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最後の恋は神さまとでした
翻弄される結婚と守護/3
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守護神の資格は、物質界で生きたことがあるか。もしくは、それと同等の資格を取る研修を受けに行って、経験を積むかの二択しかない。
期間は二週間。それぞれの時間を、それぞれで過ごして、蓮は再び地球にある倫礼の部屋へ戻ってきた。
彼は腰の低い位置で腕組みをし、鋭利なスミレ色の瞳で刺殺しそうに、おまけの倫礼を見下ろす。
「黙って、俺の言うこと聞け!」
倫礼は唇をきつく噛みしめ、神に聞こえないようにぶつぶつと文句を言った。
「く~~! 守護神の資格を持ってるから、っていうか、守護神が交代しちゃったから、従うしかない~~!」
夫婦二人三脚で、おまけの倫礼の人生は進み出した。しかし、彼女の性格が災いをもたらした。
人生は選択の連続。迷う人間の娘。部屋にあるふたりがけのソファーには、守護神の蓮が座っているが、彼女の霊感からは蚊帳の外となっていて、
「これ、どっちにすればいいかな? 父上?」
前の守護神を思わず呼び、アドバイスを受ける。そしてまた迷い、蓮がいるのに、あの長い黒髪を持ち、思慮深い光秀を探す。
「どうしようかな? 父上?」
彼女は今までの癖で、光秀に助言を求めるようになったままだった。
「父上?」
いや、おまけの倫礼はファザコンだったのである。
「父上?」
父を探している娘を前にして、光秀とその妻は顔を見合わせた。そして、ある日、光秀からおまけの倫礼も含めて、本体の倫礼と蓮に家長の命令が下ったのだった。
「この家から出て行って、ふたりで暮らしなさい」
「はい……」
おまけの倫礼はショックを受けたが、この世界の父親とは違って、感情でモノを言わない神でもある父の言うことだ。子供たちを想っての発言なのだと思った。何度も何度もうなずきながら、自分に言い聞かせるように、前向きに解釈してゆく。
「そうだよね……。結婚してるのに、父上ばっかりじゃ、吸収されていなくなっても、せっかくの修業の意味がなくなっちゃうもんね。もっと仲良くなるためにも、これは意味があるんだよね……」
そして、光秀は滅多なことがない限り、守護神として地上へ降りることはなくなった。
おまけの倫礼が振り返ると、そこにはいつも、銀の長い前髪と鋭利なスミレ色の瞳が超不機嫌に揺れていた。
「蓮に似た人がいいな、この世界で結婚するなら」
魂――心を大切にする彼女は、肉体――ルックスで人を見ることはとうの昔にやめていた。
いや、いつだって世界は、神さまの世界で最初に物事が起きて、次は霊界。そして、最後は地上へと影響が現れてくるのだ。全てつながっていると、霊感のある彼女は誰よりも知っていた。
「この世界でも蓮と結婚しないと、誠実じゃないよね? 私みたいに、蓮の波動を受けられるような人とめぐり会いたい」
そんな調子で、おまけの倫礼は人と違った恋人探しを始めた。あくまでも、自分の勝手な思い込みの恋ではなく、森羅万象と言える心からつながっている運命の人とめぐり会うことを、初めての失恋から四年も続けてゆく。
四十を迎えようが、彼女には関係のないことだった。なぜなら、神さまには年齢はあってないようなものだから。
それよりも、長く生きているほうが価値があるのだとさえ思っていた。きちんとした学ぶ姿勢をなくさなければ、輝きは増すのだと。
期間は二週間。それぞれの時間を、それぞれで過ごして、蓮は再び地球にある倫礼の部屋へ戻ってきた。
彼は腰の低い位置で腕組みをし、鋭利なスミレ色の瞳で刺殺しそうに、おまけの倫礼を見下ろす。
「黙って、俺の言うこと聞け!」
倫礼は唇をきつく噛みしめ、神に聞こえないようにぶつぶつと文句を言った。
「く~~! 守護神の資格を持ってるから、っていうか、守護神が交代しちゃったから、従うしかない~~!」
夫婦二人三脚で、おまけの倫礼の人生は進み出した。しかし、彼女の性格が災いをもたらした。
人生は選択の連続。迷う人間の娘。部屋にあるふたりがけのソファーには、守護神の蓮が座っているが、彼女の霊感からは蚊帳の外となっていて、
「これ、どっちにすればいいかな? 父上?」
前の守護神を思わず呼び、アドバイスを受ける。そしてまた迷い、蓮がいるのに、あの長い黒髪を持ち、思慮深い光秀を探す。
「どうしようかな? 父上?」
彼女は今までの癖で、光秀に助言を求めるようになったままだった。
「父上?」
いや、おまけの倫礼はファザコンだったのである。
「父上?」
父を探している娘を前にして、光秀とその妻は顔を見合わせた。そして、ある日、光秀からおまけの倫礼も含めて、本体の倫礼と蓮に家長の命令が下ったのだった。
「この家から出て行って、ふたりで暮らしなさい」
「はい……」
おまけの倫礼はショックを受けたが、この世界の父親とは違って、感情でモノを言わない神でもある父の言うことだ。子供たちを想っての発言なのだと思った。何度も何度もうなずきながら、自分に言い聞かせるように、前向きに解釈してゆく。
「そうだよね……。結婚してるのに、父上ばっかりじゃ、吸収されていなくなっても、せっかくの修業の意味がなくなっちゃうもんね。もっと仲良くなるためにも、これは意味があるんだよね……」
そして、光秀は滅多なことがない限り、守護神として地上へ降りることはなくなった。
おまけの倫礼が振り返ると、そこにはいつも、銀の長い前髪と鋭利なスミレ色の瞳が超不機嫌に揺れていた。
「蓮に似た人がいいな、この世界で結婚するなら」
魂――心を大切にする彼女は、肉体――ルックスで人を見ることはとうの昔にやめていた。
いや、いつだって世界は、神さまの世界で最初に物事が起きて、次は霊界。そして、最後は地上へと影響が現れてくるのだ。全てつながっていると、霊感のある彼女は誰よりも知っていた。
「この世界でも蓮と結婚しないと、誠実じゃないよね? 私みたいに、蓮の波動を受けられるような人とめぐり会いたい」
そんな調子で、おまけの倫礼は人と違った恋人探しを始めた。あくまでも、自分の勝手な思い込みの恋ではなく、森羅万象と言える心からつながっている運命の人とめぐり会うことを、初めての失恋から四年も続けてゆく。
四十を迎えようが、彼女には関係のないことだった。なぜなら、神さまには年齢はあってないようなものだから。
それよりも、長く生きているほうが価値があるのだとさえ思っていた。きちんとした学ぶ姿勢をなくさなければ、輝きは増すのだと。
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