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全知全能とコンビニ
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ユモンとコンビニに入店した僕は、さっさとおにぎりのあるコーナーへと向かって行った。店内であちこちに興味を示されると面倒になりそうだったからだ。
「ほら、こっちだよ」
「おぉ、これがコンビニの飯ってことだな! まァ、オレ様には文字も全く読めねぇんだけどよ!」
「ん、そっか。これで読めるかな?」
僕が全知全能による翻訳を実行すると、ユモンは目を見開いて僕の方を見た。
「な、何だこれッ!? お、お前……いきなりヤバい力使うのマジで止めろよッ!?」
「ユモン、声が大きいよ。今は大丈夫かも知れないけど、気を付けてね」
認識阻害が掛かっている今なら、ユモンがどれだけ騒いだところで一般人に注目されることは多分無いだろうけど、普段もこんな風に騒がれたら大変だ。まぁ、認識阻害をかけずに外を一緒に歩く機会があるかって言われると怪しいけど。
「何だよこれマジでよォ……魔術でも無いのに、突然全部読めるようになった、ていうか……翻訳されてるって感じか? 何だこれマジで……」
「あはは、不思議パワーだってば」
語彙力が低くなっているユモンを僕は笑いつつ、並ぶおにぎりの方に視線を向けさせた。
「ほら、ここ。おにぎりコーナーだけど、欲しいのある?」
「おぉ……これ、美味そうだなッ!」
そう言ってユモンが指差したのは、いくらと鮭が入っている高めのおにぎりだった。チクショウめ。
「はいはい、これね。他にある?」
「これも頼むぜ!」
「お、ツナマヨね。お目が高いじゃん」
「そうなのか? んじゃ、二個くらい……」
二つ目を取ろうとするユモンの手を止めて、僕はユモンを飲み物のコーナーの方に引っ張って行った。同じ味を何個もとか買われてたら、僕の財布が持たないって。
「飲み物、好きに選んで良いよ」
「ったく、二個くらい……な、何か色々あんな、飲み物」
「うん。しかも冷えてるよ。僕のおすすめは緑茶かな、おにぎりに合うし」
「あー……これか?」
緑茶を見つけたユモンはドリンクコーナーの閉じている扉越しに指を差して聞いてきた。僕は頷き、扉を開けて緑茶を取り出し、さっと扉を閉めた。
「なァ、なんでここだけ扉が付いてんだよ?」
「冷えてるからね。ほら」
僕がユモンに冷え切った緑茶を渡すと、ユモンは驚いたように緑茶を見て、それから扉の閉まっているドリンクコーナーの方を見た。
「何だこれ……魔術の気配は感じねぇぞ」
「ぷっ」
ユモンの反応に思わず笑うと、ユモンはギロッと僕の方を睨んで来た。思ったより怖かったので、僕は笑みを消し去った。そう言えば、コイツ悪魔だった。
「科学だよ、それが。魔力が無くても電力で……うん、そんな感じ」
話している途中で近くの客にチラッと見られて思い出した。そう、僕は別に認識阻害が掛かっていなかったんだった。ユモンは変なこと言っても気付かれないけど、僕は変なこと言ったら何だこいつって目で見られるんだ。魔力とか魔術とか口にするのは止しておこう。
「ほら、行くよ」
「待てよ。なァ、中に氷でも大量に入れてんのか? これの仕掛けを教えてくれよ、魔術じゃないなら……」
「早く行くよ~」
ユモンだけ好きに喋れてズルいなぁ。やっぱり、僕も認識阻害かけようかな……いや、ダメだよね。それをすると、指輪を付けてる僕に気付かれずに家が狙われる可能性が高くなるから。
「商品を取ったら、ここで会計して買う訳よ。オーケー?」
「あァ、オーケーだぜ。ところで、アレは何だ?」
会計の列に並びながらユモンに説明すると、レジの横にある透明な棚をユモンが指差した。
「ホットスナックだね。暖かい軽食的な奴だよ。一つだけ、好きなの買って良いよ」
「なるほどな。これは、全部美味そうに見えるぜェ……良し、決めた」
ユモンはビシッとチキンナゲットを指差した。紙製の袋に幾つか詰まってる奴だ。ここ、ハイソンの人気商品として有名である。
「はいはい、それね」
僕らの番が来たので、僕はユモンに持っていたおにぎりと緑茶を台に置かせつつ、チキンナゲットのレギュラーとホットを一つずつ注文した。ホットは別に暖かいって意味では無く、ちょっと辛めの奴である。
「良し、行くよ」
「なァ、あの変な機械なんだ?」
「レジだよ」
僕は短く答え、ユモンをコンビニから引っ張り出し、脇の方に逸れた。そして、レジ袋から先ずはチキンナゲットのホットを取り出し、残ったレジ袋をユモンに渡した。
「はい、好きに食べて良いよ」
「よっしゃ、食って良いんだなァ?」
僕が頷くや否や、ユモンはレジ袋からおにぎりを取り出し、雑に開けようとするので、僕は慌てて止めた。
「ちょっ、それは開け方があるんだよ。ちゃんと袋に書いてあるから、その通りに開けないと大変なことになるよ」
「大変って、どうなるんだよ」
「バラバラになる」
海苔がね。
「な、なんだその奇怪な食いもんは……ま、まぁ分かった。この通りに開けりゃ良いんだな……?」
ユモンは慎重に丁寧に袋を開けて、しっかりと海苔で覆われたおにぎりを取り出すと、直ぐにぱくりとかぶりついた。
「んッ!」
ユモンが目を見開き、もぐもぐと一瞬でおにぎりを食べ進める。
「う、うめぇ……何だこりゃ? 食ったことねェぞこんなの……!」
「向こうには無い感じだよね」
あ、チンして貰った方が良かったかな。まぁ、もう遅いか。
「一瞬で食っちまったぜェ……なァ、もう一個買いに行かねぇか?」
「いや、先に他の食べなよ」
僕が言うと、次のおにぎり……鮭といくらのおにぎりを取り出したので、僕はそろそろ自分のを食べようとチキンナゲットのホットを付属している爪楊枝で刺した。
「おにぎりには緑茶が合うよ」
言いながらナゲットを口の中に放り込むと、スパイシーな美味しさが口の中に広がった。頷きながらユモンを見ると、緑茶を飲みながら天を仰いでいた。
「これが、異世界か……」
「いや、もっと美味しいご飯は沢山あるからね?」
僕が言うと、ユモンはすっと僕の目を見た。
「決めたぜ、オレ様はこの世界に住む」
「うん。あの、落ち着いてね」
僕は食道楽な悪魔を落ち着けつつ、追手が来たりしていないか周囲を確かめた。が、特には誰も見つけられなかった。
「ほら、こっちだよ」
「おぉ、これがコンビニの飯ってことだな! まァ、オレ様には文字も全く読めねぇんだけどよ!」
「ん、そっか。これで読めるかな?」
僕が全知全能による翻訳を実行すると、ユモンは目を見開いて僕の方を見た。
「な、何だこれッ!? お、お前……いきなりヤバい力使うのマジで止めろよッ!?」
「ユモン、声が大きいよ。今は大丈夫かも知れないけど、気を付けてね」
認識阻害が掛かっている今なら、ユモンがどれだけ騒いだところで一般人に注目されることは多分無いだろうけど、普段もこんな風に騒がれたら大変だ。まぁ、認識阻害をかけずに外を一緒に歩く機会があるかって言われると怪しいけど。
「何だよこれマジでよォ……魔術でも無いのに、突然全部読めるようになった、ていうか……翻訳されてるって感じか? 何だこれマジで……」
「あはは、不思議パワーだってば」
語彙力が低くなっているユモンを僕は笑いつつ、並ぶおにぎりの方に視線を向けさせた。
「ほら、ここ。おにぎりコーナーだけど、欲しいのある?」
「おぉ……これ、美味そうだなッ!」
そう言ってユモンが指差したのは、いくらと鮭が入っている高めのおにぎりだった。チクショウめ。
「はいはい、これね。他にある?」
「これも頼むぜ!」
「お、ツナマヨね。お目が高いじゃん」
「そうなのか? んじゃ、二個くらい……」
二つ目を取ろうとするユモンの手を止めて、僕はユモンを飲み物のコーナーの方に引っ張って行った。同じ味を何個もとか買われてたら、僕の財布が持たないって。
「飲み物、好きに選んで良いよ」
「ったく、二個くらい……な、何か色々あんな、飲み物」
「うん。しかも冷えてるよ。僕のおすすめは緑茶かな、おにぎりに合うし」
「あー……これか?」
緑茶を見つけたユモンはドリンクコーナーの閉じている扉越しに指を差して聞いてきた。僕は頷き、扉を開けて緑茶を取り出し、さっと扉を閉めた。
「なァ、なんでここだけ扉が付いてんだよ?」
「冷えてるからね。ほら」
僕がユモンに冷え切った緑茶を渡すと、ユモンは驚いたように緑茶を見て、それから扉の閉まっているドリンクコーナーの方を見た。
「何だこれ……魔術の気配は感じねぇぞ」
「ぷっ」
ユモンの反応に思わず笑うと、ユモンはギロッと僕の方を睨んで来た。思ったより怖かったので、僕は笑みを消し去った。そう言えば、コイツ悪魔だった。
「科学だよ、それが。魔力が無くても電力で……うん、そんな感じ」
話している途中で近くの客にチラッと見られて思い出した。そう、僕は別に認識阻害が掛かっていなかったんだった。ユモンは変なこと言っても気付かれないけど、僕は変なこと言ったら何だこいつって目で見られるんだ。魔力とか魔術とか口にするのは止しておこう。
「ほら、行くよ」
「待てよ。なァ、中に氷でも大量に入れてんのか? これの仕掛けを教えてくれよ、魔術じゃないなら……」
「早く行くよ~」
ユモンだけ好きに喋れてズルいなぁ。やっぱり、僕も認識阻害かけようかな……いや、ダメだよね。それをすると、指輪を付けてる僕に気付かれずに家が狙われる可能性が高くなるから。
「商品を取ったら、ここで会計して買う訳よ。オーケー?」
「あァ、オーケーだぜ。ところで、アレは何だ?」
会計の列に並びながらユモンに説明すると、レジの横にある透明な棚をユモンが指差した。
「ホットスナックだね。暖かい軽食的な奴だよ。一つだけ、好きなの買って良いよ」
「なるほどな。これは、全部美味そうに見えるぜェ……良し、決めた」
ユモンはビシッとチキンナゲットを指差した。紙製の袋に幾つか詰まってる奴だ。ここ、ハイソンの人気商品として有名である。
「はいはい、それね」
僕らの番が来たので、僕はユモンに持っていたおにぎりと緑茶を台に置かせつつ、チキンナゲットのレギュラーとホットを一つずつ注文した。ホットは別に暖かいって意味では無く、ちょっと辛めの奴である。
「良し、行くよ」
「なァ、あの変な機械なんだ?」
「レジだよ」
僕は短く答え、ユモンをコンビニから引っ張り出し、脇の方に逸れた。そして、レジ袋から先ずはチキンナゲットのホットを取り出し、残ったレジ袋をユモンに渡した。
「はい、好きに食べて良いよ」
「よっしゃ、食って良いんだなァ?」
僕が頷くや否や、ユモンはレジ袋からおにぎりを取り出し、雑に開けようとするので、僕は慌てて止めた。
「ちょっ、それは開け方があるんだよ。ちゃんと袋に書いてあるから、その通りに開けないと大変なことになるよ」
「大変って、どうなるんだよ」
「バラバラになる」
海苔がね。
「な、なんだその奇怪な食いもんは……ま、まぁ分かった。この通りに開けりゃ良いんだな……?」
ユモンは慎重に丁寧に袋を開けて、しっかりと海苔で覆われたおにぎりを取り出すと、直ぐにぱくりとかぶりついた。
「んッ!」
ユモンが目を見開き、もぐもぐと一瞬でおにぎりを食べ進める。
「う、うめぇ……何だこりゃ? 食ったことねェぞこんなの……!」
「向こうには無い感じだよね」
あ、チンして貰った方が良かったかな。まぁ、もう遅いか。
「一瞬で食っちまったぜェ……なァ、もう一個買いに行かねぇか?」
「いや、先に他の食べなよ」
僕が言うと、次のおにぎり……鮭といくらのおにぎりを取り出したので、僕はそろそろ自分のを食べようとチキンナゲットのホットを付属している爪楊枝で刺した。
「おにぎりには緑茶が合うよ」
言いながらナゲットを口の中に放り込むと、スパイシーな美味しさが口の中に広がった。頷きながらユモンを見ると、緑茶を飲みながら天を仰いでいた。
「これが、異世界か……」
「いや、もっと美味しいご飯は沢山あるからね?」
僕が言うと、ユモンはすっと僕の目を見た。
「決めたぜ、オレ様はこの世界に住む」
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