【R18】【短編集】気持ちいい魔法の杖から、私のことが大好きな竜が生まれました【タイトルは最新作名】

ToRa

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宵の約束は化かしあい

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「そうだよ。宵乃。お詫びの品を持ってきた。遅くなってごめんね」
「………………~~~っ! 遅いのじゃ!!」
「うん。本当にごめん」
「どうせ! 妾の事なんてすぐに忘れたのであろう! 妾はあの日からずっと……ずっとリュカがりんご飴とみたらし団子を持ってくるのを待っていたのじゃ!!」
「ごめん……。宵乃……すまない」

 勢いをつけて胸に飛びこんだ宵乃の体を、荷物を抱えたまま、あっさりと受け止められた。
 尻餅でもついたらいいと思っていたのに、反対に強く抱きしめられて、宵乃の方が身動きが取れなくなった。だが、体は動かなくても、言いたい事が溢れて口は止まらない。

「しかも! こんなにデカくなって! 見た目では全く分からないじゃないか! 妾が気づかなかったらどうするつもりだったのじゃ!」
「宵乃は全く変わらないね。いや? 小さくなったか?」
「お主がデカくなったのじゃ!!」
「あの時は、私の方が見上げていたのにな」
「そうじゃ! 可愛いらしかったリュカはどこじゃ! こんなに大男になりおって!」
「宵乃好みの逞しいオスになれた?」
「……なにをいっている?」
「私もずっと、心に引っかかっていたんだ。宵乃との約束が果たせなかった事を」
「~~~っ! だったら、なぜ、別の日にでもこなかったのじゃ! 妾は……妾はずっと待っていたのじゃ!!」

 絶対に忘れられていると思っていた宵乃は、リュカのスーツを掴み握り込む。ずっと、溜め続けていた不満を一気にぶつける。

「うん。……ごめん。ただ、少しだけ言い訳させてくれるかい?」

 宵乃の瞳から溢れた涙に口付けて、リュカが困ったような顔で頬を寄せてくる。仕方なく、小さく頷くと、今度は耳にキスをされた。

「あの頃は……心臓が弱くてね。君と別れた次の日から手術のための入院が決まっていたんだ」
「……心臓。そんな事お主一言も……」
「幼かったからね、手術が怖くて怖くて仕方がなかった。ここで泣いていたのもそれが理由。手術をしたら、そのまま死んでしまうんじゃないかと思っていたんだ」

 一瞬だけ、震えたリュカの体に、自分の体がピクリと反応する。

「だから、あの約束があれば、私が死んでも、君が私の事をずっと覚えていてくれるんじゃないかと思っていた」

 宵乃の耳に、再び口付けするように、囁いた。

「自分勝手な子供でごめん」

 宵乃を抱きしめる腕が更に強くなる。

「やはり、妾は、まんまと子供にしてやられたわけだ」
「退院したら会いに行きたいと思っていたんだ。手術が終わって目が覚めて、リハビリが始まって、やっと退院できたと思ったら、母国に帰ることになってしまって、この国に来る事ができたのが今日だった」

 何も言わない宵乃の顔を伺うように、リュカが覗きみる。叱られた子供のようなその表情に、二十年前のリュカを見た。

「……あの日の約束を守って。あの日から、妾はお主との約束に縛られてどこにも行く事ができない」
「ああ、みたらし団子も、りんご飴も、たくさん持ってきたんだ。一緒に食べよう」

 いつの間にか、祭りは終わり、あたりの提灯の灯りは消えている。真っ暗な中、階段の両端に灯る青白い炎が二人を照らしていた。

 包みを開けて、手渡されたりんご飴に舌を伸ばす。口の中に広がった甘みに、涙が溢れた。

「甘い。こんなに甘くて美味い食べ物、初めてじゃ」
「いっぱいあるから、すきなだけ食べて」

 そういいながら、風呂敷を広げる。

「まだ、ネズミはいらんぞ」
「ははっ! そういえば、そうだったね。あの時、私なりにどうやったら食べられずにすむか考えていたなぁ」
「風呂敷に包まれたネズミをみたのは初めてだったのじゃ」
「これは、ちゃんとみたらし団子だから。ほら、こっちも食べて?」

 目の前に差し出された団子に、かぶりつく。あまじょっぱいタレと、焦げ目のついた団子が最高に合っている。

「あー……これで、狐に戻っても、戻らず消えても、悔いはないの」
「宵乃?」
「もう、耳も尻尾も隠す妖力もない。人間の雄から生力を奪いとるためには人里におりねばならぬのだが、この姿では難しいからな」
「好物は逞しい人間のオスって本当だったのか」
「妾は美しいだろ? 人間のオスなんて食い放題だったのじゃ!」
「そうか……」
「なんだ? 妾は化狐だぞ。人の雄の生気で生きている。もう童じゃないのだから、意味くらいわかるじゃろ」
「じゃあ、私を食えばいい」
「……はぁ?」
「狐耳も尻尾もそのままでいい。お詫びの追加に私の生気を足す。二十年分の利子ってやつだ」
「なっ! 何を言っておるんじゃ! お主からなんて奪えるわけないだろ!」
「なぜだ。お前の好みに合わせて逞しいと言われる体を作ってきたんだ。お前が食わないなら誰が食うんだ」
 
 パクパクと口を閉じたり開いたりしている、宵乃の唇をリュカがそっと塞いだ。

「どうやって、生気を奪うんだ?」
「いやじゃっ! リュカからは奪わない」
「どうして」
「お主、病気なのだろ? 生力なんて奪ったら……」
「大丈夫。もう普通に暮らせるよ。心配いらない」
「いやじゃ!」

 イヤイヤと首をふる、宵乃を押さえて、リュカが唇を塞いだ。

「腹が空いてたら、そのうち我慢できなくなるだろ? 襲うから、我慢できなくなったら奪ったらいい」

 言い終わらないうちに、着物の帯をほどき、露わになる肌に唇をよせてくる。

「今までどんな男が宵乃に触れた? 私よりもいい男だったか?」
「んっ! んっぁっ! リュカやめるのじゃ」

 生気を欲している体は、すぐに目の前の人間から奪い取ろうと、体の中心を湿らせていく。

 ぷくっと膨れた桜色の頂がリュカの舌によって舐められ、潰されて、時々軽く噛まれる快感に体が震えた。

「んっあ! あぁんっ!」
「いい声だね。早く……我慢できなくなって」

 時々、強く肌に吸い付き、赤色の痕を残していく。

 首筋から、胸へ、腹へ、そして、足の付け根へとどんどんと唇は下がっていく。

「宵乃……宵乃……っ! 私の事を待ってたんだろ? 私ももう一度、宵乃に会う事だけが生きる意味だったんだ。奪って。奪って生きてくれ」

 じゅるっと、すでに滴る液体に溢れた宵乃の陰部に、リュカの舌が這う。
 剥き出しの、愛芽をじゅるじゅると吸われると、体の奥から、溢れるような快感が湧き上がる。

 妖力が枯渇している体は、目の前の生力溢れる若者から精液を注ぎ込まれる事を欲している。
 今すぐに、自分から「注いで」とお願いしてしまいそになる。
 欲しがる体と、リュカから奪いたくない理性がぶつかり合って壊れてしまいそうだった。

(奪えばいいじゃないか。妾は化狐だぞ。人から生力を奪うものだ。どうしてこんなにためらう)

 リュカの愛撫に翻弄されながら、自問自答をする。

 リュカに会えた事が嬉しかった。自分を忘れていなかった事が嬉しかった。それを知れて、消えてもいいと思えるくらい満足してしてしまった。

――ちがう

 もう、置いていかれたくないのだ。いつ来るかも分からないリュカを待つのは怖かった。また果たされない約束に縋るのが怖かった。

――一人になるのが怖かった


 蜜が溢れる中に、舌が差し込まれる。今までとは違う刺激に、全身がブルブルと震えた。

 これまで感じた事が無いような快感に涙が溢れた。体が、リュカを覚えてしまう。リュカと触れ合った記憶が残ってしまう。優しく触れるリュカの指先を求めてしまう。

「お願いじゃ……。もう、一人でお主を待つ時間が怖いのじゃ。妾を終わらせてくれ……」

 顔を背けて、涙を流した宵乃の体を、リュカがしっかりと抱きしめる。

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