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親心と子心、そして夫心
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先日、旦那さんたち四人と一緒に外出をした。子供たちは昼寝の時間で、夫婦だけだった。
孔明が、
「颯ちゃん、ボク、アイス食べたい」
大先生はアイスが大好きなのである。駅の近くにアイスが売っていたと、初めから食べる気満々で来たようだった。
家に帰り、夕食後、孔明さんもパパが板について、子供たちの分もきちんと買ってきてあり、アイスを配っていた。
すると、孔明の息子、尋がアイスを見た途端、
「わ~~っ!」
大き泣きをし始めた。孔明は驚いて、
「尋ちゃん、ごめん、ごめん! アイスだよ」
パパがアイスを先に食べたから、尋はがっかりしたのだと思った。
それから、数日後。
妻の就寝時、月命と光命の三人で、眠る前に話していると、ぬいぐるみの話になった。
月命はよく持っているが、光命が抱きかかえているのを見つけた。
「ぬいぐるみは持たない主義だったのに、どうしてですか?」
「こちらは新しい商品で、子供の心に何か問いかける効果があるらしいのです」
「だから、体験ってことですか?」
「えぇ。私が幼い頃はこちらのようなぬいぐるみはありませんでしたからね」
光さんも子育て頑張ってるんだなぁ~。
そうして、月命のお気に入り、うさぎのぬいぐるみの話になった。ピンクの面白い顔をした、憎めないあいつである。
以前も出てきたが、とても貴重なぬいぐるみで、未だにどこで売っているのかがわからないと言う。
孔明も仕事中に、机のそばに置いて、頭をなでたいと言っていた。
そうして、月命にとっては、眠る時の必須アイテム。
「じゃあ、昼間は孔明さんが使って、夜は月さんが使えばいいんじゃないんですか?」
ひとつしかないのなら、それがいいだろう。しかし、月命は、
「孔明にはそのように提案したんですが、彼は遠慮して使わないんです~」
ラブラブだね。お互いのことを想って、譲り合ってるんだから。光命が幸せそうにすぐそばで話を聞いている。
「じゃあ、こう言うのはどうですか? 孔明の匂いがついたうさぎを抱いて眠りたいんです~。って言ってみる。そうしたら、使ってくれるかも?」
「そうでしょうか~?」
しかし、あの好青年な夫の特徴を、妻はふと思い出した。
「それじゃダメだな。孔明さん恥ずかしがって、余計使わないや……」
以心伝心我が夫。孔明が瞬間移動で寝室へやってきた。
「どうしたの~?」
私と光命ではなく、悩んでいるのは月命である。無言で、月命に話を譲った。
「孔明? 僕は君とぬいぐるみを共有したいんです~」
「うん、ありがとう」
簡単にまとまったのを見て、妻はげんなりした。
「何ですか~? この出来レースみたいな相談事は。結局ラブラブなんじゃないか!」
四人でくすくす笑い、せっかくやってきた夫を誘ってみた。
「孔明さん、こっちで寝ないの?」
「ん~? 尋ちゃん、あっちにいるんだよね」
「じゃあ、尋をこっちに連れて来ればいいんじゃないの?」
孔明は困った顔をする。
「尋ちゃん、あっちの部屋のほうがいいのかなと思って……」
妻はここで全て理解した、父と息子の心がちょっとしたすれ違いを起こしていることに。
「部屋はどこでもいいんだよ、尋は。孔明さんと一緒にいたいだけで、場所は関係ないんだと思うよ」
黙って聞いていた光命が、
「私のそのように思いますよ」
まだまだ、子育てに奮闘中の孔明だった。
「尋ちゃん……?」
「この間のアイスの話も、アイスが食べたかったんじゃなくて、孔明さんと何かしたかったんだよ。それがあの時はたまたま、アイスを食べるってことだったんだよ」
孔明としては、お昼寝中の尋を起こしたらいけないと思い、他の配偶者がいる家に留守番をさせたつもりだったのだが、尋は孔明について行きたかったのである。息子はパパが思っている以上に、パパにベッタリなのだった。
「じゃあ、尋ちゃん連れてくる」
そうして、みんなで仲良く眠りましたとさ。
孔明が、
「颯ちゃん、ボク、アイス食べたい」
大先生はアイスが大好きなのである。駅の近くにアイスが売っていたと、初めから食べる気満々で来たようだった。
家に帰り、夕食後、孔明さんもパパが板について、子供たちの分もきちんと買ってきてあり、アイスを配っていた。
すると、孔明の息子、尋がアイスを見た途端、
「わ~~っ!」
大き泣きをし始めた。孔明は驚いて、
「尋ちゃん、ごめん、ごめん! アイスだよ」
パパがアイスを先に食べたから、尋はがっかりしたのだと思った。
それから、数日後。
妻の就寝時、月命と光命の三人で、眠る前に話していると、ぬいぐるみの話になった。
月命はよく持っているが、光命が抱きかかえているのを見つけた。
「ぬいぐるみは持たない主義だったのに、どうしてですか?」
「こちらは新しい商品で、子供の心に何か問いかける効果があるらしいのです」
「だから、体験ってことですか?」
「えぇ。私が幼い頃はこちらのようなぬいぐるみはありませんでしたからね」
光さんも子育て頑張ってるんだなぁ~。
そうして、月命のお気に入り、うさぎのぬいぐるみの話になった。ピンクの面白い顔をした、憎めないあいつである。
以前も出てきたが、とても貴重なぬいぐるみで、未だにどこで売っているのかがわからないと言う。
孔明も仕事中に、机のそばに置いて、頭をなでたいと言っていた。
そうして、月命にとっては、眠る時の必須アイテム。
「じゃあ、昼間は孔明さんが使って、夜は月さんが使えばいいんじゃないんですか?」
ひとつしかないのなら、それがいいだろう。しかし、月命は、
「孔明にはそのように提案したんですが、彼は遠慮して使わないんです~」
ラブラブだね。お互いのことを想って、譲り合ってるんだから。光命が幸せそうにすぐそばで話を聞いている。
「じゃあ、こう言うのはどうですか? 孔明の匂いがついたうさぎを抱いて眠りたいんです~。って言ってみる。そうしたら、使ってくれるかも?」
「そうでしょうか~?」
しかし、あの好青年な夫の特徴を、妻はふと思い出した。
「それじゃダメだな。孔明さん恥ずかしがって、余計使わないや……」
以心伝心我が夫。孔明が瞬間移動で寝室へやってきた。
「どうしたの~?」
私と光命ではなく、悩んでいるのは月命である。無言で、月命に話を譲った。
「孔明? 僕は君とぬいぐるみを共有したいんです~」
「うん、ありがとう」
簡単にまとまったのを見て、妻はげんなりした。
「何ですか~? この出来レースみたいな相談事は。結局ラブラブなんじゃないか!」
四人でくすくす笑い、せっかくやってきた夫を誘ってみた。
「孔明さん、こっちで寝ないの?」
「ん~? 尋ちゃん、あっちにいるんだよね」
「じゃあ、尋をこっちに連れて来ればいいんじゃないの?」
孔明は困った顔をする。
「尋ちゃん、あっちの部屋のほうがいいのかなと思って……」
妻はここで全て理解した、父と息子の心がちょっとしたすれ違いを起こしていることに。
「部屋はどこでもいいんだよ、尋は。孔明さんと一緒にいたいだけで、場所は関係ないんだと思うよ」
黙って聞いていた光命が、
「私のそのように思いますよ」
まだまだ、子育てに奮闘中の孔明だった。
「尋ちゃん……?」
「この間のアイスの話も、アイスが食べたかったんじゃなくて、孔明さんと何かしたかったんだよ。それがあの時はたまたま、アイスを食べるってことだったんだよ」
孔明としては、お昼寝中の尋を起こしたらいけないと思い、他の配偶者がいる家に留守番をさせたつもりだったのだが、尋は孔明について行きたかったのである。息子はパパが思っている以上に、パパにベッタリなのだった。
「じゃあ、尋ちゃん連れてくる」
そうして、みんなで仲良く眠りましたとさ。
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