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全知全能でも人に相談したい時はある。
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道中、僕は眠気を全知全能の力で払うかとか、色々考えたがそこら辺も全部友達と話して決めることにした。僕は、僕自身のことですら責任を独り占めすることに恐怖を感じているらしい。
「それで、どうしたんだよ?」
僕は、昼休みになると友達を自分の机に呼んだ。尖った髪に、三白眼。ぶっきらぼうな口調の彼に、友達はそう多くなかった。少々マイペースなきらいがあるらしい僕も同じく、友達は多くない。
「いや、別に話があるとかじゃないんだけどさ」
「おう」
相談でもあるのかと、友達はいつもより真剣そうにこちらを見て来る。
「善斗が全知全能になったら、どうする?」
「はぁ?」
僕の友達……善斗は真剣だった表情を崩し、眉を顰めた。
「いや、気になってさ」
「なんだそれ。随分改まった感じだったから、俺は何か思い詰めてんのかと思ってたんだが……で、なんだ。全知全能になったら?」
本題に戻った善斗に、僕は頷いた。すると、善斗は僅かに俯いて唸り始めた。
「……俺なら、先ずは苦しんでる人をその力で助けるな。お腹が空いてる人にはご飯が与えられるとか、病気の人は治るとかな」
「お前、良い奴過ぎだろ」
知っていたことだが、瀬田善斗は良い奴だ。僕なんかとは比べ物にならない程に。これならもう一人の友達である能地に聞いた方が良かったかも知れないと思ったが、能地に聞くとそれはそれでうるさそうだ。
「でも、それで何かまた別の不幸が起きるかも知れないから……そこら辺は、難しいな。あ、でも全知全能なら大丈夫なのか? だって、何でも知ってるんだろ。なら、全員問題無く助けられる方法もある筈だよな」
「あー、やっぱ全知は無しで」
「ん……だったら、まぁ地道に身の回りの人からじゃないか? そんな力ないから、良く分からんが」
あるんだよなぁ。僕は内心を言葉にすることは無く、ただ頷いておいた。
「逆に、治ならどうすんだよ」
治、というのは僕の名前だ。宇尾根治でフルネーム。
「僕なら? 僕なら、うーん……色んなことを調べるとかね」
「なんでそんなテンション低いんだよ……お前が聞いて来たんだろ?」
「僕のことは良いんだよ、聞かなくて。それでさ、もし全知全能……全能になるとして、僕は安全装置を付けるべきだと思うんだよね。もし能力が思いもよらない形に作用して、大変なことになったりしないようにさ」
「あー、確かにな。肉まんを食べたいとか願った結果、世界中の肉まんが届いて圧死とかなりかねんしな」
まぁ、僕の思考を汲み取って発動している以上、多分そういうのは有り得ないんだけど、説明する必要は無いだろう。
「そうそう。でも、これにはデメリットというか、問題点も多い。例えば、この安全装置は能力の発動が危険である場合にキャンセルする装置であるとする。だけど、その危険の判断をするのはその瞬間の僕を基準とするのか、発動した後の僕を基準とするのか、それとも機構を作った時の僕を基準とするのか。どうすれば最も問題が少なくなるのか、僕には分からない。そして、その機構に頼り切りになって能力を使い過ぎた結果、自分が自分じゃなくなる可能性もある訳だ。更に言うと、僕が気付いてないだけで色んな罠がこの機構や全知全能の力には潜んでいる可能性がある。それも知らずにばんばん能力を使った結果、気付いたら致命的なことになってるなんて可能性もあるよね」
僕が語り終えると、善斗は目を細めていた。
「……お前、良くこんな妄想をつらつらと語り切れるな」
「いや、考え出したら止まらなくてさ。それで、どうよ」
普通なら引かれるところだというのは分かっているが、善斗なら押し切れる。僕の問いに、善斗は再び唸った。
「……先ず、自分が自分じゃなくなるって心配は俺はそんなにしないな。自分のことは、自分で律すれば良いだけだ」
「まぁ、そうだけどさ」
そうも行かないのが人間ってものだろう。
「あと、安全装置についてだが……そもそも、もし本当に全能なら、その力で一番良いシステムを作れば良いだろ。人間の頭で無理くり考える必要なんてあるか?」
「……」
それな? 僕は全知全能の力によって、少なくとも今の僕の価値観で問題ないキャンセルシステムを構築することにした。
「出来た」
「は?」
思わず口に出していた僕に、善斗は再び目を細めた。僕は軽く手を振り、付き合ってくれたことに感謝を告げて、立ち上がった。
「僕は今から食堂行くけど、善斗も行く?」
「お前マジで、マイペース過ぎんだろ……」
僕はまだ全知全能について完全に信用していない。だから、この機構については自分で内容を調べた後に起動することにした。
「それで、どうしたんだよ?」
僕は、昼休みになると友達を自分の机に呼んだ。尖った髪に、三白眼。ぶっきらぼうな口調の彼に、友達はそう多くなかった。少々マイペースなきらいがあるらしい僕も同じく、友達は多くない。
「いや、別に話があるとかじゃないんだけどさ」
「おう」
相談でもあるのかと、友達はいつもより真剣そうにこちらを見て来る。
「善斗が全知全能になったら、どうする?」
「はぁ?」
僕の友達……善斗は真剣だった表情を崩し、眉を顰めた。
「いや、気になってさ」
「なんだそれ。随分改まった感じだったから、俺は何か思い詰めてんのかと思ってたんだが……で、なんだ。全知全能になったら?」
本題に戻った善斗に、僕は頷いた。すると、善斗は僅かに俯いて唸り始めた。
「……俺なら、先ずは苦しんでる人をその力で助けるな。お腹が空いてる人にはご飯が与えられるとか、病気の人は治るとかな」
「お前、良い奴過ぎだろ」
知っていたことだが、瀬田善斗は良い奴だ。僕なんかとは比べ物にならない程に。これならもう一人の友達である能地に聞いた方が良かったかも知れないと思ったが、能地に聞くとそれはそれでうるさそうだ。
「でも、それで何かまた別の不幸が起きるかも知れないから……そこら辺は、難しいな。あ、でも全知全能なら大丈夫なのか? だって、何でも知ってるんだろ。なら、全員問題無く助けられる方法もある筈だよな」
「あー、やっぱ全知は無しで」
「ん……だったら、まぁ地道に身の回りの人からじゃないか? そんな力ないから、良く分からんが」
あるんだよなぁ。僕は内心を言葉にすることは無く、ただ頷いておいた。
「逆に、治ならどうすんだよ」
治、というのは僕の名前だ。宇尾根治でフルネーム。
「僕なら? 僕なら、うーん……色んなことを調べるとかね」
「なんでそんなテンション低いんだよ……お前が聞いて来たんだろ?」
「僕のことは良いんだよ、聞かなくて。それでさ、もし全知全能……全能になるとして、僕は安全装置を付けるべきだと思うんだよね。もし能力が思いもよらない形に作用して、大変なことになったりしないようにさ」
「あー、確かにな。肉まんを食べたいとか願った結果、世界中の肉まんが届いて圧死とかなりかねんしな」
まぁ、僕の思考を汲み取って発動している以上、多分そういうのは有り得ないんだけど、説明する必要は無いだろう。
「そうそう。でも、これにはデメリットというか、問題点も多い。例えば、この安全装置は能力の発動が危険である場合にキャンセルする装置であるとする。だけど、その危険の判断をするのはその瞬間の僕を基準とするのか、発動した後の僕を基準とするのか、それとも機構を作った時の僕を基準とするのか。どうすれば最も問題が少なくなるのか、僕には分からない。そして、その機構に頼り切りになって能力を使い過ぎた結果、自分が自分じゃなくなる可能性もある訳だ。更に言うと、僕が気付いてないだけで色んな罠がこの機構や全知全能の力には潜んでいる可能性がある。それも知らずにばんばん能力を使った結果、気付いたら致命的なことになってるなんて可能性もあるよね」
僕が語り終えると、善斗は目を細めていた。
「……お前、良くこんな妄想をつらつらと語り切れるな」
「いや、考え出したら止まらなくてさ。それで、どうよ」
普通なら引かれるところだというのは分かっているが、善斗なら押し切れる。僕の問いに、善斗は再び唸った。
「……先ず、自分が自分じゃなくなるって心配は俺はそんなにしないな。自分のことは、自分で律すれば良いだけだ」
「まぁ、そうだけどさ」
そうも行かないのが人間ってものだろう。
「あと、安全装置についてだが……そもそも、もし本当に全能なら、その力で一番良いシステムを作れば良いだろ。人間の頭で無理くり考える必要なんてあるか?」
「……」
それな? 僕は全知全能の力によって、少なくとも今の僕の価値観で問題ないキャンセルシステムを構築することにした。
「出来た」
「は?」
思わず口に出していた僕に、善斗は再び目を細めた。僕は軽く手を振り、付き合ってくれたことに感謝を告げて、立ち上がった。
「僕は今から食堂行くけど、善斗も行く?」
「お前マジで、マイペース過ぎんだろ……」
僕はまだ全知全能について完全に信用していない。だから、この機構については自分で内容を調べた後に起動することにした。
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