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#1 レツオウガ起動
Chapter03 魔狼 10-02
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「わっ、わっ」
慌てて尻尾とスカートを押さえつける風葉。手触りは予想以上にもふもふだったが、喜んでいる余裕はまったくない。
「ほほう! これは何とも良かれなシチュエイション! ――と、言ってる場合じゃないよな。取りあえず調べさせて頂きましょうか」
暴走しかけたテンションを一瞬で冷却し、利英はエンターキーを叩く。すると一際巨大な立体映像モニタが風葉の前に現れた。
大きな長方形を描くそれは、姿見のように風葉の姿を映し出す。
今も押さえつけている、もさもさの尻尾。今度こそ触れるだろう、実体化した犬耳。
そして、金色に輝く瞳。
今までとは違う、本格的に一体化したフェンリルの姿が、そこに写っていた。
そんな姿を当人に確認させたのもつかの間、姿見はスキャナーのように風葉の身体を通り過ぎる。
実際、これはスキャニングだ。風葉の霊力、フェンリルの状態、その他諸々のデータが即座に転送され、利英はすぐさまキーボードを乱打開始。
利英は雨垂れのようにキーボードを鳴らし、巌も転送されてきた風葉のデータを食い入るように見つめる。
真剣な眼差しの二人。だがそれとは対照的に、冥は芝居がかった仕草で両手を広げる。
「気にするな、そして喜べ二人とも。このフェンリルはもう使える。霧宮くんがねじ伏せた」
『な』
「何とォ!?」
目を剥く巌と利英。満面の笑みを浮かべる冥。
――そこからはもう、侃々諤々の嵐であった。
どうして止められなかったと巌が弾劾し、その方が面白いだろうと冥がのらりくらり避わし、解析されたデータの数々に利英が奇声を上げる。
誰も彼もが、憑依された当人である風葉をそっちのけにしていた。
さりとて風葉も、三人に構っている暇は無かった。
「……」
息を吸い、吐く。
それだけで、酸素と血液以外のものが身体中を駆け巡っているのが、風葉には感じ取れた。
力強く、しなやかに、ともすれば破裂しそうな凶暴さすら感じさせるもう一つの鼓動。
「これが、霊力」
これが、辰巳の行使していた力。
そして、Rフィールドとやらを破壊できる力でもある、筈だ。
「えーと」
男達の議論を無視し、風葉は室内を見回す。目的のものはすぐに見つかった。
今現在、日乃栄高校に展開したRフィールドを映し出している立体映像モニタ。
四角く切り取られた赤色をしばらく眺めた後、風葉は不意に笑う。
「要するに、あれを壊せばいいんですよね?」
瞬間、ぴたりと。
男達の罵詈雑言が、止まった。
慌てて尻尾とスカートを押さえつける風葉。手触りは予想以上にもふもふだったが、喜んでいる余裕はまったくない。
「ほほう! これは何とも良かれなシチュエイション! ――と、言ってる場合じゃないよな。取りあえず調べさせて頂きましょうか」
暴走しかけたテンションを一瞬で冷却し、利英はエンターキーを叩く。すると一際巨大な立体映像モニタが風葉の前に現れた。
大きな長方形を描くそれは、姿見のように風葉の姿を映し出す。
今も押さえつけている、もさもさの尻尾。今度こそ触れるだろう、実体化した犬耳。
そして、金色に輝く瞳。
今までとは違う、本格的に一体化したフェンリルの姿が、そこに写っていた。
そんな姿を当人に確認させたのもつかの間、姿見はスキャナーのように風葉の身体を通り過ぎる。
実際、これはスキャニングだ。風葉の霊力、フェンリルの状態、その他諸々のデータが即座に転送され、利英はすぐさまキーボードを乱打開始。
利英は雨垂れのようにキーボードを鳴らし、巌も転送されてきた風葉のデータを食い入るように見つめる。
真剣な眼差しの二人。だがそれとは対照的に、冥は芝居がかった仕草で両手を広げる。
「気にするな、そして喜べ二人とも。このフェンリルはもう使える。霧宮くんがねじ伏せた」
『な』
「何とォ!?」
目を剥く巌と利英。満面の笑みを浮かべる冥。
――そこからはもう、侃々諤々の嵐であった。
どうして止められなかったと巌が弾劾し、その方が面白いだろうと冥がのらりくらり避わし、解析されたデータの数々に利英が奇声を上げる。
誰も彼もが、憑依された当人である風葉をそっちのけにしていた。
さりとて風葉も、三人に構っている暇は無かった。
「……」
息を吸い、吐く。
それだけで、酸素と血液以外のものが身体中を駆け巡っているのが、風葉には感じ取れた。
力強く、しなやかに、ともすれば破裂しそうな凶暴さすら感じさせるもう一つの鼓動。
「これが、霊力」
これが、辰巳の行使していた力。
そして、Rフィールドとやらを破壊できる力でもある、筈だ。
「えーと」
男達の議論を無視し、風葉は室内を見回す。目的のものはすぐに見つかった。
今現在、日乃栄高校に展開したRフィールドを映し出している立体映像モニタ。
四角く切り取られた赤色をしばらく眺めた後、風葉は不意に笑う。
「要するに、あれを壊せばいいんですよね?」
瞬間、ぴたりと。
男達の罵詈雑言が、止まった。
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