警視庁公安部・女性遺棄遺体捜査係

【紋舞らん】事件

　今日こそは誰も犠牲者が出ないだろうと安心して眠ろうとしていた藤森警部補の携帯電話に緊急の連絡がやって来た(田代警視から)！パジャマを脱ぎ捨て、急いで田代警視の待つ現場に急行するのだった。

　所轄の刑事「被害者の名前は紋舞らん・27歳・芸者でしたが、現在は薬丸組組長・薬丸博英(やくまるひろひで)・53歳の愛人をやっています」とハキハキと報告しました。

　藤森警部補「黒の着物ですね。これも薬丸の趣味なんですかね(高価そう)？それに護身用にしては物騒なものを持ち歩いていたようだ(本物か)！」と被害者女性が着ている着物は300万円近くの京都の老舗が取り扱っている高級品です。

　田代警視「確かに女性が護身用に日本刀を持ち歩くのは感心しませんねぇ。それよりも隣に倒れている男性の名前を伺ってもよろしいですか(報告を)？」と所轄の刑事に、被害者女性の隣で倒れているなかなかの美男子のことを聞いてみました。

　所轄の刑事「えっ～と。被害者男性の名前は田口隼之助(たぐちじゅんのすけ)・33歳・薬丸組の下っ端構成員です。被害者女性の付き人をしていたようですが、今回は運悪く巻き添えになったようです」とハキハキと報告しました。

　田口警視「どうもありがとう。そういえば、通報した人物が見当たらないですねぇ(キョロキョロ)？」と辺りを見回してから、所轄の刑事に聞いてみました。

　所轄の刑事「組関係の事件なので、関わりたくなかったのでしょう。『人がしゃんでましゅ。○○町の公園のはやしゃの中でしゅ。』と言い残すと、すぐに電話を切ってしまいました」と通報者の真似をして報告しました。

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　薬丸組の本部がある屋敷では、本木組組長・本木雅博(もときまさひろ)・53歳。そして、布川組組長・布川俊和(ふかわとしかず)・53歳が集まって、総会を開いていた。

　下っ端組員「てめぇ～マッポのクセにここが何処か分かってんのかぁ～(熱いな)？さっさと出て行かねぇと、捌くぞオラァ～(三枚下ろし)！」と白のオヤジシャツと茶色腹巻きのヤクザ者が玄関から藤森警部補の足に掴まりながら、屋敷の廊下を引き摺られて行きます。

　田代警視「おやおや(殺気が凄い)？お取り込み中でしたか(睨み合い)？薬丸組長ですね。亡くなった紋舞らんさんの事で１つお聞きしたい事が(誰にしましょう)！」と組長3人が睨み合っている緊迫した現場に遭遇してしまいました。

　薬丸組長「丁度良かったよ刑事さん。この2人の中に俺の愛人を殺した犯人がいるんだよ(布川・本木)！どっちが殺したか教えてくれないか(今すぐに)？」と顔に青筋を立てて、短刀を畳に突き刺した薬丸組長が田代警視に聞いてきました。

　田代警視「では簡単な質問を１つだけ(すぐに終わります)？薬丸さんが商売で扱っているお薬の中で紋舞らんさん、もしくは田口隼之助さんが管理しているものが無くなっていませんか(違法薬物)！」と正面から薬丸組長を目を見つめて聞いてみました。

　薬丸組長「あっははは。刑事さん面白い冗談だが、私はそんな物に手を出していませんよ(油断出来ないな)！」と笑顔で田代警視の質問を受け流しましたが、目だけは違いました。

　田代警視「ふっふふ。どうもありがとう。犯人はあなたですよ薬丸さん～(ブチ切れ)！あなたの愛人は若い男に走り、その時に薬を使ったことで精神が錯乱したんですよ～(不純物)！それを止めようとした田口さんが彼女が持っていた日本刀で斬り殺されてしまった。それが事件の真実ですよ(悲劇です)！その短刀で犯人を殺したいのなら、さっさと自分の腹を刺してみなさい。身勝手もいい加減にしなさいよ～(逮捕します)‼︎」と短刀を手放して、頭を抱え込む薬丸組長を所轄の刑事達に任せて去っていきました。

　次回【及川奈央】事件