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全知全能とお粗末
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ホームルームを終えた僕は、机に突っ伏してるフリをしていつも通りの魔力の鍛錬を始めた。すると、制服の内側のポケットに隠された指輪からユモンが話しかけて来た。
『……どこで習ったんだ、そんな鍛錬』
『……そりゃ、師匠だよ』
『魔術は独学だって言ってなかったかよ?』
『……自分自身が師匠、みたいなね』
僕の雑な誤魔化しにユモンは溜息を吐いた。
『何だよ、文句あるかい?』
『いや、ねぇけどよ。随分と……ちぐはぐな鍛錬だと思っただけでな』
『あるじゃんか、文句』
『お前の呼吸法は凄まじいレベルで最適化された代物に見えるが……代わりに、魔力の鍛錬自体はお粗末に見えたってだけだ』
お粗末とか言われてるし。まぁ、呼吸法は全知全能に教わったものだけどこの魔力を体内の各所で操作するという鍛錬は、教室でも出来るやり方として僕が自分でやり出したものだ。差があるのは仕方ないだろう。
『結構上達してきたと思ったんだけどなぁ……』
『だからだよ。最初はそれでも良かったのかも知れないけどな、今はそれをやっても大して意味がねぇよ』
『えー、なんで?』
『そうだな……剣で強くなりたいからって、一つの型ばっかりやってたってしょうがないだろ? 他の型をやったり、体の動かし方を覚えたり、複合的にやってくことで効果が相乗的に上がるってもんだ。……まぁ、一点集中の方が強いバカってのも偶に居るもんだが』
なるほどね。そうかも知れない。きっと、料理だって野菜の切り方だけ練習しているよりも、火入れとか盛り付けとか色々練習していく内に知見も増えて、もっと最適化された切り方が分かっていくというものだろう。僕は料理とかしないから知らないけど。
『うん、参考になったよ』
『ヘッ、そりゃ良かった』
どうやら、僕はもっと色んなやり方を学ぶ必要があるらしい。
『……ていうか、僕一応外から隠してやってるんだけど何でユモンは分かるんだよ』
魔術士に見られたら気付かれるかもという懸念で、ちゃんと魔力の鍛錬は外から悟られないように日頃から隠蔽してやるようにしてたのに。呼吸はまぁ、隠しようが無いからどうせ学校ならバレんやろと諦めている。
『そりゃ、契約者だからな。悪魔との契約を舐めんじゃねえよ?』
『でも、契約は僕がやったじゃん。それに、僕はそっちのこととかあんまり分からないけど?』
『だが、お前はオレ様を契約相手と認めてるだろう? 結局は心の問題なのさ。心が認めりゃ、魂との距離はスッと近くなるってもんだからな』
『魂との距離……』
僕が反芻すると、ユモンはあぁと肯定した。
『魂を近くで見りゃぁ、そいつのことは大体分かるってもんだ。やろうと思えばニンゲンでも出来ることだぜ? まぁ、オレ様くらいになると別に契約者じゃなくたってよく見れば魂はちゃんと見えるんだけどな』
何だよそれ、契約どうこう関係ないじゃんか。
『ま、悪魔と契約するってのはそういうこった。契約すれば、悪魔との魂の距離が近付く。干渉しやすくもなるってことだ。そして、意地の悪い悪魔ってのは、契約の範囲内なら何だってやる。気を付けることだな?』
『うへぇ、おっかないねぇ』
ユモンは飽くまでも良い悪魔だったということだろう。悪魔だけにね。
『因みにさ、この鍛錬が駄目ならどういう鍛錬をしたら良いの?』
『そりゃ、お前の師匠にでも聞いてみたら良いんじゃねえのか?』
『意地の悪い悪魔め……』
ニヤッと笑いながら言ったようなユモンに、僕は溜息を吐いた。
『しゃあねぇな。教えてやるよ』
『お、ホント?』
『つっても、お前は育ち方もちぐはぐだからな……教えるのも難しいぜ。特に、こんな魔術を使うのも許されないような場所でな』
『まぁ、確かにね。じゃあ、僕の魔力操作を見てダメなところを教えてよ。それを修正して行けば良いでしょう』
と、そう僕が伝えたところでチャイムが鳴り、同時に人が教卓側の扉から慌てて入って来た。
『さ、早速見せてみやがれ。オレ様が特別に教えてやっからよ』
『ごめん、ユモン』
僕は号令に従って立ち上がり、礼をするついでにユモンにも謝った。
『授業始まっちゃったし、また後で』
『て、テメェ……!』
僕は申し訳なさを持ちながらもふっと笑い、席に着いた。黒崎さんのお説教もあったし、今日はちゃんと授業を聞こうと思う。それに、そろそろ僕の素の学力が危うい可能性がある。
「昨日の続きからやるぞぉ。プリント無くした奴は今の内に取りに来い。居ないな?」
僕はその言葉を聞いて教材を机の上に並べつつ、昨日も使ったプリントを広げた。
「先ずは、この大問八だな。お前らちゃんとやって来てるな?」
当然やって来ていない。僕は小難しくこちらを睨んでいる大問八に向き合った。
『……どこで習ったんだ、そんな鍛錬』
『……そりゃ、師匠だよ』
『魔術は独学だって言ってなかったかよ?』
『……自分自身が師匠、みたいなね』
僕の雑な誤魔化しにユモンは溜息を吐いた。
『何だよ、文句あるかい?』
『いや、ねぇけどよ。随分と……ちぐはぐな鍛錬だと思っただけでな』
『あるじゃんか、文句』
『お前の呼吸法は凄まじいレベルで最適化された代物に見えるが……代わりに、魔力の鍛錬自体はお粗末に見えたってだけだ』
お粗末とか言われてるし。まぁ、呼吸法は全知全能に教わったものだけどこの魔力を体内の各所で操作するという鍛錬は、教室でも出来るやり方として僕が自分でやり出したものだ。差があるのは仕方ないだろう。
『結構上達してきたと思ったんだけどなぁ……』
『だからだよ。最初はそれでも良かったのかも知れないけどな、今はそれをやっても大して意味がねぇよ』
『えー、なんで?』
『そうだな……剣で強くなりたいからって、一つの型ばっかりやってたってしょうがないだろ? 他の型をやったり、体の動かし方を覚えたり、複合的にやってくことで効果が相乗的に上がるってもんだ。……まぁ、一点集中の方が強いバカってのも偶に居るもんだが』
なるほどね。そうかも知れない。きっと、料理だって野菜の切り方だけ練習しているよりも、火入れとか盛り付けとか色々練習していく内に知見も増えて、もっと最適化された切り方が分かっていくというものだろう。僕は料理とかしないから知らないけど。
『うん、参考になったよ』
『ヘッ、そりゃ良かった』
どうやら、僕はもっと色んなやり方を学ぶ必要があるらしい。
『……ていうか、僕一応外から隠してやってるんだけど何でユモンは分かるんだよ』
魔術士に見られたら気付かれるかもという懸念で、ちゃんと魔力の鍛錬は外から悟られないように日頃から隠蔽してやるようにしてたのに。呼吸はまぁ、隠しようが無いからどうせ学校ならバレんやろと諦めている。
『そりゃ、契約者だからな。悪魔との契約を舐めんじゃねえよ?』
『でも、契約は僕がやったじゃん。それに、僕はそっちのこととかあんまり分からないけど?』
『だが、お前はオレ様を契約相手と認めてるだろう? 結局は心の問題なのさ。心が認めりゃ、魂との距離はスッと近くなるってもんだからな』
『魂との距離……』
僕が反芻すると、ユモンはあぁと肯定した。
『魂を近くで見りゃぁ、そいつのことは大体分かるってもんだ。やろうと思えばニンゲンでも出来ることだぜ? まぁ、オレ様くらいになると別に契約者じゃなくたってよく見れば魂はちゃんと見えるんだけどな』
何だよそれ、契約どうこう関係ないじゃんか。
『ま、悪魔と契約するってのはそういうこった。契約すれば、悪魔との魂の距離が近付く。干渉しやすくもなるってことだ。そして、意地の悪い悪魔ってのは、契約の範囲内なら何だってやる。気を付けることだな?』
『うへぇ、おっかないねぇ』
ユモンは飽くまでも良い悪魔だったということだろう。悪魔だけにね。
『因みにさ、この鍛錬が駄目ならどういう鍛錬をしたら良いの?』
『そりゃ、お前の師匠にでも聞いてみたら良いんじゃねえのか?』
『意地の悪い悪魔め……』
ニヤッと笑いながら言ったようなユモンに、僕は溜息を吐いた。
『しゃあねぇな。教えてやるよ』
『お、ホント?』
『つっても、お前は育ち方もちぐはぐだからな……教えるのも難しいぜ。特に、こんな魔術を使うのも許されないような場所でな』
『まぁ、確かにね。じゃあ、僕の魔力操作を見てダメなところを教えてよ。それを修正して行けば良いでしょう』
と、そう僕が伝えたところでチャイムが鳴り、同時に人が教卓側の扉から慌てて入って来た。
『さ、早速見せてみやがれ。オレ様が特別に教えてやっからよ』
『ごめん、ユモン』
僕は号令に従って立ち上がり、礼をするついでにユモンにも謝った。
『授業始まっちゃったし、また後で』
『て、テメェ……!』
僕は申し訳なさを持ちながらもふっと笑い、席に着いた。黒崎さんのお説教もあったし、今日はちゃんと授業を聞こうと思う。それに、そろそろ僕の素の学力が危うい可能性がある。
「昨日の続きからやるぞぉ。プリント無くした奴は今の内に取りに来い。居ないな?」
僕はその言葉を聞いて教材を机の上に並べつつ、昨日も使ったプリントを広げた。
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