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クマとゾウ
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音楽活動と小説。二足のわらじを履いていると、やはり忙しい。
火曜と日曜以外、テレビで放映されているアニメは、毎日昼の十二時に締め切りがやってくる。
子供が学校で、友達に質問されるらしい。
次の話はどうなるの?
しかしながら、子供どころか、誰もその内容を知らない。なぜなら、当日の十二時にならないと、原稿が上がってこないからだ。
アニメなので、声優の方もいるが、彼らももちろん知らない。台本は当日にもらって、吹き込むのだ。
我が家の息子――紆螺も参加しているが、もちろん彼も知らない。主役ではないので、毎回出るわけではなく、
「次はいつ出るの?」
と聞かれた。よく話を聞いてみると、練習をしっかりしたいから、次回の仕事がいつなのか知りたいそうだ。
大体の話の流れは決まっているが、十五分という枠組みに、小説を当てはめると、約五千字から最大でも七千字弱。これがどのくらいの量なのか、自分にも分かっていない。つまり、来週のいつに、紆螺の出番がやってくるとははっきり言えない。
波間に揺れるヨットみたいな気分だ。流れに身を任せるまま進んでゆくが、進路変更はしようと思えばできる――そんな執筆活動だ。
そうして、四月から、光命の音楽ツアーへも同行している。リハーサルを含めて、十三時から二十時半までだ。小説の投稿には支障がない。
そこで、歌を歌うものだから、二足のワラジとなっている。一昨日は新曲のお披露目会もあって、目まぐるしい日々だ。
そこへさらに、地球での修業が加わり、分身をして、こなしているというハードスケジュール。
子供たちは最初、光命のツアーにママは一緒に行っていて、家にはいないのだと、そう思っていた。
だがある日、孔明から、ママは地球にもう一人いると聞いて、私の部屋へ遊びに来るようになった。隣に来て、絵本を読んだり、ゲームをしたり、何だかんだとしている。そうして、二十一時になると、光命が仕事から戻ってくるので、子供たちと一緒に玄関へ迎えに行く。
そこで、おかしな光景が広がる。自分で自分を出迎えるになってしまうのだ。そんな日々を送っていて、なかなかこの日記までたどり着かなかった。
新しい作品の出だしも、ほぼ決まり、奥さんたちに許可を得て書こうとしていたところ、陽和師に言われた。
「やるんだったら、出版社通してやりなさいよ。中途半端にやるんじゃなくて」
私としては、企画が通れば、出版するでいいかなと思っていたのだが、妻は厳しかった。
「またアニメ化かドラマ化されて、見る人が誰もいなくても、私たちは見るわよ」
背中を押された。ずっと病状はあまりよくはない。それでも、生きている限り、前に進みたいと思うが、病気が立ち止まらせようとする――鬱状態という症状で。
しかし、愛する妻の言葉だ。大切にして、新しい作品に挑もうと思う。明日には、担当の方に話を持ち出してみよう。
忙しいのに、子供は生まれている。旦那さんと旦那さんが結ばれた子供が、一年を迎えて、五歳の誕生日パーティをしている。それを、父親として見ていると、また子供が欲しいと思うようだ。
月命が光命の手を優しく取って、こう言っていた。
「君との子供がまた欲しいんです~」
望んだからと言って、生まれるわけでもないが、三人新たに増えた。光命は個別に欲しがっていて、七人増。そうして、孔明に言われている。
「張飛との子供が欲しいんだよね」
やっと、素直になったか、この旦那は。張飛のこととなると、恋する少年みたいに照れてしまって、なかなか夫夫になれずにいた。しかし、
「張飛をどうやって、その気にさせるかなんだよね」
孔明大先生のデジタル頭脳で、張飛が3Pに自然と入れるようにと、測っているようだ。いつのことになるのやら。
昨日のおやつは、綺麗にデコレーションされたケーキだった。話を聞くと、十六歳の娘――秀麗風の友達が、高校を卒業して結婚したらしい。式に呼ばれて、そのお返しがケーキというわけだ。
秀麗風は、
「私も結婚するのかしら?」
と言っていた。奥さんたちが、
「そりゃ、するでしょ」
いつかは、娘は花嫁になる。父としての感想はどうなのか、光命に聞いてみた。
「自身の子供が結婚することに、何の感情も持たない親はいないのではありませんか?」
そりゃ、そうだ。でも、まあ。月さんの十八歳の娘は結婚して、孫もいるわけだし。本当に初めて、花嫁の父になるわけでもないからな。心構えは対象なりともできているのだろう。
今日は学校は、『家族の日』として休み。朝から、子供たちが赤ちゃんを見たいだの、一緒に遊ぶだので大賑わい。
赤ちゃんができると、親の目はどうしても、そっちに向きがち。他の子たちは寂しい想いをする。暁は最近そばによく来ていたが、閃煌輝と真春の誕生日パーティーでは、私とは離れ離れ。主役は二人だからね。最初は我慢していたが、途中でワーワー泣き出した。
夕霧命が武術の技で、落ち着く気の流れを送ったら、疲れたみたいで眠ってしまった。旦那に暁はとりあえずお願いして、パーティが終了後、起きた暁に、
「我慢しなくていいんだよ。兄と弟じゃなくて、同じ五歳なんだから。甘えればいいの」
その言葉を聞いた暁は、毎日私のそばに来る。今日、ハンカチを持ってやって来た。広げてプリントしてある絵を見せた。
霊視する――。
丸い耳が上にふたつついている、カラフルなクマ――かと思いきや、鼻がゾウのように長かった。
「あれ、クマかな? それともゾウ?」
見間違いかと思って、もう一度よく見てみるが、やはりクマの耳をしているのに、ゾウの鼻だった。ということは――
「何かのキャラクター?」
「そう、テレビでやってるの」
「なんて名前?」
「クマゾウ」
ママはこういうギャグに弱いんだよね。
「いいね。そのネーミングセンス、素晴らしい!」
平和な日々だ。親も二十一人と多いけれども、子供は今や百四十七人だからね。一人一人見てあげたいのだが、なかなか難しい。しかし、子供には自分から望んでいることが言えるようになってほしいね。
2020年5月23日、土曜日
火曜と日曜以外、テレビで放映されているアニメは、毎日昼の十二時に締め切りがやってくる。
子供が学校で、友達に質問されるらしい。
次の話はどうなるの?
しかしながら、子供どころか、誰もその内容を知らない。なぜなら、当日の十二時にならないと、原稿が上がってこないからだ。
アニメなので、声優の方もいるが、彼らももちろん知らない。台本は当日にもらって、吹き込むのだ。
我が家の息子――紆螺も参加しているが、もちろん彼も知らない。主役ではないので、毎回出るわけではなく、
「次はいつ出るの?」
と聞かれた。よく話を聞いてみると、練習をしっかりしたいから、次回の仕事がいつなのか知りたいそうだ。
大体の話の流れは決まっているが、十五分という枠組みに、小説を当てはめると、約五千字から最大でも七千字弱。これがどのくらいの量なのか、自分にも分かっていない。つまり、来週のいつに、紆螺の出番がやってくるとははっきり言えない。
波間に揺れるヨットみたいな気分だ。流れに身を任せるまま進んでゆくが、進路変更はしようと思えばできる――そんな執筆活動だ。
そうして、四月から、光命の音楽ツアーへも同行している。リハーサルを含めて、十三時から二十時半までだ。小説の投稿には支障がない。
そこで、歌を歌うものだから、二足のワラジとなっている。一昨日は新曲のお披露目会もあって、目まぐるしい日々だ。
そこへさらに、地球での修業が加わり、分身をして、こなしているというハードスケジュール。
子供たちは最初、光命のツアーにママは一緒に行っていて、家にはいないのだと、そう思っていた。
だがある日、孔明から、ママは地球にもう一人いると聞いて、私の部屋へ遊びに来るようになった。隣に来て、絵本を読んだり、ゲームをしたり、何だかんだとしている。そうして、二十一時になると、光命が仕事から戻ってくるので、子供たちと一緒に玄関へ迎えに行く。
そこで、おかしな光景が広がる。自分で自分を出迎えるになってしまうのだ。そんな日々を送っていて、なかなかこの日記までたどり着かなかった。
新しい作品の出だしも、ほぼ決まり、奥さんたちに許可を得て書こうとしていたところ、陽和師に言われた。
「やるんだったら、出版社通してやりなさいよ。中途半端にやるんじゃなくて」
私としては、企画が通れば、出版するでいいかなと思っていたのだが、妻は厳しかった。
「またアニメ化かドラマ化されて、見る人が誰もいなくても、私たちは見るわよ」
背中を押された。ずっと病状はあまりよくはない。それでも、生きている限り、前に進みたいと思うが、病気が立ち止まらせようとする――鬱状態という症状で。
しかし、愛する妻の言葉だ。大切にして、新しい作品に挑もうと思う。明日には、担当の方に話を持ち出してみよう。
忙しいのに、子供は生まれている。旦那さんと旦那さんが結ばれた子供が、一年を迎えて、五歳の誕生日パーティをしている。それを、父親として見ていると、また子供が欲しいと思うようだ。
月命が光命の手を優しく取って、こう言っていた。
「君との子供がまた欲しいんです~」
望んだからと言って、生まれるわけでもないが、三人新たに増えた。光命は個別に欲しがっていて、七人増。そうして、孔明に言われている。
「張飛との子供が欲しいんだよね」
やっと、素直になったか、この旦那は。張飛のこととなると、恋する少年みたいに照れてしまって、なかなか夫夫になれずにいた。しかし、
「張飛をどうやって、その気にさせるかなんだよね」
孔明大先生のデジタル頭脳で、張飛が3Pに自然と入れるようにと、測っているようだ。いつのことになるのやら。
昨日のおやつは、綺麗にデコレーションされたケーキだった。話を聞くと、十六歳の娘――秀麗風の友達が、高校を卒業して結婚したらしい。式に呼ばれて、そのお返しがケーキというわけだ。
秀麗風は、
「私も結婚するのかしら?」
と言っていた。奥さんたちが、
「そりゃ、するでしょ」
いつかは、娘は花嫁になる。父としての感想はどうなのか、光命に聞いてみた。
「自身の子供が結婚することに、何の感情も持たない親はいないのではありませんか?」
そりゃ、そうだ。でも、まあ。月さんの十八歳の娘は結婚して、孫もいるわけだし。本当に初めて、花嫁の父になるわけでもないからな。心構えは対象なりともできているのだろう。
今日は学校は、『家族の日』として休み。朝から、子供たちが赤ちゃんを見たいだの、一緒に遊ぶだので大賑わい。
赤ちゃんができると、親の目はどうしても、そっちに向きがち。他の子たちは寂しい想いをする。暁は最近そばによく来ていたが、閃煌輝と真春の誕生日パーティーでは、私とは離れ離れ。主役は二人だからね。最初は我慢していたが、途中でワーワー泣き出した。
夕霧命が武術の技で、落ち着く気の流れを送ったら、疲れたみたいで眠ってしまった。旦那に暁はとりあえずお願いして、パーティが終了後、起きた暁に、
「我慢しなくていいんだよ。兄と弟じゃなくて、同じ五歳なんだから。甘えればいいの」
その言葉を聞いた暁は、毎日私のそばに来る。今日、ハンカチを持ってやって来た。広げてプリントしてある絵を見せた。
霊視する――。
丸い耳が上にふたつついている、カラフルなクマ――かと思いきや、鼻がゾウのように長かった。
「あれ、クマかな? それともゾウ?」
見間違いかと思って、もう一度よく見てみるが、やはりクマの耳をしているのに、ゾウの鼻だった。ということは――
「何かのキャラクター?」
「そう、テレビでやってるの」
「なんて名前?」
「クマゾウ」
ママはこういうギャグに弱いんだよね。
「いいね。そのネーミングセンス、素晴らしい!」
平和な日々だ。親も二十一人と多いけれども、子供は今や百四十七人だからね。一人一人見てあげたいのだが、なかなか難しい。しかし、子供には自分から望んでいることが言えるようになってほしいね。
2020年5月23日、土曜日
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