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気持ちいい魔法の杖から、私のことが大好きな竜が生まれました
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「んっ……やっぱりすきっ好き。……すごい……止まらなぃ」
ミュールは、ベッドの上で膝を立てて座り、腕の長さと同じの漆黒の杖の先端を自身の中心に何度も出し入れをしながら、駆け巡る快感に体を震わせていた。
体の中に溜まった熱のようなものが、自分の中心から溢れる液体と共に流れていくような、なんとも言えない満足感がある。自分の性欲の強さは自覚しているが、誰かに満たしてもらいたいと思ったことは無かった。
熱を持った薄桃色の瞳は空中を見つめ、腰まである金の髪が動くたびに、肌をふわりとなでる刺激にも声を漏らし続けていた。浅くなるたびに、杖の先端の大きな宝石を囲むように、螺旋状に埋められた小さな宝石が周囲を刺激して、ぐちゅっと再び奥に押し戻す手が早くなっていく。溢れでた液体がぬかるみを作り、柔らかくなった内側へ滑るように、先端の大きな宝石が奥へと進んでいく。
(奥きたぁ……つぶつぶがちょうどいい大きさで……あっあっ……! もうイクっ!)
目の奥が弾けるようなチカチカとした眩しさに包まれ、大きく息を吸い込み呼吸を止めた。杖の宝石を締め付けるように、自分の中が波打っているのが分かる。ゾワゾワとした快感が、腹の中心に戻っていく満足感で、ブルブルと体が震えている。
いつものように、大きく息を吐き出しながら快感の余韻が去るのを待ち、ゆっくりと自身に差し込んだ杖を引き抜いた。
「ンふっ……」
敏感な中を移動する宝石の感覚に、たまらず声が漏れる。そのままベッドに仰向けにたおれ込むと、手に持った杖を伝うようにポタポタと自分から出た液体が垂れていた。
「うわぁ……今日も盛大にびょしょびしょだわ」
達したばかりの震える腰を引きずりながら、ベッドの下に溜めていた水で杖を洗う。先端まで石鹸で丁寧に擦り、部屋の中で一番新しいフワフワのタオルで水を吹き上げ、手の中でクルクルと回しながら乾いたことを確認する。
「今日も気持ち良くしてくれてありがとう。ぐっすり眠れそう」
光沢のある上質な布が敷き詰められた杖用の保管箱にそっと入れ、蓋を開けたまま月明かりが当たる窓辺に置いた。漆黒の杖が一瞬赤く光を帯び、すぐに黒色に戻る。魔力を帯びた物は月明かりに照らすと失った魔力を溜める事ができる。ミュールには感じられないが、この杖も、少しづつ魔力を回復しているのかもしれない。
「魔力が回復しても、私じゃ使えないから、これからも私の慰め道具なんだけどね」
そっと杖の装飾を撫で、再びベッドに入り、スッキリとした体でベッドに横たわる。眠れない夜に杖を使って自分で慰めるようになってから、体の熱は発散され、心も体も満たされるような安心感に包まれると知り、今ではぐっすりと眠れるようになっていた。
今日も、すぐにやってきた心地よい眠気に、スッと落ちるように意識を手放した。
ミュールは、王都の外れの小さな建物の二階に一人で住んでいる。一階はパン屋<陽だまりの穀房>を営んでおり、朝早くから美味しそうな匂いが充満し、外に漏れているその匂いにつられてパンを買いにくる客で賑わっていた。毎朝、その客達の声を目覚ましがわりにして起きることが多かった。
世間知らずの若い女性一人では、家を借りることもできなかったミュールに、ちょっと朝はうるさいけど、それでも良ければ貸してあげるよと言ってくれた、優しいパン屋のご夫婦にミュールは大きな感謝をしている。
高齢になり、毎日の二階への登り降りが辛くなったご夫婦が店の隣の家に引っ越しをしたばかりだったことは、ミュールの人生で一番の幸運だった。それから、パン屋の二階が、ミュールにとって、一番安心できる場所になっていた。誰にも邪魔されることのない、ミュールだけの特別な場所だ。
「……ろ。……ュール」
ふと、誰かの呼ぶ声で目が覚めた。
朝一番のパン屋の常連客の声だろうかと、眠たい目をうすく開けるが、窓にはまだ月明かりが注がれている。
「ミュール。こっちだよ」
突然、真横から声がした。
驚いてベッドから飛び上がると、褐色の肌に、何も身につけていない青年がミュールのベッドの半分以上を占拠している。細身だが、少し幼さの残る美しい顔立ちからは想像できないほど鍛えられた筋肉をしている。
ミュールを見つめる瞳は、黄金に赤みが混じった色をしていて、暗い部屋の中でも輝いて見える。年齢は、二十歳にならないくらいだろうか、二十二歳のミュールより、少し年下に見えた。
「だっ……だれ?!」
慌ててベッドから降りようとしたミュールがバランスを崩して床に落ちそうになるのを、固い男の腕が体ごとベッドに引き戻した。
「いやっ……離して……いやっ!」
「暴れないで。また落ちるよ」
「誰かっ!」
叫ぼうとしたミュールの口を、男の手が塞いだ。
「やっ……!」
「噛んじゃだめ。歯が折れちゃうよ」
恐怖から、思いきり噛みついたミュールの口を男の指がこじ開ける。
(すごい力……! 思いきり噛んでるのに指だけで押し戻されちゃう!)
「ふぁんでっ……」
「可愛らしい口だね」
「なっ……」
男の指がミュールの舌を撫でる。閉じようとしても、指だけで抑えられているはずなのに閉じることはできなかった。
上顎を撫でられ、溢れた唾液が開いたままの口元から垂れる。
「いつも丁寧に拭いてくれていたからね。お礼しなきゃだね」
口の端に男の舌が押し付けられ、温かい感触が、顎を伝い首へ降りていく。
「……あまい」
ボソリと驚いたように呟いた男が、瞳を細めた。
「うわぁ。そっか、これは夢中になっちゃうよね」
ニッコリと笑い、嬉しそうにミュールを抱きしめた。あまり熱を感じない肌に恐怖と違和感を覚える。
「ミュールの中はすごく温かった。僕よりも体温が高いんだろうね」
「な……か……?」
「そうだよ、ミュールが温めてくれたから僕はこうして出てくる事ができたんだ」
舌を撫でていた指が、口から抜かれ、寝る前に自分で慰めたばかりの中心に当てられる。すぐに、グチュっと音をたてて、指が中に押し込まれた。杖の異物感に慣れているそこは、指を抵抗なく受け入れてしまった。
「んぁっ……やめてっ……!」
「そう、ここでいつも杖僕を温めてくれたでしょ」
「なにを……?」
男の長い指が杖の装飾がいつも刺激する場所を撫でる。思い出したように一気に快感が背中を駆け上がり、再びぬかるみを作り始めた。
「ひぁっ……ンッ……!」
「僕の名前はカラム。やっと言えた。ミュールいつも温めてくれてありがとう。魔力を回復させてくれてありがとう。これからは、僕がミュールを気持ちよく寝させてあげるから安心してね」
嬉しそうに、微笑んだカラムが、ミュールの唇を塞いだ。同時に、二本に増やされた指が、ぬかるんだミュールの中でグジュグジュと音を立てて動き回る。
「んっ……んっ……んぁっ!」
ミュールの戸惑いの声はカラムに飲み込まれ、溢れた唾液と共に消えていく。口の中も、体の中心も同時に掻き回され、ミュールは再び、目の前が白くチカチカしていく感覚に包まれていた。
こんな得体の知れない男に好きなようにされるのは、絶対にダメだと分かっているが、自分の体を知り尽くされたような、的確な刺激と、一人で慰めている時のような安心感が体を回り、うまく考えることができなくなっていた。
「なんでこんなに、気持ちいいの……」
悔しさなのか、恐怖なのか、気持ちよさなのか、自分でも分からない感情に、涙が溢れる。
「泣いちゃうの? 舐めてい? 涙も甘そう」
「……いやぁ!」
チュっと音を立ててから、カラムが塞いでいた唇を離した。赤金色に光る瞳を見開き、嬉しそうに涙に舌をのばそうとしている。
涙に触れられる前に、ドンっとカラムの体を押して、精一杯腕を伸ばした。最初にベッドに戻された時とは異なり、カラムの体は力を入れなくても離れていく。
そのままベッドの下に転がったカラムが、何も無かったように、ミュールの液体で濡れた指にペロリと舌をのばした。
「あー。こっちも甘い。最初からこっちにしたら良かったかな」
ベッドの下からミュールを愛おしそうに見上げて、ふふっと笑っている。理解がおいつかない状況に、ミュールはボロボロと溢れる涙が止まらなくなった。
「もう嫌っ! 怖い……だれか……助けてっ……」
「わぁ! 泣かないでっ! 僕が悪い? 僕が悪いね」
声をあげて泣き出したミュールに手を伸ばしかけ、そのまま拳を握りしめたカラムが、布団のシーツで、グイグイとミュールの顔を拭いた。
「お願い。泣かないで。僕は、本当に君に会えて嬉しくて……悲しませたり、驚かせたりしたい訳じゃないんだ。できれば喜んで欲しいし、安心させてあげたいってずっと思ってて……」
「だから、その『ずっと』が怖いのよっ! なんで、私のこと知っているの? 私の事ずっと監視してたって事なの?!」
「いや、それは、さっきも言った通りなんだけど……」
カラムが、周りをキョロキョロ見渡し、バタバタと窓辺に走り寄ると、月明かりに照らされるように置いてある箱から杖を掴み取った。
「ダメっそれは! 私の!」
「そうだよ。ミュールの杖だよ。そして、これが僕だ」
「……え?」
「だから、コレが僕だよ!」
カラムが杖の先端の大きな宝石を指差す。そこには、ヒビが入り、一部が欠けた漆黒の宝石があった。
「か……欠けてる……」
「僕が生まれたからね」
「生まれた?」
「そうだよ。ミュールが体内で温めて、月の光を浴びさせて魔力を貯めてくれたから、僕は出てくる事ができたんだ」
「体内で温めてって……」
ミュールは、ニコニコと見つめてくるカラムを見つめる。漆黒の髪に、赤黄金の瞳をもち、褐色の肌の青年と、杖の先にあるひび割れた黒色の宝石を見比べる。そして、その黒い宝石をナニに使っていたのかを、思い浮かべて――声にならない声をあげた。
「――ぁぁああえ? うそ。嘘だと言って。まさか、そのその杖……だって、私、杖を杖として使えないしって、今はそれどころじゃなくて……」
「そうだね、杖をあんなふうに使う魔力持ちはそういないだろうね」
「やめて! 言葉にしないで!」
「でも、だから僕の入ってた卵・は温めてもらう事ができたんだから、使い方はどうであれ、感謝してるよ」
「たまご?」
「そうだよ。この大きな丸い石は魔石じゃないよ。僕が入っていた卵だ」
「……もう、理解ができない。……黙って聞いてるからどうぞ、続けて」
「なんか、投げやりだなぁ。でも、もうそんなに説明する事ないよ。僕たちは温められることで育ち、月の光を浴びる事で魔力を貯めて、殻を壊す力を手に入れる。ミュールの体内で温められて、月の光を浴びて魔力を貯めて、やっと殻を割ることができたから出てきたってだけ」
「肝心のあなたが何者かって話が何もないわ」
「僕は、竜だよ」
「……竜」
「ほら、この国の国旗に黒竜と白竜の模様があるでしょ? それが僕」
「建国時の戦争で、聖女様を助けたって話の?」
「まぁ、それは、白竜なんだけどね」
「へぇ……」
「あれ? 多分一番、驚くところだと思んだけど」
「人間、驚きすぎると言葉を忘れるものなのね」
「へぇー。それって竜でも一緒なのかな?」
うーんと唸り出したカラムが首を捻る。その様子を何も考えられなくなった頭のまま、じっと見つめる。いったい、何から驚いたら良いのか、さっぱり分からなかった。
「で、僕が出てきたからミュールの大事な杖はもう使えないでしょ? だから、代わりに僕がこれからミュールを気持ち良く寝させてあげるから安心してね」
「なっなっなっ……何を言っているの?」
「だって、ミュールはいつも言っていたじゃないか。『気持ち良くしてくれてありがとう。よく眠れるわ』って。あれ、地味に嬉しいんだよねー」
カラムが頬を染めて、照れたように笑い、だから――と言葉をつづける。
「これからは、眠れない夜は僕が満足するまで抱いてあげるから遠慮なく気持ちよくなってね」
にこやかに放たれたカラムの言葉に、ミュールの頭は限界を超えてしまった。そのまま、パタリとベッドに倒れ込み、白んで行く視界を受け入れる。遠くの方でカラムの声が聞こえているのをどうか夢であって欲しいと願った。
ミュールは、ベッドの上で膝を立てて座り、腕の長さと同じの漆黒の杖の先端を自身の中心に何度も出し入れをしながら、駆け巡る快感に体を震わせていた。
体の中に溜まった熱のようなものが、自分の中心から溢れる液体と共に流れていくような、なんとも言えない満足感がある。自分の性欲の強さは自覚しているが、誰かに満たしてもらいたいと思ったことは無かった。
熱を持った薄桃色の瞳は空中を見つめ、腰まである金の髪が動くたびに、肌をふわりとなでる刺激にも声を漏らし続けていた。浅くなるたびに、杖の先端の大きな宝石を囲むように、螺旋状に埋められた小さな宝石が周囲を刺激して、ぐちゅっと再び奥に押し戻す手が早くなっていく。溢れでた液体がぬかるみを作り、柔らかくなった内側へ滑るように、先端の大きな宝石が奥へと進んでいく。
(奥きたぁ……つぶつぶがちょうどいい大きさで……あっあっ……! もうイクっ!)
目の奥が弾けるようなチカチカとした眩しさに包まれ、大きく息を吸い込み呼吸を止めた。杖の宝石を締め付けるように、自分の中が波打っているのが分かる。ゾワゾワとした快感が、腹の中心に戻っていく満足感で、ブルブルと体が震えている。
いつものように、大きく息を吐き出しながら快感の余韻が去るのを待ち、ゆっくりと自身に差し込んだ杖を引き抜いた。
「ンふっ……」
敏感な中を移動する宝石の感覚に、たまらず声が漏れる。そのままベッドに仰向けにたおれ込むと、手に持った杖を伝うようにポタポタと自分から出た液体が垂れていた。
「うわぁ……今日も盛大にびょしょびしょだわ」
達したばかりの震える腰を引きずりながら、ベッドの下に溜めていた水で杖を洗う。先端まで石鹸で丁寧に擦り、部屋の中で一番新しいフワフワのタオルで水を吹き上げ、手の中でクルクルと回しながら乾いたことを確認する。
「今日も気持ち良くしてくれてありがとう。ぐっすり眠れそう」
光沢のある上質な布が敷き詰められた杖用の保管箱にそっと入れ、蓋を開けたまま月明かりが当たる窓辺に置いた。漆黒の杖が一瞬赤く光を帯び、すぐに黒色に戻る。魔力を帯びた物は月明かりに照らすと失った魔力を溜める事ができる。ミュールには感じられないが、この杖も、少しづつ魔力を回復しているのかもしれない。
「魔力が回復しても、私じゃ使えないから、これからも私の慰め道具なんだけどね」
そっと杖の装飾を撫で、再びベッドに入り、スッキリとした体でベッドに横たわる。眠れない夜に杖を使って自分で慰めるようになってから、体の熱は発散され、心も体も満たされるような安心感に包まれると知り、今ではぐっすりと眠れるようになっていた。
今日も、すぐにやってきた心地よい眠気に、スッと落ちるように意識を手放した。
ミュールは、王都の外れの小さな建物の二階に一人で住んでいる。一階はパン屋<陽だまりの穀房>を営んでおり、朝早くから美味しそうな匂いが充満し、外に漏れているその匂いにつられてパンを買いにくる客で賑わっていた。毎朝、その客達の声を目覚ましがわりにして起きることが多かった。
世間知らずの若い女性一人では、家を借りることもできなかったミュールに、ちょっと朝はうるさいけど、それでも良ければ貸してあげるよと言ってくれた、優しいパン屋のご夫婦にミュールは大きな感謝をしている。
高齢になり、毎日の二階への登り降りが辛くなったご夫婦が店の隣の家に引っ越しをしたばかりだったことは、ミュールの人生で一番の幸運だった。それから、パン屋の二階が、ミュールにとって、一番安心できる場所になっていた。誰にも邪魔されることのない、ミュールだけの特別な場所だ。
「……ろ。……ュール」
ふと、誰かの呼ぶ声で目が覚めた。
朝一番のパン屋の常連客の声だろうかと、眠たい目をうすく開けるが、窓にはまだ月明かりが注がれている。
「ミュール。こっちだよ」
突然、真横から声がした。
驚いてベッドから飛び上がると、褐色の肌に、何も身につけていない青年がミュールのベッドの半分以上を占拠している。細身だが、少し幼さの残る美しい顔立ちからは想像できないほど鍛えられた筋肉をしている。
ミュールを見つめる瞳は、黄金に赤みが混じった色をしていて、暗い部屋の中でも輝いて見える。年齢は、二十歳にならないくらいだろうか、二十二歳のミュールより、少し年下に見えた。
「だっ……だれ?!」
慌ててベッドから降りようとしたミュールがバランスを崩して床に落ちそうになるのを、固い男の腕が体ごとベッドに引き戻した。
「いやっ……離して……いやっ!」
「暴れないで。また落ちるよ」
「誰かっ!」
叫ぼうとしたミュールの口を、男の手が塞いだ。
「やっ……!」
「噛んじゃだめ。歯が折れちゃうよ」
恐怖から、思いきり噛みついたミュールの口を男の指がこじ開ける。
(すごい力……! 思いきり噛んでるのに指だけで押し戻されちゃう!)
「ふぁんでっ……」
「可愛らしい口だね」
「なっ……」
男の指がミュールの舌を撫でる。閉じようとしても、指だけで抑えられているはずなのに閉じることはできなかった。
上顎を撫でられ、溢れた唾液が開いたままの口元から垂れる。
「いつも丁寧に拭いてくれていたからね。お礼しなきゃだね」
口の端に男の舌が押し付けられ、温かい感触が、顎を伝い首へ降りていく。
「……あまい」
ボソリと驚いたように呟いた男が、瞳を細めた。
「うわぁ。そっか、これは夢中になっちゃうよね」
ニッコリと笑い、嬉しそうにミュールを抱きしめた。あまり熱を感じない肌に恐怖と違和感を覚える。
「ミュールの中はすごく温かった。僕よりも体温が高いんだろうね」
「な……か……?」
「そうだよ、ミュールが温めてくれたから僕はこうして出てくる事ができたんだ」
舌を撫でていた指が、口から抜かれ、寝る前に自分で慰めたばかりの中心に当てられる。すぐに、グチュっと音をたてて、指が中に押し込まれた。杖の異物感に慣れているそこは、指を抵抗なく受け入れてしまった。
「んぁっ……やめてっ……!」
「そう、ここでいつも杖僕を温めてくれたでしょ」
「なにを……?」
男の長い指が杖の装飾がいつも刺激する場所を撫でる。思い出したように一気に快感が背中を駆け上がり、再びぬかるみを作り始めた。
「ひぁっ……ンッ……!」
「僕の名前はカラム。やっと言えた。ミュールいつも温めてくれてありがとう。魔力を回復させてくれてありがとう。これからは、僕がミュールを気持ちよく寝させてあげるから安心してね」
嬉しそうに、微笑んだカラムが、ミュールの唇を塞いだ。同時に、二本に増やされた指が、ぬかるんだミュールの中でグジュグジュと音を立てて動き回る。
「んっ……んっ……んぁっ!」
ミュールの戸惑いの声はカラムに飲み込まれ、溢れた唾液と共に消えていく。口の中も、体の中心も同時に掻き回され、ミュールは再び、目の前が白くチカチカしていく感覚に包まれていた。
こんな得体の知れない男に好きなようにされるのは、絶対にダメだと分かっているが、自分の体を知り尽くされたような、的確な刺激と、一人で慰めている時のような安心感が体を回り、うまく考えることができなくなっていた。
「なんでこんなに、気持ちいいの……」
悔しさなのか、恐怖なのか、気持ちよさなのか、自分でも分からない感情に、涙が溢れる。
「泣いちゃうの? 舐めてい? 涙も甘そう」
「……いやぁ!」
チュっと音を立ててから、カラムが塞いでいた唇を離した。赤金色に光る瞳を見開き、嬉しそうに涙に舌をのばそうとしている。
涙に触れられる前に、ドンっとカラムの体を押して、精一杯腕を伸ばした。最初にベッドに戻された時とは異なり、カラムの体は力を入れなくても離れていく。
そのままベッドの下に転がったカラムが、何も無かったように、ミュールの液体で濡れた指にペロリと舌をのばした。
「あー。こっちも甘い。最初からこっちにしたら良かったかな」
ベッドの下からミュールを愛おしそうに見上げて、ふふっと笑っている。理解がおいつかない状況に、ミュールはボロボロと溢れる涙が止まらなくなった。
「もう嫌っ! 怖い……だれか……助けてっ……」
「わぁ! 泣かないでっ! 僕が悪い? 僕が悪いね」
声をあげて泣き出したミュールに手を伸ばしかけ、そのまま拳を握りしめたカラムが、布団のシーツで、グイグイとミュールの顔を拭いた。
「お願い。泣かないで。僕は、本当に君に会えて嬉しくて……悲しませたり、驚かせたりしたい訳じゃないんだ。できれば喜んで欲しいし、安心させてあげたいってずっと思ってて……」
「だから、その『ずっと』が怖いのよっ! なんで、私のこと知っているの? 私の事ずっと監視してたって事なの?!」
「いや、それは、さっきも言った通りなんだけど……」
カラムが、周りをキョロキョロ見渡し、バタバタと窓辺に走り寄ると、月明かりに照らされるように置いてある箱から杖を掴み取った。
「ダメっそれは! 私の!」
「そうだよ。ミュールの杖だよ。そして、これが僕だ」
「……え?」
「だから、コレが僕だよ!」
カラムが杖の先端の大きな宝石を指差す。そこには、ヒビが入り、一部が欠けた漆黒の宝石があった。
「か……欠けてる……」
「僕が生まれたからね」
「生まれた?」
「そうだよ。ミュールが体内で温めて、月の光を浴びさせて魔力を貯めてくれたから、僕は出てくる事ができたんだ」
「体内で温めてって……」
ミュールは、ニコニコと見つめてくるカラムを見つめる。漆黒の髪に、赤黄金の瞳をもち、褐色の肌の青年と、杖の先にあるひび割れた黒色の宝石を見比べる。そして、その黒い宝石をナニに使っていたのかを、思い浮かべて――声にならない声をあげた。
「――ぁぁああえ? うそ。嘘だと言って。まさか、そのその杖……だって、私、杖を杖として使えないしって、今はそれどころじゃなくて……」
「そうだね、杖をあんなふうに使う魔力持ちはそういないだろうね」
「やめて! 言葉にしないで!」
「でも、だから僕の入ってた卵・は温めてもらう事ができたんだから、使い方はどうであれ、感謝してるよ」
「たまご?」
「そうだよ。この大きな丸い石は魔石じゃないよ。僕が入っていた卵だ」
「……もう、理解ができない。……黙って聞いてるからどうぞ、続けて」
「なんか、投げやりだなぁ。でも、もうそんなに説明する事ないよ。僕たちは温められることで育ち、月の光を浴びる事で魔力を貯めて、殻を壊す力を手に入れる。ミュールの体内で温められて、月の光を浴びて魔力を貯めて、やっと殻を割ることができたから出てきたってだけ」
「肝心のあなたが何者かって話が何もないわ」
「僕は、竜だよ」
「……竜」
「ほら、この国の国旗に黒竜と白竜の模様があるでしょ? それが僕」
「建国時の戦争で、聖女様を助けたって話の?」
「まぁ、それは、白竜なんだけどね」
「へぇ……」
「あれ? 多分一番、驚くところだと思んだけど」
「人間、驚きすぎると言葉を忘れるものなのね」
「へぇー。それって竜でも一緒なのかな?」
うーんと唸り出したカラムが首を捻る。その様子を何も考えられなくなった頭のまま、じっと見つめる。いったい、何から驚いたら良いのか、さっぱり分からなかった。
「で、僕が出てきたからミュールの大事な杖はもう使えないでしょ? だから、代わりに僕がこれからミュールを気持ち良く寝させてあげるから安心してね」
「なっなっなっ……何を言っているの?」
「だって、ミュールはいつも言っていたじゃないか。『気持ち良くしてくれてありがとう。よく眠れるわ』って。あれ、地味に嬉しいんだよねー」
カラムが頬を染めて、照れたように笑い、だから――と言葉をつづける。
「これからは、眠れない夜は僕が満足するまで抱いてあげるから遠慮なく気持ちよくなってね」
にこやかに放たれたカラムの言葉に、ミュールの頭は限界を超えてしまった。そのまま、パタリとベッドに倒れ込み、白んで行く視界を受け入れる。遠くの方でカラムの声が聞こえているのをどうか夢であって欲しいと願った。
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