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#1 レツオウガ起動
Chapter01 邂逅 02-03
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「一体、何をする気だ」
視線は前に固定したまま、辰巳は窓の外を指し示す。
噴出と拡大は流石に止まっているが、それでも直径十メートル近い柱が天を衝いている光景は、横目だけでも十分に見て取れた。
更にこの光柱だけではない。風葉に何らかの禍を憑依させ、自身も泉を操り、小手調べのリザードマン共をけしかけて来た。
ろくでも無い事をしようとしているのは、もはや考えるまでもない。
「単に霊地を使いたいだけなら、凪守の管理部門に申請すればいいだけの話だ。だがそれをせず、力づくで抽出を強行している。何のためだ」
「無論、夢のためです」
「……は?」
突飛なスペクターの即答に、流石の辰巳も鼻白んだ。
「ワタクシには、亡くした夢がありました。ワタクシの命ごときよりも遥かに重いそれは、もう二度と取り戻せないのだと思っておったのですよ。つい最近まではねぇ」
熱く語るスペクター。泉なら絶対に浮かべないだろう、歪んだ笑みをたたえた双眸が、なぜか風葉を捉えた。
より正確に言えば、風葉の銀髪と犬耳を。
「え、えっ?」
反射的にみじろぎする風葉だったが、スペクターの語りはますます熱を帯びていく。
「夢! それは生きるための重要なエネルギー! 人生そのものと言ってもいい! ワタクシは文字通りに死んでいた! だが! 今! 取り戻す準備が整った! アナタの! フェンリルのおかげですよ!」
大の字に両手を広げ、呵々大笑するスペクター。その異様なまでの高揚ぶりを、しかし辰巳は見ていない。
「何!?」
驚き、振り向く辰巳。だが当の風葉には予備知識がまったく無いため、自分に焦点が当たっているらしい、という事以外分からない。
せいぜい分かったのは、辰巳の瞳から無機質な冷たさが消えた事くらいだ。
「あ、ちょっと安心」
「何を言ってるんだ霧宮さん! フェンリルってのは――」
「そう、フェンリル! すなわちコレですよぉ!」
ぱぁん、と一際大きな柏手が響く。スペクターが広げていた両腕を打ち鳴らしたのだ。
驚き、視線を戻す辰巳と風葉。
そこには、合掌したまま歪んだ笑みを浮かべているスペクターと、奇妙な形状の魔法陣が待っていた。
視線は前に固定したまま、辰巳は窓の外を指し示す。
噴出と拡大は流石に止まっているが、それでも直径十メートル近い柱が天を衝いている光景は、横目だけでも十分に見て取れた。
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ろくでも無い事をしようとしているのは、もはや考えるまでもない。
「単に霊地を使いたいだけなら、凪守の管理部門に申請すればいいだけの話だ。だがそれをせず、力づくで抽出を強行している。何のためだ」
「無論、夢のためです」
「……は?」
突飛なスペクターの即答に、流石の辰巳も鼻白んだ。
「ワタクシには、亡くした夢がありました。ワタクシの命ごときよりも遥かに重いそれは、もう二度と取り戻せないのだと思っておったのですよ。つい最近まではねぇ」
熱く語るスペクター。泉なら絶対に浮かべないだろう、歪んだ笑みをたたえた双眸が、なぜか風葉を捉えた。
より正確に言えば、風葉の銀髪と犬耳を。
「え、えっ?」
反射的にみじろぎする風葉だったが、スペクターの語りはますます熱を帯びていく。
「夢! それは生きるための重要なエネルギー! 人生そのものと言ってもいい! ワタクシは文字通りに死んでいた! だが! 今! 取り戻す準備が整った! アナタの! フェンリルのおかげですよ!」
大の字に両手を広げ、呵々大笑するスペクター。その異様なまでの高揚ぶりを、しかし辰巳は見ていない。
「何!?」
驚き、振り向く辰巳。だが当の風葉には予備知識がまったく無いため、自分に焦点が当たっているらしい、という事以外分からない。
せいぜい分かったのは、辰巳の瞳から無機質な冷たさが消えた事くらいだ。
「あ、ちょっと安心」
「何を言ってるんだ霧宮さん! フェンリルってのは――」
「そう、フェンリル! すなわちコレですよぉ!」
ぱぁん、と一際大きな柏手が響く。スペクターが広げていた両腕を打ち鳴らしたのだ。
驚き、視線を戻す辰巳と風葉。
そこには、合掌したまま歪んだ笑みを浮かべているスペクターと、奇妙な形状の魔法陣が待っていた。
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