当て馬悪役令息に転生したはずが何故か俺がヒロインに狙われています

ちか

文字の大きさ
15 / 39

5話

しおりを挟む

 なぜあんなに泣いてしまったんだろうか。
 生まれ変わってからもほとんど感情が動くことなんてなかったのに。

 兄には悪いことしてしまった……俺のせいで怒られてしまった。しかも冤罪で。

 冤罪の辛さは俺が一番知ってるのに。兄は何も悪くないのに。俺だってこんな子供がいたら君が悪いと思う。兄だってそう思っただろうし、だからあんなことしようとしたんだろう。なのに、咄嗟に俺を守って心配して怒ってくれるなんて……

 なのに、俺が泣いてしまったせいで……
 兄に謝らないと……

 泣いてしまったせいか、申し訳ないと頭では考えつつも、この体のせいか、眠気には逆らえなかった。俺はそのまま眠ってしまった。

 目が覚めるといつのまにか寝間着になっていた。いつのまにか着替えさせてくれたんだろう?それにカーテンまで閉めてくれるなんて。たくさん眠れた気がしたが、まだ外は明るかった。一、二時間の寝ただけだったのだろうかと思っていたら、ノック音が響き「ディートリヒ様、お目覚めでしょうか?」と声がかけられた。

 使用人は声をかけた後、俺の返事を待たずに入って来る。基本俺はしゃべらないのでそれは最早暗黙の了解となっている。俺も余程のことがない限り入って来てもらって構わない。

 「お目覚めですか?おはようございます。昨日はぐっすりとお眠りになられていましたからお腹がお空きでしょう?すぐにご用意いたしますね」

 そう言いながら、部屋のカーテンを開けて俺の身支度を整え出す。

 おはようございます?

 えっ?もしかして俺はあれから夕飯も食べずに朝まで寝てしまったのか?道理でたくさん寝た気がするわけだ。

 泣いてたくさん寝たせいか、なんだか頭がスッキリしている気がした。そのせいか何でもできるような気がむくむくと湧いて来た。まずさっそく兄に謝らないと思った。それからもう一つ……

 この時間なら食堂にいるはずだと思い、食堂へと急いだ。俺は食堂でみんなで食べるのが緊張して出来なくていつも部屋で食事をとっていた。だからこの時間に食堂になんてほとんど行ったことはなかった。

 俺が珍しく、突発的な行動をしたせいで、使用人は俺を止めることが出来なかった。「ディートリヒ様?!」と言う声が遠くから聞こえて来た気がしたが、気にせず食堂へと向かった。

 食堂への扉を勢いよく開けると、扉の側にいた女性の使用人と目があった。それは俺が苦手な年齢層の女性だった。普段俺が行く場所はほとんど決まっていて、それらの場所には女性の使用人は配置されないようにされていた。けれど今日は俺が突発的な行動を取ってしまった為、人避けがされていなかった。俺は兄に謝ることで頭がいっぱいでそんな当たり前のことがすっかり抜け落ちていた。

 
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

「お前を愛する事はない」を信じたので

あんど もあ
ファンタジー
「お前を愛することは無い。お前も私を愛するな。私からの愛を求めるな」 お互いの利益のために三年間の契約結婚をしたアヴェリンとロデリック。楽しく三年を過ごしたアヴェリンは屋敷を出ていこうとするのだが……。

虐げられた令息の第二の人生はスローライフ

りまり
BL
 僕の生まれたこの世界は魔法があり魔物が出没する。  僕は由緒正しい公爵家に生まれながらも魔法の才能はなく剣術も全くダメで頭も下から数えたほうがいい方だと思う。  だから僕は家族にも公爵家の使用人にも馬鹿にされ食事もまともにもらえない。  救いだったのは僕を不憫に思った王妃様が僕を殿下の従者に指名してくれたことで、少しはまともな食事ができるようになった事だ。  お家に帰る事なくお城にいていいと言うので僕は頑張ってみたいです。        

生まれ変わったら知ってるモブだった

マロン
BL
僕はとある田舎に小さな領地を持つ貧乏男爵の3男として生まれた。 貧乏だけど一応貴族で本来なら王都の学園へ進学するんだけど、とある理由で進学していない。 毎日領民のお仕事のお手伝いをして平民の困り事を聞いて回るのが僕のしごとだ。 この日も牧場のお手伝いに向かっていたんだ。 その時そばに立っていた大きな樹に雷が落ちた。ビックリして転んで頭を打った。 その瞬間に思い出したんだ。 僕の前世のことを・・・この世界は僕の奥さんが描いてたBL漫画の世界でモーブル・テスカはその中に出てきたモブだったということを。

夫から『お前を愛することはない』と言われたので、お返しついでに彼のお友達をお招きした結果。

古森真朝
ファンタジー
 「クラリッサ・ベル・グレイヴィア伯爵令嬢、あらかじめ言っておく。  俺がお前を愛することは、この先決してない。期待など一切するな!」  新婚初日、花嫁に真っ向から言い放った新郎アドルフ。それに対して、クラリッサが返したのは―― ※ぬるいですがホラー要素があります。苦手な方はご注意ください。

美形令息の犬はご主人様を救いたい

BL
シエノークは美しき侯爵令息ルスランの忠実なしもべであり、犬だった。ルスランを盲信し、王家に叛逆するルスランを支え、ルスランが王家の騎士に斬られて命を落とすまで傍にいた。その後、シエノークもまた命を落とし、──ベッドの上で目を覚ました。9歳に戻ったシエノークはご主人様であるルスランの破滅を防ぐことを決意する。/美形令息×美形令息の犬

第2王子は断罪役を放棄します!

木月月
BL
ある日前世の記憶が蘇った主人公。 前世で読んだ、悪役令嬢が主人公の、冤罪断罪からの巻き返し痛快ライフ漫画(アニメ化もされた)。 それの冒頭で主人公の悪役令嬢を断罪する第2王子、それが俺。内容はよくある設定で貴族の子供が通う学園の卒業式後のパーティーにて悪役令嬢を断罪して追放した第2王子と男爵令嬢は身勝手な行いで身分剥奪ののち追放、そのあとは物語に一切現れない、と言うキャラ。 記憶が蘇った今は、物語の主人公の令嬢をはじめ、自分の臣下や婚約者を選定するためのお茶会が始まる前日!5歳児万歳!まだ何も起こらない!フラグはバキバキに折りまくって折りまくって!なんなら5つ上の兄王子の臣下とかも!面倒いから!王弟として大公になるのはいい!だがしかし自由になる! ここは剣と魔法となんならダンジョンもあって冒険者にもなれる! スローライフもいい!なんでも選べる!だから俺は!物語の第2王子の役割を放棄します! この話は小説家になろうにも投稿しています。

第十王子は天然侍従には敵わない。

きっせつ
BL
「婚約破棄させて頂きます。」 学園の卒業パーティーで始まった九人の令嬢による兄王子達の断罪を頭が痛くなる思いで第十王子ツェーンは見ていた。突如、その断罪により九人の王子が失脚し、ツェーンは王太子へと位が引き上げになったが……。どうしても王になりたくない王子とそんな王子を慕うド天然ワンコな侍従の偽装婚約から始まる勘違いとすれ違い(考え方の)のボーイズラブコメディ…の予定。※R 15。本番なし。

身代わりになって推しの思い出の中で永遠になりたいんです!

冨士原のもち
BL
桜舞う王立学院の入学式、ヤマトはカイユー王子を見てここが前世でやったゲームの世界だと気付く。ヤマトが一番好きなキャラであるカイユー王子は、ゲーム内では非業の死を遂げる。 「そうだ!カイユーを助けて死んだら、忘れられない恩人として永遠になれるんじゃないか?」 前世の死に際のせいで人間不信と恋愛不信を拗らせていたヤマトは、推しの心の中で永遠になるために身代わりになろうと決意した。しかし、カイユー王子はゲームの時の印象と違っていて…… 演技チャラ男攻め×美人人間不信受け ※最終的にはハッピーエンドです ※何かしら地雷のある方にはお勧めしません ※ムーンライトノベルズにも投稿しています

処理中です...