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#1 レツオウガ起動
Chapter02 凪守 01-06
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「うわぁ」
サイコロ部屋から出た風葉の、最初の一声がそれだった。
今風葉がいるのは、左右に長く続く廊下の真ん中だ。幅は割と広く、三人くらいなら余裕で並んで歩けるだろう。
壁、床、天井はやはり淡い青色で、ところどころ何かのパイプが剥き出しになっていたり、霊力光が建材の隙間を駆け抜けていったりする。
正面の壁には等間隔に並んだ扉が三つあり、それぞれ「2」「4」「6」とナンバリングされていた。もしやと思って振り返ると、今出てきた扉には「3」の数字が振られており、両隣には「1」と「5」の扉が並んでいる。
「ってことは、私が入ってきたみたいな部屋が六つあるんだ」
「ああ、転移区画だからな。乗組員は、ここの転移術式を通じて出入りするんだ」
言いつつ、「1」と「2」の扉がある方向へと歩き出す辰巳。霊力のラインで繋がっている天井の丸い照明を目で追いながら、風葉もその後に続く。
「へぇ……って、乗組員? ここ、船の中なの?」
「ああ。天来号って名前なんだがな、その辺にパイプとか出てるだろ? 実際の巡視船とかも、中はこんな通路になってるんだよ」
「ふぅん。でも船に乗った事ないからわっかんないなぁ」
キョロキョロと辺りを見回し続ける風葉。どうやら驚きや戸惑いよりも、好奇心の方が勝っているらしい。
「そういえばさ、どうして五辻くんは日乃栄のジャージじゃないの?」
「汚したくないからさ。学校の授業と違って、こっちのトレーニングはハードだからな」
「そっか。にしても何かこう、私だけ学生服って場違い感がスゴイんだけど」
「その辺は気にしなくて良いさ。俺なんてしょっちゅうだし、土方の格好をした連中がウロウロしてる事だってある」
「ウソ? なんでまた?」
「管理保全の仕事があるからさ。幻燈結界の術式は、電柱とかマンホールとか、公共インフラの中へ刻まれてるからな」
「あ、そういうのを修理したりするのも仕事なんだ?」
「正解。天来号は基本的に、さっきの転移術式を使った移動用の中継地点だからな」
そんな他愛の無い会話をしながら、二人の学生は天来号の通路を進む。他の凪守職員達とも出くわしたりしたが、どうやら風葉の事は既に知れ渡っていたらしく、大して驚かれはしなかった。
「ちょっと意外かな。気楽ではあるけど」
「そりゃそうさ。霧宮さんみたいにひょんな事で禍に憑かれる人ってのは、割と結構いるからな」
「へぇ」
サイコロ部屋から出た風葉の、最初の一声がそれだった。
今風葉がいるのは、左右に長く続く廊下の真ん中だ。幅は割と広く、三人くらいなら余裕で並んで歩けるだろう。
壁、床、天井はやはり淡い青色で、ところどころ何かのパイプが剥き出しになっていたり、霊力光が建材の隙間を駆け抜けていったりする。
正面の壁には等間隔に並んだ扉が三つあり、それぞれ「2」「4」「6」とナンバリングされていた。もしやと思って振り返ると、今出てきた扉には「3」の数字が振られており、両隣には「1」と「5」の扉が並んでいる。
「ってことは、私が入ってきたみたいな部屋が六つあるんだ」
「ああ、転移区画だからな。乗組員は、ここの転移術式を通じて出入りするんだ」
言いつつ、「1」と「2」の扉がある方向へと歩き出す辰巳。霊力のラインで繋がっている天井の丸い照明を目で追いながら、風葉もその後に続く。
「へぇ……って、乗組員? ここ、船の中なの?」
「ああ。天来号って名前なんだがな、その辺にパイプとか出てるだろ? 実際の巡視船とかも、中はこんな通路になってるんだよ」
「ふぅん。でも船に乗った事ないからわっかんないなぁ」
キョロキョロと辺りを見回し続ける風葉。どうやら驚きや戸惑いよりも、好奇心の方が勝っているらしい。
「そういえばさ、どうして五辻くんは日乃栄のジャージじゃないの?」
「汚したくないからさ。学校の授業と違って、こっちのトレーニングはハードだからな」
「そっか。にしても何かこう、私だけ学生服って場違い感がスゴイんだけど」
「その辺は気にしなくて良いさ。俺なんてしょっちゅうだし、土方の格好をした連中がウロウロしてる事だってある」
「ウソ? なんでまた?」
「管理保全の仕事があるからさ。幻燈結界の術式は、電柱とかマンホールとか、公共インフラの中へ刻まれてるからな」
「あ、そういうのを修理したりするのも仕事なんだ?」
「正解。天来号は基本的に、さっきの転移術式を使った移動用の中継地点だからな」
そんな他愛の無い会話をしながら、二人の学生は天来号の通路を進む。他の凪守職員達とも出くわしたりしたが、どうやら風葉の事は既に知れ渡っていたらしく、大して驚かれはしなかった。
「ちょっと意外かな。気楽ではあるけど」
「そりゃそうさ。霧宮さんみたいにひょんな事で禍に憑かれる人ってのは、割と結構いるからな」
「へぇ」
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