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4:同族
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「おい、智樹。お前、女出来ただろ?」
「鈴木さんにも言われたそれ」
昼休みに飯を食っていたら、同僚がニヤついた笑みを浮かべながら、肘で小突いて来た。
「違うのか?」
「違う違う」
納得行かなそうな顔をしている。
まぁ、最近私の変わりようを見てそう思うのも無理はないかもしれない。
実はここ数日、私は夢魔であるジョニーと食後にセックスをしている。最初は夢魔の体液には媚薬効果があるのではと思ったが、どうやらそんな事は無くただ私がスケベなだけだった。
そして、性行為は体力を使う。
運動不足だった私にとっては、ジョギングや筋トレよりも効果があった。
ジョニーは私との性交によって、腹を満たすと同時に精液の味で俺の体調を把握しているようで献立表を作っている。
「今度、彼女紹介しろよ」
「だから、違うって」
「えー、絶対いるだろ」
「しつこいぞ」
否定しても信じて貰えない。
証明するにも、ジョニーはカメラに映らないし、女性社員達の中には絶対興味持つ人が居る。
下手に紹介すると面倒な事になる気がするので、黙っている事にした。
「ふぅ……今日も疲れた」
会社から帰宅すると、玄関に見慣れぬ男物の靴が置いてあった。
来客でも来たのかと思いつつリビングに向かう。
扉を開けると、そこには……
「完璧主義も大概にしろジョニー。もう一ヶ月も一人の人間に入れ込んで……」
「だ……だって、睡眠は日頃の食事や生活習慣で左右されるんですよ」
ジョニーが正座をさせられて怒られていた。
その相手は……
「(外国人?)」
金髪碧眼、白人男性。
歳は30代くらいだろうか。
スーツを着ていて、一見ビジネスマンに見える。
「彼は特に不健康で、一ヶ月じゃ補えません」
「言い訳は結構」
「……ジョニー?」
「と、智樹さん!?」
ジョニーが驚いた表情をする。
男はこちらを見ると、呆れたようにため息をつく。
「なるほど……睡眠不足、栄養不足、欲求不満、おまけにストレス過多に鬱症状。典型的なブラック企業勤めの不摂生なサラリーマンだ」
「……ぅ?」
『バタン』
男が私を指差す。
その瞬間、全身から力が抜けて倒れ込んでしまった。
起き上がろうとしても、身体に全く力が入らない。
なんだこれ? なんで急にこんな……
「やめてください! アスタル!」
「……じょ、に」
「確かに、一ヶ月やそこらでジョニーが望む快眠は得られそうにない」
男の手が私の額に触れる。
すると、意識が急速に薄れていく。
抗おうにも、身体が言うことを聞かない。
視界が真っ暗になる直前、ジョニーの声が聞こえたような気がした。
※※※
目を覚ますと、そこはベッドの上だった。
いつもの清々しい朝……ではない。不安の方が大きい。
休日出勤の無い普通の休日だと言うのに、私はベッドから飛び降りてキッチンへ向かった。
『ガチャ!』
「やだやだやだ! 智樹さんの食事は俺が作りたいんです!」
「お前の食事は何年計画だ! こっちの方が栄養価が高い!」
「栄養あっても美味しくないとキツいですって!」
……仲良く二人で朝食を作っていた。
何この光景。
困惑していると、二人共私に気付いたようだ。
「おはようございます。智樹さん、目覚めのお加減はいかがですか?」
「……よくないですよ」
「そんな!」
外人顔のイケメンがめちゃくちゃ驚いていた。
とりあえず、朝食を食べながら状況を整理する。
彼の名前はアスタル。
ジョニーの先輩夢魔らしい。
「アスタルさんは、ここで何を?」
「ジョニーが召喚先から戻って来ないので、喚び戻しに来たんです」
「え!? ジョニー……帰るの?」
「帰りません。俺の力を遺憾無く発揮できる身体に仕上げてからです」
「はぁぁぁ……ジョニーは完璧主義で困りますよ」
アスタルさんは大きなため息をついた。
この人は苦労性なのかもしれない。
「アプリで眠りを必要としている人間達を選別して睡眠のサポートをする変わりに睡眠中に食事を摂る。普通は一夜限り。連夜で使用されても、無用なトラブルを避ける為に姿は見せない」
「……ジョニー」
「うっ……」
一夜どころか一ヶ月。
次の日には、姿を見せて食事や家事代行サービス。
明らかにやり過ぎだ。
アスタルさんも私と同意見のようだけど、おかげで私の体調は良くなったわけだし、感謝こそすれど責めるのは違うと思う。
「だって、見てられなかったんですよ……あの程度の快眠で、人生最高みたいな……」
「ジョニー、睡眠サポートサービス『スリープ』は夢魔にとって睡眠はサービスで食事がメインだ。お前の場合、それが逆転してる。そんなんじゃ飢え死にするぞ」
「飢え死にって……あれでも足りない?」
「いや、十分足りてますよ!」
「なんだ……智樹さんから食事提供も受けてるのか?」
私達のやり取りを聞いて、アスタルさんが訝しげに尋ねる。
それに少々居心地悪そうに視線を泳がせながら頷くジョニー。
「そうか……飢えていなければ、それでいい」
「そ、そそ、そうでしょ! だから、俺はこのまま……智樹さんの睡眠サポートを続けます」
「智樹さんのサポートは続ければいい。掛け持ちも出来るだろ」
掛け持ち……他の人間のところに睡眠サポートへ行くって事か。
喚び戻されずに済みそうな、アスタルさんの提案にホッとする。
しかし、その提案を聞いたジョニーの顔が曇った。
「……俺、智樹さんだけで」
「馬鹿を言うな。彼が廃人にでもなったらどうする」
「俺は暴走して精を搾り尽くしたりなんてしないし、智樹さんもそんな柔ではありません」
「……ほぉ、お前がそこまで言うには、さぞかし智樹さんは……」
ズイっと俺に迫るアスタルさんの吐息が頬にかかる。
近い! イケメンが近過ぎる! あと、なんかいい匂い! 香水とかじゃなくて、これは……
「自分、テクニックには自信があります。今夜如何ですか?」
恐らく、今晩お食事でもどう? というお誘いだろう。
けど、私としてはちょっと遠慮したい。
「ちょっと……それは……」
「食事は多い方が楽しいと言うではありませんか」
「……3Pはちょっとハードルが」
「おやぁ~寂しいですね。ですが、智樹さんの具合を確認しないと、ジョニーを置いて行くのは不安です。少しだけでも、試させてくれませんか?」
耳元で囁かれる甘い声。
背筋にゾクッと震えが走った。
思わずコクりと喉が鳴る。
ジョニーが居ないと俺の生活と睡眠が……背に腹は変えられない!
「す、少しだけなら……いいです」
「智樹さん!?」
「十分です」
「アスタル!?」
こうして私は、一晩だけジョニーの先輩夢魔であるアスタルさんと夜を共にする事になった。
「ジョニー、怒ってる?」
「怒ってないですよ。ただ、心配で……」
「心配?」
「アスタル……食事中の行儀が悪いんです」
その時はジョニーの言う、性交中の行儀の悪さについて、私は全くピンと来ていなかったが……すぐに思い知らされる事となった。
「どうですか? 智樹さん」
「……き、気持ちいいです」
「それはよかった」
「あ、あの……手を」
騎乗位で腰を振るアスタルさんは、色白の肌がほんのりピンク色に染まっていて、とても綺麗だった。
そして、ジョニーとはまた違ったタイプの顔の良さだ。ジョニーがイケメンなら、アスタルさんは美形という括りだろう。
しかし、どんな人間や夢魔相手だろうと、首を両手で覆われていると締め殺されそうで気が散ってしまう。
なんとかアスタルさんの手から逃れようと身を捩るが、彼は許してくれなかった。
むしろ、私が逃げようとする程に力を込めてくる。
首に食い込む指に力が込められて……萎えるどころか、元気に……恐怖心からの生存本能だろうか。
「はっ……うぅ……」
「なんと、逞しい……ジョニーの食事などの睡眠サポートも侮れませんね」
「?」
「バランスの良い食事と質の良い睡眠によって、勃起した陰茎の硬度は上がるんです」
「へぇ……」
蘊蓄を聞いても、今はそれどころじゃない。
早く終わらせたくて、私はアスタルさんの腰を掴んで下から奥へ捩じ込むように突き上げた。
すると、アスタルさんは驚いたように目を見開き、艶めいた吐息を漏らして背中をしならせる。
その瞬間、きゅうきゅうっと中が収縮して、感じてる事がダイレクトに伝わってくる。
「はぁ……ぁ……ん……いいですよ……もっと、激しく……」
「はい……!」
「あぁっ……んん!」
ジョニーもだけど、アスタルさんの中も凄い。
熱くてヌルヌルで、柔らかくてキツく締まる。
絶頂を迎える寸前、私の首を押さえつけていた手が離れる。
急に空気が流れ込んできて、俺は咳き込みながら新鮮な酸素を取り込んでいった。
「げほっ……ごほ……はぁ……はぁ……うわっ!?」
『グリュッ』
「ぅ、アスタルさ……それ、やばぃ」
突然の変動に驚き、目を白黒させていると、今度は腰を前後に揺すり始めたアスタルさん。
その動きは絶妙な加減で、私を追い詰めていく。
「(中が、うねって……吸い付いてくる)」
気持ち良すぎて我慢できず、そのまま中に出してしまった。
すると、アスタルさんは嬉しそうな笑みを浮かべた。
「味はまだまだですが、量は多いですね」
「ぅ……ん、んん」
尿道に残った分まで全て搾り取るような勢いで、何度も上下に腰を動かされる。
射精したばかりの敏感になったモノには強過ぎる刺激だ。
『きゅぅぅ……』
「うあ!」
更に強く締め付けられ、思わず声が出る。
「ぁ……ふ……まだ……いけますよね?」
「ま、待ってください……少しだけって……言ったじゃないですか。ジョニーの食事もあるんです」
「快楽に流されない男は好きですよ」
そういって俺の瞼にキスを落とすアスタルさんは、ゆっくり腰を上げて中から俺をズルリと引き抜いた。
「また機会があれば……お相手願いたいですね」
「もう勘弁です……」
そんなこんなで、アスタルさんとの行為を終える事ができた。
私の精なら、ジョニーも暴走する程に飢えたりしないし、特別美味でもないから大丈夫だと言われた。
まぁ、つまり、ジョニーの睡眠サポート継続は許可された。
「あ! 智樹さん、大丈夫でしたか?」
「怖かった……」
「起きてる人間との食事は久しぶりでしたので、つい興奮してしまいました」
「はぁ……」
「それでは、自分はこれにて退散します。ジョニー、くれぐれも自制心を忘れぬように」
アスタルさんが帰った後、ジョニーは申し訳なさそうに私の首に触れた。
「智樹さん、すみません。俺がわがまま言ったから……」
「いや、私もジョニーが居ないと困るし……これからもよろしく」
「はい!」
その後、ちょくちょくアスタルさんが
様子を見に来るようになった。
そして、その度に迫られたがお断りさせていただいている。
私に首締めの適性はない。
「鈴木さんにも言われたそれ」
昼休みに飯を食っていたら、同僚がニヤついた笑みを浮かべながら、肘で小突いて来た。
「違うのか?」
「違う違う」
納得行かなそうな顔をしている。
まぁ、最近私の変わりようを見てそう思うのも無理はないかもしれない。
実はここ数日、私は夢魔であるジョニーと食後にセックスをしている。最初は夢魔の体液には媚薬効果があるのではと思ったが、どうやらそんな事は無くただ私がスケベなだけだった。
そして、性行為は体力を使う。
運動不足だった私にとっては、ジョギングや筋トレよりも効果があった。
ジョニーは私との性交によって、腹を満たすと同時に精液の味で俺の体調を把握しているようで献立表を作っている。
「今度、彼女紹介しろよ」
「だから、違うって」
「えー、絶対いるだろ」
「しつこいぞ」
否定しても信じて貰えない。
証明するにも、ジョニーはカメラに映らないし、女性社員達の中には絶対興味持つ人が居る。
下手に紹介すると面倒な事になる気がするので、黙っている事にした。
「ふぅ……今日も疲れた」
会社から帰宅すると、玄関に見慣れぬ男物の靴が置いてあった。
来客でも来たのかと思いつつリビングに向かう。
扉を開けると、そこには……
「完璧主義も大概にしろジョニー。もう一ヶ月も一人の人間に入れ込んで……」
「だ……だって、睡眠は日頃の食事や生活習慣で左右されるんですよ」
ジョニーが正座をさせられて怒られていた。
その相手は……
「(外国人?)」
金髪碧眼、白人男性。
歳は30代くらいだろうか。
スーツを着ていて、一見ビジネスマンに見える。
「彼は特に不健康で、一ヶ月じゃ補えません」
「言い訳は結構」
「……ジョニー?」
「と、智樹さん!?」
ジョニーが驚いた表情をする。
男はこちらを見ると、呆れたようにため息をつく。
「なるほど……睡眠不足、栄養不足、欲求不満、おまけにストレス過多に鬱症状。典型的なブラック企業勤めの不摂生なサラリーマンだ」
「……ぅ?」
『バタン』
男が私を指差す。
その瞬間、全身から力が抜けて倒れ込んでしまった。
起き上がろうとしても、身体に全く力が入らない。
なんだこれ? なんで急にこんな……
「やめてください! アスタル!」
「……じょ、に」
「確かに、一ヶ月やそこらでジョニーが望む快眠は得られそうにない」
男の手が私の額に触れる。
すると、意識が急速に薄れていく。
抗おうにも、身体が言うことを聞かない。
視界が真っ暗になる直前、ジョニーの声が聞こえたような気がした。
※※※
目を覚ますと、そこはベッドの上だった。
いつもの清々しい朝……ではない。不安の方が大きい。
休日出勤の無い普通の休日だと言うのに、私はベッドから飛び降りてキッチンへ向かった。
『ガチャ!』
「やだやだやだ! 智樹さんの食事は俺が作りたいんです!」
「お前の食事は何年計画だ! こっちの方が栄養価が高い!」
「栄養あっても美味しくないとキツいですって!」
……仲良く二人で朝食を作っていた。
何この光景。
困惑していると、二人共私に気付いたようだ。
「おはようございます。智樹さん、目覚めのお加減はいかがですか?」
「……よくないですよ」
「そんな!」
外人顔のイケメンがめちゃくちゃ驚いていた。
とりあえず、朝食を食べながら状況を整理する。
彼の名前はアスタル。
ジョニーの先輩夢魔らしい。
「アスタルさんは、ここで何を?」
「ジョニーが召喚先から戻って来ないので、喚び戻しに来たんです」
「え!? ジョニー……帰るの?」
「帰りません。俺の力を遺憾無く発揮できる身体に仕上げてからです」
「はぁぁぁ……ジョニーは完璧主義で困りますよ」
アスタルさんは大きなため息をついた。
この人は苦労性なのかもしれない。
「アプリで眠りを必要としている人間達を選別して睡眠のサポートをする変わりに睡眠中に食事を摂る。普通は一夜限り。連夜で使用されても、無用なトラブルを避ける為に姿は見せない」
「……ジョニー」
「うっ……」
一夜どころか一ヶ月。
次の日には、姿を見せて食事や家事代行サービス。
明らかにやり過ぎだ。
アスタルさんも私と同意見のようだけど、おかげで私の体調は良くなったわけだし、感謝こそすれど責めるのは違うと思う。
「だって、見てられなかったんですよ……あの程度の快眠で、人生最高みたいな……」
「ジョニー、睡眠サポートサービス『スリープ』は夢魔にとって睡眠はサービスで食事がメインだ。お前の場合、それが逆転してる。そんなんじゃ飢え死にするぞ」
「飢え死にって……あれでも足りない?」
「いや、十分足りてますよ!」
「なんだ……智樹さんから食事提供も受けてるのか?」
私達のやり取りを聞いて、アスタルさんが訝しげに尋ねる。
それに少々居心地悪そうに視線を泳がせながら頷くジョニー。
「そうか……飢えていなければ、それでいい」
「そ、そそ、そうでしょ! だから、俺はこのまま……智樹さんの睡眠サポートを続けます」
「智樹さんのサポートは続ければいい。掛け持ちも出来るだろ」
掛け持ち……他の人間のところに睡眠サポートへ行くって事か。
喚び戻されずに済みそうな、アスタルさんの提案にホッとする。
しかし、その提案を聞いたジョニーの顔が曇った。
「……俺、智樹さんだけで」
「馬鹿を言うな。彼が廃人にでもなったらどうする」
「俺は暴走して精を搾り尽くしたりなんてしないし、智樹さんもそんな柔ではありません」
「……ほぉ、お前がそこまで言うには、さぞかし智樹さんは……」
ズイっと俺に迫るアスタルさんの吐息が頬にかかる。
近い! イケメンが近過ぎる! あと、なんかいい匂い! 香水とかじゃなくて、これは……
「自分、テクニックには自信があります。今夜如何ですか?」
恐らく、今晩お食事でもどう? というお誘いだろう。
けど、私としてはちょっと遠慮したい。
「ちょっと……それは……」
「食事は多い方が楽しいと言うではありませんか」
「……3Pはちょっとハードルが」
「おやぁ~寂しいですね。ですが、智樹さんの具合を確認しないと、ジョニーを置いて行くのは不安です。少しだけでも、試させてくれませんか?」
耳元で囁かれる甘い声。
背筋にゾクッと震えが走った。
思わずコクりと喉が鳴る。
ジョニーが居ないと俺の生活と睡眠が……背に腹は変えられない!
「す、少しだけなら……いいです」
「智樹さん!?」
「十分です」
「アスタル!?」
こうして私は、一晩だけジョニーの先輩夢魔であるアスタルさんと夜を共にする事になった。
「ジョニー、怒ってる?」
「怒ってないですよ。ただ、心配で……」
「心配?」
「アスタル……食事中の行儀が悪いんです」
その時はジョニーの言う、性交中の行儀の悪さについて、私は全くピンと来ていなかったが……すぐに思い知らされる事となった。
「どうですか? 智樹さん」
「……き、気持ちいいです」
「それはよかった」
「あ、あの……手を」
騎乗位で腰を振るアスタルさんは、色白の肌がほんのりピンク色に染まっていて、とても綺麗だった。
そして、ジョニーとはまた違ったタイプの顔の良さだ。ジョニーがイケメンなら、アスタルさんは美形という括りだろう。
しかし、どんな人間や夢魔相手だろうと、首を両手で覆われていると締め殺されそうで気が散ってしまう。
なんとかアスタルさんの手から逃れようと身を捩るが、彼は許してくれなかった。
むしろ、私が逃げようとする程に力を込めてくる。
首に食い込む指に力が込められて……萎えるどころか、元気に……恐怖心からの生存本能だろうか。
「はっ……うぅ……」
「なんと、逞しい……ジョニーの食事などの睡眠サポートも侮れませんね」
「?」
「バランスの良い食事と質の良い睡眠によって、勃起した陰茎の硬度は上がるんです」
「へぇ……」
蘊蓄を聞いても、今はそれどころじゃない。
早く終わらせたくて、私はアスタルさんの腰を掴んで下から奥へ捩じ込むように突き上げた。
すると、アスタルさんは驚いたように目を見開き、艶めいた吐息を漏らして背中をしならせる。
その瞬間、きゅうきゅうっと中が収縮して、感じてる事がダイレクトに伝わってくる。
「はぁ……ぁ……ん……いいですよ……もっと、激しく……」
「はい……!」
「あぁっ……んん!」
ジョニーもだけど、アスタルさんの中も凄い。
熱くてヌルヌルで、柔らかくてキツく締まる。
絶頂を迎える寸前、私の首を押さえつけていた手が離れる。
急に空気が流れ込んできて、俺は咳き込みながら新鮮な酸素を取り込んでいった。
「げほっ……ごほ……はぁ……はぁ……うわっ!?」
『グリュッ』
「ぅ、アスタルさ……それ、やばぃ」
突然の変動に驚き、目を白黒させていると、今度は腰を前後に揺すり始めたアスタルさん。
その動きは絶妙な加減で、私を追い詰めていく。
「(中が、うねって……吸い付いてくる)」
気持ち良すぎて我慢できず、そのまま中に出してしまった。
すると、アスタルさんは嬉しそうな笑みを浮かべた。
「味はまだまだですが、量は多いですね」
「ぅ……ん、んん」
尿道に残った分まで全て搾り取るような勢いで、何度も上下に腰を動かされる。
射精したばかりの敏感になったモノには強過ぎる刺激だ。
『きゅぅぅ……』
「うあ!」
更に強く締め付けられ、思わず声が出る。
「ぁ……ふ……まだ……いけますよね?」
「ま、待ってください……少しだけって……言ったじゃないですか。ジョニーの食事もあるんです」
「快楽に流されない男は好きですよ」
そういって俺の瞼にキスを落とすアスタルさんは、ゆっくり腰を上げて中から俺をズルリと引き抜いた。
「また機会があれば……お相手願いたいですね」
「もう勘弁です……」
そんなこんなで、アスタルさんとの行為を終える事ができた。
私の精なら、ジョニーも暴走する程に飢えたりしないし、特別美味でもないから大丈夫だと言われた。
まぁ、つまり、ジョニーの睡眠サポート継続は許可された。
「あ! 智樹さん、大丈夫でしたか?」
「怖かった……」
「起きてる人間との食事は久しぶりでしたので、つい興奮してしまいました」
「はぁ……」
「それでは、自分はこれにて退散します。ジョニー、くれぐれも自制心を忘れぬように」
アスタルさんが帰った後、ジョニーは申し訳なさそうに私の首に触れた。
「智樹さん、すみません。俺がわがまま言ったから……」
「いや、私もジョニーが居ないと困るし……これからもよろしく」
「はい!」
その後、ちょくちょくアスタルさんが
様子を見に来るようになった。
そして、その度に迫られたがお断りさせていただいている。
私に首締めの適性はない。
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