当て馬悪役令息に転生したはずが何故か俺がヒロインに狙われています

ちか

文字の大きさ
21 / 39

11話

しおりを挟む
「ねぇあなたどこの子?こんなところにいるなんて挨拶の順番まだよね?うちの妹の相手してくれない?わたし、この子の面倒みるのもううんざりなのよね」

 そういって、後ろから声を掛けられ俺の肩に気安く触れ話しかけて来たものがいた。


 反射的に振り返るとあの女子高生くらいの年齢の女性がいた。


 彼女はおそらく下位貴族だろう。身なりや言葉遣い、仕草などが貴族と言えども我が家とは少し違っていた。それになにより、俺たちを見て公爵家と気づいてもいないようだった。帰るために入り口近くにいた事で勘違いしたようだ。それにしてもこんな勘違いをするなんて入場や先ほどの挨拶の様子も見ていない証拠だ。


 彼女の後ろには隠れるようにして俺より少し小さい女の子がスカートにしがみつきながらこちらを見ていた。

 完全に油断していた。一番警戒していた王妃殿下を始め、王族の方への挨拶を終え、もう帰るというところだった。

 会場に着いたばかりの頃の、他の参加者の保護者への警戒が薄れてしまっていた。一度、安堵した後の心理的負担は大きい。

 また、このような公の場で公爵家へこんな風に気安く触れ、声をかけてくるものがいるとは思ってもみなかった。俺だけでいたならまだしも両親も共にいる状況でなら尚更だ。

 予想外に声を掛けられたことでただでさえパニックになってしまうのに、さらに輪を掛けて肩に触れられてしまった。

 そして彼女の他者への気安い態度が一気に俺にフラッシュバックを起こさせた。



「きゃーっ!今この人に触られたんです!」


「だーれも信じないよ」

「お金払ってくれたら示談にしてあげるよ」

 「やる事やったくせに。どうなってもいいんだー?」


 ぐるぐると頭の中で声が聞こえる。


 アレ?イマココハ?オレハヤッテナイ

 遠くで誰かが呼んでいる?


 ディー?


 ダレダ


 ドコ?ココハ?


 クルシイ



 ハッハッと大きな息遣いが何故か耳元で聞こえる気がした。たくさん吸っているはずなのに、息が苦しい。うまく吸えない。

 「えっ?何?急に?病気?いやだ。ねぇ、大丈夫?」

 再び彼女が俺に触ろうとした。

「触るな!」

 バシンッ!

 俺は彼女の手を振り払った。

「きゃっ!何?痛い!何すんのよ!」

「ディー!」

「まずい、過呼吸を起こしている」

「医師を早く呼べ!」

「ディー!しっかり」

「キャーッ!何?」

「何の騒ぎ?」

「痛いじゃない!謝りなさいよ!」

「どうしたんだ?」

「あれは公爵家?」

「どこのバカがヴァイツゼッカー家と騒ぎを起こしたんだ?」

 ざわざわ……

 そんな騒ぎの中俺は意識を失った。

しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

虐げられた令息の第二の人生はスローライフ

りまり
BL
 僕の生まれたこの世界は魔法があり魔物が出没する。  僕は由緒正しい公爵家に生まれながらも魔法の才能はなく剣術も全くダメで頭も下から数えたほうがいい方だと思う。  だから僕は家族にも公爵家の使用人にも馬鹿にされ食事もまともにもらえない。  救いだったのは僕を不憫に思った王妃様が僕を殿下の従者に指名してくれたことで、少しはまともな食事ができるようになった事だ。  お家に帰る事なくお城にいていいと言うので僕は頑張ってみたいです。        

生まれ変わったら知ってるモブだった

マロン
BL
僕はとある田舎に小さな領地を持つ貧乏男爵の3男として生まれた。 貧乏だけど一応貴族で本来なら王都の学園へ進学するんだけど、とある理由で進学していない。 毎日領民のお仕事のお手伝いをして平民の困り事を聞いて回るのが僕のしごとだ。 この日も牧場のお手伝いに向かっていたんだ。 その時そばに立っていた大きな樹に雷が落ちた。ビックリして転んで頭を打った。 その瞬間に思い出したんだ。 僕の前世のことを・・・この世界は僕の奥さんが描いてたBL漫画の世界でモーブル・テスカはその中に出てきたモブだったということを。

夫から『お前を愛することはない』と言われたので、お返しついでに彼のお友達をお招きした結果。

古森真朝
ファンタジー
 「クラリッサ・ベル・グレイヴィア伯爵令嬢、あらかじめ言っておく。  俺がお前を愛することは、この先決してない。期待など一切するな!」  新婚初日、花嫁に真っ向から言い放った新郎アドルフ。それに対して、クラリッサが返したのは―― ※ぬるいですがホラー要素があります。苦手な方はご注意ください。

美形令息の犬はご主人様を救いたい

BL
シエノークは美しき侯爵令息ルスランの忠実なしもべであり、犬だった。ルスランを盲信し、王家に叛逆するルスランを支え、ルスランが王家の騎士に斬られて命を落とすまで傍にいた。その後、シエノークもまた命を落とし、──ベッドの上で目を覚ました。9歳に戻ったシエノークはご主人様であるルスランの破滅を防ぐことを決意する。/美形令息×美形令息の犬

第2王子は断罪役を放棄します!

木月月
BL
ある日前世の記憶が蘇った主人公。 前世で読んだ、悪役令嬢が主人公の、冤罪断罪からの巻き返し痛快ライフ漫画(アニメ化もされた)。 それの冒頭で主人公の悪役令嬢を断罪する第2王子、それが俺。内容はよくある設定で貴族の子供が通う学園の卒業式後のパーティーにて悪役令嬢を断罪して追放した第2王子と男爵令嬢は身勝手な行いで身分剥奪ののち追放、そのあとは物語に一切現れない、と言うキャラ。 記憶が蘇った今は、物語の主人公の令嬢をはじめ、自分の臣下や婚約者を選定するためのお茶会が始まる前日!5歳児万歳!まだ何も起こらない!フラグはバキバキに折りまくって折りまくって!なんなら5つ上の兄王子の臣下とかも!面倒いから!王弟として大公になるのはいい!だがしかし自由になる! ここは剣と魔法となんならダンジョンもあって冒険者にもなれる! スローライフもいい!なんでも選べる!だから俺は!物語の第2王子の役割を放棄します! この話は小説家になろうにも投稿しています。

第十王子は天然侍従には敵わない。

きっせつ
BL
「婚約破棄させて頂きます。」 学園の卒業パーティーで始まった九人の令嬢による兄王子達の断罪を頭が痛くなる思いで第十王子ツェーンは見ていた。突如、その断罪により九人の王子が失脚し、ツェーンは王太子へと位が引き上げになったが……。どうしても王になりたくない王子とそんな王子を慕うド天然ワンコな侍従の偽装婚約から始まる勘違いとすれ違い(考え方の)のボーイズラブコメディ…の予定。※R 15。本番なし。

身代わりになって推しの思い出の中で永遠になりたいんです!

冨士原のもち
BL
桜舞う王立学院の入学式、ヤマトはカイユー王子を見てここが前世でやったゲームの世界だと気付く。ヤマトが一番好きなキャラであるカイユー王子は、ゲーム内では非業の死を遂げる。 「そうだ!カイユーを助けて死んだら、忘れられない恩人として永遠になれるんじゃないか?」 前世の死に際のせいで人間不信と恋愛不信を拗らせていたヤマトは、推しの心の中で永遠になるために身代わりになろうと決意した。しかし、カイユー王子はゲームの時の印象と違っていて…… 演技チャラ男攻め×美人人間不信受け ※最終的にはハッピーエンドです ※何かしら地雷のある方にはお勧めしません ※ムーンライトノベルズにも投稿しています

悪役キャラに転生したので破滅ルートを死ぬ気で回避しようと思っていたのに、何故か勇者に攻略されそうです

菫城 珪
BL
サッカーの練習試合中、雷に打たれて目が覚めたら人気ゲームに出て来る破滅確約悪役ノアの子供時代になっていた…! 苦労して生きてきた勇者に散々嫌がらせをし、魔王軍の手先となって家族を手に掛け、最後は醜い怪物に変えられ退治されるという最悪の未来だけは絶対回避したい。 付き纏う不安と闘い、いずれ魔王と対峙する為に研鑽に励みつつも同級生である勇者アーサーとは距離を置いてをなるべく避ける日々……だった筈なのになんかどんどん距離が近くなってきてない!? そんな感じのいずれ勇者となる少年と悪役になる筈だった少年によるBLです。 のんびり連載していきますのでよろしくお願いします! ※小説家になろう、アルファポリス、カクヨムエブリスタ各サイトに掲載中です。

処理中です...