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第6章 虹ヶ丘小学校、その歴史のはじまり〔美代乃の視点〕
39 第6章第1話 開校式
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「美代乃おばあちゃん、それじゃあ約束よ……早速、あのお話を聞かせてよ」
「ぼく達も聞きたいんだ……」
おやおや、しーちゃんやたろうちゃんったら、さっそくオネダリじゃな。まあ、久しぶりにあの頃を思い出すのも悪くはないか。
ワシの上杉電器でのアルバイトも楽しいし、みんなと話ができるのは尚の事嬉しいんじゃ。今日は、日曜日だし、ゆっくり昔の話でもしてあげようかね。
なにせ、先日の図書館で“昔のワシ”に会った時にした約束だからね。
じゃあ、虹ヶ丘小学校の成り立ちについて、話そうかね……。
「はいはい……わかったよ。じゃあ、そこに、座ってくれるか~…………あれはなあ……………………
◆◇◆◇
真っ青な空。もう8月なのね。ここ虹ヶ丘のにも夏が来たんだわ。
中心作物であるジャガイモの作付けが忙しかった春は無事に過ぎたの。そして、同時に始まったのが、この建物の建設よ。
最初、お父さん……いいえ町長は渋ったの。まだ、時期ではないし、見通しも明るくないから、もう少し待った方がいいと言ってたの。
でも、あの時から、私の気持ちは決まっていたわ。一緒に学びを希望していた子供達も、同じ事を願ってくれたの。
あの人達と出会ってから、自分達の学ぶことへの意味を問い始めてしまったのかもしれないわ。あの人達には、これからの進むべき道を教えられたような気がしたの。
この虹ヶ丘のみんなは、口には出さなかったけど、気持ちは同じに感じたの。それは見ていれば分かったのよ。
だからこそ、この建物は町民みんなで作ったの。本当に小さな建物だわ。お世辞にも、『学校』と呼べるものではないの。それでも、みんなは笑顔だったわよ。
みんな自分の仕事の合間を縫って、作業を進めたの。そして、ようやく8月の晴天の今日、この日を迎えることができたわ。
「これより、虹ヶ丘小学校の開校式を始めます。町長、ご挨拶をお願いします」
「……みなさん、ありがとう。私なんかより、本当は、みなさんがここに上がって、一人一人挨拶しなければならないと思っています。みなさんが、どうして虹ヶ丘小学校を作りたいと思ったか。それは、この虹ヶ丘の町を発展させるには子供達を大切にしなければならないと考えたことがよくわかります」
この町の町長を任されていたお父さんは、農作業着のまま段に上り集まった人達にお礼を言ったの。背筋をしっかり伸ばして、笑顔のお父さんは、とても立派に見えたわ。
「……それは今しかできないということを教えられたんです。準備のことなどを考えてしまって、二の足を踏んでいた私の気持ちを変えてくれえたのは、娘であり、学びたいという子供達だったのです。本当にありがとう。そして、一緒に支えてくれた皆さんのお陰なんです。これからも、私達は、この虹ヶ丘小学校で学ぶ子供達を励ましながら支えていきましょう」
お父さんは、深々と頭を下げたの。集まった人達からは、大きな拍手が沸き起こったわ。
開拓がはじまったばかりの虹ヶ丘。町民といっても、すべて集めても500名ほどだと思うの。まだまだ軌道に乗ったとはいえないけど、みんな開拓に前向きなの。一家で開拓に参加している人も多いわ。だからこそ、子供達の教育は大切だと思うの。
私は町長の娘。18歳になったばかりの小娘よ。でも、学びたいと思う気持ちは、誰よりも大切にしたいの。きっとそれだけのことで、私は初代校長に選ばれてしまったの。……いいえ学校を託されたのね。
私は、働くことも大好きよ。だから、畑でも子供達と楽しくやりたいの。私は、畑も学校も同じだと思ってるの。自分がやりたいことを出来るように保障するのが、この虹ヶ丘だと思いたいわ。
「それでは、初代校長の音無美代乃様、ご挨拶をお願いいたします」
前もって私の出番があるのは分かっていたけど、いざそういう場面になると緊張してしてしまうわ。段に上がると、たくさんの人がこっちを見てるし……。
「え?…え! わ、わ、私が……、音無……」
「みょんちゃん! がんばって!!」
「大丈夫だぞ! 俺たちが、ついてるぞー!」
「落ち着けば、何でも出来るんだ!」
「がんばれー! がんばれー!」
会場にいた子供達が、口々に声を掛けたくれたの。おかげで、私は落ち着くことができたわ。ゆっくり息を吸って、しっかりと前を向いたの。
「うん!……ありがとうみんな。……私は、1人じゃないんです。たくさんの仲間がいます。みんなを信じて、この虹ヶ丘小学校を進めていきますので、どうぞよろしくお願いいたします!」
会場からの大きな拍手に、なんだかまた勇気づけられた気がするわ。
(つづく)
「ぼく達も聞きたいんだ……」
おやおや、しーちゃんやたろうちゃんったら、さっそくオネダリじゃな。まあ、久しぶりにあの頃を思い出すのも悪くはないか。
ワシの上杉電器でのアルバイトも楽しいし、みんなと話ができるのは尚の事嬉しいんじゃ。今日は、日曜日だし、ゆっくり昔の話でもしてあげようかね。
なにせ、先日の図書館で“昔のワシ”に会った時にした約束だからね。
じゃあ、虹ヶ丘小学校の成り立ちについて、話そうかね……。
「はいはい……わかったよ。じゃあ、そこに、座ってくれるか~…………あれはなあ……………………
◆◇◆◇
真っ青な空。もう8月なのね。ここ虹ヶ丘のにも夏が来たんだわ。
中心作物であるジャガイモの作付けが忙しかった春は無事に過ぎたの。そして、同時に始まったのが、この建物の建設よ。
最初、お父さん……いいえ町長は渋ったの。まだ、時期ではないし、見通しも明るくないから、もう少し待った方がいいと言ってたの。
でも、あの時から、私の気持ちは決まっていたわ。一緒に学びを希望していた子供達も、同じ事を願ってくれたの。
あの人達と出会ってから、自分達の学ぶことへの意味を問い始めてしまったのかもしれないわ。あの人達には、これからの進むべき道を教えられたような気がしたの。
この虹ヶ丘のみんなは、口には出さなかったけど、気持ちは同じに感じたの。それは見ていれば分かったのよ。
だからこそ、この建物は町民みんなで作ったの。本当に小さな建物だわ。お世辞にも、『学校』と呼べるものではないの。それでも、みんなは笑顔だったわよ。
みんな自分の仕事の合間を縫って、作業を進めたの。そして、ようやく8月の晴天の今日、この日を迎えることができたわ。
「これより、虹ヶ丘小学校の開校式を始めます。町長、ご挨拶をお願いします」
「……みなさん、ありがとう。私なんかより、本当は、みなさんがここに上がって、一人一人挨拶しなければならないと思っています。みなさんが、どうして虹ヶ丘小学校を作りたいと思ったか。それは、この虹ヶ丘の町を発展させるには子供達を大切にしなければならないと考えたことがよくわかります」
この町の町長を任されていたお父さんは、農作業着のまま段に上り集まった人達にお礼を言ったの。背筋をしっかり伸ばして、笑顔のお父さんは、とても立派に見えたわ。
「……それは今しかできないということを教えられたんです。準備のことなどを考えてしまって、二の足を踏んでいた私の気持ちを変えてくれえたのは、娘であり、学びたいという子供達だったのです。本当にありがとう。そして、一緒に支えてくれた皆さんのお陰なんです。これからも、私達は、この虹ヶ丘小学校で学ぶ子供達を励ましながら支えていきましょう」
お父さんは、深々と頭を下げたの。集まった人達からは、大きな拍手が沸き起こったわ。
開拓がはじまったばかりの虹ヶ丘。町民といっても、すべて集めても500名ほどだと思うの。まだまだ軌道に乗ったとはいえないけど、みんな開拓に前向きなの。一家で開拓に参加している人も多いわ。だからこそ、子供達の教育は大切だと思うの。
私は町長の娘。18歳になったばかりの小娘よ。でも、学びたいと思う気持ちは、誰よりも大切にしたいの。きっとそれだけのことで、私は初代校長に選ばれてしまったの。……いいえ学校を託されたのね。
私は、働くことも大好きよ。だから、畑でも子供達と楽しくやりたいの。私は、畑も学校も同じだと思ってるの。自分がやりたいことを出来るように保障するのが、この虹ヶ丘だと思いたいわ。
「それでは、初代校長の音無美代乃様、ご挨拶をお願いいたします」
前もって私の出番があるのは分かっていたけど、いざそういう場面になると緊張してしてしまうわ。段に上がると、たくさんの人がこっちを見てるし……。
「え?…え! わ、わ、私が……、音無……」
「みょんちゃん! がんばって!!」
「大丈夫だぞ! 俺たちが、ついてるぞー!」
「落ち着けば、何でも出来るんだ!」
「がんばれー! がんばれー!」
会場にいた子供達が、口々に声を掛けたくれたの。おかげで、私は落ち着くことができたわ。ゆっくり息を吸って、しっかりと前を向いたの。
「うん!……ありがとうみんな。……私は、1人じゃないんです。たくさんの仲間がいます。みんなを信じて、この虹ヶ丘小学校を進めていきますので、どうぞよろしくお願いいたします!」
会場からの大きな拍手に、なんだかまた勇気づけられた気がするわ。
(つづく)
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