20 / 38
一章・冒険者・ナナ
憂い
しおりを挟む
私の名はトラバルト。タニア王国の将軍だ。
程なくして最後の戦いを始める事になる。
戦いとは言うもののこれは体のいい処刑だ。
私に付き合わされる部下達に申し訳なく思う。
私はある時戦場で敵の女を助けた。
その女は、物見遊山気分でで戦場に訪れていた、我がタニア王国の貴族、コーメル卿とその息子を害そうとした所を私が阻止した。
すんでの所で命が助かったコーメル卿は激昂し、即刻処刑を望んだ。
しかし私にはその女を殺せなかった。
女の攻撃を阻止できたのは、女がコーメル卿の息子を手に掛けることを明らかに躊躇ったからだ。
ここで女を殺せば、私は二度と人間に戻れない。
そんな気がした。
コーメル卿の怒号を他所に、私はその女を解放し逃した。
その結果がこれだ。
コーメル卿は王都に帰ると諮問会に私をかけた。
有力貴族であるコーメル卿は根回しを済ませていたし、他の貴族も将軍とはいえ、平民である私が楯突いた事を許す気は無いようだった。
決議の結果は次の出征で敵国・エーヴェルの王都を陥落さよ。
そして私が率いる事を許されたのは僅か100騎の部下のみ。
ーーつまり死んでこいと言う事だ。
私はいい。
コーメル卿の命令を無視した時点であの国の生は捨てていたから。
だが私を慕ってついてきたこの者達に、私は何も報いる事が出来ず道連れにしてしまう。
普段は忠実な部下達で私の命令に背いたことはないが、逃げる事を勧めたら初めて拒否されてしまった。
100騎という寡兵が幸いして、アイギスまで一気にかける事が出来、何の準備もしていなかった砦を奇襲で陥落させる事はできたが、王都ではこうはいかない。
敵にはもう動きを知られているから、恐らくもうこの砦に軍が差し向けられているだろう。
そうなれば全滅は必至。
(………。)
程なくして最後の戦いを始める事になる。
戦いとは言うもののこれは体のいい処刑だ。
私に付き合わされる部下達に申し訳なく思う。
私はある時戦場で敵の女を助けた。
その女は、物見遊山気分でで戦場に訪れていた、我がタニア王国の貴族、コーメル卿とその息子を害そうとした所を私が阻止した。
すんでの所で命が助かったコーメル卿は激昂し、即刻処刑を望んだ。
しかし私にはその女を殺せなかった。
女の攻撃を阻止できたのは、女がコーメル卿の息子を手に掛けることを明らかに躊躇ったからだ。
ここで女を殺せば、私は二度と人間に戻れない。
そんな気がした。
コーメル卿の怒号を他所に、私はその女を解放し逃した。
その結果がこれだ。
コーメル卿は王都に帰ると諮問会に私をかけた。
有力貴族であるコーメル卿は根回しを済ませていたし、他の貴族も将軍とはいえ、平民である私が楯突いた事を許す気は無いようだった。
決議の結果は次の出征で敵国・エーヴェルの王都を陥落さよ。
そして私が率いる事を許されたのは僅か100騎の部下のみ。
ーーつまり死んでこいと言う事だ。
私はいい。
コーメル卿の命令を無視した時点であの国の生は捨てていたから。
だが私を慕ってついてきたこの者達に、私は何も報いる事が出来ず道連れにしてしまう。
普段は忠実な部下達で私の命令に背いたことはないが、逃げる事を勧めたら初めて拒否されてしまった。
100騎という寡兵が幸いして、アイギスまで一気にかける事が出来、何の準備もしていなかった砦を奇襲で陥落させる事はできたが、王都ではこうはいかない。
敵にはもう動きを知られているから、恐らくもうこの砦に軍が差し向けられているだろう。
そうなれば全滅は必至。
(………。)
0
あなたにおすすめの小説
敵に貞操を奪われて癒しの力を失うはずだった聖女ですが、なぜか前より漲っています
藤谷 要
恋愛
サルサン国の聖女たちは、隣国に征服される際に自国の王の命で殺されそうになった。ところが、侵略軍将帥のマトルヘル侯爵に助けられた。それから聖女たちは侵略国に仕えるようになったが、一か月後に筆頭聖女だったルミネラは命の恩人の侯爵へ嫁ぐように国王から命じられる。
結婚披露宴では、陛下に側妃として嫁いだ旧サルサン国王女が出席していたが、彼女は侯爵に腕を絡めて「陛下の手がつかなかったら一年後に妻にしてほしい」と頼んでいた。しかも、侯爵はその手を振り払いもしない。
聖女は愛のない交わりで神の加護を失うとされているので、当然白い結婚だと思っていたが、初夜に侯爵のメイアスから体の関係を迫られる。彼は命の恩人だったので、ルミネラはそのまま彼を受け入れた。
侯爵がかつての恋人に似ていたとはいえ、侯爵と孤児だった彼は全く別人。愛のない交わりだったので、当然力を失うと思っていたが、なぜか以前よりも力が漲っていた。
※全11話 2万字程度の話です。
アリエッタ幼女、スラムからの華麗なる転身
にゃんすき
ファンタジー
冒頭からいきなり主人公のアリエッタが大きな男に攫われて、前世の記憶を思い出し、逃げる所から物語が始まります。
姉妹で力を合わせて幸せを掴み取るストーリーになる、予定です。
裏切り者達に復讐を…S級ハンターによる最恐育成計画
みっちゃん
ファンタジー
100年前、異世界の扉が開き、ハンターと呼ばれる者達が魔物達と戦う近未来日本
そんな世界で暮らすS級ハンターの
真田優斗(さなだゆうと)は異世界の地にて、仲間に裏切られ、見捨てられた
少女の名はE級ハンターの"ハルナ•ネネ"を拾う。
昔の自分と重なった真田優斗はハルナ•ネネを拾って彼女に問いかける。
「俺達のギルドに入りませんか?」
この物語は最弱のE級が最強のS級になり、裏切った者達に復讐物語である。
セクスカリバーをヌキました!
桂
ファンタジー
とある世界の森の奥地に真の勇者だけに抜けると言い伝えられている聖剣「セクスカリバー」が岩に刺さって存在していた。
国一番の剣士の少女ステラはセクスカリバーを抜くことに成功するが、セクスカリバーはステラの膣を鞘代わりにして収まってしまう。
ステラはセクスカリバーを抜けないまま武闘会に出場して……
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
無能妃候補は辞退したい
水綴(ミツヅリ)
ファンタジー
貴族の嗜み・教養がとにかく身に付かず、社交会にも出してもらえない無能侯爵令嬢メイヴィス・ラングラーは、死んだ姉の代わりに15歳で王太子妃候補として王宮へ迎え入れられる。
しかし王太子サイラスには周囲から正妃最有力候補と囁かれる公爵令嬢クリスタがおり、王太子妃候補とは名ばかりの茶番レース。
帰る場所のないメイヴィスは、サイラスとクリスタが正式に婚約を発表する3年後までひっそりと王宮で過ごすことに。
誰もが不出来な自分を見下す中、誰とも関わりたくないメイヴィスはサイラスとも他の王太子妃候補たちとも距離を取るが……。
果たしてメイヴィスは王宮を出られるのか?
誰にも愛されないひとりぼっちの無気力令嬢が愛を得るまでの話。
この作品は「小説家になろう」「カクヨム」にも掲載しています。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる