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アイドル×元アイドル 2
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各マスメディアの取材陣が並ぶ中、舞台の袖から壇上へと次々に上がるキャスト達。
シウは、ヒロイン役の人気若手女優をすばると挟んで並んでいる。
緊張しているのか、シウの表情が硬い。
制作発表はインターネットでも生配信されている。シウがアイドルだった頃のファンが視聴していたら、卒倒するかもしれないな。クアイルを突然辞めたシウが、日本のドラマに俳優として出演してるんだから。
話題性だけなら100点満点の再デビューだ。
後は、これからのシウをファンたちが受け入れてくれるかどうか・・・寛容なばかりではない手厳しい意見も出てくるだろう。
実際、メンバーの中でも人気が高かったシウが韓国芸能界から姿を消した事で、半年前 ネット上ではありとあらゆる噂が流れ大荒れとなっていたのは事実。
シウがFORESTへ移籍してきてすぐにでも露出させる事は出来た。それでも半年間 雲隠れさせたのは、ファンたちの鎮静化を待つため。
とりあえず今はどう転んでも、余計な噂以上に話題にさえなればそれでいい。
「伊藤すばるさんとシウさんは、今回ヒロインを取り合う仲の悪い兄弟役という事ですけれども、プライベートではどうなんですか?」
「シウくんとは仲良しですよ。まだふたりだけで遊んだ事は無いですけど、今度、シウが僕の家に泊まりに来るっていう約束はしてます」
女性記者からの質問に笑顔で答えるすばる。
どんだけシウに泊まりに来て欲しいんだよ!こんな場で言わなくてもいいだろ、その情報!・・・まさかすばるの奴、シウのこと狙ってんじゃないだろうな!?
「シウさんはドラマ初出演という事ですが、たくさんの先輩俳優の方々に囲まれての撮影はいかがですか?」
「え・・・と、はい。顔合わせのときにすごく不安だったんですけど・・・、すばるが、あ、すばるくんが声を掛けてくれて・・・、それですごく安心できました。先輩たちの所に一緒に挨拶も行ってくれて、撮影中も僕を気にかけてくれます」
おいおいシウ。緊張しすぎてんのか?記者からの質問の答え、なんかおかしいぞ。すばるの話になってんじゃん。流暢に話せるようになった日本語も、なんだか今日は たどたどしい。
「本当に仲良しなんですね。お互い相手の役とプライベートでの印象をお聞かせください」
「役では、僕めちゃくちゃ嫌われてるんですよ、シウに睨まれてばっかで。だけど普段はホント可愛いんです。シウをこう、ぎゅーってしちゃうくらい。な?」
すばるは自分をぎゅっと抱きしめてシウに同意を求める。
プライベートでも嫌われてろよ!
シウとすばるは、暇さえあればじゃれ合っている。ほとんどすばるからのアプローチだ。すばるの答えはリップサービスでも何でもない事実。
ここ最近、撮影の度にそんな二人を俺は見せられている。
ゆえに俺の心は今、世紀末より荒んでいる。
落ち着け落ち着け。今日はシウにとっても事務所にとっても大事な日なんだ。
気を取り直して・・・次はシウが答える番だ、上手く答えろよ。
「はい。すばるは、あ、すばるくんは・・・」
さっきから、そこの訂正になぜ拘る??まあいいんだけど・・・
「ドラマでは、自分の好きな人の好きな人だから、ほんとに嫌いです、カッコイイし。いつもは・・・うーん、なんか日本のヒョン・・・えっと日本のお兄ちゃんみたいです」
言葉は少し拙いが、無難に答えたシウ。
日本のヒョンか・・・。
え、あれ、でもシウ確か、クアイルのメンバーとコキ合いしてたんだよな?ヒョンヒョンうるさかったし。
え、え、まさかだけど、ロックオンしてんのシウの方?
「ポスターの様に両サイドから兄弟二人でヒロインを抱きしめてもらえますか?」
という記者の言葉に、恥ずかしいのでNG、と答えるヒロイン役の女優。
「じゃあ、ヒロイン無しでシウとハグします。おいで、シウ」
両手を広げシウを待つすばる。
女性記者達の甲高い歓声に背中を押されるように、シウはすばるへと歩み寄る。
すばるの胸にシウが寄り添うと、お互いをぎゅっと抱きしめ合う二人。ポスターと同じ、ヒロインを愛おしむような表情を作って。ただ、二人の間には今ヒロインはいない。
ドラマのためだとわかっている。すばるもシウもプロだ。そこに恋愛感情なんて無いはず・・・なのに、まるで本当に想い合っているように見える二人のハグに、会場の誰もが魅せられ、聞こえるのはうるさいくらいのカメラのシャッター音だけ。
さすが、勢いのあるアイドルは機転も利くしサービス精神もある。それに迷い無く応えるシウもさすがだ。
普段のあいつを見ていると つい忘れそうになるけど、あいつは間違いなくビジュアルもパフォーマンスも歌も一流で、若くして世界を制した男なんだ。
セックス以外で誰かに必要とされた事の無い俺なんかじゃ、到底手に入れることが出来ない代物。
シウは、ヒロイン役の人気若手女優をすばると挟んで並んでいる。
緊張しているのか、シウの表情が硬い。
制作発表はインターネットでも生配信されている。シウがアイドルだった頃のファンが視聴していたら、卒倒するかもしれないな。クアイルを突然辞めたシウが、日本のドラマに俳優として出演してるんだから。
話題性だけなら100点満点の再デビューだ。
後は、これからのシウをファンたちが受け入れてくれるかどうか・・・寛容なばかりではない手厳しい意見も出てくるだろう。
実際、メンバーの中でも人気が高かったシウが韓国芸能界から姿を消した事で、半年前 ネット上ではありとあらゆる噂が流れ大荒れとなっていたのは事実。
シウがFORESTへ移籍してきてすぐにでも露出させる事は出来た。それでも半年間 雲隠れさせたのは、ファンたちの鎮静化を待つため。
とりあえず今はどう転んでも、余計な噂以上に話題にさえなればそれでいい。
「伊藤すばるさんとシウさんは、今回ヒロインを取り合う仲の悪い兄弟役という事ですけれども、プライベートではどうなんですか?」
「シウくんとは仲良しですよ。まだふたりだけで遊んだ事は無いですけど、今度、シウが僕の家に泊まりに来るっていう約束はしてます」
女性記者からの質問に笑顔で答えるすばる。
どんだけシウに泊まりに来て欲しいんだよ!こんな場で言わなくてもいいだろ、その情報!・・・まさかすばるの奴、シウのこと狙ってんじゃないだろうな!?
「シウさんはドラマ初出演という事ですが、たくさんの先輩俳優の方々に囲まれての撮影はいかがですか?」
「え・・・と、はい。顔合わせのときにすごく不安だったんですけど・・・、すばるが、あ、すばるくんが声を掛けてくれて・・・、それですごく安心できました。先輩たちの所に一緒に挨拶も行ってくれて、撮影中も僕を気にかけてくれます」
おいおいシウ。緊張しすぎてんのか?記者からの質問の答え、なんかおかしいぞ。すばるの話になってんじゃん。流暢に話せるようになった日本語も、なんだか今日は たどたどしい。
「本当に仲良しなんですね。お互い相手の役とプライベートでの印象をお聞かせください」
「役では、僕めちゃくちゃ嫌われてるんですよ、シウに睨まれてばっかで。だけど普段はホント可愛いんです。シウをこう、ぎゅーってしちゃうくらい。な?」
すばるは自分をぎゅっと抱きしめてシウに同意を求める。
プライベートでも嫌われてろよ!
シウとすばるは、暇さえあればじゃれ合っている。ほとんどすばるからのアプローチだ。すばるの答えはリップサービスでも何でもない事実。
ここ最近、撮影の度にそんな二人を俺は見せられている。
ゆえに俺の心は今、世紀末より荒んでいる。
落ち着け落ち着け。今日はシウにとっても事務所にとっても大事な日なんだ。
気を取り直して・・・次はシウが答える番だ、上手く答えろよ。
「はい。すばるは、あ、すばるくんは・・・」
さっきから、そこの訂正になぜ拘る??まあいいんだけど・・・
「ドラマでは、自分の好きな人の好きな人だから、ほんとに嫌いです、カッコイイし。いつもは・・・うーん、なんか日本のヒョン・・・えっと日本のお兄ちゃんみたいです」
言葉は少し拙いが、無難に答えたシウ。
日本のヒョンか・・・。
え、あれ、でもシウ確か、クアイルのメンバーとコキ合いしてたんだよな?ヒョンヒョンうるさかったし。
え、え、まさかだけど、ロックオンしてんのシウの方?
「ポスターの様に両サイドから兄弟二人でヒロインを抱きしめてもらえますか?」
という記者の言葉に、恥ずかしいのでNG、と答えるヒロイン役の女優。
「じゃあ、ヒロイン無しでシウとハグします。おいで、シウ」
両手を広げシウを待つすばる。
女性記者達の甲高い歓声に背中を押されるように、シウはすばるへと歩み寄る。
すばるの胸にシウが寄り添うと、お互いをぎゅっと抱きしめ合う二人。ポスターと同じ、ヒロインを愛おしむような表情を作って。ただ、二人の間には今ヒロインはいない。
ドラマのためだとわかっている。すばるもシウもプロだ。そこに恋愛感情なんて無いはず・・・なのに、まるで本当に想い合っているように見える二人のハグに、会場の誰もが魅せられ、聞こえるのはうるさいくらいのカメラのシャッター音だけ。
さすが、勢いのあるアイドルは機転も利くしサービス精神もある。それに迷い無く応えるシウもさすがだ。
普段のあいつを見ていると つい忘れそうになるけど、あいつは間違いなくビジュアルもパフォーマンスも歌も一流で、若くして世界を制した男なんだ。
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