魔法少女黄昏兎

アマミヤコウタ

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第一話:サイコキネシスとあの日の約束

日常②

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 すっかり散ってしまった桜並木を通って校舎に着くと、コンは「じゃあな」と呟いて早足で昇降口に入って行った。

 俺たちも、もう中学二年生。男子と女子が二人きりでつるんでると色々面倒なので、人の多いとこではコンが近寄ってくることはまずない。
 陽キャの噂にされるとずっとイジられる。それは鬱陶しいし、気まずくなって距離が出来る。そうやってただのクラスメイトに戻されてしまうのは困るので、俺も離れるコンを引き留めたりはしない。

 入れ代わりに、教室内で当然のように俺の机に集まっている二人の男子にカバンを下ろしながら挨拶をする。二人とも保育園来の幼馴染だ。

「トモル、マツジュ、はよー」

「よっ、キミツカ」

 俺の前の席に座って、片手を上げるのは石原 灯いしはら ともる。ふわふわした猫っ毛な髪と、目がくりっと大きいことからアイドルっぽさがある。

「まぁーた早苗と来たのかよ」

 俺の席に座ってからかい混じりにそう言うのは常盤 松寿ときわ まつじゅ。額の真ん中でM字に分かれた黒髪で、小さめな瞳。俺たち三人組の中で一番男前な顔をしている。

 ところで、俺がコンに友情以外の気持ちも持ってることを知っててそう言うということは、ケンカ売ってるとみて問題ないよな?

 売られた以上は買うしかあるまい。わざとらしくとぼけた声で言う。

「あれれぇ~?マツジュはぁ、彼女と来たんじゃねえのぉ?」

 すると、トモルもノッてきた。やはり持つべきものはノリの良い友。心の友はこれ見よがしにおばさんっぽく言う。

「あっらぁ~~~ダメよぉ、キミツカくぅん。マツジュくんは一昨日彼女と別れたって言ってたでしょぉ?」

 たった一週間の儚い関係だった。
 隣のクラスにいる今回の元カノは『マツジュの顔面に釣られて告白して、マツジュの陰気味の性格に勝手に幻滅して離れて行く』という女子の基本パターンを綺麗になぞって消えてったのだった。

「あっ、そうだったぁ!ごっめぇん!傷口に塩塗ったくっちゃったねぇ!」

 形だけゴメンをしつつ、最高の笑顔で言ってやった。ざまあみやがれ。俺とコンにそんな噂立てやがったらそれなりにやり返してやるからな。

「ふっざけんなブッ飛ばす!」

 立ち上がったマツジュからダッシュで逃げる。捕まったら関節キメられてしまう。こういう時だけやたらと素早いトモルの背中を追って走った。
 ――が、教室の前扉を通り抜けたところで、首に腕が回り込んできた。
 アッ、無理。

「あぁぁああぁあ!!ギブギブギブ、ごめんなさいってばァァァァ!!」

 流れるようにひざまずかされ、寝転がされ、処刑が始まる。
 遠い柱の陰から叫んでいるトモルが「キミツカァーーーー!!」と手を伸ばすので、俺も手を伸ばし返しながら「助けてくれぇーーーー!!」と叫ぶ。今回はエビ固めだった。

 窓際の席で空を見上げていたはずのコンの肩が小さく震えている。どっかのタイミングでこっちの様子をチラ見していたらしい。絶対笑ってんな、アレ。

 これが、俺の日常だ。
 なんてことない、普通の中学生の生活だ。
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