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緑の線は新たな道標(みちしるべ)
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年が明けて、今年で三十五歳となる澄藍は、暖房の効いた本だらけの部屋で、パソコン画面を見つめていた。
どこから持ってきたのか知らないが、コウは山積みになっている本の上に腰掛けて、みかんを食べている。むいた皮は、ゴミ――余分なものが出ない神界でどこかへ消え去った。
その様子を視界の端に移しながら、澄藍はあるホームページで手を止めた。
「ねぇ? この恋愛シミレーションゲームも神威が効いてない?」
「どれだ?」
あの世で柑橘系の香りを、さわやかに漂わせてコウは近寄ってきた。澄藍は椅子の背もたれに身を預けて、両腕を大きく伸ばす。
「これ、何だか気になるんだよね」
「ふーん」
気のない返事をして、コウはみかんを立て続けに口の中へポンポンと投げ入れた。否定するわけでもなく、肯定するわけでもなく。
「何?」
「うん、お前の霊感は確かだな。ただ繊細さにかける」
褒められたが、さらに上を目指せと指南をされた。澄藍はパソコン画面から、隣でみかんを食べ終えた小さな神へ視線を移した。
「どういうこと?」
「これはゲームの中身にではなく、キャラクターの絵だけに神威が効いてる」
澄藍は先日、コウが言っていたあることを思い出す。
最近は地上での法則も変わり、神が人間にやたらめったら力を貸さないことになったと。邪神界がなくなった今でも、人間というものはそれに見合う努力をせず、成功を手に入れてしまうと、傲慢になったり、怠惰になってしまうのだと。
全ての人が幸せにならないことはしない。それが神様の流儀だ。
イラストレイターにだけ力を与えられた作品を、澄藍は見つめながら、うんうんを大きく何度もうなずく。
「なるほど、だから気になったんだ」
「ちなみに、どのキャラクターが気になるんだ? 言ってみろ」
「この髪の長い人っていうか、先生っていう設定らしい」
カーキ色の長い髪で、ニコニコと微笑んでいる優しそうなキャラクターだった。パパーン! とクラッカーが大量に鳴って、コウが空中でくるくると回転した。
「正解だ!」
「はぁ?」
クイズではなかったはずなのに、そう言われて、澄藍は一人で盛り上がっている、小さな神様をまじまじと見つめた。
そうして、コウから重大発言が告げられた。
「お前の魂は今日から、娘へと変わった」
三度目の魂変更、澄藍の娘――。
ゲームのキャラクターなどそっちのけで、人間の女は前日まで走り寄ってきた我が子を思い出す。
「じゃあ、昨日までママって呼んでた子たちは……?」
「お前のことを、お姉ちゃんと呼ぶ!」
肉体では決して起きない変化。それでも、神様が行っている以上、人間の女には従うしか手立てがない。
それでも、彼女は柔軟に対応する。神様の世界はいつだって、偶然はなく必然だった。自分が今気になったことは、必ず同時期に関連することが起きる。そうなると……。
「ということは、配偶者は当然変わるから――! わかった! この人が結婚してる人?」
数ある可能性の中から、彼女は直感でなぜかそれを導き出した。ラッパを吹く兵隊が急に現れて、パッパカパー! と盛大にファンファーレが鳴った。
「続けて正解だ!」
「やったぁ!」
思慮深い澄藍ではなくなり、娘らしい可愛げがある喜び方に急に変わった。コウは頼もしげに、人間の女を見つめる。
「そろそろこれができるようになってるはずだ」
「何を?」
「自分の魂の名前を言ってみろ」
普段と違って、自分の内側へ意識を傾ける。知らないはずだ。どこかで聞いたこともない。それなのに、娘の名前が出てくるのだ。
「……江」
「正解だ」
江はマウスのポインターをパソコンの画面上で、クルクルと回す。
「この人の名前は?」
「言えるはずだ。お前の夫だろう?」
霊感という直感は鋭さを増していた。ホームページのどのキャラクター名に一文字も載っていない漢字が、鮮明に脳裏に浮かび上がり、江はポツリとつぶやく。すでに結婚していることとなっている、永遠のパートナーの名前を。
「……緑さん」
「正解だ!」
コウは愛の力は偉大だと思いながら、いつの間にか用意してあった薬玉をぱかっと割り、鳩と色とりどりの紙吹雪とテープが出てきた。
その時だった。江の背後から、優しくて上品な男の響きが聞こえたのは。
「――こちらの絵はよく描けていると思います」
「え……?」
お祝いムードのコウから視線を横へずらし振り返ってみたが、姿を見ることは叶わなかった。
神経を研ぎ澄まして、探そうとする。カーキ色の胸より長めのサラサのストレート髪。細面の綺麗な顔で、優男に見られがちだが、芯の強さがうかがえる男。
「どうかしたんですか?」
同じ次元にいたのなら、吐息が耳にかかるほど近くにいるのだろう。江は今までしなかった仕草をする。両手をずらして握り、自信なさげにあごの下に添えた。
「もしかして……」
「そうだ。大人の神の声が聞こえるようになったんだ」
コウは珍しく微笑んで、大きくうなずいて見せた。微かな気配をたどって、江は照れたように頭を下げる。
「よろしくお願います」
「こちらこそ」
緑からしてみれば、おかしな光景なのだろう。配偶者が自分の姿が見えずに、視線を合わせもしないで、改めて頭を下げてくるのだから。
キャラクターの絵と声の雰囲気で、彼女は直感してしまった。上着の裾をモジモジといじりながら、
「もしかして……?」
「間違えるのを怖がらず、自信を持て」
コウのその言葉は、まるで父親が娘を励ますようだった。
「頭がいい人ですか?」
江からの質問に、緑の含み笑いが聞こえて、
「どうでしょうか?」
聞き返されてしまった。コウは首を横に振って、ダメ出しをする。
「本人に聞いても答えないだろう」
自画自賛するような人物なら別だが。江は表情を歪めて、やってしまった的な顔をした。
「あぁ、そうだね」
上着の裾をモジモジと触るスピードがアップした。コウはぴょんぴょんというコミカルな音を出して、空中を右へ左へ行ったり来たり。
「いいか? 緑は、光命と月主命などと同じ考え方だ。全てを記憶していて、そこから可能性を導き出し、成功する可能性が高いものを選ぶ」
青の王子の名――が胸に深く刻まれそうになったが、江は素知らぬ振りをした。誰も傷つけたくなくて、誠実であろうとして。
「理論派で、冷静ってことかな?」
「そうだ。お前もなかなか気の流れも感じ取れるようになったじゃないか」
似ている人ならよくわかる。しかし、人間の女は涙をこぼすこともなく、平然と嘘をつく。
「何となくね」
そうして、魂は別として、肉体は心に鍵をかけることを覚えてしまった。
陛下が孔明に伝えた、指示語で考えるのなら、まだ救いようがあった。何かを考えているということが、神々にも伝わり、対処のしようがあるのだから。
しかし、彼女は思い浮かべること自体をやめた。それはつまり、誰ももう叶えようがない、救いようがないことを意味していた。
不自然に間を空けるのをやめて、江はコウに素早く質問した。
「でも、どうして変わったの?」
「もう少し待てば、理由がわかる」
神様にも都合があるのだ。未来が見えるからこそ、人に嘘をつくこともある。必要ならば、いつだってそうだった。
「そうか」
「じゃあ。俺は忙しいからな」
コウはそう言って消え去っていこうとする。その後ろ姿に、緑が丁寧すぎるほど頭を下げているのを、江が気づくことはなかった。
*
「――サインして」
白い横長の紙を開くと、緑色の線が引かれていた。左上に大きな字で、『離婚届』と印字されていた。
人ごとだと思っていたことが現実となり、江は困惑した。二ヶ月ほど前に配偶者から聞いた言葉が蘇る。
「あなたとは道を違えた――」
あれは間違いでもなく何でもなく、離婚へとたどり着く道のりだったのだ。ぐるぐるとめまいがするようで、まるで夢でも見ているようで何もかもがモヤの中。
数日前のコウが言っていた言葉が今ならよくわかった。
(そうか。この世界でも大きく変わるから、魂が入れ替わったんだ。神様が指し示してる道は……)
江は配偶者の瞳をまっすぐ見つめ、静かに口を開いた。
「うん、わかった。サインするよ」
怖いものは彼女にはなかった。愛する人がそばにる。青の王子と似ているところを持つ人がいる。代替えとかそういうのではなく、彼女の求めていたパートナーだ。
決して感情に流されることなく、何事も冷静に対処してゆく。喜怒哀楽の激しい自分の言動にいちいち左右されない。そういうパートナーを彼女はやっと見つけたのだ。
*
ピアノの上にある棚にしまったCDを、まるで虫が食ったように間を開けて、取っては段ボール箱に荷物を詰めていた。
「ん~~!」
基本的に、緑は話しかけないと、自ら話してくるようなタイプではない。現実のことに集中すれば、あの世のことから気持ちは離れ、そばにいたとしても気にならない空気よりも自然な関係。
江は右手を伸ばしていたが、左手に変えて同じことをした。
「ちょっと手が届かないなぁ」
旦那の実家から出ていく以上、引っ越すのは一人。誰かが手伝ってくれるはずもなかったが、幼い声が下から聞こえてきた。
「僕が取ってあげるよ」
覚えたばかりの浮遊を使って、五歳の弟はCDと同じ位置まで登ってくる。いくら神様の子供でも、大人でないと心の声は聞こえない。姉は密かに思う。
(あぁ~、気持ちはとても嬉しんだけど、こっちの世界じゃ物が動かないんだよなぁ)
弟の小さな手がCDへ伸びて、霊界でのそれをつかみ、満面の笑みで振り返った。
「はい」
現実のディスクは未だに奥にあったが、弟と姉の間にはきちんと物があった。江はそれを受け取り、小さなお手伝いさんにお礼を言う。
「ありがとう。助かったよ」
「えへへへっ……!」
照れたように微笑む顔が、どこまでも純粋で、誰かのために何かができたと、心の底から喜んでいた。ダンボール箱にすでに入れたCDを整理する振りをしながら、姉は機会をうかがう。
それでも、ニコニコの笑みで弟は、姉の引っ越しを眺めていた。江は何気ない振りで、他のCDに手を伸ばして箱に入れ始める。すると、ふわふわと浮かびながら、弟の後ろ姿がドアへ向かっていった。
「部屋から出て行ったから、気づかれないように今のうちに取ろう。傷つけちゃうからね」
さっき取れなかったCDに手を伸ばすために、彼女はとうとう、ピアノの椅子を通り越して、楽器の上に軽く乗った。
「よいっしょっと!」
取り出したディスクのアーティスト名を見て、彼女はふと手を止める。
「ん~、これはどっちの持ち物? 二人で一緒に買った物って、所有権がわからないね。でも確認はしないとね」
そんな物が大量にある結婚生活だった。共有する部分が多い仲。
「ケンカしたわけじゃなくて、お互いのために別れるってことだからね。険悪なムードじゃないから」
恨んだり憎んだりとか、そういうことではなく、努力を重ねたがどうにもうまくいかなかった。それが原因。
ただ、江はひとつだけ驚いた。包丁を持ち出した修羅場のことだ。配偶者は相手を困らせるために嘘をつくような性格ではない。そんな人が、修羅場は何度もあったと言ったのだ。
江は唖然とした。たった一回きりだと思っていた。思い出そうとしても、記憶にない。彼女は自分を責めた。怒りでブチ切れてしまうほど、感情のコントロールが自分で効かないのかと。それほど、人間ができていないのだと。
怒って記憶が消えたなど今までなかった。小さな違和感を放置したまま、彼女は自分に対する恐れが芽生えた。
自分が知らないうちに、誰かを傷つけるのではないかと思う。自分を信じることができない。何もかもが輪郭をなくして、確かな物がどこにもない。
ぐるぐると全ての世界が渦を巻き、飲み込まれていきそうだったが、人の気配が台所でして、江は我に返った。
「とにかく詰めないと……」
荷物が整理されてゆくたび、彼女のため息を増えてゆく。
「実家に帰るか……。何を言われるんだろう?」
仲のいい家庭があるのは、この家に来てよくわかった。それでも、意見の言い合いになるが、相手を尊重して、前へきちんと進んでゆく。温かい家庭だった。
そういう家に生まれた人は、理解できないと言う。自分の子供を虐待する親がなぜいるのかを。
江にはわかる。仲によくない家族は世の中にいるのだ。血のつながりなどという不確かで曖昧なものを、さも重要に思い、それがあるから何をしても許されるのだと、相手は自分から離れていかないのだと、勘違いしている人間というものはいる。
憎しみや憎悪が増す。だからこそ、江は知っている。その感情を持って生きることが、どれほど余計なエネルギーを消費して、自分をさらに傷つけていくのかを。
今の状態で実家に帰ったら、家族間の殺人でも自分が起こすのではと、ぼんやり考える。
「家族と暮らしたくなくて、結婚したのかもしれない……」
それでも、彼女は気を取り直して、荷物を詰め続ける。
「現実から逃げたからだ。面と向かって、きちんと話をしよう。そうしたら、仲が良くなるかもしれない」
今年で三十五歳を迎えるが、彼女はまだまだ若かった。物語はしょせん物語で、現実で叶わないからこそ、ハッピーエンドが夢や希望として書かれていることもあるのだと気づかなかった。
束の間の幸せに微笑み、ずっとそばにいる緑と時々話しながら、彼女は荷物を詰めてゆく。
「考えるのはあと、引越しの日が来ちゃうからね」
そうして、引っ越し当日。円満の別れであるがゆえ、家族全員に見送られながら、空港までタクシーで彼女は向かった。
それでも、九年以上の結婚生活は思い出がたくさん詰まっていて、江の視界は涙でにじみ、涙がこぼれそうになるのを必死で堪え、現実でそばにいる人が一気に変わる環境へと身と委ねるしかなかった。
気持ちはなかなか収まらず、誰にも言えない言葉を、江は走行音になじませる。配偶者との関係が本当はどういうものかを、一人きちんとわかっている緑にだけ聞こえるように。
「霊視ができない人には伝わらない。娘に変わったから、一緒に結婚してるのはおかしいんだって。それを、お互いで納得して離婚したって――」
*
嫁に行った娘には、実家の居場所などないのだ。両親は家庭内別居。毎日のように、怒鳴り声が聞こえてくる家。どんなに円満に別れてきたと言っても、江の心は傷ついていた。
彼女の本来の世界――神世では両親は仲睦まじく、兄弟は優しく笑顔で、自分の存在を否定するような人は誰もいない。何よりも配偶者は、守護神の役割も持っていて、いつもいつも優しく冷静に導いてくれていた。
しかし、現実で浴びせられる言葉は真逆だった。
「離婚して帰ってくるなんて、恥ずかしいから出歩くな」
「慰謝料ももらってこないで……」
意味不明な言葉が、暴力という名で、江に襲いかかる。
(結婚って、お金なの?)
忘れたかった、お金優先で心を無視する人たちの集団を。
「あなたの居場所なんかないんだから、いつ出ていくの?」
「父さんと母さんは何も間違ってない。姉ちゃんが間違ってるんだ」
この人たちとやってゆくのには、ふたつにひとつ。
同じ価値観になるか。
抗い続けるか。
江は後者を選んだ。霊感を手に入れて、神様の世界をのぞいてきた、彼女はこういう価値観に変わっていた。
みんながやっているから正しいとは限らない。
自分の信念は心を一番大切にすること。
肉体には限りがある。しかし、心は永遠。彼女の見ている範囲は死んだあとを見据えていた。私利私欲で生きられるほど、彼女の霊層はもう低くなかった。
魂の透明度――霊層はどんなことが起きても下へ落ちることがないと、神が判断された時に、上がってゆくもの。
下の人からは上の人を見ることができない。未知の世界だからだ。しかし、上の人から下の人はよく見える――どんな打算や悪意がそこにあるのかわかる。なぜなら、自分が通ってきた道だからだ。
白でもみんなが黒と言えば、黒になってしまう現実での家族。風当たりはすさまじく、彼らの口から出てくるのは人の悪口や陰口ばかり。耳をふさぎたくなる毎日。
それでも、彼女は目を閉じて、神様への感謝を日々忘れずに生き、できるだけ本当の家族と話をする。
十八歳の兄弟たちも守護に加わると言ってくれて、自分を何事からも守るように三百六十度囲んでくれている光景が、唯一の心の支えだった。
しかし、この世界の醍醐味は肉体であって、彼女は少しずつ暗い気持ちになっていった。
(友達ももういない。知人もいない。家族にも必要とされてない)
ドアがついているような部屋は与えられていない。家族のいないトイレなどで一人きり泣き続け、誰にも相談せず耐え続けた結果――
(この世界に、自分の存在はいらない。働かないと生きていけないけど、やる気が起きない。でも全てを解決する方法がある。それは、死ぬ――ことだ)
人は全員、自分で生まれたいと、神様にお願いをして生まれてくる。それを、途中で強制終了することは、無責任以外の何ものでもない。
自殺したあと、どうなるか、神様と話してきた江は知っている。その罪の重さがどれほどなのかも知っている。
一畳ほどの広さの空間に自動的に移動し、声も念――想いさえも通さない地獄へと入り、一人きりで荒波を乗り越えてゆかなければいけない。
今自分のそばにいる本当の家族とも、罪を償うまでは会えないことも知っている。しかし、それでも、彼女の心はこの言葉で埋め尽くされた。
(死にたい。死にたい。死にたい。死にたい。死にたい。死にたい。死にたい。死にたい。死にたい。死にたい。死にたい。死にたい。死にたい。死にたい。死にたい。死にたい。死にたい。死にたい。死にたい……)
兄弟であろうと夫であろうと、守護をする神である以上、彼らはただ人間の女が自身ではい上がるのを優しく見守るだけだった。配偶者が神であろうと、肉体を持った神はいない。江は人間だ。
神にしてみれば、人間が地獄へと落ちるのも本人の責任であり、それはそれで魂の修業の一過程でしかない。
人間の力だけで全てどうにかできるという傲慢さを持っている彼女には、神に手を伸ばすという術が、選択肢からなくなっていた。
(あの夢みたいな神様に囲まれた世界は、どこにもない……。この家にはどこにもない)
綺麗な青空が広がっていても、江はもう見上げることも忘れた。それでも、彼女の心の片隅では、何としてもここから抜け出そうという情熱の炎は燃え続けていた。
どこから持ってきたのか知らないが、コウは山積みになっている本の上に腰掛けて、みかんを食べている。むいた皮は、ゴミ――余分なものが出ない神界でどこかへ消え去った。
その様子を視界の端に移しながら、澄藍はあるホームページで手を止めた。
「ねぇ? この恋愛シミレーションゲームも神威が効いてない?」
「どれだ?」
あの世で柑橘系の香りを、さわやかに漂わせてコウは近寄ってきた。澄藍は椅子の背もたれに身を預けて、両腕を大きく伸ばす。
「これ、何だか気になるんだよね」
「ふーん」
気のない返事をして、コウはみかんを立て続けに口の中へポンポンと投げ入れた。否定するわけでもなく、肯定するわけでもなく。
「何?」
「うん、お前の霊感は確かだな。ただ繊細さにかける」
褒められたが、さらに上を目指せと指南をされた。澄藍はパソコン画面から、隣でみかんを食べ終えた小さな神へ視線を移した。
「どういうこと?」
「これはゲームの中身にではなく、キャラクターの絵だけに神威が効いてる」
澄藍は先日、コウが言っていたあることを思い出す。
最近は地上での法則も変わり、神が人間にやたらめったら力を貸さないことになったと。邪神界がなくなった今でも、人間というものはそれに見合う努力をせず、成功を手に入れてしまうと、傲慢になったり、怠惰になってしまうのだと。
全ての人が幸せにならないことはしない。それが神様の流儀だ。
イラストレイターにだけ力を与えられた作品を、澄藍は見つめながら、うんうんを大きく何度もうなずく。
「なるほど、だから気になったんだ」
「ちなみに、どのキャラクターが気になるんだ? 言ってみろ」
「この髪の長い人っていうか、先生っていう設定らしい」
カーキ色の長い髪で、ニコニコと微笑んでいる優しそうなキャラクターだった。パパーン! とクラッカーが大量に鳴って、コウが空中でくるくると回転した。
「正解だ!」
「はぁ?」
クイズではなかったはずなのに、そう言われて、澄藍は一人で盛り上がっている、小さな神様をまじまじと見つめた。
そうして、コウから重大発言が告げられた。
「お前の魂は今日から、娘へと変わった」
三度目の魂変更、澄藍の娘――。
ゲームのキャラクターなどそっちのけで、人間の女は前日まで走り寄ってきた我が子を思い出す。
「じゃあ、昨日までママって呼んでた子たちは……?」
「お前のことを、お姉ちゃんと呼ぶ!」
肉体では決して起きない変化。それでも、神様が行っている以上、人間の女には従うしか手立てがない。
それでも、彼女は柔軟に対応する。神様の世界はいつだって、偶然はなく必然だった。自分が今気になったことは、必ず同時期に関連することが起きる。そうなると……。
「ということは、配偶者は当然変わるから――! わかった! この人が結婚してる人?」
数ある可能性の中から、彼女は直感でなぜかそれを導き出した。ラッパを吹く兵隊が急に現れて、パッパカパー! と盛大にファンファーレが鳴った。
「続けて正解だ!」
「やったぁ!」
思慮深い澄藍ではなくなり、娘らしい可愛げがある喜び方に急に変わった。コウは頼もしげに、人間の女を見つめる。
「そろそろこれができるようになってるはずだ」
「何を?」
「自分の魂の名前を言ってみろ」
普段と違って、自分の内側へ意識を傾ける。知らないはずだ。どこかで聞いたこともない。それなのに、娘の名前が出てくるのだ。
「……江」
「正解だ」
江はマウスのポインターをパソコンの画面上で、クルクルと回す。
「この人の名前は?」
「言えるはずだ。お前の夫だろう?」
霊感という直感は鋭さを増していた。ホームページのどのキャラクター名に一文字も載っていない漢字が、鮮明に脳裏に浮かび上がり、江はポツリとつぶやく。すでに結婚していることとなっている、永遠のパートナーの名前を。
「……緑さん」
「正解だ!」
コウは愛の力は偉大だと思いながら、いつの間にか用意してあった薬玉をぱかっと割り、鳩と色とりどりの紙吹雪とテープが出てきた。
その時だった。江の背後から、優しくて上品な男の響きが聞こえたのは。
「――こちらの絵はよく描けていると思います」
「え……?」
お祝いムードのコウから視線を横へずらし振り返ってみたが、姿を見ることは叶わなかった。
神経を研ぎ澄まして、探そうとする。カーキ色の胸より長めのサラサのストレート髪。細面の綺麗な顔で、優男に見られがちだが、芯の強さがうかがえる男。
「どうかしたんですか?」
同じ次元にいたのなら、吐息が耳にかかるほど近くにいるのだろう。江は今までしなかった仕草をする。両手をずらして握り、自信なさげにあごの下に添えた。
「もしかして……」
「そうだ。大人の神の声が聞こえるようになったんだ」
コウは珍しく微笑んで、大きくうなずいて見せた。微かな気配をたどって、江は照れたように頭を下げる。
「よろしくお願います」
「こちらこそ」
緑からしてみれば、おかしな光景なのだろう。配偶者が自分の姿が見えずに、視線を合わせもしないで、改めて頭を下げてくるのだから。
キャラクターの絵と声の雰囲気で、彼女は直感してしまった。上着の裾をモジモジといじりながら、
「もしかして……?」
「間違えるのを怖がらず、自信を持て」
コウのその言葉は、まるで父親が娘を励ますようだった。
「頭がいい人ですか?」
江からの質問に、緑の含み笑いが聞こえて、
「どうでしょうか?」
聞き返されてしまった。コウは首を横に振って、ダメ出しをする。
「本人に聞いても答えないだろう」
自画自賛するような人物なら別だが。江は表情を歪めて、やってしまった的な顔をした。
「あぁ、そうだね」
上着の裾をモジモジと触るスピードがアップした。コウはぴょんぴょんというコミカルな音を出して、空中を右へ左へ行ったり来たり。
「いいか? 緑は、光命と月主命などと同じ考え方だ。全てを記憶していて、そこから可能性を導き出し、成功する可能性が高いものを選ぶ」
青の王子の名――が胸に深く刻まれそうになったが、江は素知らぬ振りをした。誰も傷つけたくなくて、誠実であろうとして。
「理論派で、冷静ってことかな?」
「そうだ。お前もなかなか気の流れも感じ取れるようになったじゃないか」
似ている人ならよくわかる。しかし、人間の女は涙をこぼすこともなく、平然と嘘をつく。
「何となくね」
そうして、魂は別として、肉体は心に鍵をかけることを覚えてしまった。
陛下が孔明に伝えた、指示語で考えるのなら、まだ救いようがあった。何かを考えているということが、神々にも伝わり、対処のしようがあるのだから。
しかし、彼女は思い浮かべること自体をやめた。それはつまり、誰ももう叶えようがない、救いようがないことを意味していた。
不自然に間を空けるのをやめて、江はコウに素早く質問した。
「でも、どうして変わったの?」
「もう少し待てば、理由がわかる」
神様にも都合があるのだ。未来が見えるからこそ、人に嘘をつくこともある。必要ならば、いつだってそうだった。
「そうか」
「じゃあ。俺は忙しいからな」
コウはそう言って消え去っていこうとする。その後ろ姿に、緑が丁寧すぎるほど頭を下げているのを、江が気づくことはなかった。
*
「――サインして」
白い横長の紙を開くと、緑色の線が引かれていた。左上に大きな字で、『離婚届』と印字されていた。
人ごとだと思っていたことが現実となり、江は困惑した。二ヶ月ほど前に配偶者から聞いた言葉が蘇る。
「あなたとは道を違えた――」
あれは間違いでもなく何でもなく、離婚へとたどり着く道のりだったのだ。ぐるぐるとめまいがするようで、まるで夢でも見ているようで何もかもがモヤの中。
数日前のコウが言っていた言葉が今ならよくわかった。
(そうか。この世界でも大きく変わるから、魂が入れ替わったんだ。神様が指し示してる道は……)
江は配偶者の瞳をまっすぐ見つめ、静かに口を開いた。
「うん、わかった。サインするよ」
怖いものは彼女にはなかった。愛する人がそばにる。青の王子と似ているところを持つ人がいる。代替えとかそういうのではなく、彼女の求めていたパートナーだ。
決して感情に流されることなく、何事も冷静に対処してゆく。喜怒哀楽の激しい自分の言動にいちいち左右されない。そういうパートナーを彼女はやっと見つけたのだ。
*
ピアノの上にある棚にしまったCDを、まるで虫が食ったように間を開けて、取っては段ボール箱に荷物を詰めていた。
「ん~~!」
基本的に、緑は話しかけないと、自ら話してくるようなタイプではない。現実のことに集中すれば、あの世のことから気持ちは離れ、そばにいたとしても気にならない空気よりも自然な関係。
江は右手を伸ばしていたが、左手に変えて同じことをした。
「ちょっと手が届かないなぁ」
旦那の実家から出ていく以上、引っ越すのは一人。誰かが手伝ってくれるはずもなかったが、幼い声が下から聞こえてきた。
「僕が取ってあげるよ」
覚えたばかりの浮遊を使って、五歳の弟はCDと同じ位置まで登ってくる。いくら神様の子供でも、大人でないと心の声は聞こえない。姉は密かに思う。
(あぁ~、気持ちはとても嬉しんだけど、こっちの世界じゃ物が動かないんだよなぁ)
弟の小さな手がCDへ伸びて、霊界でのそれをつかみ、満面の笑みで振り返った。
「はい」
現実のディスクは未だに奥にあったが、弟と姉の間にはきちんと物があった。江はそれを受け取り、小さなお手伝いさんにお礼を言う。
「ありがとう。助かったよ」
「えへへへっ……!」
照れたように微笑む顔が、どこまでも純粋で、誰かのために何かができたと、心の底から喜んでいた。ダンボール箱にすでに入れたCDを整理する振りをしながら、姉は機会をうかがう。
それでも、ニコニコの笑みで弟は、姉の引っ越しを眺めていた。江は何気ない振りで、他のCDに手を伸ばして箱に入れ始める。すると、ふわふわと浮かびながら、弟の後ろ姿がドアへ向かっていった。
「部屋から出て行ったから、気づかれないように今のうちに取ろう。傷つけちゃうからね」
さっき取れなかったCDに手を伸ばすために、彼女はとうとう、ピアノの椅子を通り越して、楽器の上に軽く乗った。
「よいっしょっと!」
取り出したディスクのアーティスト名を見て、彼女はふと手を止める。
「ん~、これはどっちの持ち物? 二人で一緒に買った物って、所有権がわからないね。でも確認はしないとね」
そんな物が大量にある結婚生活だった。共有する部分が多い仲。
「ケンカしたわけじゃなくて、お互いのために別れるってことだからね。険悪なムードじゃないから」
恨んだり憎んだりとか、そういうことではなく、努力を重ねたがどうにもうまくいかなかった。それが原因。
ただ、江はひとつだけ驚いた。包丁を持ち出した修羅場のことだ。配偶者は相手を困らせるために嘘をつくような性格ではない。そんな人が、修羅場は何度もあったと言ったのだ。
江は唖然とした。たった一回きりだと思っていた。思い出そうとしても、記憶にない。彼女は自分を責めた。怒りでブチ切れてしまうほど、感情のコントロールが自分で効かないのかと。それほど、人間ができていないのだと。
怒って記憶が消えたなど今までなかった。小さな違和感を放置したまま、彼女は自分に対する恐れが芽生えた。
自分が知らないうちに、誰かを傷つけるのではないかと思う。自分を信じることができない。何もかもが輪郭をなくして、確かな物がどこにもない。
ぐるぐると全ての世界が渦を巻き、飲み込まれていきそうだったが、人の気配が台所でして、江は我に返った。
「とにかく詰めないと……」
荷物が整理されてゆくたび、彼女のため息を増えてゆく。
「実家に帰るか……。何を言われるんだろう?」
仲のいい家庭があるのは、この家に来てよくわかった。それでも、意見の言い合いになるが、相手を尊重して、前へきちんと進んでゆく。温かい家庭だった。
そういう家に生まれた人は、理解できないと言う。自分の子供を虐待する親がなぜいるのかを。
江にはわかる。仲によくない家族は世の中にいるのだ。血のつながりなどという不確かで曖昧なものを、さも重要に思い、それがあるから何をしても許されるのだと、相手は自分から離れていかないのだと、勘違いしている人間というものはいる。
憎しみや憎悪が増す。だからこそ、江は知っている。その感情を持って生きることが、どれほど余計なエネルギーを消費して、自分をさらに傷つけていくのかを。
今の状態で実家に帰ったら、家族間の殺人でも自分が起こすのではと、ぼんやり考える。
「家族と暮らしたくなくて、結婚したのかもしれない……」
それでも、彼女は気を取り直して、荷物を詰め続ける。
「現実から逃げたからだ。面と向かって、きちんと話をしよう。そうしたら、仲が良くなるかもしれない」
今年で三十五歳を迎えるが、彼女はまだまだ若かった。物語はしょせん物語で、現実で叶わないからこそ、ハッピーエンドが夢や希望として書かれていることもあるのだと気づかなかった。
束の間の幸せに微笑み、ずっとそばにいる緑と時々話しながら、彼女は荷物を詰めてゆく。
「考えるのはあと、引越しの日が来ちゃうからね」
そうして、引っ越し当日。円満の別れであるがゆえ、家族全員に見送られながら、空港までタクシーで彼女は向かった。
それでも、九年以上の結婚生活は思い出がたくさん詰まっていて、江の視界は涙でにじみ、涙がこぼれそうになるのを必死で堪え、現実でそばにいる人が一気に変わる環境へと身と委ねるしかなかった。
気持ちはなかなか収まらず、誰にも言えない言葉を、江は走行音になじませる。配偶者との関係が本当はどういうものかを、一人きちんとわかっている緑にだけ聞こえるように。
「霊視ができない人には伝わらない。娘に変わったから、一緒に結婚してるのはおかしいんだって。それを、お互いで納得して離婚したって――」
*
嫁に行った娘には、実家の居場所などないのだ。両親は家庭内別居。毎日のように、怒鳴り声が聞こえてくる家。どんなに円満に別れてきたと言っても、江の心は傷ついていた。
彼女の本来の世界――神世では両親は仲睦まじく、兄弟は優しく笑顔で、自分の存在を否定するような人は誰もいない。何よりも配偶者は、守護神の役割も持っていて、いつもいつも優しく冷静に導いてくれていた。
しかし、現実で浴びせられる言葉は真逆だった。
「離婚して帰ってくるなんて、恥ずかしいから出歩くな」
「慰謝料ももらってこないで……」
意味不明な言葉が、暴力という名で、江に襲いかかる。
(結婚って、お金なの?)
忘れたかった、お金優先で心を無視する人たちの集団を。
「あなたの居場所なんかないんだから、いつ出ていくの?」
「父さんと母さんは何も間違ってない。姉ちゃんが間違ってるんだ」
この人たちとやってゆくのには、ふたつにひとつ。
同じ価値観になるか。
抗い続けるか。
江は後者を選んだ。霊感を手に入れて、神様の世界をのぞいてきた、彼女はこういう価値観に変わっていた。
みんながやっているから正しいとは限らない。
自分の信念は心を一番大切にすること。
肉体には限りがある。しかし、心は永遠。彼女の見ている範囲は死んだあとを見据えていた。私利私欲で生きられるほど、彼女の霊層はもう低くなかった。
魂の透明度――霊層はどんなことが起きても下へ落ちることがないと、神が判断された時に、上がってゆくもの。
下の人からは上の人を見ることができない。未知の世界だからだ。しかし、上の人から下の人はよく見える――どんな打算や悪意がそこにあるのかわかる。なぜなら、自分が通ってきた道だからだ。
白でもみんなが黒と言えば、黒になってしまう現実での家族。風当たりはすさまじく、彼らの口から出てくるのは人の悪口や陰口ばかり。耳をふさぎたくなる毎日。
それでも、彼女は目を閉じて、神様への感謝を日々忘れずに生き、できるだけ本当の家族と話をする。
十八歳の兄弟たちも守護に加わると言ってくれて、自分を何事からも守るように三百六十度囲んでくれている光景が、唯一の心の支えだった。
しかし、この世界の醍醐味は肉体であって、彼女は少しずつ暗い気持ちになっていった。
(友達ももういない。知人もいない。家族にも必要とされてない)
ドアがついているような部屋は与えられていない。家族のいないトイレなどで一人きり泣き続け、誰にも相談せず耐え続けた結果――
(この世界に、自分の存在はいらない。働かないと生きていけないけど、やる気が起きない。でも全てを解決する方法がある。それは、死ぬ――ことだ)
人は全員、自分で生まれたいと、神様にお願いをして生まれてくる。それを、途中で強制終了することは、無責任以外の何ものでもない。
自殺したあと、どうなるか、神様と話してきた江は知っている。その罪の重さがどれほどなのかも知っている。
一畳ほどの広さの空間に自動的に移動し、声も念――想いさえも通さない地獄へと入り、一人きりで荒波を乗り越えてゆかなければいけない。
今自分のそばにいる本当の家族とも、罪を償うまでは会えないことも知っている。しかし、それでも、彼女の心はこの言葉で埋め尽くされた。
(死にたい。死にたい。死にたい。死にたい。死にたい。死にたい。死にたい。死にたい。死にたい。死にたい。死にたい。死にたい。死にたい。死にたい。死にたい。死にたい。死にたい。死にたい。死にたい……)
兄弟であろうと夫であろうと、守護をする神である以上、彼らはただ人間の女が自身ではい上がるのを優しく見守るだけだった。配偶者が神であろうと、肉体を持った神はいない。江は人間だ。
神にしてみれば、人間が地獄へと落ちるのも本人の責任であり、それはそれで魂の修業の一過程でしかない。
人間の力だけで全てどうにかできるという傲慢さを持っている彼女には、神に手を伸ばすという術が、選択肢からなくなっていた。
(あの夢みたいな神様に囲まれた世界は、どこにもない……。この家にはどこにもない)
綺麗な青空が広がっていても、江はもう見上げることも忘れた。それでも、彼女の心の片隅では、何としてもここから抜け出そうという情熱の炎は燃え続けていた。
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