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一章・冒険者・ナナ
曇天
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まさか自分が差しの勝負で敗れる日が来るとは。
私の武人としての人生には満足だ。
だが…。
私に付き従ってくれた皆を何とか助けたい。
恐らく100名で掛かっても敵うまい。
元より私が一騎討ちを受けた相手に集団で襲いかかるような者達ではない。
逃げろと言っても、もはや討ち死に覚悟してる者達だ、聞いてはくれまい。
勝ちの目もなく、逃げの目もない。
とっくに出ている答えを必死に否定する方法を探していると、女がゆっくりこちらを向き口を開いた。
「本当に…強いですね。
槍を斬り落とすつもりだったのですが、それはおろか軌道を変えることすら出来なかったです。
それどころか………。」
傷を負った風ではない。
だが女は静かにその大きい瞳から涙を流していた。
その光景に誰もが困惑の色を隠せない。
「将軍、私の負けです。」
そういうと剣を鞘に収め、その場を去ろうとした。
「待たれよ!」
「何だと言うのだ。
女、いやナナよ、何故お前の負けなのだ。
お前は私の誰も捌いたことのない技を2つも避けた。
寧ろ私が負けたと感じたところだ。」
ナナは歩みを止めたがこちらを向くことなく言葉を発した。
「刃が…欠けました。
10年、欠けることのなかった私の剣が初めて。」
「なに?その剣は余程の業物なのか?」
「わかりません、昔田舎の私の村に来た行商さんから買ったものです。」
…。
刃が欠けただと?
しかも辺境に行脚する行商が売ってた剣の。
ふふふ。
こちらは神槍と呼ばれるアテナを擁しているのだぞ。
私はお前も知っての通り、大陸に名を馳せた将軍だぞ。
お前が躱した技は必殺の権威を保ってきた絶技だぞ。
「ふふ。
待ってくれナナよ。
頼む、私も武人なんだ。
私の負けにしてくれ。」
アテナを地面に置き私は跪いた。
「しょ、将軍…?」
跪いた状態ではこちらを向いたナナの表情は窺い知れないが、困惑しているようだ。
「敗者は勝者に従うものだ。
私を殺すなり捕虜にするなり好きにしてくれ。」
(皆すまん。
私の完敗だ。)
「将軍、顔をあげてください。
将軍がどう思おうと、私も勝ちを名乗れません。
だから…」
「いつかもう一回やりましょう」
「いつかもう一回やるためには、将軍に生きてて貰わねばなりません。
だから王都への突撃はしないでください。
かといってアイギスに居座っても奪還のための部隊が直にやってきますから、すぐに撤収してください。」
「…仮にも敗者を名乗ったのだ、異論はない。」
「撤退だ!」
こうして私のタニア軍人としての最後の戦いは終わった。
国へ戻れば私は死罪。
騎士道、部下の命、再戦の約束。
(私は…。)
私の武人としての人生には満足だ。
だが…。
私に付き従ってくれた皆を何とか助けたい。
恐らく100名で掛かっても敵うまい。
元より私が一騎討ちを受けた相手に集団で襲いかかるような者達ではない。
逃げろと言っても、もはや討ち死に覚悟してる者達だ、聞いてはくれまい。
勝ちの目もなく、逃げの目もない。
とっくに出ている答えを必死に否定する方法を探していると、女がゆっくりこちらを向き口を開いた。
「本当に…強いですね。
槍を斬り落とすつもりだったのですが、それはおろか軌道を変えることすら出来なかったです。
それどころか………。」
傷を負った風ではない。
だが女は静かにその大きい瞳から涙を流していた。
その光景に誰もが困惑の色を隠せない。
「将軍、私の負けです。」
そういうと剣を鞘に収め、その場を去ろうとした。
「待たれよ!」
「何だと言うのだ。
女、いやナナよ、何故お前の負けなのだ。
お前は私の誰も捌いたことのない技を2つも避けた。
寧ろ私が負けたと感じたところだ。」
ナナは歩みを止めたがこちらを向くことなく言葉を発した。
「刃が…欠けました。
10年、欠けることのなかった私の剣が初めて。」
「なに?その剣は余程の業物なのか?」
「わかりません、昔田舎の私の村に来た行商さんから買ったものです。」
…。
刃が欠けただと?
しかも辺境に行脚する行商が売ってた剣の。
ふふふ。
こちらは神槍と呼ばれるアテナを擁しているのだぞ。
私はお前も知っての通り、大陸に名を馳せた将軍だぞ。
お前が躱した技は必殺の権威を保ってきた絶技だぞ。
「ふふ。
待ってくれナナよ。
頼む、私も武人なんだ。
私の負けにしてくれ。」
アテナを地面に置き私は跪いた。
「しょ、将軍…?」
跪いた状態ではこちらを向いたナナの表情は窺い知れないが、困惑しているようだ。
「敗者は勝者に従うものだ。
私を殺すなり捕虜にするなり好きにしてくれ。」
(皆すまん。
私の完敗だ。)
「将軍、顔をあげてください。
将軍がどう思おうと、私も勝ちを名乗れません。
だから…」
「いつかもう一回やりましょう」
「いつかもう一回やるためには、将軍に生きてて貰わねばなりません。
だから王都への突撃はしないでください。
かといってアイギスに居座っても奪還のための部隊が直にやってきますから、すぐに撤収してください。」
「…仮にも敗者を名乗ったのだ、異論はない。」
「撤退だ!」
こうして私のタニア軍人としての最後の戦いは終わった。
国へ戻れば私は死罪。
騎士道、部下の命、再戦の約束。
(私は…。)
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