幽霊と神様にこんにちは

明智 颯茄

文字の大きさ
12 / 35

幽霊や神様と話す

しおりを挟む
 ここまで読んで、気づいた方もいるかと思うが、守護してくださる幽霊や神様に対して、筆者の言葉遣いが崩れていると感じた方もいるのではないのだろうか。

 通常、神様を数える時には、一ちゅう、二柱と言う呼び方をするという話は知っている方もいるだろう。しかし、筆者は最初から人と同じように、一人、二人と数えている。

 今回はなぜ、わざと呼んでいないのかの話をしよう。

 まずは、自身を守護してくださる幽霊や神様と話をする時、もしくはお願い事をする時、どのような言葉遣いをするだろうか。

 神社にいる神主が唱える祝詞のりとのようなものだろうか。八百万やおよろずの神や、〇〇たまえ、などとお願いするのだろうか。

 それとも、例文を使って、こんな感じだろうか。

 神様、本日も無事に迎えられたこと心より感謝申し上げます。以前からお願いしております件ですが、わたくしも世のため人のために日々精進してまいりますので、どうか願いを叶えていただきたくぞんじます。よろしく願いいたします。

 それとも、こうだろうか。

 神様、今日も無事に迎えられたこと感謝します。前からお願いしていたことですが、世のため人のために役に立てるよう努力しますので、どうか願いを叶えてくだい。よろしくお願いします。

 それとも、こうだろうか。

 〇〇さん、今日もありがとう。前からお願いしてた話なんだけど、みんなのためにどうしても叶えたいから、お願いします。

 どの言葉遣いに近いもので、お願いをするだろうか。つまりは、どれが正解だろうか。

 これは全てが正解である。驚かれる方もいるかもしれない。なぜ、どれでもよいのかの説明をしよう。

 前の章でも書いたが、神様の上には神様がいる。守護する時以外は、神様は自身のことを人だと思って生きている。つまり、尊重されて当然だとは思っていない。私たち人と同じように心を持っていらっしゃる。

 一番最初の例に出した、『申し上げる』『存じる』などを使われたら、神様はどのように受け取るだろうか。神様にも様々な個性がある。心優しく腰の低い人もいるのである。

 そうなると、人間の願い事の仕方に恐縮してしまうだろう。自分がもし、言われる立場に立った時どうだろうか。筆者ならこのように思う。

 あ、あぁ。ずいぶんご丁寧に……。お、お願いですか? あぁ、じゃあ、か、叶えますよ。少々お待ちください。

 どちらが神様だかわからなくなってしまう。というか、神様も気を遣ってしまって、非常にギクシャクした関係になってしまう。これでは、守護される守護するがわのスムーズな二人三脚は望めないのではあろうか。

 ただし、気をつけなくてはいけないことがある。この尊敬語と謙譲語の言い回しでないと、願いは聞かない、と機嫌を損ねる神様は稀にいる。

 人となりならぬ――神となりを見極めないと、お互いの関係を良好に保てないことが起きるので、注意が必要だ。

 少々話はそれるが、人と接する時、十人いたら一通りで接することが、本当の平等だろうか。

 相手のことを第一に考えると、十人いればそれぞれ幸せを感じる方法や物事は違う。そこへ照準を合わせると、十人いたら十通りの接し方をするのが、平等ではないだろうか。

 幽霊や神様にも私たち人間と同じように心がある。つまりは、人間関係と基本的に変わらない。初対面の人に対して、自己紹介する時は、

 〇〇と申します。

 という謙譲語を使い、相手をうやまう言葉も使うだろう。しかし、少し慣れてきたら、丁寧語に変わり、友達などの親しい仲になれば、タメ口になるのではないだろうか。

 だが、神様にタメ口は少々気が引けるだろう。著者が今まで話した神様の中で一人だけだったが、こんなことを言われたことがある。

「いつになったら丁寧語やめんの?」

 言葉遣いに気を使う労力があるのだったら、世のため人のために使えということである。これほど、私たち人間が思い込んでいることと、神様の価値観は違っているのである。

 筆者のそばには今現在、常に十人の守護神がいる。彼らに対して、一柱などと呼んだら、

「どこかに頭をぶつけたのか?」

 と聞き返されてしまう。あくまでも、物質界での数え方であって、神様のほとんどが自身のことを指しているとは知らないのである。そういうわけで、一人という数え方をお勧めする。お互いの心の距離を縮めるためにも大切なことである。

 日本語には尊敬語や謙譲語などがあるため、それを使わないとお願い事を聞いてもらえない。神様と話してはいけないと気後れするかもしれない。

 しかし、世の中には日本語のように敬語がほとんどない言語もある。その人たちの願いを神様は聞いてくださらないのだろうか。首を傾げてしまうのではないだろう。

 つまりは、言葉遣いは神様にとって重要なことではないのである。

 こんな体験はないだろうか。初対面の人に尊敬語を使ってはいるが、心の中ではそこまで敬っていないような気がする……。

 人は嘘をつくことができる。しかし、前の章でも書いたが、幽霊や神様には嘘は通用しない。どんなに丁寧な言葉遣いを使っていても、私利私欲で願いを叶えたいのであれば、聞きれてはもらえないのである。

 幽霊や神様にとって言葉遣いとは、人の容姿――見た目と変わりがない。心の中にきちんと尊敬や感謝がこもっていれば、どんな言葉遣いでも幽霊や神様は耳を貸してくださる。

 ただし、言葉遣いが崩れると、人によっては心まで乱れてしまうということが起きるかと思う。その時は、敬う言葉や感謝をしっかりと口に出して、自身を戒め、お願い事をしたり、話をするようにしよう。

 幽霊や神様とぜひ仲良くなって、共に人生を歩む友人のように話したいものである。

 次は、大きく常識をくつがす、神様の本名について話そう。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

私が王子との結婚式の日に、妹に毒を盛られ、公衆の面前で辱められた。でも今、私は時を戻し、運命を変えに来た。

MayonakaTsuki
恋愛
王子との結婚式の日、私は最も信頼していた人物――自分の妹――に裏切られた。毒を盛られ、公開の場で辱められ、未来の王に拒絶され、私の人生は血と侮辱の中でそこで終わったかのように思えた。しかし、死が私を迎えたとき、不可能なことが起きた――私は同じ回廊で、祭壇の前で目を覚まし、あらゆる涙、嘘、そして一撃の記憶をそのまま覚えていた。今、二度目のチャンスを得た私は、ただ一つの使命を持つ――真実を突き止め、奪われたものを取り戻し、私を破滅させた者たちにその代償を払わせる。もはや、何も以前のままではない。何も許されない。

百合ランジェリーカフェにようこそ!

楠富 つかさ
青春
 主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?  ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!! ※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。 表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。

真面目な女性教師が眼鏡を掛けて誘惑してきた

じゅ〜ん
エッセイ・ノンフィクション
仲良くしていた女性達が俺にだけ見せてくれた最も可愛い瞬間のほっこり実話です

上司、快楽に沈むまで

赤林檎
BL
完璧な男――それが、営業部課長・**榊(さかき)**の社内での評判だった。 冷静沈着、部下にも厳しい。私生活の噂すら立たないほどの隙のなさ。 だが、その“完璧”が崩れる日がくるとは、誰も想像していなかった。 入社三年目の篠原は、榊の直属の部下。 真面目だが強気で、どこか挑発的な笑みを浮かべる青年。 ある夜、取引先とのトラブル対応で二人だけが残ったオフィスで、 篠原は上司に向かって、いつもの穏やかな口調を崩した。「……そんな顔、部下には見せないんですね」 疲労で僅かに緩んだ榊の表情。 その弱さを見逃さず、篠原はデスク越しに距離を詰める。 「強がらなくていいですよ。俺の前では、もう」 指先が榊のネクタイを掴む。 引き寄せられた瞬間、榊の理性は音を立てて崩れた。 拒むことも、許すこともできないまま、 彼は“部下”の手によって、ひとつずつ乱されていく。 言葉で支配され、触れられるたびに、自分の知らなかった感情と快楽を知る。それは、上司としての誇りを壊すほどに甘く、逃れられないほどに深い。 だが、篠原の視線の奥に宿るのは、ただの欲望ではなかった。 そこには、ずっと榊だけを見つめ続けてきた、静かな執着がある。 「俺、前から思ってたんです。  あなたが誰かに“支配される”ところ、きっと綺麗だろうなって」 支配する側だったはずの男が、 支配されることで初めて“生きている”と感じてしまう――。 上司と部下、立場も理性も、すべてが絡み合うオフィスの夜。 秘密の扉を開けた榊は、もう戻れない。 快楽に溺れるその瞬間まで、彼を待つのは破滅か、それとも救いか。 ――これは、ひとりの上司が“愛”という名の支配に沈んでいく物語。

イケメン彼氏は年上消防士!鍛え上げられた体は、夜の体力まで別物!?

すずなり。
恋愛
私が働く食堂にやってくる消防士さんたち。 翔馬「俺、チャーハン。」 宏斗「俺もー。」 航平「俺、から揚げつけてー。」 優弥「俺はスープ付き。」 みんなガタイがよく、男前。 ひなた「はーいっ。ちょっと待ってくださいねーっ。」 慌ただしい昼時を過ぎると、私の仕事は終わる。 終わった後、私は行かなきゃいけないところがある。 ひなた「すみませーん、子供のお迎えにきましたー。」 保育園に迎えに行かなきゃいけない子、『太陽』。 私は子供と一緒に・・・暮らしてる。 ーーーーーーーーーーーーーーーー 翔馬「おいおい嘘だろ?」 宏斗「子供・・・いたんだ・・。」 航平「いくつん時の子だよ・・・・。」 優弥「マジか・・・。」 消防署で開かれたお祭りに連れて行った太陽。 太陽の存在を知った一人の消防士さんが・・・私に言った。 「俺は太陽がいてもいい。・・・太陽の『パパ』になる。」 「俺はひなたが好きだ。・・・絶対振り向かせるから覚悟しとけよ?」 ※お話に出てくる内容は、全て想像の世界です。現実世界とは何ら関係ありません。 ※感想やコメントは受け付けることができません。 メンタルが薄氷なもので・・・すみません。 言葉も足りませんが読んでいただけたら幸いです。 楽しんでいただけたら嬉しく思います。

ちょっと大人な体験談はこちらです

神崎未緒里
恋愛
本当にあった!?かもしれない ちょっと大人な体験談です。 日常に突然訪れる刺激的な体験。 少し非日常を覗いてみませんか? あなたにもこんな瞬間が訪れるかもしれませんよ? ※本作品ではGemini PRO、Pixai.artで作成した生成AI画像ならびに  Pixabay並びにUnsplshのロイヤリティフリーの画像を使用しています。 ※不定期更新です。 ※文章中の人物名・地名・年代・建物名・商品名・設定などはすべて架空のものです。

父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

四季
恋愛
父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

処理中です...