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第5章 再開を信じて〔太郎の視点〕
38 第5章第12話 想いの実り
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みんなの鉛筆を差し込んだプロジェクターのような機械からの眩しい光は、ゆっくりと変化してきたんだ。
「……ん?……何となく光が落ちついてきたような気がする……」
ぼくが、そんなことを考えていると、今度は不思議な音が聞こえて来た。
どうも、音というより、それは声と言った方が近い気がした。
『……な……、……なさ……、みなさ……、こんちは。………しは、……よ……です』
同時に、その落ち着いた光が、今度はだんだん立体的で何かに見えるように形作られてきた。
たぶんプロジェクターが映し出した立体映像だ。ぼくは、前に映画で見たことがあるんだ。そして、それが1人の女の人に見え出してくると、ぼくは叫ばずにはいられなかった。
「美代乃さん!」
ほとんど同時にしーちゃんもミー姉ちゃんも、「「「みょんちゃーん!」」」と、叫んでいた。
みんなは、椅子から立ち上がり、駆けだしそうになっていた。ミー姉ちゃんが、我一番に飛びついたが、光の中を素通りして、壁際まで行ってしまった。
「あ、ごめんね」
悟さんが、頭を掻きながら簡単に説明してくれた。
「これは、スーパーフォトグラフィックで、実態はここにはないんだ。でも、偽物じゃあないよ。まあ、テレビ電話の立体映像版って考えてもらっていいよ!」
「で、で、でも、美代乃さんって、100年も前の人だから、……ああ……ビデオなのかな?」
「まさか、100年前にビデオがある訳ないじゃない。それに、あったとして、今まで残ってる訳がないでしょ……」
ミー姉ちゃんが、自分にでも言い聞かせるように呟いたんだ。
「じゃあ……」
しーちゃんも頭を抱えていた。
すると悟さんが、「僕の光工学と三成実ちゃんの機械工学、それに三角軸の鉛筆のお陰かな。それより、あんまり時間が取れないんだ、美代乃さん、早く話をお願いします」と、ちょっと自慢げに言った。
すると、光の中の立体映像、あの美代乃さんは、心配そうに話し出したんだ。やっぱり、今実際に会話しているようなやり取りなんだ。
「……はい、分かりました。……私は、みなさんと会ったあの後、学校を作りました。私は、この先いつまでこの学校を見守れるか心配です。だから、先日会ったあなた達にもう1度会って、話がしたかったのです。私の学校は、あれでよかったのですか? 私は、それだけが心配で……」
ぼくは、不思議に思った。美代乃さんは、ぼく達が未来から来たことを知っていたのかな?……ぼくは、思い切って聞いてみた。
「どうして、美代乃さんは、ぼく達にそんなことを聞くのですか?」
すると光の中の美代乃さんは、少し迷いながらも笑顔で続けてくれた。
「最初に出会った時から、私は何となく感じたの。あなた達は、私の迷いを解決に来たんじゃないかなって。だから、いろんなことを話したし、いろんなものも見てもらったわ。そして、お話をして、私の迷いもなくなったの。……でも、やっぱり寂しいの、もう2度とあなた達に会えない思うと…………」
本当に最後は、寂しそうにしていた。
すると、しーちゃんが、持ち前の元気さを十分に発揮して、「大丈夫ですよ、きっとまた会えますから!」と、大きな声で、しっかりとした、力のこもった返事をしたんだ。
そして、きっと美代乃さんにとっては、とても嬉しいのではないかと思うようなことも伝えたんだ。
「美代乃さんの作ってくれた虹ヶ丘小学校は、わたし達の大切な学びの場になっています。わたし達は、自分の学びたいことを学びながら、楽しい毎日を送っているんですよ。それに、美代乃さん、きっとまた、私達にいつか会えますよ。心配しないでください」
ここまで、黙って聞いていた光の中の美代乃さんは、すーっと見えなくなってしまった。
「時間切れです」
そして、悟さんは静かに続けた。
「ご協力ありがとうございます。実は、ここ数カ月、僕は同じ夢を見てました。僕の知らない美代乃さんと言う人が、今みたいに僕に問いかけて来るんです。そこで僕は、そのことを三成実ちゃんとみよおばあちゃんに相談してたんです。そして、いろいろアドバイスももらい、今日の計画になったんですよ」
「いいさ、もともとは、我々の出来事だからね」
北野先生が、笑顔で去年のことを説明してくれた。
ぼくは、ここでとっても気になることがあった。しーちゃんは、どうしてあんなにはっきりと言ったのかな。単なる希望だとしても、言い過ぎじゃないかと思ったんだ。
「ねえ、しーちゃん、美代乃さんにまた会えるなんて、どうしてあんなにはっきり言ったの?……そんな事、簡単に言っていいの?」
ぼくは、しーちゃんに聞いてみた。
するとしーちゃんは、笑顔で、「だって、会ってるじゃない!」と、ケロッと答えたんだ。
「え?」
ぼくは、また、訳が分からくなった。
しーちゃんは、みよおばちゃんの方を向いて、「ねえ、おばあちゃん!」と、確認を求めた。
「おや! やっぱり、わかっておったかい」
するとおばあちゃんは、観念したような顔をした。
「だってさ、だって自分で 『みよのー』って最初に言ってたもんね!」
「あははは。つい、自分の名前をそのまま言ってしまって、そのあと変な言い方するのに、苦労したんだよー」
「え? ということは、おばあちゃんが、美代乃さんなの?」
「ほんとうに太郎君は、にぶいんだから。あははははは」
ぼくは、みんなに笑われてしまったが、みんなが笑顔で楽しそうにしているのが本当に嬉しかった。そう言えば、虹ヶ丘小学校100周年の記念式典に、何か年とった人が来てお話をしてたけど、あの人が美代乃さんだったんだ。
あの時は立派なスーツを着てたし、髪型も違ったかな。それに100周年の時は、とっても眠かったから来賓の人のお話なんてまったく覚えちゃいなかったんだけどね。
「でも、おばあ……、美代乃さん、どうして?」
「太郎君、おばあちゃんでいいよ。ここにいるのは、あの100年前の美代乃だけど、もうあの時の美代乃じゃないんだよ。ちゃんと、100年間生きた美代乃だよ」
「わかったよ。美代乃おばあちゃん!」
「わしはな、学校を作った後、頑張ったんだ。みんなが、学びたいことを学べる学校になるようにな。そして、その楽しさに気付ける人になるように。でも、やっぱり心臓が悪くなり、そのうちに動けなくなってしまったんだよ」
「え?」
「ところが、一緒に勉強していた、岡崎君が優秀な心臓のお医者さんになって、私の心臓を直してくれたんだ。しーちゃん、あなたのおじいちゃんだよ」
「うん、じいちゃんはお医者さんよ。でも今は、お父さんのお手伝いしか……」
「そうね、でも、腕は確かよ。わしは今でも、診てもらっているの。だからこんなに長生きなの! 118歳よ」
「えー!!」
ぼく達は、本当に驚いた。
「わしは、虹ヶ丘小学校を陰ながら見守ってきたのよ。でも、あの時に出会った、みんなに会える時代になった時、もう居ても立ってもいられず、上杉電器の前まで来てしまってたの。そこで、しーちゃんに声をかけられてからは、みんなが知っている通りなのよ」
美代乃おばあちゃんは、ここ数か月のことを楽しそうに振り返っているようだった。
「ここ数カ月、みんなと過ごして本当によくわかったわ。虹ヶ丘小学校を作ってよかったってね。あの時、学校を作ると、決心してよかったって。本当にありがとうね」
ぼくは、嬉しいのに涙が出て止まらなかった。あの時、一緒に甘くて暖かい牛乳を飲んだ美代乃さんが、とても嬉しそうな顔をしてる。いや、今までがとっても嬉しいことがあったんだね。
「何言っての、おばあちゃん。まだまだ、私達の出会いはこれからじゃない。先は長いのよ、よろしくね」
しーちゃんが、美代乃おばあちゃんの肩をポンと叩くと、ミー姉ちゃんも、「そうだよ、うちのバイトだって、まだ続けるんだろ!」と言って、その場が笑いでより明るくなった感じがした。
「それにさ、美代乃おばあちゃんが苦労して作った虹ヶ丘小学校の話をいっぱい聞かなきゃならないじゃない?」
しーちゃんは、美代乃おばあちゃんの傍に行って抱きついたんだ。
(第5章 完 ・ 物語は続く)
「……ん?……何となく光が落ちついてきたような気がする……」
ぼくが、そんなことを考えていると、今度は不思議な音が聞こえて来た。
どうも、音というより、それは声と言った方が近い気がした。
『……な……、……なさ……、みなさ……、こんちは。………しは、……よ……です』
同時に、その落ち着いた光が、今度はだんだん立体的で何かに見えるように形作られてきた。
たぶんプロジェクターが映し出した立体映像だ。ぼくは、前に映画で見たことがあるんだ。そして、それが1人の女の人に見え出してくると、ぼくは叫ばずにはいられなかった。
「美代乃さん!」
ほとんど同時にしーちゃんもミー姉ちゃんも、「「「みょんちゃーん!」」」と、叫んでいた。
みんなは、椅子から立ち上がり、駆けだしそうになっていた。ミー姉ちゃんが、我一番に飛びついたが、光の中を素通りして、壁際まで行ってしまった。
「あ、ごめんね」
悟さんが、頭を掻きながら簡単に説明してくれた。
「これは、スーパーフォトグラフィックで、実態はここにはないんだ。でも、偽物じゃあないよ。まあ、テレビ電話の立体映像版って考えてもらっていいよ!」
「で、で、でも、美代乃さんって、100年も前の人だから、……ああ……ビデオなのかな?」
「まさか、100年前にビデオがある訳ないじゃない。それに、あったとして、今まで残ってる訳がないでしょ……」
ミー姉ちゃんが、自分にでも言い聞かせるように呟いたんだ。
「じゃあ……」
しーちゃんも頭を抱えていた。
すると悟さんが、「僕の光工学と三成実ちゃんの機械工学、それに三角軸の鉛筆のお陰かな。それより、あんまり時間が取れないんだ、美代乃さん、早く話をお願いします」と、ちょっと自慢げに言った。
すると、光の中の立体映像、あの美代乃さんは、心配そうに話し出したんだ。やっぱり、今実際に会話しているようなやり取りなんだ。
「……はい、分かりました。……私は、みなさんと会ったあの後、学校を作りました。私は、この先いつまでこの学校を見守れるか心配です。だから、先日会ったあなた達にもう1度会って、話がしたかったのです。私の学校は、あれでよかったのですか? 私は、それだけが心配で……」
ぼくは、不思議に思った。美代乃さんは、ぼく達が未来から来たことを知っていたのかな?……ぼくは、思い切って聞いてみた。
「どうして、美代乃さんは、ぼく達にそんなことを聞くのですか?」
すると光の中の美代乃さんは、少し迷いながらも笑顔で続けてくれた。
「最初に出会った時から、私は何となく感じたの。あなた達は、私の迷いを解決に来たんじゃないかなって。だから、いろんなことを話したし、いろんなものも見てもらったわ。そして、お話をして、私の迷いもなくなったの。……でも、やっぱり寂しいの、もう2度とあなた達に会えない思うと…………」
本当に最後は、寂しそうにしていた。
すると、しーちゃんが、持ち前の元気さを十分に発揮して、「大丈夫ですよ、きっとまた会えますから!」と、大きな声で、しっかりとした、力のこもった返事をしたんだ。
そして、きっと美代乃さんにとっては、とても嬉しいのではないかと思うようなことも伝えたんだ。
「美代乃さんの作ってくれた虹ヶ丘小学校は、わたし達の大切な学びの場になっています。わたし達は、自分の学びたいことを学びながら、楽しい毎日を送っているんですよ。それに、美代乃さん、きっとまた、私達にいつか会えますよ。心配しないでください」
ここまで、黙って聞いていた光の中の美代乃さんは、すーっと見えなくなってしまった。
「時間切れです」
そして、悟さんは静かに続けた。
「ご協力ありがとうございます。実は、ここ数カ月、僕は同じ夢を見てました。僕の知らない美代乃さんと言う人が、今みたいに僕に問いかけて来るんです。そこで僕は、そのことを三成実ちゃんとみよおばあちゃんに相談してたんです。そして、いろいろアドバイスももらい、今日の計画になったんですよ」
「いいさ、もともとは、我々の出来事だからね」
北野先生が、笑顔で去年のことを説明してくれた。
ぼくは、ここでとっても気になることがあった。しーちゃんは、どうしてあんなにはっきりと言ったのかな。単なる希望だとしても、言い過ぎじゃないかと思ったんだ。
「ねえ、しーちゃん、美代乃さんにまた会えるなんて、どうしてあんなにはっきり言ったの?……そんな事、簡単に言っていいの?」
ぼくは、しーちゃんに聞いてみた。
するとしーちゃんは、笑顔で、「だって、会ってるじゃない!」と、ケロッと答えたんだ。
「え?」
ぼくは、また、訳が分からくなった。
しーちゃんは、みよおばちゃんの方を向いて、「ねえ、おばあちゃん!」と、確認を求めた。
「おや! やっぱり、わかっておったかい」
するとおばあちゃんは、観念したような顔をした。
「だってさ、だって自分で 『みよのー』って最初に言ってたもんね!」
「あははは。つい、自分の名前をそのまま言ってしまって、そのあと変な言い方するのに、苦労したんだよー」
「え? ということは、おばあちゃんが、美代乃さんなの?」
「ほんとうに太郎君は、にぶいんだから。あははははは」
ぼくは、みんなに笑われてしまったが、みんなが笑顔で楽しそうにしているのが本当に嬉しかった。そう言えば、虹ヶ丘小学校100周年の記念式典に、何か年とった人が来てお話をしてたけど、あの人が美代乃さんだったんだ。
あの時は立派なスーツを着てたし、髪型も違ったかな。それに100周年の時は、とっても眠かったから来賓の人のお話なんてまったく覚えちゃいなかったんだけどね。
「でも、おばあ……、美代乃さん、どうして?」
「太郎君、おばあちゃんでいいよ。ここにいるのは、あの100年前の美代乃だけど、もうあの時の美代乃じゃないんだよ。ちゃんと、100年間生きた美代乃だよ」
「わかったよ。美代乃おばあちゃん!」
「わしはな、学校を作った後、頑張ったんだ。みんなが、学びたいことを学べる学校になるようにな。そして、その楽しさに気付ける人になるように。でも、やっぱり心臓が悪くなり、そのうちに動けなくなってしまったんだよ」
「え?」
「ところが、一緒に勉強していた、岡崎君が優秀な心臓のお医者さんになって、私の心臓を直してくれたんだ。しーちゃん、あなたのおじいちゃんだよ」
「うん、じいちゃんはお医者さんよ。でも今は、お父さんのお手伝いしか……」
「そうね、でも、腕は確かよ。わしは今でも、診てもらっているの。だからこんなに長生きなの! 118歳よ」
「えー!!」
ぼく達は、本当に驚いた。
「わしは、虹ヶ丘小学校を陰ながら見守ってきたのよ。でも、あの時に出会った、みんなに会える時代になった時、もう居ても立ってもいられず、上杉電器の前まで来てしまってたの。そこで、しーちゃんに声をかけられてからは、みんなが知っている通りなのよ」
美代乃おばあちゃんは、ここ数か月のことを楽しそうに振り返っているようだった。
「ここ数カ月、みんなと過ごして本当によくわかったわ。虹ヶ丘小学校を作ってよかったってね。あの時、学校を作ると、決心してよかったって。本当にありがとうね」
ぼくは、嬉しいのに涙が出て止まらなかった。あの時、一緒に甘くて暖かい牛乳を飲んだ美代乃さんが、とても嬉しそうな顔をしてる。いや、今までがとっても嬉しいことがあったんだね。
「何言っての、おばあちゃん。まだまだ、私達の出会いはこれからじゃない。先は長いのよ、よろしくね」
しーちゃんが、美代乃おばあちゃんの肩をポンと叩くと、ミー姉ちゃんも、「そうだよ、うちのバイトだって、まだ続けるんだろ!」と言って、その場が笑いでより明るくなった感じがした。
「それにさ、美代乃おばあちゃんが苦労して作った虹ヶ丘小学校の話をいっぱい聞かなきゃならないじゃない?」
しーちゃんは、美代乃おばあちゃんの傍に行って抱きついたんだ。
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