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言えないことのひとつふたつ 1
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「万里ほらこれ見ろよ。俺がふたりいる~!」
俺の日本デビュー1周年とプロモーションを兼ねてリリースされたARアプリでキャプチャした画像を万里に見せながら、マンションに帰った後も何故か機嫌が悪そうな彼の様子を伺う。
「ああ」
興味が無さそうにスマホをチラッと見て、そそくさとキッチンへ入った万里は夕飯の後片付けを始める。
な、なんだよ!グラビアの撮影後からずっとあの態度だし!佐伯さんと俺の距離が近かったから、嫉妬か?
「機嫌悪い?佐伯さんにヤキモチ?」
「・・・・・・」
何も答えない万里。
いい加減にしろよ!俺は芸能人なんだぞ!もしかしたらこの先、演技で誰かとキスしたり抱き合ったりする度に、万里にこんな態度とられ続けるのか?
「万里ってマジでどうしようもないガキだな。年上だと思えないんだけど!仕事相手に嫉妬するくらいなら、芸能人なんか好きになるんじゃねーよ」
万里の態度にイラついた俺は、つい思ってもないことを口走ってしまう。
好きになるんじゃ・・・って、俺の方が片想いしてたのに偉そうに言っちゃった。どうしよう、ホントに万里に嫌われちゃったら・・・
言ってしまった直後に、死にたいくらいの後悔。
「あのっ、今の やっぱナシ。・・・好きでいて欲しい」
すぐに訂正するけど、万里は難しい顔をしたままだ。
ああ~・・・ケンカしたくないのに、どうしていつもこんな言い方しかできないんだろう俺・・・
「・・・シウの言う通りだ。俺は佐伯に嫉妬した」
食洗機のスタートボタンを押した万里は、キッチンから出てきてダイニングのテーブルを挟んで俺の向かいに座る。
「佐伯に言われたよ。もう少し上手くやらないと、シウを苦しめるだけだ、って」
佐伯さん、万里とも話してたんだ。
「佐伯に触られたって聞いて、独占欲が出た。シウは俺のもんだって主張したくて、撮影に支障が出るってわかっててあんな痕まで付けて・・・バレたら終わりだって言われてんのに・・・」
不機嫌だと認識していた万里の顔が、みるみる落胆の表情に見えてくる。
え、まさか・・・俺にあんな事しちゃったから、反省してただけ・・・?
そう考え出すと、万里がまるで、悪戯をして怒られ シュンと項垂れる大型犬のように見える。
か・・・かわいい!なんだよそれ、反則じゃん。ああ、もぉ~!
俺はスマホのレンズを万里に向けシャッターを押す。撮った写真をすぐに万里に送ると、ポケットから自分のスマホを出し、俺が送った画像を見た彼の表情が少し緩んだ。
「なんだよこれ」
送ったのは、ARの俺が万里の頬にキスをしている画像。
「へへ。万里が好きで堪らないシウのキスだよ。嬉しいだろ?」
「このアプリを開発した湊たちに感謝しなきゃな。こうやってシウが自分にキスしてる写真見て喜んでるファンが大勢いるんだからな」
「ファンも大事だけど、俺は今 万里に言ってるんだよ。本人が直々に撮ってやるのは万里だけなんだぞ!」
もっと喜んでくれてもいいのに。
立ち上がって俺の傍へ来た万里がスっとしゃがんで、椅子に座った俺の目線の高さまで下りてくる。
「本人が目の前にいるのに、画面の中でしかしてくんねーの?ケチだな、俺の彼氏は」
「かっ!?かれ・・・」
愛人じゃなくて!?
「あれ、違うのか?そう思ってんのは俺だけか」
「彼氏って、思ってていいの?」
「いいに決まってんだろ。わかったらさっさとキスしろ」
めちゃくちゃ嬉しい!
万里の頬を両手で挟んで唇を重ねる。
「・・・ね、万里。しよ?」
昨日はしてくれなかったし、昼間だって中途半端に焦らされて、もう限界。
太腿の内側をボトムの上から撫でられて、そこが万里に付けられた痕が集中している所だとわかって、限界を超えた気持ちが熱になって下半身に集中する。
「・・・そうだな。でも、シウは俺とのセックスに満足してないみたいだからな」
「えっ?そんなわけないじゃん!なんで・・・」
「あー、俺、遅漏の彼氏に『下手くそ』って言われたんだよなぁ」
あ!それ、昼間に俺が言ったやつじゃん!
わざとらしく落ち込む万里。わざとらし過ぎて憎いほど。
「そんな下手な演技したって、本当は落ち込んでないのわかってるんだからな!万里だって俺としたいはず・・・」
膝まづいている万里の股の間に、グッと足をのせてみる。けれど全く反応してないそれに、俺は少しの不安を覚える。
「『下手くそ』って言われたショックで不能になったかもしんねぇ。もう一生シウに挿れてやれないかも」
「やだ!あぁ、どうしよ・・・。万里ごめんなさい。ねぇ、どうしたらおっきくなる?」
痛くても苦しくても、万里と繋がってるってだけで、それだけで気持ち良くなって幸せだったのに~!下手くそでも何でもいいから、勃たせてほしいよ~。
しばらく黙った万里はその場に立ち上がる。
追うように見上げた俺は顎を掴まれ、唇を割って入ってくる万里の指に舌の根を押されて軽く嘔吐いてしまう。
「シウがここに入れてくれたら、デカくなるかもしれない」
「はぇ・・・?」
そ、それって・・・つまり・・・
「挿れて欲しいなら、頑張れるよな?」
「万里ほらこれ見ろよ。俺がふたりいる~!」
俺の日本デビュー1周年とプロモーションを兼ねてリリースされたARアプリでキャプチャした画像を万里に見せながら、マンションに帰った後も何故か機嫌が悪そうな彼の様子を伺う。
「ああ」
興味が無さそうにスマホをチラッと見て、そそくさとキッチンへ入った万里は夕飯の後片付けを始める。
な、なんだよ!グラビアの撮影後からずっとあの態度だし!佐伯さんと俺の距離が近かったから、嫉妬か?
「機嫌悪い?佐伯さんにヤキモチ?」
「・・・・・・」
何も答えない万里。
いい加減にしろよ!俺は芸能人なんだぞ!もしかしたらこの先、演技で誰かとキスしたり抱き合ったりする度に、万里にこんな態度とられ続けるのか?
「万里ってマジでどうしようもないガキだな。年上だと思えないんだけど!仕事相手に嫉妬するくらいなら、芸能人なんか好きになるんじゃねーよ」
万里の態度にイラついた俺は、つい思ってもないことを口走ってしまう。
好きになるんじゃ・・・って、俺の方が片想いしてたのに偉そうに言っちゃった。どうしよう、ホントに万里に嫌われちゃったら・・・
言ってしまった直後に、死にたいくらいの後悔。
「あのっ、今の やっぱナシ。・・・好きでいて欲しい」
すぐに訂正するけど、万里は難しい顔をしたままだ。
ああ~・・・ケンカしたくないのに、どうしていつもこんな言い方しかできないんだろう俺・・・
「・・・シウの言う通りだ。俺は佐伯に嫉妬した」
食洗機のスタートボタンを押した万里は、キッチンから出てきてダイニングのテーブルを挟んで俺の向かいに座る。
「佐伯に言われたよ。もう少し上手くやらないと、シウを苦しめるだけだ、って」
佐伯さん、万里とも話してたんだ。
「佐伯に触られたって聞いて、独占欲が出た。シウは俺のもんだって主張したくて、撮影に支障が出るってわかっててあんな痕まで付けて・・・バレたら終わりだって言われてんのに・・・」
不機嫌だと認識していた万里の顔が、みるみる落胆の表情に見えてくる。
え、まさか・・・俺にあんな事しちゃったから、反省してただけ・・・?
そう考え出すと、万里がまるで、悪戯をして怒られ シュンと項垂れる大型犬のように見える。
か・・・かわいい!なんだよそれ、反則じゃん。ああ、もぉ~!
俺はスマホのレンズを万里に向けシャッターを押す。撮った写真をすぐに万里に送ると、ポケットから自分のスマホを出し、俺が送った画像を見た彼の表情が少し緩んだ。
「なんだよこれ」
送ったのは、ARの俺が万里の頬にキスをしている画像。
「へへ。万里が好きで堪らないシウのキスだよ。嬉しいだろ?」
「このアプリを開発した湊たちに感謝しなきゃな。こうやってシウが自分にキスしてる写真見て喜んでるファンが大勢いるんだからな」
「ファンも大事だけど、俺は今 万里に言ってるんだよ。本人が直々に撮ってやるのは万里だけなんだぞ!」
もっと喜んでくれてもいいのに。
立ち上がって俺の傍へ来た万里がスっとしゃがんで、椅子に座った俺の目線の高さまで下りてくる。
「本人が目の前にいるのに、画面の中でしかしてくんねーの?ケチだな、俺の彼氏は」
「かっ!?かれ・・・」
愛人じゃなくて!?
「あれ、違うのか?そう思ってんのは俺だけか」
「彼氏って、思ってていいの?」
「いいに決まってんだろ。わかったらさっさとキスしろ」
めちゃくちゃ嬉しい!
万里の頬を両手で挟んで唇を重ねる。
「・・・ね、万里。しよ?」
昨日はしてくれなかったし、昼間だって中途半端に焦らされて、もう限界。
太腿の内側をボトムの上から撫でられて、そこが万里に付けられた痕が集中している所だとわかって、限界を超えた気持ちが熱になって下半身に集中する。
「・・・そうだな。でも、シウは俺とのセックスに満足してないみたいだからな」
「えっ?そんなわけないじゃん!なんで・・・」
「あー、俺、遅漏の彼氏に『下手くそ』って言われたんだよなぁ」
あ!それ、昼間に俺が言ったやつじゃん!
わざとらしく落ち込む万里。わざとらし過ぎて憎いほど。
「そんな下手な演技したって、本当は落ち込んでないのわかってるんだからな!万里だって俺としたいはず・・・」
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「『下手くそ』って言われたショックで不能になったかもしんねぇ。もう一生シウに挿れてやれないかも」
「やだ!あぁ、どうしよ・・・。万里ごめんなさい。ねぇ、どうしたらおっきくなる?」
痛くても苦しくても、万里と繋がってるってだけで、それだけで気持ち良くなって幸せだったのに~!下手くそでも何でもいいから、勃たせてほしいよ~。
しばらく黙った万里はその場に立ち上がる。
追うように見上げた俺は顎を掴まれ、唇を割って入ってくる万里の指に舌の根を押されて軽く嘔吐いてしまう。
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そ、それって・・・つまり・・・
「挿れて欲しいなら、頑張れるよな?」
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