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続・魔界王立幼稚園ひまわり組
9:お話しましょう
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外からはまだ太鼓の音が微かに聞えてくる。
あの後お祭りは盛り上がってるみたいだ。リノちゃん達いい子にしてるかな。いいなぁ、私も行きたいな……。
それに比べてどうですか、ここの緊張感といったら。何、この重苦しい沈黙。
誰か話しましょうよ。ねぇ。ほら魔王様もあきらかに緊張した顔で固まってないで、先に語り掛けましょうよ。
お邪魔虫で恐縮ですが、そんなわけで私も魔王城のサロンです。いきなり玉座の間も圧迫感がありすぎるので場所だけでもソフトに。
「あ、私、お茶でも淹れて参りますね」
立ち上がろうとしたが、サリエノーアさんは手を放してくれない。がたがた震えてるし。細いのに力強いし。
「お茶ならご用意いたしましたよ」
絶妙のタイミングで運ばれて来たワゴン……地味に気の効きすぎる執事さんを恨む。
「ギリムさんはお祭りに行かないの? 一緒に踊りましょうよ」
「いえ、もう先に参りましたので。お気遣いなく」
そうでなくて。私にも気を使ってください!
「そう固くならなくとも」
やっと魔王様が口を開かれた。
「そうですよ。魔王様はちっとも怖い方では無いですから、安心して」
すかさずフォローを入れるが、サリエノーアさんはまだガタガタ震えている。どうしてそんなに怖いのかな? 体験入園の時は普通だったのに。さっきの大きいバージョンの魔王様を見ちゃったからだろうか。もう見慣れてしまったので全く怖いと思わないけど、やはり異界の人から見たら恐怖かな。それとも先程の目の事で魔王様に酷く叱られるとでも思ってるのだろうか。
「お茶でも飲んで落ち着きましょうか。ね?」
「でも……こ、これを捲らないと……」
おおう、そうだった。頭から被っているベールが邪魔か。そこで少し考えてみた。目を開けさえしなければいいのだったら、全体を隠して無くても目だけでいいんじゃないだろうか?
何かないかなと見渡すと、最近ここでリノちゃんがよく遊んでいるので、ユーリちゃんのお古のでっかいくまさんのぬいぐるみが置いてあるのをみつけた。その首に巻いてあった幅広の黒い花柄リボン。あれがいいんじゃないかな。がっしり捕まってる私に代わってギリムさんに取ってもらった。
「魔王様、ちょっと向こうを向いていて下さいませんか」
「う、うむ」
魔王様は素直に体を捻って向きを変えられた。そういう真面目な所好き。
「目を閉じててくださいね」
サリエノーアさんを何とか説得し、ベールを捲らせてもらった。そっと持ち上げた布の下から現れた顔。
ああ……やっぱり綺麗……。
陽に当たった事も無いような白いすべらかな肌、ペルちゃんよりもやや薄い金色の髪は自らが光を発しているような透き通った輝き。すっと通った鼻に閉じててもわかる長い睫毛の大きそうな目。口紅なんか塗ってないのに薔薇色の唇。確かにすごく整った顔立ちだけど、こう言っちゃなんだがウリちゃんや魔王様を見慣れているので造作は驚くほどでもない。それでもこれほどまでに美しいと思えるのは、内から湧き出すような輝きとなんとも言いようの無い色香。
目の色って何色なんだろう? 見てみたいな……いやいや、いかんいかん。おそらく私など一瞬で石になる……つまり魂が消滅してしまうだろう。
そっと目の上にリボンを被せて後ろで結わえた。
「きつくないですか?」
「大丈夫です。本当は頭から布を被っているのも結構息苦しくて邪魔で……それでもこの恥ずかしい顔を人前に出来るだけ晒したくは無くて」
はぁ? 何を仰ってるんだ、この人は。恥ずかしい顔って……こんなに綺麗なのに? 謙遜ってわけでも無いよね?
「とても綺麗なのに。隠しちゃうのは勿体無いです。あ、でもそうか。布の下だったら目を開けていられるけど目隠ししちゃうと見えませんね」
「いえ……目を開けなくても見えるので不便は無いです」
「そ、そうですか。じゃあこの方がいいですよ、絶対」
……でも綺麗な白い肌に黒い布地に薔薇柄の目隠しが、妙にエロく見えるというか背徳的というか……昔見た教会のマリア像に目隠しをしたみたいなそんないけない事をした感がある、と言うのは内緒にしておく。
「そろそろ良いだろうか、ココナさん」
あ、そうだ。魔王様を忘れていた。
「はっ、恥ずかしいです」
なぜかサリエノーアさんは顔を手で覆ってしまった。あ、耳が真っ赤だ。うーん、この人ホント謎。ひょっとして自分に自信が無いんだろうか? 意外とこうみえて天然さん? 天使さんだけど。
「いや、でもずっと魔王様に横を向いていてはもらえませんし」
「見てもいいだろうか」
魔王様がそーっとコッチを向かれた。そしてしばらくして「ぽっ」と音がしたような気がした。顔見えました? 頬赤いですよ、魔王様。
「こ、これで話しやすくなったな」
「わ、わたくしは、は、恥ずかしくて……」
「……」
面白すぎる、この二人! どちらも子持ちなのに、なんというか異性に慣れていない初心な子供みたいで。お見合いだなこれは。
あ、執事さん向こうを向いたまま笑いを堪えてますね。尻尾が震えてますよ。
随分と空気は和んだが、考えてみたらこれから魔王様も仰っていた魔界の危機にも繋がるような話をしないといけないのだ。
折角なのでお茶でもいただいて落ち着こう。そう思ったのは私だけでは無いようで、なぜか三人同時にお茶を一口飲んだ。少し冷めてしまったがやっぱりギリムさんのお茶は美味しい。
「奥さん、まずは先程の空の目の事だが……」
魔王様が切り出した。ぴーんと張り詰めた空気が漂った。
「あれは……父です」
「は?」
父。ファーザー。男親。
「えええええええええぇ?」
「ココナさん、驚きすぎだ」
いや、でもっ! 目ん玉ですよっ? 超でっかかったですよ! 魔王様よりももっと大きかったですよ!?
「勿論あの姿が実体では無い。あれは時空の切れ目を生じさせ、そこから覗いた意思の投影だ。高位の天界の神ならば造作もなかろう」
「は、はあ」
難しすぎてよくはわかりませんが、サリエノーアさんも頷いてるのでそういうことなのだろうな。
「お父さんは神様なんですか?」
「創造主様にお仕えする天界の神の一人です。でもそう偉くはないんですよ」
神様って一人じゃないんだね。まあ日本でも八百万の神とか言ったけども。
「少し話したが、父上も知らぬうちに勝手に魔界に来た娘を案じておられた。やっとみつけ、まだ堕天していないと知り迎えを遣すと。だが天界の者に迎えに来られてはこの魔界の魔族にとっては脅威。もうこちらに子もおるゆえ、しばらく待ってくれと説得しておいたが」
私の地獄耳にも聞えなかった魔王様とあの目との会話は、そんな事になってたんですか。うわあ、それって本気で危ないじゃない。
「本当に、本当に申し訳ございません」
しゅん、とサリエノーアさんが顔を伏せてしまった。
「訳あってこちらに来たのであろう? 聞かせてはもらえないだろうか?」
「そ、それは……」
「私も子の父ゆえ、お父上の気持ちもよくわかる。だが、子にも自分の考えも生きようもある事もわかっている。貴女が強い意志を持ってこちらに来られたというのなら、もう戻らなくても良いよう、力は貸すつもりだ」
魔王様……! 素晴らしいです、息子が学校の寮に入るだけで草を生やした人とは思えぬご立派なお言葉です!
サリエノーアさんも子の親。その思いはわかるのだろう。ぽつりぽつりと、彼女は語り始めた。
「私は天使の中でも落ちこぼれ。輝くばかりに美しい姉や兄達に比べ、器量も良くなく要領も頭も悪い。でも……どうしても魔界に来たかったのです」
天界には他の世界を覗き見られる窓が至る所にある。それは一番上の世界、この世界で語られる光輝く手……創造主が全ての世を見渡せるように設けられた見張り窓。行き来は力を持たぬ人間達の真ん中の世界にちょっと手を下貸したりする以外は禁じられているが、魔界にも通じている。
高位天使であるのにいまひとつさえない彼女は、唯一つ邪視の力のみが秀でていた。これも彼女にとっては難点だった。見たものを死に追いやる恐ろしい目。この自分に全く自信のない性格はここで形成されたらしい。
彼女はある日魔界を覗き見た。そして、そこで目にした人に恋をした。
何十年もこっそり見ているうちに募った想い。
ある日彼女は思い切って魔界に降りてきた。そして最初に出会い助けてくれたペルちゃんのお父さんと……。
「なるほど。恋か……」
なんだか魔王様がしんみりしておいでだ。そうだよね、好きな相手がいてこっちに来たんだものね。でももうその人も……。
その時、失礼しますと何人かの声が聞こえた。
「お話は終わりましたか?」
リノちゃんを抱っこしたウリちゃんと、ペルちゃんを抱っこしたユーリちゃんがやって来た。どうもおねむになってしまったらしい。
「まだ途中だったが……そうか、子供達はもう眠い時間だな。寝かせてやらないと」
「幼稚園の保護者の方々も、順次ルウラで送迎中です」
魔王様が立ち上がられた。
「そろそろ祭りも終わりにしようか。貴女もお疲れだろう。今日は先程の事もあるし、息子さんも寝てしまったのでこの城に泊まっていかれると良いだろう」
それだけ言い残して魔王様は行ってしまわれた。祭りの終了を告げるために。
「泊めていただくなど恐れ多い……」
「でもペルちゃんも疲れて寝ちゃいましたし。大丈夫、メチャクチャ広いですから、このお城。それとも私達のところに?」
「それがいいですよ。その方が安心できるでしょう?」
ウリちゃんも同意してくれたので、我が家の部屋に案内する。
移動中。少し気になっていたのでさりげなくサリエノーアさんに訊いた。
「その、好きになった人がペルちゃんのお父さんだったんですね?」
「いえ……本当は……な、何でもありません」
何か言いたげにうつむいた彼女。あれ? 違うの?
あの後お祭りは盛り上がってるみたいだ。リノちゃん達いい子にしてるかな。いいなぁ、私も行きたいな……。
それに比べてどうですか、ここの緊張感といったら。何、この重苦しい沈黙。
誰か話しましょうよ。ねぇ。ほら魔王様もあきらかに緊張した顔で固まってないで、先に語り掛けましょうよ。
お邪魔虫で恐縮ですが、そんなわけで私も魔王城のサロンです。いきなり玉座の間も圧迫感がありすぎるので場所だけでもソフトに。
「あ、私、お茶でも淹れて参りますね」
立ち上がろうとしたが、サリエノーアさんは手を放してくれない。がたがた震えてるし。細いのに力強いし。
「お茶ならご用意いたしましたよ」
絶妙のタイミングで運ばれて来たワゴン……地味に気の効きすぎる執事さんを恨む。
「ギリムさんはお祭りに行かないの? 一緒に踊りましょうよ」
「いえ、もう先に参りましたので。お気遣いなく」
そうでなくて。私にも気を使ってください!
「そう固くならなくとも」
やっと魔王様が口を開かれた。
「そうですよ。魔王様はちっとも怖い方では無いですから、安心して」
すかさずフォローを入れるが、サリエノーアさんはまだガタガタ震えている。どうしてそんなに怖いのかな? 体験入園の時は普通だったのに。さっきの大きいバージョンの魔王様を見ちゃったからだろうか。もう見慣れてしまったので全く怖いと思わないけど、やはり異界の人から見たら恐怖かな。それとも先程の目の事で魔王様に酷く叱られるとでも思ってるのだろうか。
「お茶でも飲んで落ち着きましょうか。ね?」
「でも……こ、これを捲らないと……」
おおう、そうだった。頭から被っているベールが邪魔か。そこで少し考えてみた。目を開けさえしなければいいのだったら、全体を隠して無くても目だけでいいんじゃないだろうか?
何かないかなと見渡すと、最近ここでリノちゃんがよく遊んでいるので、ユーリちゃんのお古のでっかいくまさんのぬいぐるみが置いてあるのをみつけた。その首に巻いてあった幅広の黒い花柄リボン。あれがいいんじゃないかな。がっしり捕まってる私に代わってギリムさんに取ってもらった。
「魔王様、ちょっと向こうを向いていて下さいませんか」
「う、うむ」
魔王様は素直に体を捻って向きを変えられた。そういう真面目な所好き。
「目を閉じててくださいね」
サリエノーアさんを何とか説得し、ベールを捲らせてもらった。そっと持ち上げた布の下から現れた顔。
ああ……やっぱり綺麗……。
陽に当たった事も無いような白いすべらかな肌、ペルちゃんよりもやや薄い金色の髪は自らが光を発しているような透き通った輝き。すっと通った鼻に閉じててもわかる長い睫毛の大きそうな目。口紅なんか塗ってないのに薔薇色の唇。確かにすごく整った顔立ちだけど、こう言っちゃなんだがウリちゃんや魔王様を見慣れているので造作は驚くほどでもない。それでもこれほどまでに美しいと思えるのは、内から湧き出すような輝きとなんとも言いようの無い色香。
目の色って何色なんだろう? 見てみたいな……いやいや、いかんいかん。おそらく私など一瞬で石になる……つまり魂が消滅してしまうだろう。
そっと目の上にリボンを被せて後ろで結わえた。
「きつくないですか?」
「大丈夫です。本当は頭から布を被っているのも結構息苦しくて邪魔で……それでもこの恥ずかしい顔を人前に出来るだけ晒したくは無くて」
はぁ? 何を仰ってるんだ、この人は。恥ずかしい顔って……こんなに綺麗なのに? 謙遜ってわけでも無いよね?
「とても綺麗なのに。隠しちゃうのは勿体無いです。あ、でもそうか。布の下だったら目を開けていられるけど目隠ししちゃうと見えませんね」
「いえ……目を開けなくても見えるので不便は無いです」
「そ、そうですか。じゃあこの方がいいですよ、絶対」
……でも綺麗な白い肌に黒い布地に薔薇柄の目隠しが、妙にエロく見えるというか背徳的というか……昔見た教会のマリア像に目隠しをしたみたいなそんないけない事をした感がある、と言うのは内緒にしておく。
「そろそろ良いだろうか、ココナさん」
あ、そうだ。魔王様を忘れていた。
「はっ、恥ずかしいです」
なぜかサリエノーアさんは顔を手で覆ってしまった。あ、耳が真っ赤だ。うーん、この人ホント謎。ひょっとして自分に自信が無いんだろうか? 意外とこうみえて天然さん? 天使さんだけど。
「いや、でもずっと魔王様に横を向いていてはもらえませんし」
「見てもいいだろうか」
魔王様がそーっとコッチを向かれた。そしてしばらくして「ぽっ」と音がしたような気がした。顔見えました? 頬赤いですよ、魔王様。
「こ、これで話しやすくなったな」
「わ、わたくしは、は、恥ずかしくて……」
「……」
面白すぎる、この二人! どちらも子持ちなのに、なんというか異性に慣れていない初心な子供みたいで。お見合いだなこれは。
あ、執事さん向こうを向いたまま笑いを堪えてますね。尻尾が震えてますよ。
随分と空気は和んだが、考えてみたらこれから魔王様も仰っていた魔界の危機にも繋がるような話をしないといけないのだ。
折角なのでお茶でもいただいて落ち着こう。そう思ったのは私だけでは無いようで、なぜか三人同時にお茶を一口飲んだ。少し冷めてしまったがやっぱりギリムさんのお茶は美味しい。
「奥さん、まずは先程の空の目の事だが……」
魔王様が切り出した。ぴーんと張り詰めた空気が漂った。
「あれは……父です」
「は?」
父。ファーザー。男親。
「えええええええええぇ?」
「ココナさん、驚きすぎだ」
いや、でもっ! 目ん玉ですよっ? 超でっかかったですよ! 魔王様よりももっと大きかったですよ!?
「勿論あの姿が実体では無い。あれは時空の切れ目を生じさせ、そこから覗いた意思の投影だ。高位の天界の神ならば造作もなかろう」
「は、はあ」
難しすぎてよくはわかりませんが、サリエノーアさんも頷いてるのでそういうことなのだろうな。
「お父さんは神様なんですか?」
「創造主様にお仕えする天界の神の一人です。でもそう偉くはないんですよ」
神様って一人じゃないんだね。まあ日本でも八百万の神とか言ったけども。
「少し話したが、父上も知らぬうちに勝手に魔界に来た娘を案じておられた。やっとみつけ、まだ堕天していないと知り迎えを遣すと。だが天界の者に迎えに来られてはこの魔界の魔族にとっては脅威。もうこちらに子もおるゆえ、しばらく待ってくれと説得しておいたが」
私の地獄耳にも聞えなかった魔王様とあの目との会話は、そんな事になってたんですか。うわあ、それって本気で危ないじゃない。
「本当に、本当に申し訳ございません」
しゅん、とサリエノーアさんが顔を伏せてしまった。
「訳あってこちらに来たのであろう? 聞かせてはもらえないだろうか?」
「そ、それは……」
「私も子の父ゆえ、お父上の気持ちもよくわかる。だが、子にも自分の考えも生きようもある事もわかっている。貴女が強い意志を持ってこちらに来られたというのなら、もう戻らなくても良いよう、力は貸すつもりだ」
魔王様……! 素晴らしいです、息子が学校の寮に入るだけで草を生やした人とは思えぬご立派なお言葉です!
サリエノーアさんも子の親。その思いはわかるのだろう。ぽつりぽつりと、彼女は語り始めた。
「私は天使の中でも落ちこぼれ。輝くばかりに美しい姉や兄達に比べ、器量も良くなく要領も頭も悪い。でも……どうしても魔界に来たかったのです」
天界には他の世界を覗き見られる窓が至る所にある。それは一番上の世界、この世界で語られる光輝く手……創造主が全ての世を見渡せるように設けられた見張り窓。行き来は力を持たぬ人間達の真ん中の世界にちょっと手を下貸したりする以外は禁じられているが、魔界にも通じている。
高位天使であるのにいまひとつさえない彼女は、唯一つ邪視の力のみが秀でていた。これも彼女にとっては難点だった。見たものを死に追いやる恐ろしい目。この自分に全く自信のない性格はここで形成されたらしい。
彼女はある日魔界を覗き見た。そして、そこで目にした人に恋をした。
何十年もこっそり見ているうちに募った想い。
ある日彼女は思い切って魔界に降りてきた。そして最初に出会い助けてくれたペルちゃんのお父さんと……。
「なるほど。恋か……」
なんだか魔王様がしんみりしておいでだ。そうだよね、好きな相手がいてこっちに来たんだものね。でももうその人も……。
その時、失礼しますと何人かの声が聞こえた。
「お話は終わりましたか?」
リノちゃんを抱っこしたウリちゃんと、ペルちゃんを抱っこしたユーリちゃんがやって来た。どうもおねむになってしまったらしい。
「まだ途中だったが……そうか、子供達はもう眠い時間だな。寝かせてやらないと」
「幼稚園の保護者の方々も、順次ルウラで送迎中です」
魔王様が立ち上がられた。
「そろそろ祭りも終わりにしようか。貴女もお疲れだろう。今日は先程の事もあるし、息子さんも寝てしまったのでこの城に泊まっていかれると良いだろう」
それだけ言い残して魔王様は行ってしまわれた。祭りの終了を告げるために。
「泊めていただくなど恐れ多い……」
「でもペルちゃんも疲れて寝ちゃいましたし。大丈夫、メチャクチャ広いですから、このお城。それとも私達のところに?」
「それがいいですよ。その方が安心できるでしょう?」
ウリちゃんも同意してくれたので、我が家の部屋に案内する。
移動中。少し気になっていたのでさりげなくサリエノーアさんに訊いた。
「その、好きになった人がペルちゃんのお父さんだったんですね?」
「いえ……本当は……な、何でもありません」
何か言いたげにうつむいた彼女。あれ? 違うの?
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