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続・魔界王立幼稚園ひまわり組
32:子供は正直
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ヘンテコな生き物達は別に噛み付いたり襲い掛かるでも無く、ただふらふらとお城の中を歩き回るだけだ。たまにくっつかれた人が気味悪がるだけで害は無いのだが……。
「シッパイシチャッタ」
「きゃははははは」
「ハヤクネナサーイ」
「わ、わははははは〜!」
不思議な物体に対抗するように、何か知らないがジラソレも笑っているので非常にうるさい。ああ、貧血みたいな頭にガンガン響く。
「何とも鬱陶しいな」
「そうですね」
一応異変を察して来てくれたっぽいジラソレには気の毒だが、うるさいので畑にお引取り願った。
立体なのでわからなかったが、よく見ると確かに子供が描いた絵にそっくりだ。特にきゃははと笑ってるのは、リノちゃんがお花を描いたら丁度こんな感じというところか。そして「早く寝なさい」を連呼している人っぽいのは……。
「多分ママのつもりだと思いますよ」
薄々気がついてはいたが、先回りでウリちゃんに言われた。やっぱりかー。私なのか! ううっ、マッチ棒のような体はともかく、なんでその台詞?
「夜いつもココナさんがしつこく言ってますものねぇ」
「……」
「子供はよく見ているな」
魔王様まで。その魔王様だが次に角を曲がったときに現れた奴を見て笑えなくなってしまったようだ。
腕組みで無言で歩き回ってるのは黒いやはりマッチ棒人間。時々こけては辺りをきょろきょろ確かめるのが何とも言えず滑稽だ。そしてまた起き上がって歩き出す。黒い長い髪に頭に角という他にいない特徴を備えてますね。
「あれはどう見ても魔王様でしょう」
「……」
リノちゃんの目には魔王様はそういうキャラクターとして認識されているのか。そういう現場でも見たんだろうか。なかなか核心をついてるぞ、娘。
魔王様の受難は続いた。
「父上っ! 何ですか、今日僕が寮に帰るからって!」
頭の上に青い丸い他のを乗っけて、既に身支度していたっぽいユーリちゃんが怒りながらやってきた。
「ナンデー? ナンデー? ナンデー?」
ひよこ? 小鳥? 変な鳴き声だが結構カワイイ。これもきっとペルちゃんあたりが描いたんだろうな。
「ユーリ、行っておくが私では無いぞ」
「……」
「スキースキースキー」
「魔王様っ! これ、何としてくださいよ!」
エイジ君もだ。妙に細長い生き物に追いかけられている。二人を先に見に行ってくれたが、こいつらに追いかけられて近づけなかったらしい。
「……だから何故、皆私を疑うのだろうか?」
「いつもがいつもだけに信用なりません」
ぶっ。すみません魔王様、ふき出してしまいました。ユーリちゃん、ナイス私達の心の代弁。
「ま、魔王様、お気を確かに」
さっちゃんがフォローを入れているが、微妙に口元が笑ってるよね。
「日頃の行いですね。子供は正直です。とても大人をよく見ていますね」
少し偉そうに言ったウリちゃんの目の前を何かが横切って行った。
「デ、ゴザイマスヨー、ゴザイマスヨー」
ひろひろと羽根を動かして飛んでいるのは、掌に乗りそうな妙に小さい人。やっぱり棒の様な体型だが、この色彩といい口調といい、間違いないな。
「パパも描いてもらってるねぇ。存在の大きさを非常に子供はよく表してるねぇ」
「……」
早く寝なさいママとコケる魔王様はそこそこ大きかったが、ウリちゃんは手乗りくらいの大きさだったのがショックだったようだ。
ずずーんと沈んだ鬱陶しい物体が一体増えてしまった。
「……というわけなのよ」
ユーリちゃん、エイジ君にも説明し、私達は六人で幼稚園まで来た。
「おもちろーい!」
「すごいね、これ」
中から、子供達の笑い声が聞える。
「あれ、天界の物でしょう? 危なくないですか」
「そうなの。早く取り上げないと……」
ドアを開けると更にすごい事になっていた。
休園日とは思えないほど賑やかな幼稚園。大きいの、小さいの、色とりどりの沢山の不思議な物体が犇いていた。
奥の机のところで絵の具を広げて、大喜びで次々とお絵かきしているリノちゃんとペルちゃん。その手にはやはりあの筆が!
「リノちゃん! ペルちゃん!」
慌てて駆け寄ったが、二人は元気いっぱいニコニコ笑っている。天界の道具なのに触って大丈夫なんだろうか?
「ママー、これしゅごいぉ! お友達いっぱーい」
「沢山お絵かきしたよ!」
顔まで絵の具でべったりにしてリノちゃんとペルちゃんはご機嫌だ。筆と手元がピンクに光ってる。あー、あれは。
「ココナさんの防御がまだ効いているようだな」
筆を取り上げたときにシールドで包んだのと、この二人にはお遊戯会の前にキスしたのがまだ効いていたようだ。ホッとしたが、それでもあまり長時間持っていたら危ない。
「それは大事なものなの。勝手に使ったら駄目なのよ」
リノちゃんの手から筆を取り上げたが、チビ娘は頬を膨らませている。
「長い時間持っていると、危険なものなのだ。わかるかな?」
「らって、らって……」
魔王様も言ってくださったが、見る見るうちに緑の大きな目に涙がぷっくり膨らんできてぽろりと零れた。
「な、泣くなリノ」
魔王様はチビさんの涙に弱い。
とにかく話をするにしてもこれじゃあね……。
「きゃはははは」
「ゴザイマスヨネー」
「シッパイシチャッタ」
「ハヤクネナサイ」
うるさい。非常にうるさい状況だ。
「……とりあえずこれらを何とかせねば」
魔王様がそう呆れたみたいに仰った時、救いの声が城に響いた。
「すみませーん、遅くなりました」
この声はさっちゃんのお母さんだ。
ザラキエルノ様が天界から再び戻って来られた模様。メルヒノア様を戻してもらえる! それにこの筆も持って帰ってもらえる!
「シッパイシチャッタ」
「きゃははははは」
「ハヤクネナサーイ」
「わ、わははははは〜!」
不思議な物体に対抗するように、何か知らないがジラソレも笑っているので非常にうるさい。ああ、貧血みたいな頭にガンガン響く。
「何とも鬱陶しいな」
「そうですね」
一応異変を察して来てくれたっぽいジラソレには気の毒だが、うるさいので畑にお引取り願った。
立体なのでわからなかったが、よく見ると確かに子供が描いた絵にそっくりだ。特にきゃははと笑ってるのは、リノちゃんがお花を描いたら丁度こんな感じというところか。そして「早く寝なさい」を連呼している人っぽいのは……。
「多分ママのつもりだと思いますよ」
薄々気がついてはいたが、先回りでウリちゃんに言われた。やっぱりかー。私なのか! ううっ、マッチ棒のような体はともかく、なんでその台詞?
「夜いつもココナさんがしつこく言ってますものねぇ」
「……」
「子供はよく見ているな」
魔王様まで。その魔王様だが次に角を曲がったときに現れた奴を見て笑えなくなってしまったようだ。
腕組みで無言で歩き回ってるのは黒いやはりマッチ棒人間。時々こけては辺りをきょろきょろ確かめるのが何とも言えず滑稽だ。そしてまた起き上がって歩き出す。黒い長い髪に頭に角という他にいない特徴を備えてますね。
「あれはどう見ても魔王様でしょう」
「……」
リノちゃんの目には魔王様はそういうキャラクターとして認識されているのか。そういう現場でも見たんだろうか。なかなか核心をついてるぞ、娘。
魔王様の受難は続いた。
「父上っ! 何ですか、今日僕が寮に帰るからって!」
頭の上に青い丸い他のを乗っけて、既に身支度していたっぽいユーリちゃんが怒りながらやってきた。
「ナンデー? ナンデー? ナンデー?」
ひよこ? 小鳥? 変な鳴き声だが結構カワイイ。これもきっとペルちゃんあたりが描いたんだろうな。
「ユーリ、行っておくが私では無いぞ」
「……」
「スキースキースキー」
「魔王様っ! これ、何としてくださいよ!」
エイジ君もだ。妙に細長い生き物に追いかけられている。二人を先に見に行ってくれたが、こいつらに追いかけられて近づけなかったらしい。
「……だから何故、皆私を疑うのだろうか?」
「いつもがいつもだけに信用なりません」
ぶっ。すみません魔王様、ふき出してしまいました。ユーリちゃん、ナイス私達の心の代弁。
「ま、魔王様、お気を確かに」
さっちゃんがフォローを入れているが、微妙に口元が笑ってるよね。
「日頃の行いですね。子供は正直です。とても大人をよく見ていますね」
少し偉そうに言ったウリちゃんの目の前を何かが横切って行った。
「デ、ゴザイマスヨー、ゴザイマスヨー」
ひろひろと羽根を動かして飛んでいるのは、掌に乗りそうな妙に小さい人。やっぱり棒の様な体型だが、この色彩といい口調といい、間違いないな。
「パパも描いてもらってるねぇ。存在の大きさを非常に子供はよく表してるねぇ」
「……」
早く寝なさいママとコケる魔王様はそこそこ大きかったが、ウリちゃんは手乗りくらいの大きさだったのがショックだったようだ。
ずずーんと沈んだ鬱陶しい物体が一体増えてしまった。
「……というわけなのよ」
ユーリちゃん、エイジ君にも説明し、私達は六人で幼稚園まで来た。
「おもちろーい!」
「すごいね、これ」
中から、子供達の笑い声が聞える。
「あれ、天界の物でしょう? 危なくないですか」
「そうなの。早く取り上げないと……」
ドアを開けると更にすごい事になっていた。
休園日とは思えないほど賑やかな幼稚園。大きいの、小さいの、色とりどりの沢山の不思議な物体が犇いていた。
奥の机のところで絵の具を広げて、大喜びで次々とお絵かきしているリノちゃんとペルちゃん。その手にはやはりあの筆が!
「リノちゃん! ペルちゃん!」
慌てて駆け寄ったが、二人は元気いっぱいニコニコ笑っている。天界の道具なのに触って大丈夫なんだろうか?
「ママー、これしゅごいぉ! お友達いっぱーい」
「沢山お絵かきしたよ!」
顔まで絵の具でべったりにしてリノちゃんとペルちゃんはご機嫌だ。筆と手元がピンクに光ってる。あー、あれは。
「ココナさんの防御がまだ効いているようだな」
筆を取り上げたときにシールドで包んだのと、この二人にはお遊戯会の前にキスしたのがまだ効いていたようだ。ホッとしたが、それでもあまり長時間持っていたら危ない。
「それは大事なものなの。勝手に使ったら駄目なのよ」
リノちゃんの手から筆を取り上げたが、チビ娘は頬を膨らませている。
「長い時間持っていると、危険なものなのだ。わかるかな?」
「らって、らって……」
魔王様も言ってくださったが、見る見るうちに緑の大きな目に涙がぷっくり膨らんできてぽろりと零れた。
「な、泣くなリノ」
魔王様はチビさんの涙に弱い。
とにかく話をするにしてもこれじゃあね……。
「きゃはははは」
「ゴザイマスヨネー」
「シッパイシチャッタ」
「ハヤクネナサイ」
うるさい。非常にうるさい状況だ。
「……とりあえずこれらを何とかせねば」
魔王様がそう呆れたみたいに仰った時、救いの声が城に響いた。
「すみませーん、遅くなりました」
この声はさっちゃんのお母さんだ。
ザラキエルノ様が天界から再び戻って来られた模様。メルヒノア様を戻してもらえる! それにこの筆も持って帰ってもらえる!
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