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第6章 虹ヶ丘小学校、その歴史のはじまり〔美代乃の視点〕
45 第6章第7話 雨の向こうに
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日曜の午前中、朝から降る雨は、あたり一面を洗い流してくれたの。
風もなく、静かにまっすぐ降る静かな雨は、夏の雨らしかったわ。寒さは感じないせいか、気持ちはあまり沈まなかったの。私は、こういう雨は好きよ。
だから、私は朝から1人で虹ヶ丘小学校の教室に来てしまったの。なんだか落ち着いた空気の匂いを感じたのよね。
学校では、もうすぐ行われる教員試験の勉強をすることにしているの。だって、家で勉強するとお母さんが心配して、すぐに様子を見に来るんだもん。
雨に濡れた外の校庭は、土が黒く見え、ところどころ水たまりができているの。
けんちゃん達が農耕馬を使って、もともと畑だったところを平らに均しただけのものだけど、私にとっては立派な校庭なのよね。子供達も大喜びしてたけど……。
教室だって、今いるところを含め3教室に増えたの。
それぞれの教室には、小さいながら黒板が設置されたわ。これは、上杉君が木の板にペンキを塗って作ったのよ。特別なペンキだって言ってたわ。
何となく、だんだん本物の教室になって来たみたみたい。
それに上杉君は、近くの川に水車小屋を作ってしまったの。粉ひきでもするのかと思いきや、なんと水力発電所を作ってしまったのよ。
おかげで、虹ヶ丘小学校には、たくさんの照明器具が取り付けられ、とても明るくなったわ。上杉君によれば、この後、電気で動くいろいろな道具を作らしいの。でも、今は秘密だって。
私がそんな新しくなった虹ヶ丘小学校のことをぼんやり考えながら、勉強をしようとは思いつつ、いつ止むともわからない雨を窓からただ眺めていたの。
「……やっぱり、ここに居たのか」
突然、教室に入って来たけんちゃんに、まったく気がつかなくて、びっくりしちゃった。
「あ、けんちゃん、いつのまに。……どうしたのよ?」
「……いやあ、この雨だろう。ひょっとして、学校かな? と思って、覗いてみたんだ」
「何か用事なの?」
「……いやあ、別に用って、ことはないけど……、みー、お前、また、顔色よくないなあ……」
「何よ、失礼ね……」
「いや、そうじゃなくて、また、無理してんじゃないかと思ってさ……」
「大丈夫よ、平気だってば……」
私は、あんまり顔を見られないように、少し横を向き、気丈に振舞って見せたわ。
「あんまり、頑張って無理すんなよ」
「……だって……」
もー、お母さんと同じこと言うのね。私は、ちょっと頬っぺたを膨らませてみたの。
そして、少し周りを見渡してから、けんちゃんだけに向けて自分の本当の気持ちを伝えようと思ったの。誰も居ない教室だけど、それでも小さい声で、けんちゃんに向けて話したわ。
「私、嬉しかったのよ。こんなに校舎も増築してもらったし、電気だってこんなに使えるし。北野君や中村君や多田野君は、仕事もしながら教員試験の勉強を頑張ってくれているの。お父さんも学校申請の手伝いをしてくれるから、何とか上手くいきそうだし……。後はね……自分だけなの……自分が頑張らないと……」
私は、周りの人に本当に助けてもらっていることをよくわかってるの。だからこそ自分も頑張っていかなければならないと思っているわ。
けんちゃんだって、そんな私の気持ちは分かっているはず。きっとけんちゃんは、私の体のことを知っているの。だから、心配してくれているんだと思うの。だって、けんちゃんは私が倒れた時、いつも心配そうに駆け付けてくれるんだもん。
そんな私の話を聞いたけんちゃんは、静かに質問してきたの。
「ねえ、みー。どうして、みんなが頑張れるか、わかるかい?」
「え? どういうこと?」
「それはね、みーがね、みんなのための学校を考えてくれているからなんだよ。どこにでもある普通の“学校”じゃないんだ。勉強を押し付ける学校じゃない学校を作ろうとしていることをみんなはちゃんと知っているんだよ」
私は、けんちゃんが言ってくれるような、そんな楽しい学校のことを考えていたの。しばらしくして、私はけんちゃんにも確認したかったことを思い出した。
「……ねえ、けんちゃんは……どう……なの?」
「僕?……君が、作ろうとしている学校のことかい?」
建造の言葉を遮るように私は、顔を上げ正面からけんちゃんを見て、はっきりとした口調で尋ねたの。
「いえ、そうじゃないのよ! 私の学校なんてどうでもいいいの。けんちゃんは、どうして頑張れるの?」
「………………………」
けんちゃんの顔は、笑っていたの。
「決まっているじゃないか。みーのためだよ」
「本当?」
「当たり前だろう!」
「だったら、待ってていいの?」
「そっか、わかってたのか……」
「うん、お父さんに聞いたの……」
「大丈夫だ、必ず君のために頑張れるようになって帰ってくる、待っててくれ!」
「分かったわ、すべてが上手くいくように、私も頑張るからね……」
私は、窓の外を見たの。雨はまだ降り続いていたけど、空の向こうには、うっすらと陽の光が見えたわ。
(つづく)
風もなく、静かにまっすぐ降る静かな雨は、夏の雨らしかったわ。寒さは感じないせいか、気持ちはあまり沈まなかったの。私は、こういう雨は好きよ。
だから、私は朝から1人で虹ヶ丘小学校の教室に来てしまったの。なんだか落ち着いた空気の匂いを感じたのよね。
学校では、もうすぐ行われる教員試験の勉強をすることにしているの。だって、家で勉強するとお母さんが心配して、すぐに様子を見に来るんだもん。
雨に濡れた外の校庭は、土が黒く見え、ところどころ水たまりができているの。
けんちゃん達が農耕馬を使って、もともと畑だったところを平らに均しただけのものだけど、私にとっては立派な校庭なのよね。子供達も大喜びしてたけど……。
教室だって、今いるところを含め3教室に増えたの。
それぞれの教室には、小さいながら黒板が設置されたわ。これは、上杉君が木の板にペンキを塗って作ったのよ。特別なペンキだって言ってたわ。
何となく、だんだん本物の教室になって来たみたみたい。
それに上杉君は、近くの川に水車小屋を作ってしまったの。粉ひきでもするのかと思いきや、なんと水力発電所を作ってしまったのよ。
おかげで、虹ヶ丘小学校には、たくさんの照明器具が取り付けられ、とても明るくなったわ。上杉君によれば、この後、電気で動くいろいろな道具を作らしいの。でも、今は秘密だって。
私がそんな新しくなった虹ヶ丘小学校のことをぼんやり考えながら、勉強をしようとは思いつつ、いつ止むともわからない雨を窓からただ眺めていたの。
「……やっぱり、ここに居たのか」
突然、教室に入って来たけんちゃんに、まったく気がつかなくて、びっくりしちゃった。
「あ、けんちゃん、いつのまに。……どうしたのよ?」
「……いやあ、この雨だろう。ひょっとして、学校かな? と思って、覗いてみたんだ」
「何か用事なの?」
「……いやあ、別に用って、ことはないけど……、みー、お前、また、顔色よくないなあ……」
「何よ、失礼ね……」
「いや、そうじゃなくて、また、無理してんじゃないかと思ってさ……」
「大丈夫よ、平気だってば……」
私は、あんまり顔を見られないように、少し横を向き、気丈に振舞って見せたわ。
「あんまり、頑張って無理すんなよ」
「……だって……」
もー、お母さんと同じこと言うのね。私は、ちょっと頬っぺたを膨らませてみたの。
そして、少し周りを見渡してから、けんちゃんだけに向けて自分の本当の気持ちを伝えようと思ったの。誰も居ない教室だけど、それでも小さい声で、けんちゃんに向けて話したわ。
「私、嬉しかったのよ。こんなに校舎も増築してもらったし、電気だってこんなに使えるし。北野君や中村君や多田野君は、仕事もしながら教員試験の勉強を頑張ってくれているの。お父さんも学校申請の手伝いをしてくれるから、何とか上手くいきそうだし……。後はね……自分だけなの……自分が頑張らないと……」
私は、周りの人に本当に助けてもらっていることをよくわかってるの。だからこそ自分も頑張っていかなければならないと思っているわ。
けんちゃんだって、そんな私の気持ちは分かっているはず。きっとけんちゃんは、私の体のことを知っているの。だから、心配してくれているんだと思うの。だって、けんちゃんは私が倒れた時、いつも心配そうに駆け付けてくれるんだもん。
そんな私の話を聞いたけんちゃんは、静かに質問してきたの。
「ねえ、みー。どうして、みんなが頑張れるか、わかるかい?」
「え? どういうこと?」
「それはね、みーがね、みんなのための学校を考えてくれているからなんだよ。どこにでもある普通の“学校”じゃないんだ。勉強を押し付ける学校じゃない学校を作ろうとしていることをみんなはちゃんと知っているんだよ」
私は、けんちゃんが言ってくれるような、そんな楽しい学校のことを考えていたの。しばらしくして、私はけんちゃんにも確認したかったことを思い出した。
「……ねえ、けんちゃんは……どう……なの?」
「僕?……君が、作ろうとしている学校のことかい?」
建造の言葉を遮るように私は、顔を上げ正面からけんちゃんを見て、はっきりとした口調で尋ねたの。
「いえ、そうじゃないのよ! 私の学校なんてどうでもいいいの。けんちゃんは、どうして頑張れるの?」
「………………………」
けんちゃんの顔は、笑っていたの。
「決まっているじゃないか。みーのためだよ」
「本当?」
「当たり前だろう!」
「だったら、待ってていいの?」
「そっか、わかってたのか……」
「うん、お父さんに聞いたの……」
「大丈夫だ、必ず君のために頑張れるようになって帰ってくる、待っててくれ!」
「分かったわ、すべてが上手くいくように、私も頑張るからね……」
私は、窓の外を見たの。雨はまだ降り続いていたけど、空の向こうには、うっすらと陽の光が見えたわ。
(つづく)
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