25 / 42
宝くじで『10億円』を当てた日に、車にも当たりました。一度は地獄に落とされたけど、女神の力で幸運MAX『999』で異世界再スタート!
第12話・アルビジア倒れる
しおりを挟む
「ほう、避けずに盾で防ぐか。流れ魔法が町の住民に当たるのは心配か? 随分と余裕だな」
「………」
(まったく野蛮人共め。『ステータス→装備→聖鎧エクスアーマー』 よし! これで俺だけは生き残れる)
⚫︎聖鎧エクスアーマー 『防御力+999』『魔法防御力+999』 最高神とその眷属の為に作られた至高の鎧。あらゆる攻撃からその者を守る力がある。
さすがはアルビジアです。たとえ攻撃を喰らっても、この聖鎧を装備していれば、ダメージ『1』です。HPが『1000』もあるので、1000回攻撃を喰らわないと死なないでしょう。最強の盾と最強の鎧を装備して、勇敢にゴロツキ共と戦います。勇敢に。
「行くぞ! 爆砕拳!」
1人のゴロツキが無謀にも特攻を仕掛けてきました。ドガァ、ドガァ、ドガァ、ドガァ! と男の拳がアルビジアの身体に打つかった瞬間に爆発を起こします。この爆砕拳を喰らって、平気な人間はいないはずですが……。
「フゥ~~~、それで終わり?」
ああ~、平気な人間がここにいました。
「くっ! まだまだ!!! オラオラオラオラオラオララララ!!!」
拳、肘打ち、膝蹴り、頭突きと使える場所は全て使って攻撃します。けれども、ボロボロになるのは攻撃している自分の身体の方です。
「フゥ~~~、無駄だ。パンチの打ち方を教えてやるよ。身体に直接な」
ステータス画面を開いて、装備から聖剣エクスカリバーを選びました。右手に装備すると、思い切り男の顔を聖剣の平たい刀身で殴りつけました。
「グゥフッ!!」
「パンチじゃなかったぞ⁉︎」「パンチじゃなかったよな?」「パンチじゃないぞ!」
見れば誰でも分かります。パンチじゃありません。『攻撃力+999』の剣で顔面をぶっ叩いただけです。自称・格闘系スキルを極めた男はビクビクと、泡を吹いて地面の上で痙攣しています。
(フッフフフ、まるでゴキブリだ。俺の前ではどんな奴も虫ケラ同然に叩き潰せる)
剣で斬られようと、矢で射られようと、ハンマーで叩かれようと、ダメージ『1』です。笑いが止まらないとはこの事です。
「この化け物め! 《ポイズンダガー》!」
ザァン、ザァン! と猛毒を付加した短剣がアルビジアの身体を2回削ります。けれども、たったのダメージ『2』です。
「はい、無駄な抵抗ご苦労様です。さっさと死んじゃってください」
「ゴォハァ!」
ブン、ガァン! と聖剣を振り回して、毒剣使いを一撃で戦闘不能にしました。
まったくダメージを気にしていないので、直接向かって来る相手には、ノーガード状態でわざと攻撃を喰らって、相手の攻撃後の隙を狙って倒していきます。
「くっ! その剣は間違いなく聖剣エクスカリバー。まさか、勇者が誕生していたとは知りませんでしたよ。聖都の聖剣を手にする者が現れたら、至急報告するように指示していたのに、あの無能共め!」
いえいえ、聖都の聖剣はまだ誰も手に入れていません。聖剣を監視している仲間達はしっかり仕事しています。アルビジアが持っているのは、聖剣は聖剣でも、大量生産された量産品のようなものです。まだアイテムボックスに9本もあります。
「もう降参したらどうなんだ? 悪いが俺はお前達が想像している数百倍は強いと思うぞ。これ以上は無用な怪我人を増やすだけになる。さあ、お前がリーダーだろ。早く決めるんだな」
「………ええ、お言葉に甘えてそうしましょうか。お前達! 勇者様を全力で足止めしろ! 有効なダメージを与える事が出来ないのなら、状態異常でも、住民を攻撃してもいい、とにかく何でもいい、手段を選ばずに時間を稼ぎなさい!」
メフィトは手下を残して、金髪女と神像を持って逃げるようです。そんな事をアルさんが許す訳がありません。
(馬鹿馬鹿しい。スキル《念力》で浮かせられるのは武具だけじゃないぞ。空を飛べる私から逃げられるものか)
ドォン、ドォン! パァリン!
「きゃあああ!!」「助けてくれぇ~!」「逃げろ! 殺されるぅ!」
アルビジアが念力を使う前に、残った手下達が住民達を無差別に襲い始めました。倒せない相手と無駄に戦うよりは、確かにこっちの方が時間稼ぎには効果的です。
「なっ! この町にはまともに戦える奴が1人もいないのか? 防戦どころか、逃げる事も満足に出来ていないじゃないか!」
町の住民達が戦えないのは仕方ない事です。この世界の平均的なレベルは20~30ぐらいです。ほとんどの人がスキルを『2~3個』しか獲得しません。
そして、獲得出来るスキルの候補はランダムです。戦闘系スキル、生産系スキル、超能力系スキルとその種類も様々ですが、獲得出来るスキルのほとんどが、生産系スキルです。わざわざレベル100まで頑張って、欲しいスキルが出るまで粘る人はそう多くはいません。
アルビジアのように、大量のスキルの中から自由に選べるのは、幸運MAXの力があるからなのです。
「仕方ない。まずは町の住民を助ける方が先か。念力で敵の動きを拘束して、一撃で倒す。この俺をここまで怒らせて逃げられると思うなよ!」
スキル《念力》の威力は、聖剣エクスカリバーの『魔法攻撃力+500』によって強化されています。視界に入ったゴロツキは片っ端から念力で引き寄せて、聖剣の一振りで叩き潰します。
「何だ⁉︎ 身体が勝手に浮かんで! ギャア!!」
ドォシン! もう残りのゴロツキは片手で数える程度になりましたが、逃げもせずに、まだ暴れ回っているようです。これでは最後の1人を倒すまで、安心して連れ去られた姫様を追う事は出来そうにないです。
(ハァ、ハァ、ハァ、念力の使い過ぎでMPが切れそうなのか? 頭と身体が怠い。装備ばかり作って、回復アイテムを1つも持ってないから結構ヤバい状態だな。早く何とかしないと)
念力の使い過ぎも原因の1つですが、暴れているゴロツキを倒すのに集中し過ぎて、自分のステータスをしっかりと確認出来ていないようです。現在の幸運が『1』だという事が本当の意味で分かっていないようです。
♦︎
「ハァ、ハァ、お前で最後だ。一応は聞くが、あの男が逃げた場所を喋るつもりはないか」
「なあ、勇者様よ。もしもどんな願いも1つだけ叶えられるとしたら、あんたならどんな願いを叶えたい? ヘッヘッヘッ、頼むから世界中の皆んなが幸せに暮らせますようにとか、興醒めさせるような事は言わないでくれよ」
「ハァ~、馬鹿らしい。本当に叶えて欲しい願いは叶わないように出来ているものだ。あの神像の神様が叶えてくれると思っているのなら、諦めるんだな。それと………つまらないお喋りで時間稼ぎは出来ない」
念力で身体の動きを拘束すると、動けない相手にズバァンと、聖剣を振り下ろしました。
「がぁはっ!」
「ハァ、ハァ、これで町は安全だ。さっさとMPを回復しないと……」
ドォタァ、とアルビジアは力尽きて地面に倒れてしまいました。MPは『500→65』まで減少していますが、倒れた原因はそれではありません。
「ぐぅっ、どういう事だ? HP『25』?? ………まさか!」
ステータスを隅々まで確認して、やっと気付いたようです。ゴロツキの1人に《ポイズンダガー》で2回斬られていました。
幸運『1』という数字の意味は、良い事が起きる確率が低くなるという意味と、悪い事が起きる確率が高くなるという、2つの意味があります。
「くぅっっっ、早く毒を何とかしないと、追いかける前に死んでしまう。道具屋、病院は何処にあ……る…」
アルビジアの命は風前の灯火のようです。残りHPは10を切っています。大きな力を手に入れて油断したのか、連れ去られた女性を助けるのに頭が一杯になっていたのか。
(また、助けられないのか? 目の前の女さえも……)
薄れゆく意識の中で、現世の記憶が蘇ります。女神によって、消された忌まわしき記憶が。
♦︎
「………」
(まったく野蛮人共め。『ステータス→装備→聖鎧エクスアーマー』 よし! これで俺だけは生き残れる)
⚫︎聖鎧エクスアーマー 『防御力+999』『魔法防御力+999』 最高神とその眷属の為に作られた至高の鎧。あらゆる攻撃からその者を守る力がある。
さすがはアルビジアです。たとえ攻撃を喰らっても、この聖鎧を装備していれば、ダメージ『1』です。HPが『1000』もあるので、1000回攻撃を喰らわないと死なないでしょう。最強の盾と最強の鎧を装備して、勇敢にゴロツキ共と戦います。勇敢に。
「行くぞ! 爆砕拳!」
1人のゴロツキが無謀にも特攻を仕掛けてきました。ドガァ、ドガァ、ドガァ、ドガァ! と男の拳がアルビジアの身体に打つかった瞬間に爆発を起こします。この爆砕拳を喰らって、平気な人間はいないはずですが……。
「フゥ~~~、それで終わり?」
ああ~、平気な人間がここにいました。
「くっ! まだまだ!!! オラオラオラオラオラオララララ!!!」
拳、肘打ち、膝蹴り、頭突きと使える場所は全て使って攻撃します。けれども、ボロボロになるのは攻撃している自分の身体の方です。
「フゥ~~~、無駄だ。パンチの打ち方を教えてやるよ。身体に直接な」
ステータス画面を開いて、装備から聖剣エクスカリバーを選びました。右手に装備すると、思い切り男の顔を聖剣の平たい刀身で殴りつけました。
「グゥフッ!!」
「パンチじゃなかったぞ⁉︎」「パンチじゃなかったよな?」「パンチじゃないぞ!」
見れば誰でも分かります。パンチじゃありません。『攻撃力+999』の剣で顔面をぶっ叩いただけです。自称・格闘系スキルを極めた男はビクビクと、泡を吹いて地面の上で痙攣しています。
(フッフフフ、まるでゴキブリだ。俺の前ではどんな奴も虫ケラ同然に叩き潰せる)
剣で斬られようと、矢で射られようと、ハンマーで叩かれようと、ダメージ『1』です。笑いが止まらないとはこの事です。
「この化け物め! 《ポイズンダガー》!」
ザァン、ザァン! と猛毒を付加した短剣がアルビジアの身体を2回削ります。けれども、たったのダメージ『2』です。
「はい、無駄な抵抗ご苦労様です。さっさと死んじゃってください」
「ゴォハァ!」
ブン、ガァン! と聖剣を振り回して、毒剣使いを一撃で戦闘不能にしました。
まったくダメージを気にしていないので、直接向かって来る相手には、ノーガード状態でわざと攻撃を喰らって、相手の攻撃後の隙を狙って倒していきます。
「くっ! その剣は間違いなく聖剣エクスカリバー。まさか、勇者が誕生していたとは知りませんでしたよ。聖都の聖剣を手にする者が現れたら、至急報告するように指示していたのに、あの無能共め!」
いえいえ、聖都の聖剣はまだ誰も手に入れていません。聖剣を監視している仲間達はしっかり仕事しています。アルビジアが持っているのは、聖剣は聖剣でも、大量生産された量産品のようなものです。まだアイテムボックスに9本もあります。
「もう降参したらどうなんだ? 悪いが俺はお前達が想像している数百倍は強いと思うぞ。これ以上は無用な怪我人を増やすだけになる。さあ、お前がリーダーだろ。早く決めるんだな」
「………ええ、お言葉に甘えてそうしましょうか。お前達! 勇者様を全力で足止めしろ! 有効なダメージを与える事が出来ないのなら、状態異常でも、住民を攻撃してもいい、とにかく何でもいい、手段を選ばずに時間を稼ぎなさい!」
メフィトは手下を残して、金髪女と神像を持って逃げるようです。そんな事をアルさんが許す訳がありません。
(馬鹿馬鹿しい。スキル《念力》で浮かせられるのは武具だけじゃないぞ。空を飛べる私から逃げられるものか)
ドォン、ドォン! パァリン!
「きゃあああ!!」「助けてくれぇ~!」「逃げろ! 殺されるぅ!」
アルビジアが念力を使う前に、残った手下達が住民達を無差別に襲い始めました。倒せない相手と無駄に戦うよりは、確かにこっちの方が時間稼ぎには効果的です。
「なっ! この町にはまともに戦える奴が1人もいないのか? 防戦どころか、逃げる事も満足に出来ていないじゃないか!」
町の住民達が戦えないのは仕方ない事です。この世界の平均的なレベルは20~30ぐらいです。ほとんどの人がスキルを『2~3個』しか獲得しません。
そして、獲得出来るスキルの候補はランダムです。戦闘系スキル、生産系スキル、超能力系スキルとその種類も様々ですが、獲得出来るスキルのほとんどが、生産系スキルです。わざわざレベル100まで頑張って、欲しいスキルが出るまで粘る人はそう多くはいません。
アルビジアのように、大量のスキルの中から自由に選べるのは、幸運MAXの力があるからなのです。
「仕方ない。まずは町の住民を助ける方が先か。念力で敵の動きを拘束して、一撃で倒す。この俺をここまで怒らせて逃げられると思うなよ!」
スキル《念力》の威力は、聖剣エクスカリバーの『魔法攻撃力+500』によって強化されています。視界に入ったゴロツキは片っ端から念力で引き寄せて、聖剣の一振りで叩き潰します。
「何だ⁉︎ 身体が勝手に浮かんで! ギャア!!」
ドォシン! もう残りのゴロツキは片手で数える程度になりましたが、逃げもせずに、まだ暴れ回っているようです。これでは最後の1人を倒すまで、安心して連れ去られた姫様を追う事は出来そうにないです。
(ハァ、ハァ、ハァ、念力の使い過ぎでMPが切れそうなのか? 頭と身体が怠い。装備ばかり作って、回復アイテムを1つも持ってないから結構ヤバい状態だな。早く何とかしないと)
念力の使い過ぎも原因の1つですが、暴れているゴロツキを倒すのに集中し過ぎて、自分のステータスをしっかりと確認出来ていないようです。現在の幸運が『1』だという事が本当の意味で分かっていないようです。
♦︎
「ハァ、ハァ、お前で最後だ。一応は聞くが、あの男が逃げた場所を喋るつもりはないか」
「なあ、勇者様よ。もしもどんな願いも1つだけ叶えられるとしたら、あんたならどんな願いを叶えたい? ヘッヘッヘッ、頼むから世界中の皆んなが幸せに暮らせますようにとか、興醒めさせるような事は言わないでくれよ」
「ハァ~、馬鹿らしい。本当に叶えて欲しい願いは叶わないように出来ているものだ。あの神像の神様が叶えてくれると思っているのなら、諦めるんだな。それと………つまらないお喋りで時間稼ぎは出来ない」
念力で身体の動きを拘束すると、動けない相手にズバァンと、聖剣を振り下ろしました。
「がぁはっ!」
「ハァ、ハァ、これで町は安全だ。さっさとMPを回復しないと……」
ドォタァ、とアルビジアは力尽きて地面に倒れてしまいました。MPは『500→65』まで減少していますが、倒れた原因はそれではありません。
「ぐぅっ、どういう事だ? HP『25』?? ………まさか!」
ステータスを隅々まで確認して、やっと気付いたようです。ゴロツキの1人に《ポイズンダガー》で2回斬られていました。
幸運『1』という数字の意味は、良い事が起きる確率が低くなるという意味と、悪い事が起きる確率が高くなるという、2つの意味があります。
「くぅっっっ、早く毒を何とかしないと、追いかける前に死んでしまう。道具屋、病院は何処にあ……る…」
アルビジアの命は風前の灯火のようです。残りHPは10を切っています。大きな力を手に入れて油断したのか、連れ去られた女性を助けるのに頭が一杯になっていたのか。
(また、助けられないのか? 目の前の女さえも……)
薄れゆく意識の中で、現世の記憶が蘇ります。女神によって、消された忌まわしき記憶が。
♦︎
応援ありがとうございます!
0
お気に入りに追加
88
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる