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一章・冒険者・ナナ
彼岸
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金髪に青い瞳、黒の軍服、立派な十字槍、そしてそのオーラ。
幕舎の天井を破って侵入した私は周囲を一瞥したけど、一目で彼がそうだと分かった。
この人がタニア最強の人、トラバルト将軍。
その威容は筆舌に尽くし難い。
だがそれでこそだった。
私は戦闘狂じゃない。
人を斬ること自体は普通に嫌いだ。
剣が好きで、その剣を活かす場は戦場しかないから、結果として人を斬る生活をしているだけ。
恐らく私は碌な死に方をだろう。
でも生きている間は剣の道を歩んでいたい。
そしてその剣の道における1つの極致、個の武力の頂点の1人に数えて遜色ないであろう人がここにいるのだ。
「私と一騎討ちをしていただけませんか?」
将軍は若干戸惑いつつも、私がタニア国軍の撃退依頼を受けている事を知り承諾してくれた。
幕舎の外に出て対峙する私と将軍。
やはり構えを取るとその圧はより凄まじい。
(あ、私冷や汗流してる…)
頬を伝う雫が地面に落ちたと同時に私は糸が切れたように地を蹴った。
構えた槍を潜り、一撃で決めるべく首を狙ったが身を反らし躱され、体を反転させ後ろから襲いかかるも、後ろを向いたままの将軍に剣を槍の柄でかちあげられてしまった。
疾い。
初めて私の剣が躱された、しかも二回も。
言いようのない緊張と多幸感が体を駆け巡る。
体勢を整えるのも束の間、今度は将軍の槍が眼前に迫っていた。
空気が歪んで見える程の突き。
躱すには躱したけど、強烈な衝撃波に襲われて私は吹き飛ばされてしまった。
(人間技じゃない…!)
「獄突」
間髪入れず襲いかかってくる、その技は私が今まで見た何よりも早かった。
私を除いて。
(あの一瞬で八回…!)
なんとか身を翻し、空に逃れたがその速度に肝を冷やした。
力が強くて動きが早い。
強者の条件を極限まで高めたその技に、戦慄すると共に感激した。
が
それはまだ尚早だったらしい。
「断空」
鮮やかな死が私の脳にハッキリと刻まれた。
幕舎の天井を破って侵入した私は周囲を一瞥したけど、一目で彼がそうだと分かった。
この人がタニア最強の人、トラバルト将軍。
その威容は筆舌に尽くし難い。
だがそれでこそだった。
私は戦闘狂じゃない。
人を斬ること自体は普通に嫌いだ。
剣が好きで、その剣を活かす場は戦場しかないから、結果として人を斬る生活をしているだけ。
恐らく私は碌な死に方をだろう。
でも生きている間は剣の道を歩んでいたい。
そしてその剣の道における1つの極致、個の武力の頂点の1人に数えて遜色ないであろう人がここにいるのだ。
「私と一騎討ちをしていただけませんか?」
将軍は若干戸惑いつつも、私がタニア国軍の撃退依頼を受けている事を知り承諾してくれた。
幕舎の外に出て対峙する私と将軍。
やはり構えを取るとその圧はより凄まじい。
(あ、私冷や汗流してる…)
頬を伝う雫が地面に落ちたと同時に私は糸が切れたように地を蹴った。
構えた槍を潜り、一撃で決めるべく首を狙ったが身を反らし躱され、体を反転させ後ろから襲いかかるも、後ろを向いたままの将軍に剣を槍の柄でかちあげられてしまった。
疾い。
初めて私の剣が躱された、しかも二回も。
言いようのない緊張と多幸感が体を駆け巡る。
体勢を整えるのも束の間、今度は将軍の槍が眼前に迫っていた。
空気が歪んで見える程の突き。
躱すには躱したけど、強烈な衝撃波に襲われて私は吹き飛ばされてしまった。
(人間技じゃない…!)
「獄突」
間髪入れず襲いかかってくる、その技は私が今まで見た何よりも早かった。
私を除いて。
(あの一瞬で八回…!)
なんとか身を翻し、空に逃れたがその速度に肝を冷やした。
力が強くて動きが早い。
強者の条件を極限まで高めたその技に、戦慄すると共に感激した。
が
それはまだ尚早だったらしい。
「断空」
鮮やかな死が私の脳にハッキリと刻まれた。
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