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全知全能と家庭訪問
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そうして、高水通りに着いた僕はユモンの案内を受けてそのすんごい豪邸に辿り着いた。高級住宅街の中でも、広大な敷地を高い塀で囲って座しているその屋敷は凄まじい存在感を放っている。特に、周りよりも地形的に高い場所に建っているのが威圧的で、近寄りがたさを醸し出している。
「ユモン……こんなとこに行ったの?」
『あァ、でけェよな』
まぁ、デカいけどさ。
「これ……どうしたら良いんだろう」
『ていうか、周り誰も居ないだろ? そろそろ、オレ様も出て良いんじゃねぇか?』
「あ、そうだね。……うん、誰も居ないや。出て良いよ」
僕が誰にも見られてないことを確かめた後に許可を出すと、ユモンはポケットに隠したままだった指輪から飛び出てきた。
「ふぅ、やっぱりシャバはちげぇな」
「どこで知ったんだよ、そんな言葉」
にやりと笑いながら少しカタコトで言ったユモンに、僕は溜息交じりに呟いた。こいつがハイスペック悪魔だからか、既にユモンは僕の全知全能による翻訳能力をそんなに必要とせずに喋れるようになっている。ユモン曰く、翻訳能力を利用して直ぐに学習したらしいけど、僕には全く以って出来る気がしない。英語と日本語とかのレベルじゃなくて、そもそも違う世界で生まれた言語なのである。異世界語とか分かる訳無い。
因みに、翻訳の言葉か素の日本語かはカタコトかどうかだ。翻訳の方は凄い流暢で、素の日本語は割と上手いけどちょっと片言で聞こえてくる。
「それで、どうしたら良いのかな?」
「まぁ、インターホン押しゃ良いだろ」
「インターホン……押すかぁ。いや、怖いなぁ……」
門の端の方にあるインターホンに僕は指を伸ばして、やっぱり戻した。だって、怖いじゃん。
「おい、押せよ」
じろっと睨んで来るユモンに、僕は毅然と睨み返した。
「いや、怖いじゃん。そういうならユモンが押してよ」
「あいよ」
「簡単に押すね!?」
「お前が押せって言ったんだろッ!?」
インターホンの前で喚く僕らだったが、響いた雑音のようなモノにインターホンが屋敷の中と繋がったことを察した。僕は慌てて姿勢を整え、インターホンの方を向いた。これ、多分カメラだよね。黒いレンズっぽいの。見られたかなぁ、さっきの。
『はい、こちら夜咲邸でございます。恐れ入りますがどちら様でしょうか?』
聞こえて来たのは、キリッとしたちょっと冷たい感じの女性の声だった。正直、ちょっと怖い。
「失礼します。こちら、宇尾根治です」
「イカダチだ」
名乗り終えると同時にカメラに向かって流麗な動作で頭を下げた。良し、これで何とかなっただろう。
『……宇尾根様と、イカダチ様で間違いありませんでしょうか?』
「はい」
『かしこまりました。ご用件をお伺いしてもよろしいでしょうか?』
「紫苑ちゃ……さんに会いに来ました」
やばい、緊張する。なにこれ。面接とかってこんな感じなのかな。
『恐れ入りますが、紫苑様へのご訪問はご予約またはアポイントメントをいただいておりますでしょうか?』
「あっ」
やばい、そうだ。そういうの、必要か。必要だよね。忘れてた。いやでも、アポとかどうやって取れば良いのか分かんないし。
「その、すみません。無いです……」
『申し訳ございませんが、アポイントメントなしでのご訪問はセキュリティ上の理由により原則お断りさせていただいております』
冷たい声でお断りされた僕は思わず俯いた。どうしよう。一旦帰るしかないのかな、これ。
「なぁ、一応聞いてみるだけ聞いて見てくれよ」
『……承知いたしました。恐れ入りますが、まず少々お待ちいただけますでしょうか。只今、紫苑様にご連絡して対応可能か確認いたします』
おぉ、通った! 流石はユモン、悪魔やってるだけはある。
「ナイス、ユモン……!」
「こんなん、言うだけだろうが……」
僕が小声で言いつつサムズアップすると、ユモンは呆れたようにそう返した。僕にはそういう、図々しいというか、踏み込むようなことは言えないんだよ。小心者だから。
そうして暫く待っていると、雑音のようなのが聞こえたので僕は姿勢を正してカメラをスッと見た。
『大変お待たせ致しました。紫苑様に確認いたしましたところ、お会いいただけるとのことです。門を開けますので、そのままお待ちください』
「おぉ、ありがとうございます」
ぺこりと頭を下げる僕の前で、独りでに門が開いた。凄い、遠隔で開けられるんだ。魔術ではなさそうなので、そういうものなんだろう。
『どうぞお入りください。邸内へは私がご案内いたします』
「あ、ありがとうございます……」
インターホンがぷつりと切れて、僕は小さく息を吐いた。
「ふぅ、何とかなったね。ナイス、マジで」
「お前、ビビり過ぎだぞ……このオレ様と契約してるってんだから、もっとちゃんとしとけよ」
「いや、こういうのは慣れないよ……ていうか、こんな経験今までに無いし。僕は子供の頃から小心者なのよ」
「経験以前に、強いんだから何があっても大丈夫的な自信はあれよ……」
だって、別に僕が素で強いって感じじゃないしなぁ。そりゃ、誰にも負けることは無いけど、そこに実感的なものはない。実体の無い力しか持ってないし。
「……緊張するなぁ」
「シャキッとしとけ、舐められるぜ?」
別に、舐められても良いんだけどね。一応、シャキッとはしておいた方が良いか。僕は中庭を歩きながら、背筋をピンと伸ばして姿勢を良くした。
「ユモン……こんなとこに行ったの?」
『あァ、でけェよな』
まぁ、デカいけどさ。
「これ……どうしたら良いんだろう」
『ていうか、周り誰も居ないだろ? そろそろ、オレ様も出て良いんじゃねぇか?』
「あ、そうだね。……うん、誰も居ないや。出て良いよ」
僕が誰にも見られてないことを確かめた後に許可を出すと、ユモンはポケットに隠したままだった指輪から飛び出てきた。
「ふぅ、やっぱりシャバはちげぇな」
「どこで知ったんだよ、そんな言葉」
にやりと笑いながら少しカタコトで言ったユモンに、僕は溜息交じりに呟いた。こいつがハイスペック悪魔だからか、既にユモンは僕の全知全能による翻訳能力をそんなに必要とせずに喋れるようになっている。ユモン曰く、翻訳能力を利用して直ぐに学習したらしいけど、僕には全く以って出来る気がしない。英語と日本語とかのレベルじゃなくて、そもそも違う世界で生まれた言語なのである。異世界語とか分かる訳無い。
因みに、翻訳の言葉か素の日本語かはカタコトかどうかだ。翻訳の方は凄い流暢で、素の日本語は割と上手いけどちょっと片言で聞こえてくる。
「それで、どうしたら良いのかな?」
「まぁ、インターホン押しゃ良いだろ」
「インターホン……押すかぁ。いや、怖いなぁ……」
門の端の方にあるインターホンに僕は指を伸ばして、やっぱり戻した。だって、怖いじゃん。
「おい、押せよ」
じろっと睨んで来るユモンに、僕は毅然と睨み返した。
「いや、怖いじゃん。そういうならユモンが押してよ」
「あいよ」
「簡単に押すね!?」
「お前が押せって言ったんだろッ!?」
インターホンの前で喚く僕らだったが、響いた雑音のようなモノにインターホンが屋敷の中と繋がったことを察した。僕は慌てて姿勢を整え、インターホンの方を向いた。これ、多分カメラだよね。黒いレンズっぽいの。見られたかなぁ、さっきの。
『はい、こちら夜咲邸でございます。恐れ入りますがどちら様でしょうか?』
聞こえて来たのは、キリッとしたちょっと冷たい感じの女性の声だった。正直、ちょっと怖い。
「失礼します。こちら、宇尾根治です」
「イカダチだ」
名乗り終えると同時にカメラに向かって流麗な動作で頭を下げた。良し、これで何とかなっただろう。
『……宇尾根様と、イカダチ様で間違いありませんでしょうか?』
「はい」
『かしこまりました。ご用件をお伺いしてもよろしいでしょうか?』
「紫苑ちゃ……さんに会いに来ました」
やばい、緊張する。なにこれ。面接とかってこんな感じなのかな。
『恐れ入りますが、紫苑様へのご訪問はご予約またはアポイントメントをいただいておりますでしょうか?』
「あっ」
やばい、そうだ。そういうの、必要か。必要だよね。忘れてた。いやでも、アポとかどうやって取れば良いのか分かんないし。
「その、すみません。無いです……」
『申し訳ございませんが、アポイントメントなしでのご訪問はセキュリティ上の理由により原則お断りさせていただいております』
冷たい声でお断りされた僕は思わず俯いた。どうしよう。一旦帰るしかないのかな、これ。
「なぁ、一応聞いてみるだけ聞いて見てくれよ」
『……承知いたしました。恐れ入りますが、まず少々お待ちいただけますでしょうか。只今、紫苑様にご連絡して対応可能か確認いたします』
おぉ、通った! 流石はユモン、悪魔やってるだけはある。
「ナイス、ユモン……!」
「こんなん、言うだけだろうが……」
僕が小声で言いつつサムズアップすると、ユモンは呆れたようにそう返した。僕にはそういう、図々しいというか、踏み込むようなことは言えないんだよ。小心者だから。
そうして暫く待っていると、雑音のようなのが聞こえたので僕は姿勢を正してカメラをスッと見た。
『大変お待たせ致しました。紫苑様に確認いたしましたところ、お会いいただけるとのことです。門を開けますので、そのままお待ちください』
「おぉ、ありがとうございます」
ぺこりと頭を下げる僕の前で、独りでに門が開いた。凄い、遠隔で開けられるんだ。魔術ではなさそうなので、そういうものなんだろう。
『どうぞお入りください。邸内へは私がご案内いたします』
「あ、ありがとうございます……」
インターホンがぷつりと切れて、僕は小さく息を吐いた。
「ふぅ、何とかなったね。ナイス、マジで」
「お前、ビビり過ぎだぞ……このオレ様と契約してるってんだから、もっとちゃんとしとけよ」
「いや、こういうのは慣れないよ……ていうか、こんな経験今までに無いし。僕は子供の頃から小心者なのよ」
「経験以前に、強いんだから何があっても大丈夫的な自信はあれよ……」
だって、別に僕が素で強いって感じじゃないしなぁ。そりゃ、誰にも負けることは無いけど、そこに実感的なものはない。実体の無い力しか持ってないし。
「……緊張するなぁ」
「シャキッとしとけ、舐められるぜ?」
別に、舐められても良いんだけどね。一応、シャキッとはしておいた方が良いか。僕は中庭を歩きながら、背筋をピンと伸ばして姿勢を良くした。
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