みょんちゃんが奏でる虹色のメロディー ~皆で紡ぐ、楽しい学校と素敵な町並み~

根 九里尾

文字の大きさ
44 / 98
第6章 虹ヶ丘小学校、その歴史のはじまり〔美代乃の視点〕

44 第6章第6話 準備は静かに……

しおりを挟む
 この虹ヶ丘にじがおかにも夏がやってきた。

 ここでも、畑には様々な野菜が育つわ。特に、開拓当時から品種改良にこだわってきたジャガイモは、作付面積も広くこの虹ヶ丘の代表作物になってきたの。
 最近では“虹風八号にじかぜはちごう”という品種が特によく育ち、成長が早いうえに、甘みが格段に高いと評判になっている。この品種改良には、私も関わったいたので、とっても嬉しいわ。
 
 今日も太陽の光は強いけどが、私はそれにも負けないように頑張ろうと思うの。私は、この北の大地に根を張る素敵な学校を作りたいの。


「みょんちゃん、きょうもってきた、絵本ぜんぶよんじゃった。ほかに、なにかないかなあー」

「あらー、あーちゃん、えらいわね。じゃ、他のみんなも、ちょっとお休みして、外へ行ってみない。せっかく、けんちゃん達が、運動場やお花畑作ってくれたのよ。今日は天気がいいから、たくさんお花が咲いているわ」

「わー、行く、行く」

 子供達は、みんな大はしゃぎで、外の運動場へ駆け出して行ったわ。
 私も横に置いてあるいつもの麦わら帽子を片手でつまむと、自分の頭にヒョイと載せ、子供達の後を追いかけた。
 
 シャツをまくって真っ白な腕を見せながら私は外へと急いだの。麦わら帽子とこのオーバーオールは、子供達と遊ぶのにもってこいなのよ。

 私は、そんなに体力がある訳じゃないけど、子供達と駆け回るとなんとなく体から力が沸き上がってくる感じがするの。だから、私は子供達と元気に駆け回れる体がいつまでも続くことを祈ってたの。


「よーし、私も行くわよー、待てー……お花畑まで競走よー……」


 午前中は、いつものように小さい子供の相手をしたり、外にできた運動場で遊んだりして過ごした。

 中村君、北野君、多田野ただの君は、そんな中でもこれから受ける教員試験に向けて、私と一緒に勉強に励んでくれたの。
 ただ、岡崎おかざき君だけは、試験を受けないにも関わらず、いつも難しい本を読んでいたわ。


「岡崎君、何読んでいるの? カバーついているから、よくわからないけど、何か難しそうな本みたいね……」
「あ、美代乃先生、大丈夫です。これは、遠くにいる親戚にもらった本ですが、僕もあんまりわかりませんから………あはは………」

「そうお……読めないところがあったら、聞いてね。調べてあげるわよ」
「はい、ありがとうございます。その時は、お願いいたします」

 私は、いつものようにニッコリ笑って、彼らを黙って見守っていたの。







 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
桜山建造さくらやま けんぞうの視点】

 小さい子供達が帰った後の学校は、僕や岡崎、上杉うえすぎそれに中村、北野、多田野といった人達で、校舎増築の作業を行ってる。
 開拓に入ったばかりの頃の古い倉庫をもらうことがき、それを解体して教室を増やしたり、改修したりしてるんだ。
 僕は、教室だけではなく、黒板や机など、学校としての細かな備品についても、木材細工もくざいさいくで作り出してたんだ。

 そんな時、僕が一人で作業をしているところに、男の人が入って来た。

「いやあ、がんばってるなあ~」
「あ、村長さん! どうしてここへ?」

「ちょっと様子を見にね……、桜山君だけかね、美代乃みよの達は?」
「ああ、他のみんなは、今、隣の教室のカーテンを縫ってます。窓が大きいので、みんなで押さえないと曲がってしまうから……」

「そうか、大変だね。とろこで、もう、教室を1つ完成させたんだね。すごいね。美代乃に話は聞いていたが、さすがお父さんが大工さんだけはあるなあ。美代乃もとても喜んでいたよ」
 


「あのー…………」

 僕は、周りに誰もいないことを確かめるように見渡してから、村長……いや、みーのお父さんに聞いたんだ。

「村長、お願い……ううん……お話しておきたいことがあります」

 僕の真剣な口ぶりを感じたのか、村長も真面目な顔で応じてくれた。

「何かな?」
「これは、僕だけじゃなく、岡崎や上杉も考えていることなんです」
「うん」

「僕達は、必ず将来、この虹ヶ丘小学校、いや虹ヶ丘の役に立ちたいと思っています。そのためには自分のできることをしっかりとしたものにする必要があります。僕は設計と建築を、岡崎は医療を、上杉は機械と電気です」

「うん、私は今でも十分役に立っていると思うんだが……、まあ自分でそうしたいと思うんだったらそれは……」

「はい、……それで、僕達は、この虹ヶ丘小学校の申請が上手くいったら、ここを離れて、今度は自分の力を伸ばすために勉強してきます」

「……そのことは、美代乃に話したのかい?」
「いいえ、まだです。今、話しても不安にさせるだけなので……」
「そうか、……わかったよ。心配しないで、君達は、今できることを精一杯やりなさい。今度は、私が君達を応援しよう。必ず助けてあげるから心配はいらないよ」

「ありがとうございます」

 僕は、村長としっかり握手をしたんだ。







「あ、村長さん、いらっしゃい」
「いやあ、一太君、君も手伝っているんだってな。今日は、差し入れを持って来たよ。スイカだ、みんなで食べてくれ」

「わー、スイカだー、よーし、さっそく切るぞー」
「待て待て、一太」
「何だよ、上杉先輩~」

「スイカといえば、これだ。スイカ均等十六等分包丁」
「何だよ、そのタコの足みたいな包丁は?」
「聞いて驚け!この包丁は、一回でスイカを十六等分に切り分けることができるんだ。すごいだろう?」

「本当かい?」

「じゃあ、今、やってみるから、よっく見とけ! せー、のー、はい!!」
「おーーー!!!」
「さすが、機械の上杉様だね」

「はいはい、まったく、お父さんがスイカなんか持ってくるから、もー」

 教室は、スイカを頬張る子供のような青年と、それを見守るお母さんのような?……お姉さんの笑い声で満ちていたんだ。
 僕は、この幸せな風景を忘れないように、しっかり頭に焼き付けたんだ。



(つづく)
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

エリクサーは不老不死の薬ではありません。~完成したエリクサーのせいで追放されましたが、隣国で色々助けてたら聖人に……ただの草使いですよ~

シロ鼬
ファンタジー
エリクサー……それは生命あるものすべてを癒し、治す薬――そう、それだけだ。 主人公、リッツはスキル『草』と持ち前の知識でついにエリクサーを完成させるが、なぜか王様に偽物と判断されてしまう。 追放され行く当てもなくなったリッツは、とりあえず大好きな草を集めていると怪我をした神獣の子に出会う。 さらには倒れた少女と出会い、疫病が発生したという隣国へ向かった。 疫病? これ飲めば治りますよ? これは自前の薬とエリクサーを使い、聖人と呼ばれてしまった男の物語。

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

【完結】幼馴染にフラれて異世界ハーレム風呂で優しく癒されてますが、好感度アップに未練タラタラなのが役立ってるとは気付かず、世界を救いました。

三矢さくら
ファンタジー
【本編完結】⭐︎気分どん底スタート、あとはアガるだけの異世界純情ハーレム&バトルファンタジー⭐︎ 長年思い続けた幼馴染にフラれたショックで目の前が全部真っ白になったと思ったら、これ異世界召喚ですか!? しかも、フラれたばかりのダダ凹みなのに、まさかのハーレム展開。まったくそんな気分じゃないのに、それが『シキタリ』と言われては断りにくい。毎日混浴ですか。そうですか。赤面しますよ。 ただ、召喚されたお城は、落城寸前の風前の灯火。伝説の『マレビト』として召喚された俺、百海勇吾(18)は、城主代行を任されて、城に襲い掛かる謎のバケモノたちに立ち向かうことに。 といっても、発現するらしいチートは使えないし、お城に唯一いた呪術師の第4王女様は召喚の呪術の影響で、眠りっ放し。 とにかく、俺を取り囲んでる女子たちと、お城の皆さんの気持ちをまとめて闘うしかない! フラれたばかりで、そんな気分じゃないんだけどなぁ!

アルフレッドは平穏に過ごしたい 〜追放されたけど謎のスキル【合成】で生き抜く〜

芍薬甘草湯
ファンタジー
アルフレッドは貴族の令息であったが天から与えられたスキルと家風の違いで追放される。平民となり冒険者となったが、生活するために竜騎士隊でアルバイトをすることに。 ふとした事でスキルが発動。  使えないスキルではない事に気付いたアルフレッドは様々なものを合成しながら密かに活躍していく。 ⭐︎注意⭐︎ 女性が多く出てくるため、ハーレム要素がほんの少しあります。特に苦手な方はご遠慮ください。

大和型戦艦、異世界に転移する。

焼飯学生
ファンタジー
第二次世界大戦が起きなかった世界。大日本帝国は仮想敵国を定め、軍事力を中心に強化を行っていた。ある日、大日本帝国海軍は、大和型戦艦四隻による大規模な演習と言う名目で、太平洋沖合にて、演習を行うことに決定。大和、武蔵、信濃、紀伊の四隻は、横須賀海軍基地で補給したのち出港。しかし、移動の途中で濃霧が発生し、レーダーやソナーが使えなくなり、更に信濃と紀伊とは通信が途絶してしまう。孤立した大和と武蔵は濃霧を突き進み、太平洋にはないはずの、未知の島に辿り着いた。 ※ この作品は私が書きたいと思い、書き進めている作品です。文章がおかしかったり、不明瞭な点、あるいは不快な思いをさせてしまう可能性がございます。できる限りそのような事態が起こらないよう気をつけていますが、何卒ご了承賜りますよう、お願い申し上げます。

大学生活を謳歌しようとしたら、女神の勝手で異世界に転送させられたので、復讐したいと思います

町島航太
ファンタジー
2022年2月20日。日本に住む善良な青年である泉幸助は大学合格と同時期に末期癌だという事が判明し、短い人生に幕を下ろした。死後、愛の女神アモーラに見初められた幸助は魔族と人間が争っている魔法の世界へと転生させられる事になる。命令が嫌いな幸助は使命そっちのけで魔法の世界を生きていたが、ひょんな事から自分の死因である末期癌はアモーラによるものであり、魔族討伐はアモーラの私情だという事が判明。自ら手を下すのは面倒だからという理由で夢のキャンパスライフを失った幸助はアモーラへの復讐を誓うのだった。

アガルタ・クライシス ―接点―

来栖とむ
SF
神話や物語で語られる異世界は、空想上の世界ではなかった。 九州で発見され盗難された古代の石板には、異世界につながる何かが記されていた。 同時に発見された古い指輪に偶然触れた瞬間、平凡な高校生・結衣は不思議な力に目覚める。 不審な動きをする他国の艦船と怪しい組織。そんな中、異世界からの来訪者が現れる。政府の秘密組織も行動を開始する。 古代から権力者たちによって秘密にされてきた異世界との関係。地球とアガルタ、二つの世界を巻き込む陰謀の渦中で、古代の謎が解き明かされていく。

異世界転移からふざけた事情により転生へ。日本の常識は意外と非常識。

久遠 れんり
ファンタジー
普段の、何気ない日常。 事故は、予想外に起こる。 そして、異世界転移? 転生も。 気がつけば、見たことのない森。 「おーい」 と呼べば、「グギャ」とゴブリンが答える。 その時どう行動するのか。 また、その先は……。 初期は、サバイバル。 その後人里発見と、自身の立ち位置。生活基盤を確保。 有名になって、王都へ。 日本人の常識で突き進む。 そんな感じで、進みます。 ただ主人公は、ちょっと凝り性で、行きすぎる感じの日本人。そんな傾向が少しある。 異世界側では、少し非常識かもしれない。 面白がってつけた能力、超振動が意外と無敵だったりする。

処理中です...