マネジメント!

Hiiho

文字の大きさ
85 / 131

スキャンダル童貞 2

しおりを挟む
  ・・・・・・・・・・・・

  金子さんを信用してなくはない。でも、首を縦に振ってもいいのかわからない。

  こんな時、万里なら何て答えるんだろう。


「金子さん、ビールのおかわりは・・・」

「まだ半分も飲んでないよ。・・・聞き方が悪かったか。シウ、河森とは体だけの関係なんだろ?」

「体だけじゃないもん!俺、ちゃんと万里が好きだし、万里だって・・・」


  ・・・ああっ!! しまったぁ!!


  金子さんに『体だけの関係』と言われて、ついムカついて暴露してしまう俺。
  こんなんじゃ、頼れる男になるのは程遠い。

  とにかくごまかさないと!


「えと、えと、体だけは大丈夫で・・・マネージャーが大好きだな~って。そういうことです!はい!」

「どういう事?よくわかんねーけど、ルール違反だとか言うつもりないし、誰かに言ったりもしないから落ち着けって。・・・それ飲み物じゃないし」

  グラスと間違えて口元に持って来てしまった小鉢を金子さんに奪われる。

  動揺しすぎだろ俺、一旦落ち着かないと!

  誰かに自慢したいってずっと思ってたのに、いざその時が来ると、「ああ こいつ尻に突っ込まれて気持ちいいんだ」とか思われるのも恥ずかしくて、堂々としていられない。

「こんなに可愛いシウの反応が目の前で見れるなんて・・・今日が俺の命日か・・・。芸能人やってて良かった・・・!」

  おしぼりで目元を拭う金子さん。

「できることなら俺とカップルになって欲しかったけど、河森×シウ・・・河シウか。ミンシウよりは推せるかもしれねーな」

  金子さんの言ってる意味がわからない。

  とりあえずバレちゃってるんだろうけど、いま万里との事を聞かれても上手く話せない気がする。

  ノンアルコールで素面でいるのに耐えられず、金子さんと同じグラスビールをオーダーした。


  運ばれてきたビールを、一気に喉の奥に流し込む。

「うげぇぇぇ、にっがいよぉ・・・」

「ビール苦手なのに何やってるんだ」

  すぐに金子さんが注文してくれたグレープサワーで、口に残った苦味を中和させる。

「いきなり突っ込んだこと聞いてごめんな。酒飲まなきゃならないくらいにシウが動揺するなんて思ってなかった」

「いえ・・・。恋人の話って俺、誰かとしたことなんかなくて・・・。片想いだったら平気なんですけど、恋人ってなると、その・・・両想いじゃないですかぁ!」

「おっ、おう」

  急に語尾が大きくなった事に、ビクッ と驚く金子さん。

  自分で言った『両想い』に力が入って、急に大声になってしまった。落ち着け。

「両想いって、いわゆる、アレですよ。お互いに好きだから、し、し、幸せですよね」

  ああ~、自分で言ってて顔が焼けるくらい熱くなってる。これが俗に言う『ノロケ』ってやつか。


「・・・シウは、尊いな。マジで・・・。生まれてきてくれてありがとう」

「えっ、あ、はい」

「シウが不倫なんて、不憫だけど・・・俺はとことん河シウを推してくよ。だから、どうか幸せであってくれ・・・!」

  金子さんは頭を抱えた後に、両手を顔の前で合わせる。

  なんだか俺、金子さんに拝まれてる?時々、いや結構?理解不能な金子さんの言動と行動。・・・やっぱり変な人。



  ええーい、こうなったらもう金子さんに隠す必要なんて無い!

「あの、万里と俺が付き合ってるの、もしバレたらどうなるんでしょう?」

  万が一の時に備えて、スキャンダル揉み消し俳優の金子さんのアドバイスを聞いておかなきゃ。

「そうだな・・・相手はマネージャーだし、一緒にいる分には簡単にはスッパ抜かれないだろうけど。世間に知れたら、今まで通りの芸能活動はできなくなるだろうな」

「・・・そうですよね。こんなに好きなのに、俺が芸能人やってる限りずっと隠して生きていかなきゃいけないって事ですよね」

  多分、一生。社長にした約束を果たせて 例え万里が奥さんと別れたとしても、俺達の関係はずっと秘密のままにしておかなきゃいけないんだ。


「俺、こんなに好きになったの、万里が初めてなんです。いつか・・・誰の目も気にせずに大声で言える日が来るといいなぁ」

「・・・シウを見てると、俺も逃げちゃ駄目だなって思えてくるよ」

「逃げるって・・・」

  誰から?何から?

  って聞こうかと思ったけど、ハッと我に返ったような素振りを見せ「俺の話は面白くないから、シウたちの話 詳しく!」と前のめりになる金子さんに、俺は何も聞けなかった。

しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

上司、快楽に沈むまで

赤林檎
BL
完璧な男――それが、営業部課長・**榊(さかき)**の社内での評判だった。 冷静沈着、部下にも厳しい。私生活の噂すら立たないほどの隙のなさ。 だが、その“完璧”が崩れる日がくるとは、誰も想像していなかった。 入社三年目の篠原は、榊の直属の部下。 真面目だが強気で、どこか挑発的な笑みを浮かべる青年。 ある夜、取引先とのトラブル対応で二人だけが残ったオフィスで、 篠原は上司に向かって、いつもの穏やかな口調を崩した。「……そんな顔、部下には見せないんですね」 疲労で僅かに緩んだ榊の表情。 その弱さを見逃さず、篠原はデスク越しに距離を詰める。 「強がらなくていいですよ。俺の前では、もう」 指先が榊のネクタイを掴む。 引き寄せられた瞬間、榊の理性は音を立てて崩れた。 拒むことも、許すこともできないまま、 彼は“部下”の手によって、ひとつずつ乱されていく。 言葉で支配され、触れられるたびに、自分の知らなかった感情と快楽を知る。それは、上司としての誇りを壊すほどに甘く、逃れられないほどに深い。 だが、篠原の視線の奥に宿るのは、ただの欲望ではなかった。 そこには、ずっと榊だけを見つめ続けてきた、静かな執着がある。 「俺、前から思ってたんです。  あなたが誰かに“支配される”ところ、きっと綺麗だろうなって」 支配する側だったはずの男が、 支配されることで初めて“生きている”と感じてしまう――。 上司と部下、立場も理性も、すべてが絡み合うオフィスの夜。 秘密の扉を開けた榊は、もう戻れない。 快楽に溺れるその瞬間まで、彼を待つのは破滅か、それとも救いか。 ――これは、ひとりの上司が“愛”という名の支配に沈んでいく物語。

後宮の男妃

紅林
BL
碧凌帝国には年老いた名君がいた。 もう間もなくその命尽きると噂される宮殿で皇帝の寵愛を一身に受けていると噂される男妃のお話。

吊るされた少年は惨めな絶頂を繰り返す

五月雨時雨
BL
ブログに掲載した短編です。

BL団地妻-恥じらい新妻、絶頂淫具の罠-

おととななな
BL
タイトル通りです。 楽しんでいただけたら幸いです。

BL 男達の性事情

蔵屋
BL
漁師の仕事は、海や川で魚介類を獲ることである。 漁獲だけでなく、養殖業に携わる漁師もいる。 漁師の仕事は多岐にわたる。 例えば漁船の操縦や漁具の準備や漁獲物の処理等。 陸上での魚の選別や船や漁具の手入れなど、 多彩だ。 漁師の日常は毎日漁に出て魚介類を獲るのが主な業務だ。 漁獲とは海や川で魚介類を獲ること。 養殖の場合は魚介類を育ててから出荷する養殖業もある。 陸上作業の場合は獲った魚の選別、船や漁具の手入れを行うことだ。 漁業の種類と言われる仕事がある。 漁師の仕事だ。 仕事の内容は漁を行う場所や方法によって多様である。 沿岸漁業と言われる比較的に浜から近い漁場で行われ、日帰りが基本。 日本の漁師の多くがこの形態なのだ。 沖合(近海)漁業という仕事もある。 沿岸漁業よりも遠い漁場で行われる。 遠洋漁業は数ヶ月以上漁船で生活することになる。 内水面漁業というのは川や湖で行われる漁業のことだ。 漁師の働き方は、さまざま。 漁業の種類や狙う魚によって異なるのだ。 出漁時間は早朝や深夜に出漁し、市場が開くまでに港に戻り魚の選別を終えるという仕事が日常である。 休日でも釣りをしたり、漁具の手入れをしたりと、海を愛する男達が多い。 個人事業主になれば漁船や漁具を自分で用意し、漁業権などの資格も必要になってくる。 漁師には、豊富な知識と経験が必要だ。 専門知識は魚類の生態や漁場に関する知識、漁法の技術と言えるだろう。 資格は小型船舶操縦士免許、海上特殊無線技士免許、潜水士免許などの資格があれば役に立つ。 漁師の仕事は、自然を相手にする厳しさもあるが大きなやりがいがある。 食の提供は人々の毎日の食卓に新鮮な海の幸を届ける重要な役割を担っているのだ。 地域との連携も必要である。 沿岸漁業では地域社会との結びつきが強く、地元のイベントにも関わってくる。 この物語の主人公は極楽翔太。18歳。 翔太は来年4月から地元で漁師となり働くことが決まっている。 もう一人の主人公は木下英二。28歳。 地元で料理旅館を経営するオーナー。 翔太がアルバイトしている地元のガソリンスタンドで英二と偶然あったのだ。 この物語の始まりである。 この物語はフィクションです。 この物語に出てくる団体名や個人名など同じであってもまったく関係ありません。

【完結】愛されたかった僕の人生

Kanade
BL
✯オメガバース 〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜 お見合いから一年半の交際を経て、結婚(番婚)をして3年。 今日も《夫》は帰らない。 《夫》には僕以外の『番』がいる。 ねぇ、どうしてなの? 一目惚れだって言ったじゃない。 愛してるって言ってくれたじゃないか。 ねぇ、僕はもう要らないの…? 独りで過ごす『発情期』は辛いよ…。

鎖に繋がれた騎士は、敵国で皇帝の愛に囚われる

結衣可
BL
戦場で捕らえられた若き騎士エリアスは、牢に繋がれながらも誇りを折らず、帝国の皇帝オルフェンの瞳を惹きつける。 冷酷と畏怖で人を遠ざけてきた皇帝は、彼を望み、夜ごと逢瀬を重ねていく。 憎しみと抗いのはずが、いつしか芽生える心の揺らぎ。 誇り高き騎士が囚われたのは、冷徹な皇帝の愛。 鎖に繋がれた誇りと、独占欲に満ちた溺愛の行方は――。

処理中です...