幽霊と神様にこんにちは

明智 颯茄

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大切なことは何か

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 それでは、守護をしてくださる幽霊と神様が、人間に対して何を求めているのかである。

 このような話をすれば、大体の予測はつくだろう。しかし、なぜ、そうなのかという理由を詳しく説明しよう。

 一番大切で基本となる、霊層を上げるために必要なこと。それは、私利私欲ではなく、世のため人のためという慈愛である。幽霊と神様はこれをよりよくできるように導いてくださる。

 具体的にはどんなことか。以前、こんな場面に出会ったことがある。

 バーカウンターに座っていた時、初対面の同性が隣にやって来た。その人はその日、勤めていた会社からいきなり解雇を言い渡されたと話してきた。その人なりに思うところは色々とあり、混乱している様子。そうしてしきりにこう言っていた。

「みんなが幸せになればいいのに……」

 この人は誰かに言われたのか、何かで読んだのだろう。人の幸せを祈ると、自身も幸せになれると。確かに考え方はある意味あっているが、少々解釈が違う。

 自分への見返りを何も期待せずに、人の幸せを祈る。それが自分の本当の幸せだと思えるようになるから、自身が幸せになるのである。

 自身の幸せが欲しいからといって、人の幸せを祈っても、本当の幸せはやってこない。決して霊層も上がらない。

 悪というものが存在する。これは理解できるだろうか。霊界と神界では、邪神界じゃしんかいと呼ばれていた。過去形である。すでにこの制度は廃止となっている。詳しい話は機会があれば、のちに書くこともあるかもしれない。

 この悪は、世界が存在し始めた頃からあったのだろうか。答えは、最初からはなかったである。

 悪は約五千年前に導入されて、今現在は物質界に概念が残っているだけで実在していない。私が話したことのある神様で一番長く生きているのは、三百億歳である。単位に注意しよう。

 そうなると、輪廻転生を繰り返している私たち人間の心は、悪が生まれる前からあったことになる。

 悪という概念は、普通と反対のことという認識である。つまりは、私利私欲のため、怠惰などとなる。

 悪の対義語として、正義、正しい。という言葉があるが、これは落ち着いてよく考える必要がある。悪ができたからこそ、生まれた言葉である。したがって、非常に厳しく分類すれば、悪に属する言葉となる。

 正義という名の下に、何でもしてよいのだろうか? 時と場合によっては人の心を傷つけるだろう。このような間違いが起きるのは、やはり正義や正しいが悪に属しているからではないだろうか。

 悪が導入される前は、世界は何もかもが普通だったのだ。前の章で書いたように、神様の子供たちが『嫌い』という言葉を知らず、『普通』だと言ったのは、こういう経歴があるからである。

 世のため人のために生きることが、偉いことでも尊敬すべきものでもなく、普通のことを普通にしているのである。ここを間違えてしまうと、おごり高ぶりやすくなり、霊層を上げることが困難になるので、十分に注意したいところである。

 霊層を上げることとは、悪というおかしい価値観から、普通に戻してゆくことである。

 そうなると、人の心は、悪が入り込もうと、誰かの幸せな姿を見たり、誰かを幸せにしたりすることでしか、本当の幸せを感じられないようにできているのではないだろうか。

 自分自身と向き合って、よく考えてみよう。著者はあまりこういう話は書きたくないのだが、どうやってもここでは避けて通れないため、例を挙げよう。

 最近こんな話を読んだ。悪行を犯した人が痛い目にあって、いわゆる、ざまーみろ的な終わり方をするものである。

 これを読んで、本当に幸せなのだろうか。

 本当に幸せですか?
 人が困っている姿を見て、幸せですか?
 やり返して幸せですか?

 これはこういう心が存在していないだろうか。何かの理由をつけて人を自分より下にする。いわゆる差別をする。そのことによって、自身が優位に立ったと勘違いしている。違うだろうか。

 いっときは幸せだと思うのかもしれない。しかしこれは偽物の幸せである。本当に心の底から満足していないから、同じことを何度も繰り返すのではないだろうか。同じ場所をぐるぐる回っているだけで、さらに大きな幸せへと進む気持ちが出てこない原因ではないだろうか。

 どんなに小さなことでもいいから、人が幸せになる姿や、他人のために役に立てたことを、自分の幸せに変換できるように努力を重ねた方が賢明な生き方だろう。人の心はそうでしか、本当に幸せになれないのだから。

 話は少し遠回りをしたが、幽霊と神様が人間に望んでいるのは、人の幸せを自分の幸せに変換でき、具体的に行動を起こせることである。

 これを踏まえて、考えてみよう。

 幽霊と神様にとって、名誉と地位とはなんだろうか。
 人間と同じように生活を送っている。仕事もしている。当然、地位は存在する。国家機関のトップや有名ミュージシャンなどなど、なれる人もいれば、なれない人もいる。

 高いポジションにいる、幽霊と神様が私利私欲だったら、首を傾げてしまうのではないだろうか。

 全員と直接話したことはないため、すべての幽霊や神様の気持ちはわからない。しかし、何人かの話を聞くと、こんな答えが返ってきた。

 たくさんの人の上にいるからこそ、自分を戒め、一人でも多くの人が幸せになれるよう常に努力し続ける。これが、幽霊や神様にとっての名誉と地位である。

 それでは、幽霊と神様にとって、お金とは何だろうか。
 人間にとっては、どんなに私利私欲を省いたとしても、最低限のお金がなければ生きてゆくことができない。霊界と神界ではどうだろうか。

 答え、幽霊と神様にはお金は必要ない。なぜなら、物流の主がお金ではないからである。物々交換などが半分をしめているそうだ。

 お金がなくても品物やサービスを受けられるという流れになると、人々にお金は必要なくなる。したがって、お金に執着する必要がなくなる。

 しかし、大切なのは心である。誰かが一生懸命仕事をして、その成果である品物やサービスをいただいているのだから、何かお礼をするのは人として当然だろう。そういうわけで、お金や価値のある品物などを対価として払う。ということは起きる。

 基本的に、霊界と神界は働かなくても、生きていける。ここでひとつ間違ってはいけないことは、楽をして仕事をしないという考え方の人は誰一人もいないということは理解しておこう。

 誰かのために生きているのだから、霊層が高い人ほどきちんと働いているのである。

 物質界ではただの綺麗事で、できるはずがない。そう反論する人もいるだろう。しかし、実現している人は、物質界にもいるのである。

 知り合いの方で、インターネットの検索窓に名字を入れただけで、検索候補にフルネームが出てくるほど有名な人がいる。政界とも多くのつながりがあり、大きな会社の重役の経歴がいくつもあるほどだ。その方が以前言っていた。

 お金はあとからついてくる。まずは相手の心に応えることが大切だと。

 他人の幸せを願い、本気で挑戦したことはあるだろうか。私利私欲を捨てて、生きたことがあるだろうか。その先に、霊層の高い世界は広がっているのである。

 それから、こんな体験はないだろうか。生きていれば、壁にぶち当たることはある。人間はとても弱く、逃げることもあるだろう。しかし、また同じ壁にぶち当たってしまった。経験があるのではないだろうか。

 なぜこんなことが起きるのか。それは、幽霊と神様がやり直しをさせているからである。それでは、そのやり直しはいつまで続くのか。死んだあともずっとである。そこを乗り越えないと、先へ進めない以上、何度もやり直しをさせられる。

 一生同じところでつまずいて、死んでしまったということは十分起きうる。というわけで、早めに向き合って、乗り越えてしまった方が賢明である。

 ここでひとつ、筆者の体験談を話そう。壁を乗り越えるために、幽霊や神様にお願いすることもあるだろう。その時の頼み方である。こんなふうに頼んでいないだろうか。

「答えを教えてください」

 筆者はこうお願いしている。

「答えを見つけるすべを教えてください」

 何らかの方法で人に教えた経験がある方はわかっていると思うが、答えをいきなり本人に教えても、決してその人の学びにもならなし、成長にもならない。答えを見つけるのはあくまでも自分。子供ではない、大人だ。自身の言動は自分の責任でするのが当たり前である。

 答えまでの過程、導きをお願いする。すると、そのゴールへたどり着くスタート地点に幽霊も神様も連れて行ってくださる。

 そうして、この章のまとめとして、とても重要なことを確認しておこう。考えれば当たり前のことである。

 幽霊と神様には、人間の心の声、考えていることは筒抜けである。すなわち、嘘やごまかしがまったく効かない。だからこそ、彼らの前に立つたびに、人として恥ずかしいことをしていないか、再確認する機会とするとよいのではないだろうか。

 次は、審神者さにわという少し聞きなれない話をしよう。
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