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見習いな少女と師匠な男
樹海での修行結果
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樹海に住む男のジームに師事を受けることになった落ちこぼれのリュイナ。この二人の出会いから半年ほど経っていた。
リュイナは地獄の修行によって、ギルドの同期や実家のことなどすっかり頭から消えていた。それだけならまだしも、野生の本能に目覚め、ジームと出会った時の、あのゲッソリした感じなど微塵も感じさせないほど、人間を忘れた獣になっていた。
「うーん。コイツにこれほどの獣の才能があったとは……。とはいえ、人の言葉を話せなくなるのも問題か。ほらいつまでやってんの。いい加減に元に戻れ!」
「グォォン! ……ハッ! ここは……私は何を」
「喋るのは問題無しと」
「あっ師匠! 私今まで何を……」
「修行だよ。もうすでに半年経過してる。修行はとっくに終わったよ」
「えっ? あ! 思い出しました! 修行で気を失って、それから何か闘争本能的な何かが抑えれなくなって……」
「今まで行動が獣そのものになってた。生きた狐を補食する人間がどこにいるんだ」
「師匠、以前トカゲ補食してませんでした?」
この二人の言う狐やトカゲとは、モンスターの事を指す。野生動物が竜の血に反応すると、突然変異を起こしてモンスターとなり、巨大化する。狐は獣性が強く、モンスターになると狂暴で、ギルドも手が付けられないほどの災厄となる。トカゲはそもそも竜にもっとも近い存在のため、種によっては竜そのものになる。
今回、リュイナが補食した狐は実際のところギルドの災厄対象とされていた。ジームが補食したトカゲは黒龍という竜の上位種の龍の階級ではかなり高い地位に存在する種で、街では相当騒がれたらしい。この二人は街に関わって無かったので、そんな情報など知るよしも無い。二人ともモンスターについて知ってはいそうだが、野生の中で生きるのには何でも喰ってしまわなければならないという本能が、補食という行為に至らせたのだ。そもそも普通の人間の出せる力なら倒せないので、よほどの極限状態にいた二人には脳のセーブが効かなかったのだろう。
「ところで半年経過ですか……。今街に戻ると……」
「まぁ死人認定されてるだろうなぁ……。でもいんじゃね?お前なら別人としてソロとしてもやっていけるさ」
「そうですかねぇ。でもそうですね…一回街に戻るとします。しばらく滞在したらまた来ます」
「おう。そうしろそうしろ。あと、これ持ってけ」
リュイナが受け取ったそれは、片方ずつ別色の双剣だった。左が赤、右が青。
「鬼竜の剣。左は鬼竜紅、右は鬼竜空お前自分の双剣叩き壊したからな。新しいの作ったんだ。まぁ次の武器までの繋ぎとして使ってくれや」
「し、師匠! ありがとうございます! 行ってきます!」
リュイナは双剣を腰にぶら下げて走っていった。その速度は人間のそれではないことは、言うまでも無い。
「行ってきます、か。アイツの帰る場所がここになりつつあるな……」
樹海で野生の一部として孤独に生きていたジームは、ここに帰ってくる奴がいることが、不思議に思えた。特にリュイナには、かつて自分のせいで死なせた恋人が重なって見えたのだからもっと不思議だった。
さて、ここにジームが課した修行を記す。
まず飯は自給自足。モンスターでも何でも食えば生き残れるがジームの方針だった。続いて戦闘。これに関しては好きにしろと言ったのだが、途中で覚醒したリュイナは自分の武器をぶっ壊して素手でモンスターに襲いかかり、噛みつく攻撃で補食していた。力が強くなると、体術を駆使するようになり、より効率的に補食するようになった。日々のトレーニングは腕立て伏せ100×10、腹筋運動(木の枝に足を引っかけてぶら下がった状態から開始)200×10、スクワット100×20、背筋100×10。これを毎日。終えた後のリュイナは必ず失神した。最近は失神はしなくなった。
以上を半年も毎日やって、毎日死の淵にいたので、リュイナはたった半年でギルド最強の実力を持つようになった。その自覚は当人にはない。
リュイナは地獄の修行によって、ギルドの同期や実家のことなどすっかり頭から消えていた。それだけならまだしも、野生の本能に目覚め、ジームと出会った時の、あのゲッソリした感じなど微塵も感じさせないほど、人間を忘れた獣になっていた。
「うーん。コイツにこれほどの獣の才能があったとは……。とはいえ、人の言葉を話せなくなるのも問題か。ほらいつまでやってんの。いい加減に元に戻れ!」
「グォォン! ……ハッ! ここは……私は何を」
「喋るのは問題無しと」
「あっ師匠! 私今まで何を……」
「修行だよ。もうすでに半年経過してる。修行はとっくに終わったよ」
「えっ? あ! 思い出しました! 修行で気を失って、それから何か闘争本能的な何かが抑えれなくなって……」
「今まで行動が獣そのものになってた。生きた狐を補食する人間がどこにいるんだ」
「師匠、以前トカゲ補食してませんでした?」
この二人の言う狐やトカゲとは、モンスターの事を指す。野生動物が竜の血に反応すると、突然変異を起こしてモンスターとなり、巨大化する。狐は獣性が強く、モンスターになると狂暴で、ギルドも手が付けられないほどの災厄となる。トカゲはそもそも竜にもっとも近い存在のため、種によっては竜そのものになる。
今回、リュイナが補食した狐は実際のところギルドの災厄対象とされていた。ジームが補食したトカゲは黒龍という竜の上位種の龍の階級ではかなり高い地位に存在する種で、街では相当騒がれたらしい。この二人は街に関わって無かったので、そんな情報など知るよしも無い。二人ともモンスターについて知ってはいそうだが、野生の中で生きるのには何でも喰ってしまわなければならないという本能が、補食という行為に至らせたのだ。そもそも普通の人間の出せる力なら倒せないので、よほどの極限状態にいた二人には脳のセーブが効かなかったのだろう。
「ところで半年経過ですか……。今街に戻ると……」
「まぁ死人認定されてるだろうなぁ……。でもいんじゃね?お前なら別人としてソロとしてもやっていけるさ」
「そうですかねぇ。でもそうですね…一回街に戻るとします。しばらく滞在したらまた来ます」
「おう。そうしろそうしろ。あと、これ持ってけ」
リュイナが受け取ったそれは、片方ずつ別色の双剣だった。左が赤、右が青。
「鬼竜の剣。左は鬼竜紅、右は鬼竜空お前自分の双剣叩き壊したからな。新しいの作ったんだ。まぁ次の武器までの繋ぎとして使ってくれや」
「し、師匠! ありがとうございます! 行ってきます!」
リュイナは双剣を腰にぶら下げて走っていった。その速度は人間のそれではないことは、言うまでも無い。
「行ってきます、か。アイツの帰る場所がここになりつつあるな……」
樹海で野生の一部として孤独に生きていたジームは、ここに帰ってくる奴がいることが、不思議に思えた。特にリュイナには、かつて自分のせいで死なせた恋人が重なって見えたのだからもっと不思議だった。
さて、ここにジームが課した修行を記す。
まず飯は自給自足。モンスターでも何でも食えば生き残れるがジームの方針だった。続いて戦闘。これに関しては好きにしろと言ったのだが、途中で覚醒したリュイナは自分の武器をぶっ壊して素手でモンスターに襲いかかり、噛みつく攻撃で補食していた。力が強くなると、体術を駆使するようになり、より効率的に補食するようになった。日々のトレーニングは腕立て伏せ100×10、腹筋運動(木の枝に足を引っかけてぶら下がった状態から開始)200×10、スクワット100×20、背筋100×10。これを毎日。終えた後のリュイナは必ず失神した。最近は失神はしなくなった。
以上を半年も毎日やって、毎日死の淵にいたので、リュイナはたった半年でギルド最強の実力を持つようになった。その自覚は当人にはない。
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