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生二十八話 お菓子買ってきたよ

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「てりやー‼︎」

 しゃがんだ状態での扉体当たりだ。ドンといい音が鳴るけど、扉はビクともしない。
 かなり重たい物で扉を塞いでいるようだ。中に入るには扉を壊すしかない。

「痛たたた……コネコ、お菓子買ってきたから開けてよ。甘くて美味しいよ」

 でも、壊すのは嫌だし、壊すには体力と時間がいる。
 こんな事してないで、さっさとラナさんに枷をしに戻った方がいい。
 だけど、女には絶対に負けられない戦いがある。

「ねえ、コネコ。早く開けてよ。開けてくれないとお菓子あげないよ」
「…………」
「ほらー、お菓子だよ。お菓子好きだよね? お魚の形をしたパンみたいなお菓子だよ。何だろねえー?」
「…………」

 よし、強行突入しよう。チャンスはあげたけど、返ってきたのは無言の抵抗だった。
 包丁小を二本用意して、扉に切っ先を向けて縦一列に並べた。
 これで準備完了だ。包丁に触れて命じると、上の扉の中に避難した。

 二本の包丁が光り出し、グググッと細長い冷蔵庫の形に膨らんでいく。
 冷蔵庫の頭が扉に触れても、さらに膨らんで扉を押していく。
 この私から逃げられると思ったら大間違いだ。

「あわわわわっっ⁉︎」

 何か扉の中が騒がしい。やっぱり居た。
 捕まえて、こちょぐりの刑だ。たっぷりと後悔させてあげる。
 パァカンと扉が二連冷蔵庫によって押し開けられた。

「包丁小……あれ? 駄目なんだ」

 手に触れないと変わらないみたいだ。
 上から光り続ける冷蔵庫にお願いしたのに、冷蔵庫のままだ。
 完全に変化しないと駄目なのか分からないけど、触れれば分かる。
 下に降りると扉にはまって変化途中の冷蔵庫に触れてみた。

「包丁小」

 あっ、今度は大丈夫みたいだ。膨らんでいた冷蔵庫が今度は縮み始めた。
 これでちょっと賢くなった。手に触れないと変化しないだ。

「さてと……」

 床に落ちている包丁小を二本を拾うと、開いた扉の中を見た。
 これで扉を塞いでいたようだ。真っ白なベッドに白い枕が二個乗っている。この汚ベッドは即交換だ。
 しかも、部屋の壁がピンクで、家具は白の可愛い部屋だ。オジサンが住むような部屋じゃない。

「コネコ、お菓子食べるよね?」
「にゃああああ‼︎」

 包丁二本持って気色可愛い部屋に入ると、部屋の隅でペトラを抱き締めてブルブル震えているコネコに訊いた。
 泣き叫んで返事したから、きっと泣くほど好きみたいだ。もちろんお菓子持ってないけどね。

「へぇー、こっちがトイレで、こっちがお風呂なんだぁー」

 包丁二本持って汚部屋の内見だ。天井も高くて広い部屋には扉が二つあった。
 二つの扉を開けてみると黒に近い灰色の石造りの部屋に、白い陶器の便器と浴槽が置かれていた。
 流石はロリコンだ。この部屋を作るには相当なお金が必要だ。危ない薬でボロ儲けしている。

「さ・て・と」
「ひいい!」

 これから住む家の内見は済んだので、コネコの方を振り向いた。
 まだブルブル震えている。いや、プルプルかもしれない。
 まあ、どっちでもいい。包丁二本を左胸にしまうと近づいた。

「グゥヘヘヘヘ♪ 覚悟はいいね?」
「にゃああああ‼︎」

 両手の指をクネクネ動かして、変態みたいな笑みを浮かべてコネコに襲い掛かった。
 ピカピカの薄茶色の木床に押し倒すと、コチョコチョと脇と脇腹をくすぐりまくる。

「やあぁ! いやぁー! にゃはは! そ、そこは駄目ぇぇ!」

 ついでに腹や胸もくすぐりまくる。さらに追加で胸は念入りに揉みまくる。
 おっぱいはあるけど、おっぱいじゃないから、私はおっぱいに飢えている。

「ハァハァ! このぉ、このぉ、おっぱいめ!」
「あっ、はっ、んっ……!」

 コネコのおっぱいに恨みはない。ただ凄く羨ましいだけだ。
 むにゅん、むにゅんととにかく柔らかい。
 こんなの脂肪の塊なのに、触り心地が良くてやめ時が分からない。
 毎日は嫌だけど、週四ぐらいで揉みたくなる良さだ。

「ふぅ~、今日はこの辺かな♪」
「あぅ、はっはっ……」

 両手が疲れたから、もうマッサージ終了だ。これ以上は逆にお金を貰いぐらいだ。
 騒ぎすぎてぐったりしているコネコを床に解放してあげた。
 時間潰しも出来たし、今からラナさんの家に戻っても余裕がある。
 今度は大人おっぱいでも揉んで、魔女になるまで時間潰しだ。

 でも、その前にトイレを借りておこう。
 ラナさんの所の共有汚トレイを使うよりは、こっちの汚トイレの方がまだ綺麗だ。

 ジャアアアア。

「ふぅー、スッキリした」

 流石はロリコンのトイレだ。水も流れたし、紙も綺麗だった。
 心も身体もリフレッシュできたから、これで万全の状態で部屋待機できる。
 よし、さっさとラナさんのおっぱいを揉みに行こう。

 決意を胸に地下部屋の二重扉を閉めて、キチンと床蓋をして、引き出しまで棚に戻した。
 枷と必要な薬は冷蔵庫に入れて、鍵束持って、監禁薬部屋の鍵をしっかり閉めた。
 店の中に寝ている猿と坊主は放置して、店の出入り口の扉の鍵も閉めた。

 これで変態オヤジ集団が戻ってきても、簡単に店の中には入れない。
 もしも無理矢理入ったのなら、今度こそ強盗としてこっちの警察に突き出してやる。
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