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#1 レツオウガ起動
Chapter03 魔狼 10-01
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そうして、霧宮風葉は酒月利英の研究室に帰還した。
「――、む」
頭がぼうっとする。たっぷり寝たはずなのにまだ足りない、日曜の昼過ぎみたいな感覚だ。
気を抜いたらまたくっついてしまいそうな目を擦り、風葉は目の焦点を合わせる。
最初に見えたのは、すぐ正面にいる冥。抱き合う一歩手前くらいの距離に立つ冥は、風葉の意識が戻ったのを確認し、にこやかに微笑む。
「やぁ風葉。気分はどうだい」
「ん、ん。なんか、ちょっと、寝起きみたいな感じ」
ぐしぐしと目を擦る風葉だが、そこかしこでまたたく光は中々消えない。
まぁ当然だ。それは目の錯覚ではなく、つい今しがたまで冥が発動させていた精神感応術式の残光なのだから。
『き、霧宮くん』
「おいおい! おいおいおいぃ!? どうなったんだ冥!?」
次いで、画面の向こう側とこちら側。巌は呆然と、利英は頭をかきむしりながら、それぞれ風葉を見ていた。
「――。あ」
ここで風葉はようやく目が覚めた。すぐさま腕時計を見下ろすが、分針は目盛り一つ分しか動いていない。
「あ、れ? こんな短時間だったっけ?」
「別に驚くことじゃないよ。現実と精神世界の時間の流れってのは、大抵の場合一致しないものさ」
「そなんだ」
さほど驚かない風葉。非日常的な事態は今まで大分味わってきたからだ。
『……納得したところで、今度はこっちの疑問に答えてもらえないかな』
その声に、視線を移す冥と風葉。
画面の向こう。糸よりも細い眼差しで、巌が風葉を見ていた。
『薄々察しはつくんだが……あえて聞こう。冥。霧宮くんは、彼女に憑依していたフェンリルは、一体どうなってしまったんだ』
静かな眼差し、静かな表情、静かな語調。
デスク上で手を組んだ巌の佇まいは、オウガを自爆させると言った時以上に平坦であった。
――明らかに、怒っていらっしゃる。
今更ながら、風葉はぎくりと背筋を伸ばした。
途端、腰の下辺りから、わさっ、という変な音が聞こえた。モップを振って埃を落とす時のような、あんな音だ。
実際、見下ろすと似たような物体がそこにあった。
灰銀色に輝く、ふさふさの尻尾。
今しがた精神世界で見たフェンリルと同じそれが、いつの間にか生えていたのだ。
付け加えるなら、スカートをたくし上げ気味にしながら。
「――、む」
頭がぼうっとする。たっぷり寝たはずなのにまだ足りない、日曜の昼過ぎみたいな感覚だ。
気を抜いたらまたくっついてしまいそうな目を擦り、風葉は目の焦点を合わせる。
最初に見えたのは、すぐ正面にいる冥。抱き合う一歩手前くらいの距離に立つ冥は、風葉の意識が戻ったのを確認し、にこやかに微笑む。
「やぁ風葉。気分はどうだい」
「ん、ん。なんか、ちょっと、寝起きみたいな感じ」
ぐしぐしと目を擦る風葉だが、そこかしこでまたたく光は中々消えない。
まぁ当然だ。それは目の錯覚ではなく、つい今しがたまで冥が発動させていた精神感応術式の残光なのだから。
『き、霧宮くん』
「おいおい! おいおいおいぃ!? どうなったんだ冥!?」
次いで、画面の向こう側とこちら側。巌は呆然と、利英は頭をかきむしりながら、それぞれ風葉を見ていた。
「――。あ」
ここで風葉はようやく目が覚めた。すぐさま腕時計を見下ろすが、分針は目盛り一つ分しか動いていない。
「あ、れ? こんな短時間だったっけ?」
「別に驚くことじゃないよ。現実と精神世界の時間の流れってのは、大抵の場合一致しないものさ」
「そなんだ」
さほど驚かない風葉。非日常的な事態は今まで大分味わってきたからだ。
『……納得したところで、今度はこっちの疑問に答えてもらえないかな』
その声に、視線を移す冥と風葉。
画面の向こう。糸よりも細い眼差しで、巌が風葉を見ていた。
『薄々察しはつくんだが……あえて聞こう。冥。霧宮くんは、彼女に憑依していたフェンリルは、一体どうなってしまったんだ』
静かな眼差し、静かな表情、静かな語調。
デスク上で手を組んだ巌の佇まいは、オウガを自爆させると言った時以上に平坦であった。
――明らかに、怒っていらっしゃる。
今更ながら、風葉はぎくりと背筋を伸ばした。
途端、腰の下辺りから、わさっ、という変な音が聞こえた。モップを振って埃を落とす時のような、あんな音だ。
実際、見下ろすと似たような物体がそこにあった。
灰銀色に輝く、ふさふさの尻尾。
今しがた精神世界で見たフェンリルと同じそれが、いつの間にか生えていたのだ。
付け加えるなら、スカートをたくし上げ気味にしながら。
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