしょう。
「クロム………整形してきたのか?」
お父さんが気になったのはクロム少年の顔だけです。久し振りに帰ってきた息子の顔が良くなっているのです。ついでに頭も良くなれば上出来ですが、欲張っては駄目ですね。
「俺、そんなに顔で悩んだ事ないよ!」
「そうか。まだ、朝も早い。部屋で静かに寝ていなさい」
「はい」
父親なんて所詮こんなものです。妻と娘にはデレデレで、息子にはツンツンです。これ以上、騒いで怒られる前に、言われた通りに部屋で大人しく寝ている事にしましょう。
(こんな無口で無愛想な父さんが、美人の母さんと結婚できたのが本当に不思議だよ)
クロム少年は心の中で父親に対して、失礼な事を思っています。まあ、顔が良ければ、無口でも、性格が多少悪くても、美人と結婚が出来るという事です。
ポフッと、柔らかいベッドの上に倒れ込みます。洞窟の硬い地面とは大違いです。洞窟では、そんなに長い時間寝る事は許されません。洞窟では3時間ごとに起きて、スライムが増え過ぎないように倒し続けないといけませんでした。1回でも寝過ごしてしまうと、それは即、命に関わる最悪の結果に結びついてしまいます。
(ちょっとだけ、ちょっとだけ、眠るだけだから………)
本当は夏休みの宿題を急いで片付けるべきなのですが、今だけは許して欲しいと願う少年なのでした。
現在の時刻は午前2時30分を少し過ぎた、暗い深夜です。自転車のライトを点灯すると、町に向かってペダルをゆっくりと漕ぎ出しました。
キュルキュルとペダルを漕いで、草原を抜けて、町に戻ります。急げば、町まで1時間の距離ですが、今は夜中です。ゆっくりと安全運転を心掛けます。
「フゥー、やっぱり娑婆の空気は美味いぜ」
まるで刑務所から出たような感想です。ゲームとマンガ本がある刑務所はないと思いますよ。
「あっ! スマホの確認しなきゃ。どれどれ?」
そういえば、もう洞窟の外です。もう圏外ではないので、電話もメールも送・受信できます。早速友達や家族からメールが来ていないかチェックです。
「おおっ! やっぱり持つべきものは友達だよ。200件以上もメールが来ているよ」
『大丈夫か?』『連絡してくれ!』『何かあったのか?』『警察に連絡するぞ』『心配です。連絡求む』と沢山の心配メールが送られていました。ほんのりと目から熱いもの流れてきます。生きてて良かったです。
「そうだ! これが本来あるべきメールというものだ! だが、何だコレは? これは………何だ!」
数件だけ、おかしなメールが入っていました。それはクロム少年の家族からのものです。
『冷蔵庫のケーキ食べたよ』『ちょっと家族で海外旅行に行ってきます。まだ帰らないでね』『お土産のチョコレート食べました』と妹と母からのメールは、どう読んでもクロム少年を心配している気配が微塵も感じられません。
「ねぇ? 食べ物の賞味期限の心配をするよりも、お兄たんの心配をしようよ。それと海外旅行は家族皆んなで行こうよ」
クロム少年は家の中で妹や母親と口を聞かないような尖った性格ではありません。逆にフレンドリーな性格です。ベタベタと可愛い妹や綺麗な母親に積極的に触れようとする男の子です。いわゆる、シスコン、マザコンと呼ばれる人種です。
キュルキュルと順調に自転車は町に向かって進みます。暗い洞窟で生活していたので、外灯もない暗い草原の道でも、ハッキリと見えます。
「フゥ~~、町の灯りが見えてきた。まだ、4時前か………この時間だと、朝帰りになるのかな?」
多分、家族全員が寝ている時間です。久し振りに家に帰ってきた、お兄たんを歓迎してくれる時間帯ではありません。どう考えても、連絡なしに家の中で物音がしたら、泥棒だと思われてしまいます。少し時間を潰す必要がありそうです。
コンビニで今週のシャンプでも立ち読みするべきか、24時間営業のファミリーレストランに1人で食事するべきか、大いに悩む問題です。
「やっぱり1か月も薬草だけしか食べてないから、美味しい料理が食べたいな」
公園で静かにコンビニ弁当を食べるのもいいですが、お財布携帯の中にはスライムを倒したお金が3万ゴールドほどあります。頑張ったので、ちょっとぐらいは贅沢しても許されるはずです。クロム少年はレストランに入ると、分厚いハンバーグセットを注文しました。
♦︎
「ヒャ~~~、もう食べられません。しばらく、まともな料理を食べてなかったから、もう胃がパンパンだよ」
2~3人分ぐらいの量を食べようと思いましたが、実際は1人分でも多いぐらいでした。それでも、久し振りの肉料理は美味しかったです。
(何だろう? 何故だか、女性店員さんがいつもよりも親切だ)
学校帰りに友達3~4人で来た時は『早く帰れ』オーラが凄いのに、今日は何だか、凄く対応がいいです。その理由はズバリ顔です。
薬草の大量摂取による美顔・美肌効果と、スライム風呂による脂肪吸引ダイエット効果と、クロム少年の顔も身体も整形したように綺麗になっています。若い女性店員もそりゃ~、メロメロです。
帰り際に電話番号やメールアドレスを書いたレシートを渡される可能性大です。
「またのお越しをお待ちしております♡」
でも、そんなにモテた事がないクロム少年は、女性店員の気持ちに気付く訳がありません。レシートはズボンのポケットの中に無造作に入れられてしまいました。きっと、洗濯機にそのまま入れられて、女性の気持ちと一緒にバラバラになってしまうでしょう。
「そろそろ、帰ってもいいよね」
時刻は午前5時を過ぎた辺りです。自宅のポストに、もう新聞も投函されています。お父さんが仕事に出かける為に起きてくる時間です。
「父さんなら、男同士だから話せば分かってくれるはず。さあ、帰ろう!」
やっぱり帰りづらいかったようです。38日間も何処で何をしていたか、きちんと説明するのは難しいです。特にスライムに洞窟に閉じ込められていて、今日、やっと脱出できたなんて本当の事を言っても、嘘だと思われるだけです。いい言い訳を考える必要があります。
♦︎
「父さん、俺………実は洞窟に閉じ込められていたんだ! それでスライムを倒しながら、レベルを上げて、やっと今日、キングスライムを倒して脱出したんだ! 心配かけてゴメンなさい!」
トイレから出てきた、お父さんに向かって、クロム少年は事情を説明します。少年と同じ黒髪美形のお父さんです。洞窟に閉じ込められる前の、中の下の少年の顔と比べたら、親子かどうか疑ってしまう程、似てませんでしたが、今は親子と言っても信じてもらえるでしょう。
「クロム………整形してきたのか?」
お父さんが気になったのはクロム少年の顔だけです。久し振りに帰ってきた息子の顔が良くなっているのです。ついでに頭も良くなれば上出来ですが、欲張っては駄目ですね。
「俺、そんなに顔で悩んだ事ないよ!」
「そうか。まだ、朝も早い。部屋で静かに寝ていなさい」
「はい」
父親なんて所詮こんなものです。妻と娘にはデレデレで、息子にはツンツンです。これ以上、騒いで怒られる前に、言われた通りに部屋で大人しく寝ている事にしましょう。
(こんな無口で無愛想な父さんが、美人の母さんと結婚できたのが本当に不思議だよ)
クロム少年は心の中で父親に対して、失礼な事を思っています。まあ、顔が良ければ、無口でも、性格が多少悪くても、美人と結婚が出来るという事です。
ポフッと、柔らかいベッドの上に倒れ込みます。洞窟の硬い地面とは大違いです。洞窟では、そんなに長い時間寝る事は許されません。洞窟では3時間ごとに起きて、スライムが増え過ぎないように倒し続けないといけませんでした。1回でも寝過ごしてしまうと、それは即、命に関わる最悪の結果に結びついてしまいます。
(ちょっとだけ、ちょっとだけ、眠るだけだから………)
本当は夏休みの宿題を急いで片付けるべきなのですが、今だけは許して欲しいと願う少年なのでした。
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