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全知全能と依頼達成
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僕が当然のように頷くと、水色の髪の女の子は沈黙した。が、また何か言いたそうに口を開くと……
「あの……」
「瑞樹。こいつのことは良い。アレだけのことがあったんだからな、兄が同伴するくらい良いだろう」
「……御岳さんが言うなら、良いですけど」
「まぁ、それに……治の言ってた、どっちも許すのが簡単で良いだろ。ちょっと、ガキみてぇだけどな」
茜さんの言葉に御岳さんは眉を顰めたが、仕方なしと溜息を吐いて頷いた。
「……そっちも、それで良いか?」
「え、は、はいっ! 寧ろ、私から謝罪に来たのに……」
「気にするんじゃねぇ。本当はこっちから謝りに行きたかったんだが……まぁ、俺らの業界じゃ、一般人に絡みに行くようなことは割とタブーなんでよ」
言いながら、御岳さんは茜さんの方を見た。
「んだよ。私は別に、一般人としてムカつく奴をボコしてるだけだから良いだろうが」
い、一般人かぁ……不良を拳で叩きのめす女の子が、一般人と。
「……程々にしておけよ。特に今は」
「分かってるぜ、そんぐらい」
御岳さんはふんと鼻を鳴らし、視線を戻した。
「悪かった。巻き込んじまってな」
「いえ、良いんです……最初は、その……私が、茜さんに近付きたい一心で来たから、なので……私のせいです」
凄い。こんなしおらしい柚乃、始めて見たかも知れない。
「やっぱりか。ただ依頼をしに来たにしては態度が変だって思ってたんだよ」
「は、はい、すみません……」
「まぁ、別に良いけどな。依頼は依頼だ」
「そうだ、依頼は依頼……だから、これも一応渡しておきたいと思ったんだが」
そう言って、御岳さんが取り出したのは何かのキャラが描かれているキラキラしたバッジだった。御岳さんが持ってると、中々に似合わない。
「受け取って貰えるか?」
「はいっ、ありがとうございます……すみません、依頼まで」
「依頼までって何だよ。依頼が本旨だろ」
突っ込んだ茜さんに、柚乃は顔を赤くして俯いた。
「実は、探してた時に見つけてはいたらしいんだけどね……色々あったから、渡す暇も無くって」
「あはは、そうですよね……でも、良かったです。それ無くして、友達がずっと凹んでたので!」
水色の髪の……瑞樹さんが言うと、柚乃はそう答えた。
「そいつは良かった。ただ、一つだけ頼みがあるんだが……」
「はい、何ですか?」
御岳さんが険しい顔で目を細め、指を一本立てた。
「お前があそこで見たものは、口外しないで欲しい。俺達の為にも、お前の為にもだ」
「因みに、既に話した人とか居る?」
瑞樹さんの問いに、柚乃は小さくコクリと頷いた。
「家族、には言いました……お兄ちゃん以外は、信じてませんでしたけど」
「だろうな」
茜さんが僕を見ながら頷いた。バレるかも知れないから、その意味ありげな視線を止めて欲しい。
「ま、だったら大丈夫だろうな……どうせ、ありのまま話したって信じる奴の方が珍しいってもんだ」
「あぁ。だが、これからは話さないように頼んだ」
「はいっ! 分かりました!」
素直だなぁ、うちだともうちょっとツンケンしてるのに。外行きというのを抜きにしても、素直過ぎる。茜さんのファンだからかな。
「特に、今は色々と……俺達の周りは危ないと思った方が良い」
「そう、なんですね……」
「うん、そうなのよ。ちょっと狙われてるのよねぇ、厄介な奴らに」
話す三人を見て、茜さんは目を細めて僕に視線を移した。
「治、ちょっと来いよ」
「ん?」
立ち上がり、テーブルから離れる茜さんに僕も何も分からぬまま付いて行く。
「御岳や瑞樹が言ってたようにな、私らは今クソッタレな奴らに狙われてんだよ」
「そうなんだ……廃工場で襲われてたってのも、その人たちに?」
「あぁ、そのクソカスなゴミ共は今も執拗に狙ってんだよ。つーか、目的が達成されるまでは狙ってくると思うぜ? 何せ、本拠地はイギリスなんだからな。こんなしょぼい事務所の奴らから反撃なんて飛んで来ねぇと思ってやがる」
実際そうなんだがな、と茜さんは怒りを堪えているような顔で言った。
「クソッタレ。クソ野郎が……木っ端なんざ、どんだけぶち殺したってしょうがねぇからな」
「ぶ、ぶち殺したんだ……」
「しゃあねぇだろ。殺さなきゃ死ぬ」
「……そっか」
僕は、誰が相手でも極論を言えば殺さずにどうにか出来る。魔物だって人に友好的なマスコットに変えられるし、悪人だって聖人に出来る。でも、それをしないのは存在の否定になるからだ。そうやって色んな存在を否定して行って、この世を陳腐化してしまえば、僕の人生も価値を失うだろう。
「あれ、でも街中でも襲われるの? なんか、管理局だとか支配者だとかが居るんじゃないの? その人たちに泣きついたら、助けて貰えたりとかしないのかな」
「おい、一般人がなんでそんなこと知ってんだ? ん?」
にやっと笑って言う茜さんに、僕は視線を斜め下に逸らした。
「いや、その、アレだよ。色々調べたら、分かったんだよ」
「一般人の高校生が調べて分かる程浅くねぇよ、魔術士の世界はよ……ま、惚けたいならそうしとけば良いけどな」
黙りこくった僕に、茜さんは一息置いて話し始めた。
「管理局は、敵だ」
「へ?」
「私らがアウトローって訳じゃないぜ? いやまぁ、アウトロー寄りと言えばそうかもだが……兎に角、管理局が敵なのは私らがルールを破ってるからなんて理由じゃない」
「じゃあ、何で」
茜さんは、燃えるような髪とは反対に冷えた瞳で僕を見た。
「買収されてるからだよ。クソ共にな」
「管理局が、買収……」
そうか。そういうことも、起こるんだ。
「あの……」
「瑞樹。こいつのことは良い。アレだけのことがあったんだからな、兄が同伴するくらい良いだろう」
「……御岳さんが言うなら、良いですけど」
「まぁ、それに……治の言ってた、どっちも許すのが簡単で良いだろ。ちょっと、ガキみてぇだけどな」
茜さんの言葉に御岳さんは眉を顰めたが、仕方なしと溜息を吐いて頷いた。
「……そっちも、それで良いか?」
「え、は、はいっ! 寧ろ、私から謝罪に来たのに……」
「気にするんじゃねぇ。本当はこっちから謝りに行きたかったんだが……まぁ、俺らの業界じゃ、一般人に絡みに行くようなことは割とタブーなんでよ」
言いながら、御岳さんは茜さんの方を見た。
「んだよ。私は別に、一般人としてムカつく奴をボコしてるだけだから良いだろうが」
い、一般人かぁ……不良を拳で叩きのめす女の子が、一般人と。
「……程々にしておけよ。特に今は」
「分かってるぜ、そんぐらい」
御岳さんはふんと鼻を鳴らし、視線を戻した。
「悪かった。巻き込んじまってな」
「いえ、良いんです……最初は、その……私が、茜さんに近付きたい一心で来たから、なので……私のせいです」
凄い。こんなしおらしい柚乃、始めて見たかも知れない。
「やっぱりか。ただ依頼をしに来たにしては態度が変だって思ってたんだよ」
「は、はい、すみません……」
「まぁ、別に良いけどな。依頼は依頼だ」
「そうだ、依頼は依頼……だから、これも一応渡しておきたいと思ったんだが」
そう言って、御岳さんが取り出したのは何かのキャラが描かれているキラキラしたバッジだった。御岳さんが持ってると、中々に似合わない。
「受け取って貰えるか?」
「はいっ、ありがとうございます……すみません、依頼まで」
「依頼までって何だよ。依頼が本旨だろ」
突っ込んだ茜さんに、柚乃は顔を赤くして俯いた。
「実は、探してた時に見つけてはいたらしいんだけどね……色々あったから、渡す暇も無くって」
「あはは、そうですよね……でも、良かったです。それ無くして、友達がずっと凹んでたので!」
水色の髪の……瑞樹さんが言うと、柚乃はそう答えた。
「そいつは良かった。ただ、一つだけ頼みがあるんだが……」
「はい、何ですか?」
御岳さんが険しい顔で目を細め、指を一本立てた。
「お前があそこで見たものは、口外しないで欲しい。俺達の為にも、お前の為にもだ」
「因みに、既に話した人とか居る?」
瑞樹さんの問いに、柚乃は小さくコクリと頷いた。
「家族、には言いました……お兄ちゃん以外は、信じてませんでしたけど」
「だろうな」
茜さんが僕を見ながら頷いた。バレるかも知れないから、その意味ありげな視線を止めて欲しい。
「ま、だったら大丈夫だろうな……どうせ、ありのまま話したって信じる奴の方が珍しいってもんだ」
「あぁ。だが、これからは話さないように頼んだ」
「はいっ! 分かりました!」
素直だなぁ、うちだともうちょっとツンケンしてるのに。外行きというのを抜きにしても、素直過ぎる。茜さんのファンだからかな。
「特に、今は色々と……俺達の周りは危ないと思った方が良い」
「そう、なんですね……」
「うん、そうなのよ。ちょっと狙われてるのよねぇ、厄介な奴らに」
話す三人を見て、茜さんは目を細めて僕に視線を移した。
「治、ちょっと来いよ」
「ん?」
立ち上がり、テーブルから離れる茜さんに僕も何も分からぬまま付いて行く。
「御岳や瑞樹が言ってたようにな、私らは今クソッタレな奴らに狙われてんだよ」
「そうなんだ……廃工場で襲われてたってのも、その人たちに?」
「あぁ、そのクソカスなゴミ共は今も執拗に狙ってんだよ。つーか、目的が達成されるまでは狙ってくると思うぜ? 何せ、本拠地はイギリスなんだからな。こんなしょぼい事務所の奴らから反撃なんて飛んで来ねぇと思ってやがる」
実際そうなんだがな、と茜さんは怒りを堪えているような顔で言った。
「クソッタレ。クソ野郎が……木っ端なんざ、どんだけぶち殺したってしょうがねぇからな」
「ぶ、ぶち殺したんだ……」
「しゃあねぇだろ。殺さなきゃ死ぬ」
「……そっか」
僕は、誰が相手でも極論を言えば殺さずにどうにか出来る。魔物だって人に友好的なマスコットに変えられるし、悪人だって聖人に出来る。でも、それをしないのは存在の否定になるからだ。そうやって色んな存在を否定して行って、この世を陳腐化してしまえば、僕の人生も価値を失うだろう。
「あれ、でも街中でも襲われるの? なんか、管理局だとか支配者だとかが居るんじゃないの? その人たちに泣きついたら、助けて貰えたりとかしないのかな」
「おい、一般人がなんでそんなこと知ってんだ? ん?」
にやっと笑って言う茜さんに、僕は視線を斜め下に逸らした。
「いや、その、アレだよ。色々調べたら、分かったんだよ」
「一般人の高校生が調べて分かる程浅くねぇよ、魔術士の世界はよ……ま、惚けたいならそうしとけば良いけどな」
黙りこくった僕に、茜さんは一息置いて話し始めた。
「管理局は、敵だ」
「へ?」
「私らがアウトローって訳じゃないぜ? いやまぁ、アウトロー寄りと言えばそうかもだが……兎に角、管理局が敵なのは私らがルールを破ってるからなんて理由じゃない」
「じゃあ、何で」
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「管理局が、買収……」
そうか。そういうことも、起こるんだ。
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